「意外な人物」(2012/06/01 (金) 00:09:57) の最新版変更点
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全く、この不景気な世の中にあって私のような優秀な人材をこんな人形遊びのための部署につけるなんて世の中間違ってる。とはいえつまらんポストをチャンスとするのも優秀な人材の勤めだ。見回ってみたがここの連中の脳みそはあのMMSとか言う人形のことで染まりきっている。特に神姫だったか?あの女性型の人形に皆虜になっている。私がしっかり指導してロボット技術はこんな人形遊びのためにあるのではないと教育せねば。ん、なんだね?なに、私に支給される神姫を持って来ただと?ふん、まあいい持って来てみろ。
-某省内MMS普及推進政策課での会話
連続神姫ラジオ
浸食機械
10:意外な人物
コウガに続く手がかりを得た僕たちは通信塔にたどり着いた。島の中央に立つ鉄骨を組み合わせた無骨な塔は、意外にも神姫達の戦いの場であるこの島の風景にマッチしているように思えた。
「周辺のフェンスは問題ありませんが見張りが誰もいないのが奇妙ですね」
<うん、ここが重要施設ならもっと神姫やロボットがいてもおかしくない。力押しに賭けるのはちょっと危険だね>
先ほどから周辺を何度も見て回り進入できそうな場所を探しているのだがどこにも神姫が歩哨に立って外からの進入に目を光らせている。
<空から進入するのは無理かな?>
「さすがにブースターをかけて進入するのは目立ちすぎます。それよりもす…マスターとお別れした神姫の振りをして潜入するのはどうでしょうか?」
<コウガには会えそうだけど武装を取られる可能性があるし危険だと思う>
丸腰で彼女に会ったとき僕たちに何ができるのか想像できなかった。フェンスの向こうに舞い降りた鳥たちを見ながらプルミエと二人ため息が出てくる。
「鳥さんみたいに自由にどこでも舞い降りられたらいいんですけど」
僕もそう思い思わず空を眺める。初夏の日差しが大きく茂った木の枝の隙間を抜けて降り注ぐ。実のなる木なのかその枝の上をルリスが歩いていた。柔らかな日差に心癒されていた僕は何気なしにリスを追って枝の先に目を向けた。
<そうだよ、プルミエ!リスだよ>
僕の声にきょとんとしていたプルミエもあっと気がつく。大きく張り出した枝は葉を茂らせフェンスの向こうまで枝を伸ばしていた。早速木の枝に飛び乗り、見つからないように気をつけながら伝っていく。枝の先端から滑空し、敷地内に降り立った途端雷にでも撃たれたのかと思うような衝撃がプルミエに走るのを感じた。上からは分からなかったがよく見れば迷彩を施された謎の機械が周囲にいくつも埋まっていた。不気味な赤い光りをともしたその機械から電流がマイクロ波が検知される。今この場所は神姫を焼き殺すための電子レンジになったのだ。
「うぐぁああ」
身を焼かれる痛みに耐え、見つかるまいと悲鳴を上げずに耐えるプルミエだがうずくまりその場で動けなくなってしまう。このままじゃプルミエが壊れる、そう思った瞬間プルミエの周囲に赤い光が立ち上り、途端にマイクロ波が停止した。管理棟の方から神姫が僕たちの方に歩いてくる。彼女が側を通ると先ほどの機械の赤い光が消えていく。どうやら機能を停止しているようだ。
「だめよ、人の家に入るときには出迎えを待たないと」
僕たちの目の前に立ったのは以前森の中で出会ったあの赤毛の神姫だった。
次回:[[復活の道]]に続く・[[戻る>浸食機械]]
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