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「『刃毀れ(ソードブレイカー)』」(2012/04/09 (月) 14:52:19) の最新版変更点
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『刃毀れ(ソードブレイカー)』。
関東地区で名の知れた神姫プレイヤーである黒野白太が何時からか誰からかに付けられた渾名である。
その渾名の由来は彼が神姫バトルに置いて先ず第一に『相手の武器を壊す事』を目標とした戦法に依るものだろう。
彼に破壊された武器は百以上と言われており『刃毀れ(ソードブレイカー)』の渾名は的確に黒野白太の戦法を現わしている。
一方で『刃毀れ(ソードブレイカー)』にはもう一つの由来がありこちらは主に彼を嫌う神姫プレイヤーの中で有力となっている。
黒野白太は他人を煽る事が趣味である性格の持ち主であると黒野白太自身が認めている。
彼が武器を破壊するのは『相手の武器を全て破壊した上で降参を促す』という騎士道精神に基くものでは無く、
『神姫バトルにおいて如何に相手に屈辱を与えるか』を考えた末に思い付いた案が『相手の武器を壊す事』であった。
神姫バトルに誇りを抱くオーナーや神姫、特にストラーフMk2型の眼の前で武器を壊し踏み躙ってやると激昂する場合が多いので、
相手の戦力を削ぎ且つ冷静な判断力を失わせさらに自分自身も楽しいから一石三鳥であると黒野白太自身が語っている。
神姫バトルを嘲笑う道化、誇りを汚す恥知らずな卑怯者、小悪党の中の小悪党。
そう言った侮蔑を含め黒野白太は物を切れぬ鈍であると言う意味を込めて『刃毀れ(ソードブレイカー)』と呼ばれている。
…。
…。
…。
「酷い言われ様だな。」
「事実だしね。」
神姫バトル情報誌で有力な神姫プレイヤーを紹介するページを読んでいたストラーフMk2型神姫イシュタルは憤っているように見えた。
その憤りは自分のマスターを乏しめる記事から由来しているのか、それとも自分については何も記述されない事から由来しているのか。
多分、両方なんだろうなと黒野白太はイシュタルを眺めつつ牛乳パックにストローを刺し込んでチュウチュウと牛乳を飲み始める。
やっぱり牛乳は小さな紙パックにストローを刺すか瓶で直に飲むのに限る、家の冷蔵庫に入っているような大きめの紙パックでは駄目なんだよ。
等と自分がコーヒーや栄養ドリンクやフルーツジュースや野菜ジュースを嫌う言い訳を誰に語る訳もなくしていると遠くから、
体育系の同級生が、同胞に自分の言葉を伝える狼の遠吠えのように、他の男子生徒達に何か指示を出している大きな声が聞こえてきた。
その声に懐かしさを思い出しながらも気付けば紙パックの中の牛乳が半分以上無くなっている事に気付いて慌てて口を離した。
危ない危ない、飲み物の半分は食事の〆に取っておくものなんだと、とまた誰に聞かせる訳でもないのに自分流(アウトロー)を語り出す黒野白太。
そんなマスターの独り言を購入された時から聞かされて慣れてしまっているイシュタルは全てスルーして情報誌を突きつける。
「マスターは悔しくは無いのか?」
「何が?」
「決まっているだろう。道化と、卑怯者と、小悪党と罵られて、悔しくは無いのか? あたしは悔しいぞ!」
憤っているように見えるを訂正し憤っているイシュタルに黒野白太は昼の光を浴びてスライム状になっている頭を切り替えた。
毎度の事思うのだがストラーフMk2型というのは本当に悪魔をモチーフにしているのかと開発者に問い質したくなる時がある。
それ程多く見たわけではないが、少なくとも黒野白太は自分が想像する悪魔のような性格のストラーフMk2型は見た事が無かった。
彼が連想する悪魔とは「僕と契約して魔法少女になってよ」と執拗にまで目標を追跡し目標を達しようとし『嘘を吐かない』性格。
そして今イシュタルは嘘を吐いている、所詮は神姫である彼女が悔しい等と言う高尚な感情を持ち得るなど在り得ないのだ。
その言葉はオーナーの為、その機体はオーナーの為、その思考はオーナーの為、その感情はオーナーの為。
彼女は『誇り高いストラーフMk2型として』黒野白太の感情を自分に近いものとする為に同調させるように煽っている。
それが黒野白のは神姫への愛の形でありそれを聞いた全国の神姫オーナーからは誇大妄想だと否定されそうではあるが、
「悔しくは無いさ。」
だからこそ彼はハッキリとイシュタルに対してノーと突きつけて、オーナーを思う神姫の気持ちを拒絶してやる。
「何故だ。君は何千と神姫バトルをし勝利と敗北を重ねてきた。今の実力はその積み重ねの結果だ。それを罵られるとは筋違いではないか。」
「問題は結果じゃなくて過程なんだよ。僕は策と運で勝ち続けている、それが卑怯と罵られているんだよ。」
「神姫バトルで策を練るのは間違いだと? そんなものは敗者の言い訳だ!」
「うん、それについては僕も同意だ。何でも正々堂々と解決しようとするのは間違っている。そもそも出来るわけがない。」
そんな事が出来るのはと言い掛けて、それを次いでしまえば秘めておきたい己の性癖を披露するのと同じだと思い出し、出掛けた言葉を呑み込む。
「でも『正々堂々』には肯定的な意味が含まれている。『正々堂々と戦う』と『卑怯に戦う』じゃどっちが良い事か一目瞭然だろ?
特に言葉を表面上の意味でしか取れない人間にその傾向が強い。その二つに大きな格差をつくって差別する。正々堂々は潔い、卑怯は汚いとね。」
「マスターは卑怯を美徳だと言うのか?」
「そこまで捻くれてはいないよ。僕も正々堂々と戦った方がいいと思ってる。」
「では何故っ。」
「仕方じゃないないか。仕方ないじゃないか。僕は主人公じゃなかった。才能があるわけでもなく、神姫バトルが強い友人がいるわけでもなく、実は有名人の家族だったと言う設定がある訳でもない。」
軟弱な発言にイシュタルは今まで以上の憤怒を見せる、いや所詮は神姫である彼女がオーナーに怒りを持てるはずがない。
そこにあるのは誇り高いストラーフMk2型としてマスターの軟弱性を叩き直そうとする善意である、それが黒野白太は嬉しかった。
優しく空気の読めるアーンヴァル型のように『同情なんてされてしまったら』余計に惨めになっていただけだから。
危うく素に戻ってイシュタルに感謝の言葉を述べそうになってしまい「男のツンデレキモチワルイ。」と魔法の呪文を唱える事で何とか自重する。
「まぁ、でも、それでも、僕は勝ちたいんだよ。道化でも。小悪党でも。胸を張って、ね。」
言い切った途端に掌を返したようにそれまでシリアスな顔(をしていた黒野白太本人は思っている)を思い切り崩す。
「才能がなんだ。誇りがなんだ。正々堂々がなんだ。勝負にそんなもの必要無い。多い方がいい、ってだけだ。
大根も斬れない『刃毀れ(ソードブレイカー)』? 斬れないのなら叩いてやる。思いつく限りの悪行をやってやるよ。」
その弁にはどこか熱の入っており、神姫バトルで策を思いつき行動する時の様に、嬉々として語っている。
その弁を聞いたイシュタルどうして自分のマスターが強いのかその理由が理解出来た。
黒野白太は自分をやられ役と表現したがそれは間違いで彼もまた主人公なのだ。
才能がないだけ、神姫バトルが強い友人がいないだけ、実は有名人の家族だったと言う設定がないだけの主人公。
努力をしてもまだ足りなかった、だから策と天運に自分を懸けた、それで勝ち続ける事が出来た主人公。
そして―――これはちょっとした悪戯心で、答えは分かり切っているのだが、それでも敢えて彼女は自分のマスターに尋ねてみる。
「…もしも、だ。」
「ん?」
「もしも策と運でも神姫バトルに勝てなかった場合、マスターはどうしていたんだ?」
「そーだね。その時は神姫の装備とかを造る技術者を目指していたと思うよ。」
そして、どうしようもない神姫馬鹿だったのだ。
「しかし、そういう主義なら、ストラーフ型ではなくジルリバーズ型の方が相方として相応しいんじゃないのか?」
「何を言っているの。僕は一目見た時からストラーフ型一筋だったよ。ストラーフ型こそ至高、ストラーフ型以外考えられません。」
「マ、マスター……。」
「何せ褐色だからね褐色。ナース服の白がよく映える!」
「 」
そして、どうしようもないナース服フェチだった。
『刃毀れ(ソードブレイカー)』。関東地区で名の知れた神姫プレイヤーである黒野白太が何時からか誰からかに付けられた渾名である。
その渾名の由来は彼が神姫バトルに置いて先ず第一に『相手の武器を壊す事』を目標とした戦法に依るものだろう。彼に破壊された武器は百以上と言われており『刃毀れ(ソードブレイカー)』の渾名は的確に黒野白太の戦法を現わしている。
一方で『刃毀れ(ソードブレイカー)』にはもう一つの由来がありこちらは主に彼を嫌う神姫プレイヤーの中で有力となっている。黒野白太は他人を煽る事が趣味である性格の持ち主であると黒野白太自身が認めている。彼が武器を破壊するのは『相手の武器を全て破壊した上で降参を促す』という騎士道精神に基くものでは無く『神姫バトルにおいて如何に相手に屈辱を与えるか』を考えた末に思い付いた案が『相手の武器を壊す事』であった。神姫バトルに誇りを抱くオーナーや神姫、特にストラーフMk2型の眼の前で武器を壊し踏み躙ってやると激昂する場合が多いので、相手の戦力を削ぎ且つ冷静な判断力を失わせさらに自分自身も楽しいから一石三鳥であると黒野白太自身が語っている。
神姫バトルを嘲笑う道化、誇りを汚す恥知らずな卑怯者、小悪党の中の小悪党。そう言った侮蔑を含め黒野白太は物を切れぬ鈍であると言う意味を込めて『刃毀れ(ソードブレイカー)』と呼ばれている。
…。
…。
…。
「酷い言われ様だな。」
「事実だしね。」
神姫バトル情報誌で有力な神姫プレイヤーを紹介するページを読んでいたストラーフMk2型神姫イシュタルは憤っているように見えた。その憤りは自分のマスターを乏しめる記事から由来しているのか、それとも自分については何も記述されない事から由来しているのか。多分、両方なんだろうなと黒野白太はイシュタルを眺めつつ牛乳パックにストローを刺し込んでチュウチュウと牛乳を飲み始める。
やっぱり牛乳は小さな紙パックにストローを刺すか瓶で直に飲むのに限る、家の冷蔵庫に入っているような大きめの紙パックでは駄目なんだよ。等と自分がコーヒーや栄養ドリンクやフルーツジュースや野菜ジュースを嫌う言い訳を誰に語る訳もなくしていると遠くから、体育系の同級生が同胞に自分の言葉を伝える狼の遠吠えのように、他の男子生徒達に何か指示を出している大きな声が聞こえてきた。その声に懐かしさを思い出しながらも気付けば紙パックの中の牛乳が半分以上無くなっている事に気付いて慌てて口を離した。危ない危ない、飲み物の半分は食事の〆に取っておくものなんだと、とまた誰に聞かせる訳でもないのに自分流(アウトロー)を語り出す黒野白太。
そんなマスターの独り言を購入された時から聞かされて慣れてしまっているイシュタルは全てスルーして情報誌を突きつける。
「マスターは悔しくは無いのか?」
「何が?」
「決まっているだろう。道化と、卑怯者と、小悪党と罵られて、悔しくは無いのか? あたしは悔しいぞ!」
憤っているように見えるを訂正し憤っているイシュタルに黒野白太は昼の光を浴びてスライム状になっている頭を切り替えた。毎度の事思うのだがストラーフMk2型というのは本当に悪魔をモチーフにしているのかと開発者に問い質したくなる時がある。それ程多く見たわけではないが、少なくとも黒野白太は自分が想像する悪魔のような性格のストラーフMk2型は見た事が無かった。彼が連想する悪魔とは「僕と契約して魔法少女になってよ」と執拗にまで目標を追跡し目標を達しようとし『嘘を吐かない』性格。そして今イシュタルは嘘を吐いている、所詮は神姫である彼女が悔しい等と言う高尚な感情を持ち得るなど在り得ないのだ。その言葉はオーナーの為、その機体はオーナーの為、その思考はオーナーの為、その感情はオーナーの為。彼女は『誇り高いストラーフMk2型として』黒野白太の感情を自分に近いものとする為に同調させるように煽っている。それが黒野白のは神姫への愛の形でありそれを聞いた全国の神姫オーナーからは誇大妄想だと否定されそうではあるが、
「悔しくは無いさ。」
だからこそ彼はハッキリとイシュタルに対してノーと突きつけて、オーナーを思う神姫の気持ちを拒絶してやる。
「何故だ。君は何千と神姫バトルをし勝利と敗北を重ねてきた。今の実力はその積み重ねの結果だ。それを罵られるとは筋違いではないか。」
「問題は結果じゃなくて過程なんだよ。僕は策と運で勝ち続けている、それが卑怯と罵られているんだよ。」
「神姫バトルで策を練るのは間違いだと? そんなものは敗者の言い訳だ!」
「うん、それについては僕も同意だ。何でも正々堂々と解決しようとするのは間違っている。そもそも出来るわけがない。」
そんな事が出来るのはと言い掛けて、それを次いでしまえば秘めておきたい己の性癖を披露するのと同じだと思い出し、出掛けた言葉を呑み込む。
「でも『正々堂々』には肯定的な意味が含まれている。『正々堂々と戦う』と『卑怯に戦う』じゃどっちが良い事か一目瞭然だろ?
特に言葉を表面上の意味でしか取れない人間にその傾向が強い。その二つに大きな格差をつくって差別する。正々堂々は潔い、卑怯は汚いとね。」
「マスターは卑怯を美徳だと言うのか?」
「そこまで捻くれてはいないよ。僕も正々堂々と戦った方がいいと思ってる。」
「では何故っ。」
「仕方じゃないないか。仕方ないじゃないか。僕は主人公じゃなかった。才能があるわけでもなく、神姫バトルが強い友人がいるわけでもなく、実は有名人の家族だったと言う設定がある訳でもない。」
軟弱な発言にイシュタルは今まで以上の憤怒を見せる、いや所詮は神姫である彼女がオーナーに怒りを持てるはずがない。そこにあるのは誇り高いストラーフMk2型としてマスターの軟弱性を叩き直そうとする善意である、それが黒野白太は嬉しかった。優しく空気の読めるアーンヴァル型のように『同情なんてされてしまったら』余計に惨めになっていただけだから。危うく素に戻ってイシュタルに感謝の言葉を述べそうになってしまい「男のツンデレキモチワルイ。」と魔法の呪文を唱える事で何とか自重する。
「まぁ、でも、それでも、僕は勝ちたいんだよ。道化でも。小悪党でも。胸を張って、ね。」
言い切った途端に掌を返したようにそれまでシリアスな顔(をしていた黒野白太本人は思っている)を思い切り崩す。
「才能がなんだ。誇りがなんだ。正々堂々がなんだ。勝負にそんなもの必要無い。多い方がいい、ってだけだ。
大根も斬れない『刃毀れ(ソードブレイカー)』? 斬れないのなら叩いてやる。思いつく限りの悪行をやってやるよ。」
その弁にはどこか熱の入っており、神姫バトルで策を思いつき行動する時の様に、嬉々として語っている。その弁を聞いたイシュタルどうして自分のマスターが強いのかその理由が理解出来た。
黒野白太は自分をやられ役と表現したがそれは間違いで彼もまた主人公なのだ。才能がないだけ、神姫バトルが強い友人がいないだけ、実は有名人の家族だったと言う設定がないだけの主人公。努力をしてもまだ足りなかった、だから策と天運に自分を懸けた、それで勝ち続ける事が出来た主人公。
そして―――これはちょっとした悪戯心で、答えは分かり切っているのだが、それでも敢えて彼女は自分のマスターに尋ねてみる。
「…もしも、だ。」
「ん?」
「もしも策と運でも神姫バトルに勝てなかった場合、マスターはどうしていたんだ?」
「そーだね。その時は神姫の装備とかを造る技術者を目指していたと思うよ。」
そして、どうしようもない神姫馬鹿だったのだ。
「しかし、そういう主義なら、ストラーフ型ではなくジルリバーズ型の方が相方として相応しいんじゃないのか?」
「何を言っているの。僕は一目見た時からストラーフ型一筋だったよ。ストラーフ型こそ至高、ストラーフ型以外考えられません。」
「マ、マスター……。」
「何せ褐色だからね褐色。ナース服の白がよく映える!」
「 」
そして、どうしようもないナース服フェチだった。
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