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**第2部 「ミッドナイトブルー」
第8話 「night-8」
重巡洋戦艦型神姫のマキシマとヴィクトリアは強力な艦砲射撃をヨタヨタと飛ぶシュヴァル目掛けて行う。
レーザー砲弾の雨が何百本と連なってシュヴァルを襲う。
夜神「シュヴァル!遮光板を展開、急速離脱ッ!!!」
シュヴァルはバイザーの遮光板を切替えて視界をすばやく回復するとエンジンを全速にして砲撃の雨を切り抜けようとする。
ズンズウウン!!ドンドドドドンッ!!!
シュヴァルは水面スレスレに飛んで砲撃をたくみに回避する。マキシマとヴィクトリアの放った砲弾が水面を吹き飛ばし、高い水柱を上げる。ミサイルの破片がビシバシとシュヴァルのボディに当たる。
シュヴァル「ぐうァ!!!」
シュヴァルは初めて被弾し燃料タンクに穴が空いたようで煙を吹いている。
後方に下がって砲撃の着弾を見守る空母型のツラギ。
ツラギ「おおお!!当たったぞ!」
金川「ははは、奴め、煙を吹いておるぞォ!!」
甲板にいる砲台型のルーシと悪魔型のニパラが武器を振り回して興奮して叫んでいる。
ルーシ「いいぞ!!ヤッチマエ!!!」
ニパラ「殺せェ殺せェ!!!」
双眼鏡で確認を取るナターリャは勝利を確信した。
ナターリャ「ふん、真っ暗闇では遅れを取ったが、この昼間のような明るさでは、奴もたちうちできまい!こちらには2隻のSS級の重巡洋戦艦型神姫が健在だ」
夜神「シュヴァル!不利すぎる!スタジアムから脱出を・・・」
シュヴァル「りょ、了解!」
シュヴァルは高度を上げて重巡洋戦艦型神姫からの攻撃を逃れようとするが、キラキラと上空から射撃が襲う。
ドオドドドドオドドドン!!
シュヴァル「上空に敵機!」
夜神「ッチイイ!!」
5機ほどの航空神姫が機関砲を撃ちながらシュヴァルに襲いかかって来た。
アオイ「逃がさないぜェ!!」
ツクヨミ「回り込め!退路を断つんだ」
フェリア「アネット、奴の退路を塞ぐだけでいい、追い込め」
アベット「了解、了解―」
マレズ「オラオラッ!!!さっきまでの威勢はどーしたァ!!!夜帝!!!」
2機の戦闘機型とステルス戦闘機型、重武装の戦闘爆撃機型がシュヴァルを取り囲む。
シュヴァル「くっ・・・」
シュヴァルは顔を苦痛に歪ませて機関砲を撃つが、機動性の高いアスカ型は軽く攻撃を回避する。
アオイ「当たるかよ!」
マレズ「オラッ!!たっぷりと喰らえッ!!!」
マレズがミサイルをリアパーツから連続で発射する。
夜神「シュヴァル!!ミサイルだ!!回避!!!」
シュヴァルはチャフフレアを放出してミサイルを誘導して回避する。
ゴロンゴロンゴロン・・・
シュヴァル「しまったッ!!!」
低いエンジン音を鳴らして重巡洋戦艦型MMSのヴィクトリアがシュヴァルの前面に現れる。
野木「敵、MMSを捕捉!当てろよ!ヴィクトリア」
ヴィクトリア「撃ち方――はじめ!」
ゴウウウウン・・・
一列にずらっと並んだ大小さまざまなレーザー砲の砲塔がゆっくりと旋回し、シュヴァルに狙いをつける。
夜神「ぐ・・・・」
ここまでかと、夜神はあきらめかけたが、シュヴァルの前方にある電源ボックスを見て考えを切替える。
夜神「!!シュヴァル全速前進!!」
シュヴァルはスラスターを思いっきり吹かし、電源ボックスの前に立ちはだかる。
ナターリャ「ヴィクトリア!!全砲門一斉発射!!撃て!!」
ドシュドシュ!!ビシュビシューーーム!!
ヴィクトリアの火砲が一斉に火を放つ。
夜神「シュヴァル!急速旋回!」
シュヴァルは瞬時に巡航モードに変形すると全速力で砲撃を回避する。
ヴィクトリアの放ったレーザー砲弾はシュヴァルの後方のスタジアムの電源ボックスに命中する。
ドゴオオオオンン!!
すさまじい爆音が響くと同時に、ブッツウン・・・とスタジアムの照明が切れる。
ナターリャ「むう」
野木「し、しまった!電源ボックスに流れ弾がァ・・・・」
スタジアムはまた、漆黒の暗闇に戻る。
ヴィクトリア「敵機、ロスト、レーダーに反応無し」
アオイ「な、なにやってんだ!!」
マレズ「はやく電源をつけろ!」
バチバチっと電源ボックスがヴィクトリアの艦砲射撃をモロに喰らい、火花を散らしてショートしている。
ナターリャはニヤニヤと笑う。
ナターリャ「なるほどなるほど、やるではないか!戦艦型の砲撃を利用して電源ボックスを吹き飛ばすとは!!!一本やられたな・・・」
空母型のツラギが冗談ではないといった顔で捲くし立てる。
ツラギ「関心している場合か!!ナターリャ殿!どーするつもりだ!」
ナターリャ「・・・敵はさきほどの攻撃で損傷を負っている。むちゃな機動は出来ないはずだ。また奴のステルス性能も落ちている・・・すべて計算どおりだ。マキシマ、対空戦闘用意」
マキシマ「了解」
重巡洋戦艦型MMSのマキシマは砲塔を360度、いつでも砲撃できるように準備する。
アオイ「はっ!!死にぞこないが!!俺がトドメを刺してやる」
アオイが機関砲を構える。
ツクヨミ「・・・・レーダーに反応!」
ツクヨミのウサギ耳がピクピクと動く。
ツクヨミ「4時の方向!!」
チカチカと青白い光がツクヨミが叫ぶとほぼ同時に瞬く。
アオイとツクヨミはさっと攻撃を回避する。シュヴァルがギュンと勢いよく、アオイとツクヨミのすぐそばを通り過ぎる。
アオイ「はっはは!さっきに比べて攻撃にキレがねえぜ!」
ツクヨミ「弱っている証拠だ!仕留めるぞ!」
アオイとツクヨミがシュヴァルを追いかける。
夜神「くッ・・・シュヴァル!状況報告!」
シュヴァルが夜神のいる筐体にデータを転送する。
シュヴァル「敵は残り、空母1隻、重巡洋戦艦2隻、航空MMSが5機です。どれもベテランぞろいですね」
夜神「オマエの損傷は?」
シュヴァル「さきほどの戦艦型の砲撃で、右舷スタビライザーの一部が破損、燃料タンク3番が破損、レーダーにノイズが走っていて使用不能・・・大型対艦ミサイルは残り3発!」
夜神「上出来だ。あの強烈な砲撃の中、よくその程度の損傷で済ませたな・・・さすがだ」
シュヴァル「後方にアスカ型2機、追撃中してきます。ステルス戦闘機型2機は不明、戦闘爆撃機型もどこにいるのか分かりません」
夜神「・・・手ごわいな、やけに統制が取れているな」これは私の勘ですが・・・あの航空母艦型MMSの中に将校型MMSがいるな」
シュヴァル「将校型・・・」
夜神「この配置を見てみるとだ、重巡洋戦艦型MMSのうち、1隻は空母型の真横に張り付いている・・・全体の配置も空母型を守る用にだ・・・艦載機がいない今、空母型を護衛する義理はないはずだ・・・となると中には空母型を護衛しなきゃならないほどの大事なお客さんがいるという考えになるはずだ・・・」
シュヴァル「ということは!空母型を撃沈すれば!!」
夜神「・・・ああ、だがこれは罠だ。空母型をシュヴァルが攻撃しようとすると進出してきているもう1隻の重巡洋戦艦型がフタをするような形になって・・・シュヴァルは2隻の戦艦型に挟み撃ちにされて袋叩きにあうわけだ。そして上に逃げようとすると、現在雲隠れしているステルス戦闘機型と戦闘爆撃型が上空で待ち構えているという戦法だ・・・」
シュヴァル「ネズミ捕りですね」
夜神「SSS級の俺たちをここまでコケにしたような戦法をする神姫は、同じSSS級以外、他にない!そして・・・こんな廻りくどい戦法を考える将校型神姫といえば・・・」
シュヴァル「将校型MMS『ナターリャ』 SSSランク「演算」ですね」
夜神「ああ、奴ならスタジアムの照明にハッキングして電灯をつけることなんて簡単なことだ。イカレてやがる」
シュヴァル「どうも今宵の敵は様子がおかしいと思ったらそういうことでしたか・・・・」
夜神「さて・・・どうする?後ろからはアスカ型がオマエを追い立てている。奴らはもうオマエを捕捉している。機動性に優れたベテランのアスカ型2機を相手に戦うのは現状ではムリだ」
シュヴァル「なら道は一つ・・・」
夜神「あえて、敵の罠にはまり、空母型を撃沈する」
シュヴァル「いいでしょう。ミサイルの残弾は3発!それでいけます」
夜神「・・・・サレンダーして両手を挙げるって選択肢もあるんだぜ?」
シュヴァル「弾が残っているのに逃げろとは、私は教えられたことはありません」
夜神「ふっ・・・そうだったな」
ツラギの艦内でナターリャがレーダーの光点を見つめる。
ナターリャ「チェックメイトだな、夜帝!!!」
野木が筐体の画面を見つめる。
野木「ふむ」
ナターリャ「見たまえ!この配置を!」
ナターリャはタッチペンでそれぞれの配置を示す。
▽▽
□
▼
▽
▽ ▽
□
□
ナターリャ「敵がとるべき道は一つしかない!このまままっすぐに私のいる空母型MMS「ツラギ」を攻撃するしか手はないのだ!奴がクイーンなら私はキングだ!だが、キングを取るためには、ルーク(戦艦型MMS)とビショップ(ステルス戦闘機型)、そしてナイトの追撃(戦闘機型)をかわさなければならない!!」
ナターリャは興奮して喋る。
ナターリャ「奴がどのような動きをしようと、キングを取ることは不可能だ!ふふふ・・・・すでにこのゲームは詰んでいるのだよ!」
野木「・・・・・」
ナターリャは自慢のAIで弾き出した演算でシュヴァルのありとあらゆる状況をシュミレートし緻密な作戦を立てた。完璧だった、どう考えてもシュヴァルに勝機はない。
ナターリャ「ふふふ・・・あっははっははは!!!なにが『夜帝』だ!!大げさな伝説もここまでだ!!!この私、『演算』の前にはどのような神姫であろうと勝利することは不可能なのだ!!!!!!」
野木「・・・・あんた・・・私のヴィクトリアがわざと電源ボックスを攻撃するように仕向けたね」
重巡洋戦艦型MMSのヴィクトリアはすました顔をしている。
ヴィクトリア「・・・・」
ナターリャ「・・・ああ、そうだ・・・奴を追い込むためにな!奴にわざとチャンスを作ってやったのさ・・・どの道、奴は電源ボックスに気がついて攻撃するつもりだっただろう。あえてわざと誤爆させて先手を打ってやったのさ・・・そのほうがより奴に絶望を与えられる!!すべてはこの私の手の平の中でしか踊っているしかないことを・・・死の間際に思い出させるためにな!!!」
野木「・・・ずいぶんと廻りくどいやり方じゃないか、普通にさっきの明るい状況で戦ったほうがやりやすいのじゃないか?」
ナターリャは肩をすくめる。
ナターリャ「やれやれ・・・貴方は何も分かっていない・・・奴の二つ名はなんだ?『夜帝』だ!!夜間戦闘で最強の武装神姫は?と答えれば誰もが奴だとほざく!!!奴を暗闇の中で倒してこそ、はじめて奴を倒したと言えるものだ。それに・・・この暗闇の状況、奴にとって不利だ。奴のレーダーは損傷している。つまり奴もこの状況では駒の動きが把握できていない。これはチェスなんだよ、暗闇、ミッドナイトブルーの中で行うチェスゲームだ」
野木「ふっ・・・そうきたか」
ナターリャ「チェスなら私の領分だ!!!誰にも負けない!!」
そうナターリャが叫んだとたん、激しい光の瞬きが暗闇を照らす。
ヴィクトリアが夜帝を捕捉したようで艦砲射撃を加えている。追い込まれたシュヴァルがまっすぐこっちに向かってくる。
ナターリャ「ふっ・・・やはり来たな・・・・さあ、このゲームもそろそろお開きに「しようではないか!」
ツラギは艦橋からチカチカと発光信号を送る、
ツラギからの発光信号を受けてマキシマがエンジンをゆっくりと始動させてシュヴァルの前方に展開する。
マキシマ「こちらマキシマ、配置についた」
ナターリャ「よし、砲戦可能距離に入りしだい、後方のヴィクトリアと連携しシュヴァルを撃破せよ、敵が上方に逃げた場合は、ステルス戦闘機型と戦闘爆撃機型に任せろ。
マキシマ「アイアイサー」
マキシマは超遠距離から砲撃を開始する。
シュヴァル「熱源きます!!!前方の空母型の護衛についていた重巡洋戦艦型です!後方の重巡洋戦艦型が回り込みます!」
夜神「前門の虎、後門の狼といった所だな」
シュヴァル「足が速い重巡洋戦艦型を機動タイプの軽神姫のように扱うとはやりますね」
夜神「ようし・・・では手はずどおりにやろうではないか!!!最後の一航戦だ!!!スマートに決めるぞ!」
シュヴァル「イエス、マイマスター」
スピードを上げて突っ込むシュヴァル。
To be continued・・・・・・・・
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**第2部 「ミッドナイトブルー」
第8話 「night-8」
重巡洋戦艦型神姫のマキシマとヴィクトリアは強力な艦砲射撃をヨタヨタと飛ぶシュヴァル目掛けて行う。
レーザー砲弾の雨が何百本と連なってシュヴァルを襲う。
夜神「シュヴァル!遮光板を展開、急速離脱ッ!!!」
シュヴァルはバイザーの遮光板を切替えて視界をすばやく回復するとエンジンを全速にして砲撃の雨を切り抜けようとする。
ズンズウウン!!ドンドドドドンッ!!!
シュヴァルは水面スレスレに飛んで砲撃をたくみに回避する。マキシマとヴィクトリアの放った砲弾が水面を吹き飛ばし、高い水柱を上げる。ミサイルの破片がビシバシとシュヴァルのボディに当たる。
シュヴァル「ぐうァ!!!」
シュヴァルは初めて被弾し燃料タンクに穴が空いたようで煙を吹いている。
後方に下がって砲撃の着弾を見守る空母型のツラギ。
ツラギ「おおお!!当たったぞ!」
金川「ははは、奴め、煙を吹いておるぞォ!!」
甲板にいる砲台型のルーシと悪魔型のニパラが武器を振り回して興奮して叫んでいる。
ルーシ「いいぞ!!ヤッチマエ!!!」
ニパラ「殺せェ殺せェ!!!」
双眼鏡で確認を取るナターリャは勝利を確信した。
ナターリャ「ふん、真っ暗闇では遅れを取ったが、この昼間のような明るさでは、奴もたちうちできまい!こちらには2隻のSS級の重巡洋戦艦型神姫が健在だ」
夜神「シュヴァル!不利すぎる!スタジアムから脱出を・・・」
シュヴァル「りょ、了解!」
シュヴァルは高度を上げて重巡洋戦艦型神姫からの攻撃を逃れようとするが、キラキラと上空から射撃が襲う。
ドオドドドドオドドドン!!
シュヴァル「上空に敵機!」
夜神「ッチイイ!!」
5機ほどの航空神姫が機関砲を撃ちながらシュヴァルに襲いかかって来た。
アオイ「逃がさないぜェ!!」
ツクヨミ「回り込め!退路を断つんだ」
フェリア「アネット、奴の退路を塞ぐだけでいい、追い込め」
アネット「了解、了解―」
マレズ「オラオラッ!!!さっきまでの威勢はどーしたァ!!!夜帝!!!」
2機の戦闘機型とステルス戦闘機型、重武装の戦闘爆撃機型がシュヴァルを取り囲む。
シュヴァル「くっ・・・」
シュヴァルは顔を苦痛に歪ませて機関砲を撃つが、機動性の高いアスカ型は軽く攻撃を回避する。
アオイ「当たるかよ!」
マレズ「オラッ!!たっぷりと喰らえッ!!!」
マレズがミサイルをリアパーツから連続で発射する。
夜神「シュヴァル!!ミサイルだ!!回避!!!」
シュヴァルはチャフフレアを放出してミサイルを誘導して回避する。
ゴロンゴロンゴロン・・・
シュヴァル「しまったッ!!!」
低いエンジン音を鳴らして重巡洋戦艦型MMSのヴィクトリアがシュヴァルの前面に現れる。
野木「敵、MMSを捕捉!当てろよ!ヴィクトリア」
ヴィクトリア「撃ち方――はじめ!」
ゴウウウウン・・・
一列にずらっと並んだ大小さまざまなレーザー砲の砲塔がゆっくりと旋回し、シュヴァルに狙いをつける。
夜神「ぐ・・・・」
ここまでかと、夜神はあきらめかけたが、シュヴァルの前方にある電源ボックスを見て考えを切替える。
夜神「!!シュヴァル全速前進!!」
シュヴァルはスラスターを思いっきり吹かし、電源ボックスの前に立ちはだかる。
ナターリャ「ヴィクトリア!!全砲門一斉発射!!撃て!!」
ドシュドシュ!!ビシュビシューーーム!!
ヴィクトリアの火砲が一斉に火を放つ。
夜神「シュヴァル!急速旋回!」
シュヴァルは瞬時に巡航モードに変形すると全速力で砲撃を回避する。
ヴィクトリアの放ったレーザー砲弾はシュヴァルの後方のスタジアムの電源ボックスに命中する。
ドゴオオオオンン!!
すさまじい爆音が響くと同時に、ブッツウン・・・とスタジアムの照明が切れる。
ナターリャ「むう」
野木「し、しまった!電源ボックスに流れ弾がァ・・・・」
スタジアムはまた、漆黒の暗闇に戻る。
ヴィクトリア「敵機、ロスト、レーダーに反応無し」
アオイ「な、なにやってんだ!!」
マレズ「はやく電源をつけろ!」
バチバチっと電源ボックスがヴィクトリアの艦砲射撃をモロに喰らい、火花を散らしてショートしている。
ナターリャはニヤニヤと笑う。
ナターリャ「なるほどなるほど、やるではないか!戦艦型の砲撃を利用して電源ボックスを吹き飛ばすとは!!!一本やられたな・・・」
空母型のツラギが冗談ではないといった顔で捲くし立てる。
ツラギ「関心している場合か!!ナターリャ殿!どーするつもりだ!」
ナターリャ「・・・敵はさきほどの攻撃で損傷を負っている。むちゃな機動は出来ないはずだ。また奴のステルス性能も落ちている・・・すべて計算どおりだ。マキシマ、対空戦闘用意」
マキシマ「了解」
重巡洋戦艦型MMSのマキシマは砲塔を360度、いつでも砲撃できるように準備する。
アオイ「はっ!!死にぞこないが!!俺がトドメを刺してやる」
アオイが機関砲を構える。
ツクヨミ「・・・・レーダーに反応!」
ツクヨミのウサギ耳がピクピクと動く。
ツクヨミ「4時の方向!!」
チカチカと青白い光がツクヨミが叫ぶとほぼ同時に瞬く。
アオイとツクヨミはさっと攻撃を回避する。シュヴァルがギュンと勢いよく、アオイとツクヨミのすぐそばを通り過ぎる。
アオイ「はっはは!さっきに比べて攻撃にキレがねえぜ!」
ツクヨミ「弱っている証拠だ!仕留めるぞ!」
アオイとツクヨミがシュヴァルを追いかける。
夜神「くッ・・・シュヴァル!状況報告!」
シュヴァルが夜神のいる筐体にデータを転送する。
シュヴァル「敵は残り、空母1隻、重巡洋戦艦2隻、航空MMSが5機です。どれもベテランぞろいですね」
夜神「オマエの損傷は?」
シュヴァル「さきほどの戦艦型の砲撃で、右舷スタビライザーの一部が破損、燃料タンク3番が破損、レーダーにノイズが走っていて使用不能・・・大型対艦ミサイルは残り3発!」
夜神「上出来だ。あの強烈な砲撃の中、よくその程度の損傷で済ませたな・・・さすがだ」
シュヴァル「後方にアスカ型2機、追撃中してきます。ステルス戦闘機型2機は不明、戦闘爆撃機型もどこにいるのか分かりません」
夜神「・・・手ごわいな、やけに統制が取れているな、これは俺の勘だが・・・あの航空母艦型MMSの中に将校型MMSがいるな」
シュヴァル「将校型・・・」
夜神「この配置を見てみるとだ、重巡洋戦艦型MMSのうち、1隻は空母型の真横に張り付いている・・・全体の配置も空母型を守る用にだ・・・艦載機がいない今、空母型を護衛する義理はないはずだ・・・となると中には空母型を護衛しなきゃならないほどの大事なお客さんがいるという考えになるはずだ・・・」
シュヴァル「ということは!空母型を撃沈すれば!!」
夜神「・・・ああ、だがこれは罠だ。空母型をシュヴァルが攻撃しようとすると進出してきているもう1隻の重巡洋戦艦型がフタをするような形になって・・・シュヴァルは2隻の戦艦型に挟み撃ちにされて袋叩きにあうわけだ。そして上に逃げようとすると、現在雲隠れしているステルス戦闘機型と戦闘爆撃型が上空で待ち構えているという戦法だ・・・」
シュヴァル「ネズミ捕りですね」
夜神「SSS級の俺たちをここまでコケにしたような戦法をする神姫は、同じSSS級以外、他にない!そして・・・こんな廻りくどい戦法を考える将校型神姫といえば・・・」
シュヴァル「将校型MMS『ナターリャ』 SSSランク「演算」ですね」
夜神「ああ、奴ならスタジアムの照明にハッキングして電灯をつけることなんて簡単なことだ。イカレてやがる」
シュヴァル「どうも今宵の敵は様子がおかしいと思ったらそういうことでしたか・・・・」
夜神「さて・・・どうする?後ろからはアスカ型がオマエを追い立てている。奴らはもうオマエを捕捉している。機動性に優れたベテランのアスカ型2機を相手に戦うのは現状ではムリだ」
シュヴァル「なら道は一つ・・・」
夜神「あえて、敵の罠にはまり、空母型を撃沈する」
シュヴァル「いいでしょう。ミサイルの残弾は3発!それでいけます」
夜神「・・・・サレンダーして両手を挙げるって選択肢もあるんだぜ?」
シュヴァル「弾が残っているのに逃げろとは、私は教えられたことはありません」
夜神「ふっ・・・そうだったな」
ツラギの艦内でナターリャがレーダーの光点を見つめる。
ナターリャ「チェックメイトだな、夜帝!!!」
野木が筐体の画面を見つめる。
野木「ふむ」
ナターリャ「見たまえ!この配置を!」
ナターリャはタッチペンでそれぞれの配置を示す。
▽▽
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ナターリャ「敵がとるべき道は一つしかない!このまままっすぐに私のいる空母型MMS「ツラギ」を攻撃するしか手はないのだ!奴がクイーンなら私はキングだ!だが、キングを取るためには、ルーク(戦艦型MMS)とビショップ(ステルス戦闘機型)、そしてナイトの追撃(戦闘機型)をかわさなければならない!!」
ナターリャは興奮して喋る。
ナターリャ「奴がどのような動きをしようと、キングを取ることは不可能だ!ふふふ・・・・すでにこのゲームは詰んでいるのだよ!」
野木「・・・・・」
ナターリャは自慢のAIで弾き出した演算でシュヴァルのありとあらゆる状況をシュミレートし緻密な作戦を立てた。完璧だった、どう考えてもシュヴァルに勝機はない。
ナターリャ「ふふふ・・・あっははっははは!!!なにが『夜帝』だ!!大げさな伝説もここまでだ!!!この私、『演算』の前にはどのような神姫であろうと勝利することは不可能なのだ!!!!!!」
野木「・・・・あんた・・・私のヴィクトリアがわざと電源ボックスを攻撃するように仕向けたね」
重巡洋戦艦型MMSのヴィクトリアはすました顔をしている。
ヴィクトリア「・・・・」
ナターリャ「・・・ああ、そうだ・・・奴を追い込むためにな!奴にわざとチャンスを作ってやったのさ・・・どの道、奴は電源ボックスに気がついて攻撃するつもりだっただろう。あえてわざと誤爆させて先手を打ってやったのさ・・・そのほうがより奴に絶望を与えられる!!すべてはこの私の手の平の中でしか踊っているしかないことを・・・死の間際に思い出させるためにな!!!」
野木「・・・ずいぶんと廻りくどいやり方じゃないか、普通にさっきの明るい状況で戦ったほうがやりやすいのじゃないか?」
ナターリャは肩をすくめる。
ナターリャ「やれやれ・・・貴方は何も分かっていない・・・奴の二つ名はなんだ?『夜帝』だ!!夜間戦闘で最強の武装神姫は?と答えれば誰もが奴だとほざく!!!奴を暗闇の中で倒してこそ、はじめて奴を倒したと言えるものだ。それに・・・この暗闇の状況、奴にとって不利だ。奴のレーダーは損傷している。つまり奴もこの状況では駒の動きが把握できていない。これはチェスなんだよ、暗闇、ミッドナイトブルーの中で行うチェスゲームだ」
野木「ふっ・・・そうきたか」
ナターリャ「チェスなら私の領分だ!!!誰にも負けない!!」
そうナターリャが叫んだとたん、激しい光の瞬きが暗闇を照らす。
ヴィクトリアが夜帝を捕捉したようで艦砲射撃を加えている。追い込まれたシュヴァルがまっすぐこっちに向かってくる。
ナターリャ「ふっ・・・やはり来たな・・・・さあ、このゲームもそろそろお開きに「しようではないか!」
ツラギは艦橋からチカチカと発光信号を送る、
ツラギからの発光信号を受けてマキシマがエンジンをゆっくりと始動させてシュヴァルの前方に展開する。
マキシマ「こちらマキシマ、配置についた」
ナターリャ「よし、砲戦可能距離に入りしだい、後方のヴィクトリアと連携しシュヴァルを撃破せよ、敵が上方に逃げた場合は、ステルス戦闘機型と戦闘爆撃機型に任せろ。
マキシマ「アイアイサー」
マキシマは超遠距離から砲撃を開始する。
シュヴァル「熱源きます!!!前方の空母型の護衛についていた重巡洋戦艦型です!後方の重巡洋戦艦型が回り込みます!」
夜神「前門の虎、後門の狼といった所だな」
シュヴァル「足が速い重巡洋戦艦型を機動タイプの軽神姫のように扱うとはやりますね」
夜神「ようし・・・では手はずどおりにやろうではないか!!!最後の一航戦だ!!!スマートに決めるぞ!」
シュヴァル「イエス、マイマスター」
スピードを上げて突っ込むシュヴァル。
To be continued・・・・・・・・
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