「樫坂家->始幕・3話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「樫坂家->始幕・3話」(2011/09/26 (月) 16:52:56) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
**樫坂家の事情! 始幕~過ぎたる夏、来る平凡で新鮮な日々~
----
「あ………その、どぞ…」
「え、あー、どうも」
8月26日、火曜日、夕方、フェザー手前。ゴスロリ少女を見つける。
そして入口であたふたしてるのを見てたら目があった。
だってフェザーの入口狭いから横通るのが憚られたんだ…すっごい浮いてたし。
とりあえずどいてくれたのでフェザーに入る事にする。
………何だったんだろう、今の。
「っと………うわ、今日人居ねえ…」
明らかに筐体が余ってた。ちらっと周りを見てみれば4~5人しかマスターが居なかった。
まぁ、平日だしこんなものかと思う。学生ならまだ帰って無くても良い時間帯だし、これから増えてくるか。
「まぁ、人は居るし待ってれば来るだろうな」
「………へいじつなのにがっこうからすぐ来るますたーって、なんかふりょうだとおもうんだ」
「人聞きの悪い……けど、はっきり反論できないな…」
なんか最近8時とかまで居たからなぁ………人によってはそう見えるかとは思う。
「だけど顧みない。とりあえず今日も始めるか」
「「「「「「おー」」」」」………なのです」
===第3話===
「前方右側、イーゲル掃射。出てきたらショットガン」
「…了解」
と、返事をしたがキュリアはその言葉よりも前にガトリング・アイゼンイーゲルを撃ちながら横薙ぎに払う。
幾つかのコンテナに穴があき、一つの影が現れる。
その影にすぐさまM49ショットガンが撃ち込むが、また別のコンテナに滑り込まれる。
「メラル。すぐにショットガン」
戦車型のリアパーツ、その副腕の右肩に装着された3.5mm主砲状態のインターメラルを影が居るであろうコンテナに撃ち込むが、その直前に飛び出される。
次いでマシンガンがキュリアに襲いかかるが、副腕左腕に装着した装甲板を盾にして凌ぐ。その間にまた影はコンテナに入り込む。
「………ジリ貧だな」
「………マスター、そろそろ尽きる」
開幕からしばらく、ずっとこの状態だった。
フィールドは工場。相手はヴァッフェバニー。アーマー関連も純正で、確認した装備はマシンガンとハンドガンのみ。
こちらはキュリアで装備は戦車型のリアパーツ。副腕右肩にインターメラル、副腕左腕にはアイゼンイーゲル。本体にはショットガンで腰には連射の効くM7メルテューラー速射拳銃をホルダーで所持。
サイドにはシェルブレイクがある。
手数的には、多分こっちが有利。ただ、工場なのでフィールド的には相手が有利だとは思う。
そのうえ、さっきから一定の距離から近づいてこない。コンテナを利用して近づいてきたかと思えば離れていく。こっちはあまり近づけさせたくないから撃ちまくる。
つまるところの消耗戦。
どうしたものか…
「…尽きた」
「破棄。近くのコンテナに移動」
と、考えている間にもイーゲルが弾切れ。破棄させて近くのコンテナに向かわせる。
「…っ」
「やっぱり狙ってたか…ショットガン牽制」
が、その時コンテナに隠れていたヴァッフェバニーが姿を現してマシンガンで攻撃してきた。
近づく上で厄介なガトリングを破棄するのを待っていたらしい。
が、これでよくも悪くも動く。
「…着いた」
「インターメラル。目の前の吹っ飛ばせ」
直後、コンテナが至近距離からインターメラルを撃たれて吹っ飛びヴァッフェバニーに飛んでいった。
「ショットガン撃って今度は前方右側、奴の近くのコンテナにメラル」
手短に、最低限に指示を出して次の一手を考える。
キュリアも理解して、いきなり飛んできたコンテナを回避したヴァッフェバニーを撃ちつつ、その進行方向にあったコンテナにインターメラルを放つ。
「…残り2発」
「…賭けるか……残り2発、直接狙う。駄目だったら破棄」
モニター越しに、コクっと頷くのが見えた途端、インターメラルを1発、別のコンテナに向かっていた相手に向かって放つ…………外した。
返しにとマシンガンが来るがこれは副腕でガードしている。
と、その瞬間にもう1発。今度はかなり至近距離に撃ったがこれもギリギリかわされた。
「破棄。シェルブレイク転送する」
「…うん」
キュリアの手元にシェルブレイク・パイルバンカーを転送。かなり距離を詰められていた。
これは接近戦かな…
ゴトンと、インターメラルを副腕肩から外したキュリアはショットガンで牽制をしている。
「仕方ないか…接近戦仕掛ける。詰めるぞ」
「…了解」
見る間にも距離は縮まり、あと少しで接近戦の範囲だった。
「ショットガン破棄、メルテューラー。チャンスがあれば副腕で押さえつけろ」
近距離からマシンガンで突撃してくるヴァッフェバニーに対し、取り回しのいいハンドガンに切り替えて対応させる。
「………くっ」
「隙あり、ですね」
至近距離、張り付いて懐に潜り込もうとする相手に対して、副腕で殴りかかるが避けられ逆にマシンガンを叩き込まれる。
そろそろ副腕が持たないな…装甲板も限界か…
メルテューラーと副腕で懐に入り込まれそうな所を引き剥がしたけど、そこで更にキュリアのダメージは溜まっていった。
そしてまたマシンガンを撃って離れたかと思えば張り付く。軽装でフットワークの軽さを活かした戦術か………これは、消耗戦に付き合った時点で駄目だったかな…?
いや、これは後回しだ。
「キュリア、次張り付いたらリア破棄して身軽になれ!シェルブレイクさえ当てればまだ何とかなる」
「…わかった!」
再び零距離、一気に潜り込もうとした所でゴトンと重そうな音を立ててキュリアがリアを破棄。
そのまま真正面から相手にシェルブレイクを突き立てて………
 ̄ ̄――__―― ̄ ̄――__
「………ごめん、なさい」
「いや、謝るなって、な?」
「………うん…」
休憩スペースのテーブルの上で落ち込んでいるキュリアを撫でてやる。
いつもは堅苦しい口調なのだけど、何かあると弱気になってしまうキュリアはこうしてやらないといつまでも気にしてしまうからな…
結局、あのあと負けてしまった。シェルブレイクを避けられて左手のナイフでグサリとやられてしまったのだった。
というかそもそも、俺の指示ミスもあると思う。間違い無く。それと半端な装備構成か…
「確かに、今のキュリアの装備ではある程度仕方ない気もしますわね」
「うーん……寄せ付けない程の火力をつけるか、それとも近接の対処方法をつけるか、か」
前者なら、考えとしてはアイゼンイーゲルとインターメラルをもう1つずつ増やして、足を換装するという物を考えている。
後者なら、ナイフやハンドガン、長柄の武器を持たせようと思っている。それに、あの副腕はそれ自体が武器にもなるからこっちも活かしたい。
ただ、キュリアの得手不得手を見る限り、重火器を使わせた方が活かしやすいというのが実感だ。
それに、欲張れば両立出来ない事は無い。重量は凄まじい事になりそうだが。
「とりあえず、今度パーツ買ってくるか」
「………はい…」
「ん…気にすんなって、ほら」
「…ぁ」
「くーにもしてほしいなぁ」
「ずるいのです、私にもしてほしいのです!」
「…お前らなぁ;」
仕方ないのでせがむ二人も撫でてやる。
………甘いなぁ俺も。
「まぁそこがマスターのいい所なんですけどね」
「確かにね」
「……さっきは流したけど、お前ら人の心を読むなよ…」
「ますたーはひとりごとで出てるんだよ?」
「もっと言えば集中してる時ほど独り言が激しくなっていますわね」
「…マジで?」
「マジなのです。戦ってる時もよく聞こえてくるのです」
「…気をつけようかな」
するのは自分でも分かっては居たけど、まさかそんなに激しかったとは思わなかった。
「うーん…」
「お、脩くんじゃないか」
でも、気を付けてたら集中出来ないだろうなぁとか考えていたら、声をかけられた。
声の方を向くと、眼鏡を掛けた柔和そうな男の人が一人。
というか、奥道 将さん。色々と世話になった人だった。
「奥道さんどうも」
「相変わらず難しそうな顔をしてるねぇ」
「そうですか?」
「そうですね、脩さんはいつも小難しそうッす」
「ジュリーまで言うか」
そして、奥道さんの服の胸ポケットには砲台型神姫のジュリーが居た。
ペイントは普通と変わらなく、いつものフォートブラッグ装備のヘルメットを付けていた。
こっちももう顔馴染みとなった神姫である。
「でもマスターが難しい顔するのはいつもの事なんですけどねー」
「あれこれと、いつも深く考え込んでしまっていますわね」
「ふむ…」
「………今みたいに」
「ん?」
自覚ないんだが;
これでも結構普通にしてる方なんだけどなぁ…
「そこまでか?」
「そこまでなのです!」
「そこまで、ね」
マジか…;
「しかし、なんというか脩君は大人びてると言うか、高校生にはあまり見えないなぁ」
「あー…多分、2年くらいほとんど一人で暮らしてたからかな?親はどっちも仕事の関係で家に居なかったし」
「なんて言うか、大変なんだね」
「いえいえ、生活には苦労してませんし、やってみれば意外とどうにかなりましたよ。料理とか裁縫とかも一応出来ますし」
「器用なんだねぇ」
「そういえば隊長は機械には強いけど料理はからっきしっすよね」
「ジュリー、あんまり人の恥を言わないでほしいな;」
「すみませんっす…ていっ」
胸ポケットから頭だけ出してたジュリーが掛け声とともにテーブルに飛び降りて、キュリアの隣にすたっと着地した。
「ん~、みなさんいつも通りですねぇ。キュリアさんも元気そうでなによりっす」
「………まぁ、な」
「あ、きゅりあが元にもどった」
「良かったのです。でもさっきのキュリアさんは可愛かったのです!」
「………ぁぅ」
「んん?なにか面白そうな臭いがするっす」
「落ちこんでてすごくしゅんとしてたんだよ~」
「くー、あまりそういう事は話さない物ですわよ?」<
「いたっ…むぅ、ごめんなさい」
「あ~、なんか申し訳ないっす…」
「………気にして無い」
「うーん………でも、そろそろなんとかしないとなぁ…」
一連の会話を聞いていた俺は、再び考え始める。
実を言えば、6人の中で一番勝率が悪いのはキュリアだ。
ユイナは全てそつなくこなせてるし、シェラとフィーそれぞれは戦術が確立してきている。
くーは俺が手を出すまでも無く既に出来上がっている。
リムは………まだまだ発展途上だけども、それでもキュリアよりは良い。
何が問題なのか………いや、やっぱり装備が中途半端なのだろうか?
「うーん…」
「何か考え事かな?」
「あー、まぁ、少し戦術を…」
「熱心だね~…その様子だと、大会にも出るのかな?」
ん?大会?
「大会って、何かあるんですか?」
「あれ?知らなかったのかな?」
「あー、はい」
「結構有名なんだけどなぁ、ここの神姫センターでやってる定期大会は」
「…マスター、神姫センターに一度でも入ったことあったっけ?」
「……いや、無い」
「普通は、一回は行くものだとあたしは思うんですけど;」
「なんか、別にいいかなーって思ってたんだよ…」
絶対目立つし。それになーんか入りづらいというか、空気が違うというか…
まぁいいや、それよりも、
「大会って、どんな感じなんですか?」
「そうだなぁ…まず毎年4回、3月から3ヶ月毎に開催されて、形式は最大64人、AとBの二つに分かれてトーナメント式で行われるんだ」
「64人……結構規模があるような、そうでないような…」
「まぁ、ここは周りからしたら微妙な規模の小さい市だからね……それでも色んな所から人が集まってくるんだよ。バトルにも観戦にもね」
「小さいのにですか?」
「小さい割に、ここら辺のレベルが高いからなんだよね……公式戦に出てるのは少ないけど、出たらセカンドリーグでも戦っていけるレベルは間違いなく居るって育斗が言ってたし」
「萩河さんがですか」
萩河 育斗さん。今話してる奥道さんとは小学校からの付き合いで、今は奥道さんと同じ大学に通ってる大学生だ。
いつもムスッとしてるけど、根は良いらしい。それに、キュリアを率先して修理したのもこの人だと聞いた。
「あ、そういえば、凄い後輩が居るって言ってたなぁ。僕と育斗は高校だけ違うから詳しくはしらないけどね」
「へ~…あれ?萩河さんと奥道さんってどこの高校なんです?」
「僕は両親の関係で、ここから新幹線で5時間くらい離れた町にいたんだけど育斗は確か緑木通りの高校だったかなぁ」
「あー…先輩って訳か」
「ん?あぁ、脩君も緑木の高校だったのか…って、考えてみれば何か無い限り、ここら辺の学生は緑木か;」
「そうですね…でも、俺はあんまり詳しく無いからなぁ、他の人の事とか」
そういう情報はあんまり興味が無いからなぁ、自分で言うのもアレだけど。
昔からどこどこの誰々がなんちゃらって会話にはついていけないし。
「なら、なおさら大会に出たらどうかな?僕も詳しくは無いけど、こういう大会は経験にもいいし勉強にもなるからね」
「うーん…いつですか?大会って」
「9月7日、日曜日だね。センターが開くのは9時からで、エントリーは9時30から10時30分になるか全部埋まるまでだね。でもすぐ埋まるから参加するなら早く行った方が良いよ」
「日曜かぁ………」
どうするかなぁ。
騒いでるのは、見るのは好きだけど参加するのはちょっと…
だけど、試しに出てみたい気はする。せっかくだし。
「まぁ、いい経験にはなるよきっと。ここら辺の腕に覚えのあるマスターは参加しようとするし、腕試しにも良いからね…僕は6月の大会で初戦敗退したけど」
「でもアレは惜しかったっす…もう少し弾が残ってれば勝てたっす!」
「だよなぁ…まぁ今言っても仕方ないよ。結局次に来てたのは優勝候補だったんだし」
「…とことん運が無かったっす……」
「なんというか、御愁傷様です」
「あ~…まぁ、出るんなら常に格上相手にする気持ちじゃないと駄目だから、さ」
「聞いてて怖くなったけど出るなら頑張ってみますよ…」
実際、2回戦目で優勝候補は笑えないよなぁ。
せめて3回戦目くらいなら…いややっぱ嫌だな。
…というか出る事決定してないかこれ?
「あ、ちなみに出せる神姫は1人だけだからね」
「やっぱりですか」
まぁ、あたり前か。
しかし、となると問題は…
「どうするかなぁ…」
「…どうする?」
「どうするのです?」
「どーするのかな?」
「ん…どうなされるのです?」
「………え?……どう、する?」
「どうします~?」
「お前ら絶対わざとだろ。後キュリアは無理に合わせなくてもいいんだからな」
無駄に連携良いよなぁ本当に。
……とりあえず、本当にどうするかなぁ。
つ づ く !
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: