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バトルが終った後、携帯で時間を確認すると六時を回っていた。そういえば先程までたくさんいた人が心なしか少なくなっているような気がする。夕食時だからだろうか。
中にはまだ残って頑張っている人たちもいたが、僕は姉さんを待たすわけにもいかないのでウチに帰るため上がってきた階段を下りていった。
「おい、そこのお前! ちょっと待て」
そんなひどく乱暴な声が聞こえてきたのは僕が階段の踊り場のあたりまで下りてからだった。
しかし、引っ越してきたばかりで知り合いがまったくいない僕は、もちろん声をかけられる覚えはまったくないので人事だと思い階段を下り続けた。
「待てつってんだろ! 無視すんな!」
再び聞こえる怒声。驚くべきことに女性の声だ。
「……ねえ、ダイチ。呼ばれてるみたいだよ」
ランがそう言ってこなければ無視したままさらに歩き続けていたかもしれない。僕は慌てて足を止め、振り返った。
そこには一体の神姫を肩に乗せた女が立っていた。僕を追って走ってきたのか、少し息をはずませている。
身長は僕と同じくらい、いや、相手の方が高いかもしれない。間違いなく百七十センチは確実にあるだろう。きれいな金色に染められ軽くウェーブをかけられた髪が遊びなれた大人のような印象を与えていた。大学生だろうか? 顔は美人といえば美人だが、先程の乱暴な言葉遣いも手伝って、どこかキツそうな印象を受ける。なんとなくタバコが似合いそうな顔立ちだった。
肩に乗せている神姫はサンタ型のツガル。上から下まで完璧なパンキッシュファッションで着飾っており、ツガル特有の少し生意気そうな顔でこちらの様子を伺っている。
「なにか用ですか?」
呼び止めたからにはなにか用事があるのだろう。
とりあえず女は年上っぽいので敬語で返事をする。
女は息を整えるためか、一つ深呼吸してから口を開いた。
「やっと止まったか……。呼んだら返事くらいしろよな」
そんなことを言われても、まさか僕が呼ばれてるとは思わなかったのだから仕方がない。僕は弁解しようかとも思ったが、早く帰りたいのとめんどうくさい気持ちもあり、とりあえず「すいません」と素直に謝っておいた。すると女は気にしている様子も見せず、口の端を吊り上げて 「不敵な笑み」という言葉がこれほどぴったりはまる笑い方はないなと僕に思わせる顔をした。その表情はどことなく僕をからかおうとしている時のランに似ていて、僕の背筋に少し嫌な予感が走った。
「なに、わかってくれればそれでいいよ。そんなことよりお前、見かけない顔だけど、この辺の高校生か?」
初対面の人間に対して「お前」というのは少しなれなれしすぎやしないかと僕は思いつつ肯定する。
「どこ高だ?」
「阪井高校ですけど?」
彼女はさらに追及してくる。なんなんだ一体、僕が通う高校を聞き出してどうするつもりなのだろう。僕は彼女のなれなれしい口調と態度に若干の苛立ちを感じた。
ちなみに阪井高校とは進学校というほど優秀な高校でもなく、部活も特に目立つ成績をあげるような高校でもない。なんの変哲もないごく普通の公立高校である。
にも関わらず、彼女は眉を吊り上げたあと「しめた」というふうに不敵な笑みをさらに広げた。
なんだろうか。僕が阪井高の生徒だとなにか都合のいいことでもあるのだろうか。
僕がさらに嫌な予感を募らせていると、今まで肩の上で黙って座って僕と彼女のやりとりを聞いていた相手のツガルが口を開いた。
「やりましたわねお姉さま。これで次の試合のメンバーがそろいましたわ」
見事なお嬢様口調だ。それにしてもお姉さまか。確かに目の前の女はそう呼ばれるのが一番ふさわしいなと僕は思った。
ところで次の試合のメンバーとはなんのことだろう。
「決まりだな」
「ええ。この方でよろしいかと」
僕の疑問とはよそに、目の前の二人は互いに顔を見合わせ頷きあっている。
いったいなにが決まりなんだ。なにがこの方でよろしいんだ。僕がたまった疑問を吐き出そうと口を開きかけると、言葉を発する前に女が手を差し出してきた。
「おめでとう。たった今、お前は我が阪高の神姫部の5人目の戦士に選ばれた。これからよろしくな」
おめでとう? いったい何がおめでたいんだ?
我が阪高? アンタ大学生じゃなくて僕と同じ高校生なの?
神姫部? それはいったいなに?
よろしく? なんで僕がアンタとよろしくしなくちゃいけないんだ?
様々な疑問が一斉に僕の頭を駆け巡り、どれから質問しようかと僕は混乱した。そして気がつくと僕は彼女と手をガッチリと握手してしまっていた。それが彼女が無理矢理したものなのか、僕が自らしてしまったのかは、クエスチョンマークだらけのこの時の僕の頭では考えることができなかった。
バトルが終った後、携帯で時間を確認すると六時を回っていた。そういえば先程までたくさんいた人が心なしか少なくなっているような気がする。夕食時だからだろうか。
中にはまだ残って頑張っている人たちもいたが、僕は姉さんを待たすわけにもいかないのでウチに帰るため上がってきた階段を下りていった。
「おい、そこのお前! ちょっと待て」
そんなひどく乱暴な声が聞こえてきたのは僕が階段の踊り場のあたりまで下りてからだった。
しかし、引っ越してきたばかりで知り合いがまったくいない僕は、もちろん声をかけられる覚えはまったくないので人事だと思い階段を下り続けた。
「待てつってんだろ! 無視すんな!」
再び聞こえる怒声。驚くべきことに女性の声だ。
「……ねえ、ダイチ。呼ばれてるみたいだよ」
ランがそう言ってこなければ無視したままさらに歩き続けていたかもしれない。僕は慌てて足を止め、振り返った。
そこには一体の神姫を肩に乗せた女が立っていた。僕を追って走ってきたのか、少し息をはずませている。
身長は僕と同じくらい、いや、相手の方が高いかもしれない。間違いなく百七十センチは確実にあるだろう。きれいな金色に染められ軽くウェーブをかけられた髪が遊びなれた大人のような印象を与えていた。大学生だろうか? 顔は美人といえば美人だが、先程の乱暴な言葉遣いも手伝って、どこかキツそうな印象を受ける。なんとなくタバコが似合いそうな顔立ちだった。
肩に乗せている神姫はサンタ型のツガル。上から下まで完璧なパンキッシュファッションで着飾っており、ツガル特有の少し生意気そうな顔でこちらの様子を伺っている。
「なにか用ですか?」
呼び止めたからにはなにか用事があるのだろう。
とりあえず女は年上っぽいので敬語で返事をする。
女は息を整えるためか、一つ深呼吸してから口を開いた。
「やっと止まったか……。呼んだら返事くらいしろよな」
そんなことを言われても、まさか僕が呼ばれてるとは思わなかったのだから仕方がない。僕は弁解しようかとも思ったが、早く帰りたいのとめんどうくさい気持ちもあり、とりあえず「すいません」と素直に謝っておいた。すると女は気にしている様子も見せず、口の端を吊り上げて 「不敵な笑み」という言葉がこれほどぴったりはまる笑い方はないなと僕に思わせる顔をした。その表情はどことなく僕をからかおうとしている時のランに似ていて、僕の背筋に少し嫌な予感が走った。
「なに、わかってくれればそれでいいよ。そんなことよりお前、見かけない顔だけど、この辺の高校生か?」
初対面の人間に対して「お前」というのは少しなれなれしすぎやしないかと僕は思いつつ肯定する。
「どこ高だ?」
「阪井高校ですけど?」
彼女はさらに追及してくる。なんなんだ一体、僕が通う高校を聞き出してどうするつもりなのだろう。僕は彼女のなれなれしい口調と態度に若干の苛立ちを感じた。
ちなみに阪井高校とは進学校というほど優秀な高校でもなく、部活も特に目立つ成績をあげるような高校でもない。なんの変哲もないごく普通の公立高校である。
にも関わらず、彼女は眉を吊り上げたあと「しめた」というふうに不敵な笑みをさらに広げた。
なんだろうか。僕が阪井高の生徒だとなにか都合のいいことでもあるのだろうか。
僕がさらに嫌な予感を募らせていると、今まで肩の上で黙って座って僕と彼女のやりとりを聞いていた相手のツガルが口を開いた。
「やりましたわねお姉さま。これで次の試合のメンバーがそろいましたわ」
見事なお嬢様口調だ。それにしてもお姉さまか。確かに目の前の女はそう呼ばれるのが一番ふさわしいなと僕は思った。
ところで次の試合のメンバーとはなんのことだろう。
「決まりだな」
「ええ。この方でよろしいかと」
僕の疑問とはよそに、目の前の二人は互いに顔を見合わせ頷きあっている。
いったいなにが決まりなんだ。なにがこの方でよろしいんだ。僕がたまった疑問を吐き出そうと口を開きかけると、言葉を発する前に女が手を差し出してきた。
「おめでとう。たった今、お前は我が阪高の神姫部の5人目の戦士に選ばれた。これからよろしくな」
おめでとう? いったい何がおめでたいんだ?
我が阪高? アンタ大学生じゃなくて僕と同じ高校生なの?
神姫部? それはいったいなに?
よろしく? なんで僕がアンタとよろしくしなくちゃいけないんだ?
様々な疑問が一斉に僕の頭を駆け巡り、どれから質問しようかと僕は混乱した。そして気がつくと僕は彼女と手をガッチリと握手してしまっていた。それが彼女が無理矢理したものなのか、僕が自らしてしまったのかは、クエスチョンマークだらけのこの時の僕の頭では考えることができなかった。
[[第六話 天使と悪魔]]
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