「ぼくとカイン」(2012/01/12 (木) 01:26:45) の最新版変更点
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―――――2038年、8月31日―――――
……ぼくは、とぼとぼと帰り道を歩いていた
「元気出してください、殿。ほら、明日から学校ですよ、ね?」
ぼくの肩の上に乗って、そこから優しい声をかけてくれるのは、ぼくの大切なパートナーの『あかね』
『紅緒』という、サムライをモチーフにした武装神姫だ
「それに、他の店ならばまだあるかもしれないではありませんか」
「……そうは言っても……」
ぼくの元気が無い理由……それは今朝、あかねの鎧を壊してしまったから
それで、買い直そうと何件かのホビーショップを回ったんだけど、なぜか紅緒のだけは在庫切ればかり
『そもそも売れ筋ではないから、最初から少なく発注する』そうで、買う人が五人もいれば売り切れになってしまうんだそうだ
『ここならあるかも』と言われて紹介してもらった場所は、なにやら大きな事件があったらしく休業中
入り口に張られた黄色いテープには大きく「KEEP OUT」と書かれていて
辺りには無数の機械……たぶん神姫だと思う……の壊れたパーツが散乱していた
それなりに大きなそのビルの窓ガラスはいくつか割れていて、辺りを警察の人がせわしなく走り回っていた
近くにいた人に、ここは何と言う名前の会社なのかと尋ねてみると、さっきのホビーショップで教えてもらった、ぼくの目的地だった
……まったく、ついてないよ……
明日から二学期が始まるから、学校の帰り道に友達とゲーセンに寄ろうと思ってたのになぁ……
「えぇと……鎧が無くても戦えます!!」
さすがに無茶だから、それ……
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「…………殿! 殿! そこに何かがあります!!」
帰り道の途中、あかねが道端で何かを見つけたみたいだ
「ほら、その電柱の影に!」
あかねにいわれるまま視線を向けると、そこには小さな人が倒れていた……というより、神姫が落ちていた
そのまわりには、その神姫のものと思われる武装が点々と散らばっている
「保護しなくては!!」
あかねは人一倍正義感がつよいから、こんなことを言い出したら止まらなくなる
ぼくはその神姫と武装パーツをひとつ残らず拾い上げると、バッグからハンカチをとりだして、やさしく包んでバッグに入れた
「さぁ殿! 早く父上殿にお見せして、助けて差し上げなくては!!」
ぼくたちは、さっきまでの意気消沈っぷりをきれいさっぱり忘れて、帰り道を駆け出した……
……これがぼくたちと、彼女……カインの出会いだった……
第一話「ぼくとカイン」
―――つづく―――
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