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「アスカ・シンカロン11」(2011/01/14 (金) 00:19:29) の最新版変更点
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名探偵でもダメならば。
もう。
神様に真実をお伺いするしかない。
だろ?
*アスカ・シンカロン11
**~神可~
「……」
客は見知った顔だった。
正確には一度だけ。
「その後の様子は如何だね、神凪北斗」
名乗った覚えは無い。
「いやいや、神姫購入の書類に名前を書いたであろう? 真実などそんなものだ」
「うっ」
確かにそうだ。
「まぁ、ロクに見ては居ないがね」
「おい」
「まぁいいさ。ようやく私の動ける余地が出来たからな。終わらせに来たのさ」
終わらせる?
「何をだ?」
嫌な想像が過り、眠る飛鳥を庇うように間に入る。
「心配するな。どちらかと言えば、私はお前たちの味方側だ」
あの幻のような骨董屋の店主の女はそう言った。
「まずはそうだな、自己紹介をしておこう。一言で言えば、私は『神様』だ」
「黄色い救急車、黄色い救急車……」
キチピーが此処に居ます。
「何を言う、死人が神姫になって甦る事実は認めても、神様は認めんのか?」
「うっ」
確かに。
それこそが、一番の異常な事態だ。
「私は神様で、死んだその少女の魂を神姫に入れた。……ここまでは理解できたか?」
「……ああ、分りやすい説明だよ」
事実と認めたくは無いが。
「アンタ、何が目的なんだ?」
ふふふと、神を自称する女は笑って言った。
「悪魔狩り」
世界には神も悪魔も居る。
そしてそれは、数々の神話で語られるように、敵対し続けているのだと。
「要するに、お前の幼馴染には悪魔が憑いた。その悪魔を消去するのが私の目的だ」
「ならさっさとやってくれ」
「無理だ」
「何でだよ、神様なんだろ? まさか、悪魔の方が強いとか言うなよ?」
「それは無い。私たちの間では、『強い方が神』だからな。その気になれば一瞬でヤツは消せる」
「……だったら」
「だが、無理だ。……理由の説明は長くなるのでそういうルールだと理解しておくが良い」
「……」
「私は、ヤツが行った干渉と同レベルの干渉しか行えないのだ。ヤツが悪魔としての力を振るわぬ限り、私は神としてヤツを滅ぼすことは出来ない」
「同レベルの干渉?」
「そうだ。ヤツの行った干渉は、言葉による誘導くらいでな。死者の魂に細工をした私の方が過干渉をしていたとも言える」
だから、飛鳥を売る程度の干渉しか出来なかったのだ、と彼女は言った。
「もっとも、警官のふりしてヒントを出したりはしたがね」
「警官?」
「電話をしたろ? おかしいと思わなかったのか?
遺族でもない奴に電話で捜査機密を漏らす警官がいるかね?」
「あのときの電話に出た警官はアンタか?」
「そうだ。もどかしい事この上ないが、奴と同種の干渉となるとその辺りが関の山なのだ」
だが、と言葉を区切る神。
「今日、ヤツが直接その神姫に接触した事と、お前が自力で幾つかの綻びを解いたお陰で、如何にかヒント位は出せる条件が揃ったという訳だ」
「ふん。全然自力じゃねぇよ」
明日香と夜宵については何も答えが出ていない。
そして、そこに辿り着いたのも、結局は友人のお陰だ。
「考えた事が重要なのだ。そして、そのヒントをくれた友人を得たという過去の功績が結実したことが、な」
我等の間では重要なのだ。と神は続ける。
「そして、此処まで言えば。お前の幼馴染に取り付いた悪魔には行き当たるだろう?」
「ああ」
そうだとすれば。もう認めるしかないのだが。
「夜宵に取り憑いている悪魔は、あの白いストラーフだろう?」
「ご名答。私ほどではないが、中々高位の悪魔でな。お前たちの間でも伝承に名が残っているレベルとして顕現した存在だよ」
意味は分らないが強敵だと言いたいのだろう。
「んで、オレは。如何すればいい?」
「話が早いな。お前の役割は、あの『悪魔のイレモノになっている神姫』の破壊だ。アレを破壊されればヤツはこれ以上お前たちに干渉できなくなるし、その状態で存続しようとするのなら、後は私の領分だ」
なるほど。
お互いに同レベルの干渉しか出来ないというのなら。
幽霊だかになってまで残ると言うのなら、それを駆除するのも同レベルの干渉と言うことか。
「それじゃあ、あの神姫が有り得ない位頑丈だとかも無いんだな?」
「そうだ。物理的に有り得ない強度を得る等の干渉が行われれば、即座に私が介入できる」
向こうもそれが分っているから、神姫として有り得る事しかして来ない。
神様はそう言った。
「あいつは今、家か?」
「いや―――」
彼女の言葉を遮るように、北斗の携帯がメールの着信を告げる。
発信は。
『弥涼夜宵』
学校の屋上。
今すぐ来て。
コナイトワタシモシンジャウヨ?
「―――!!」
「急げよ、神凪北斗。15分したら本当に彼女も飛び降りるぞ?」
「お見通し、か?」
「ああ、お前が間に合う事も。な……」
「ふん」
踵を返す北斗の背に、神の声がかかる。
「―――最後のヒントだ。あの双子には我等の干渉以外の非常識がある。それに気付け。それが最後の鍵だ」
「え?」
振り返った背後には。
しかし。
誰も居なかった。
「本当に神様だったのか?」
部屋の中にはクレイドルで眠っている飛鳥。
その寝顔を見ても、明日香と夜宵の区別は付かない。
「どっちか分らなくても。どっちも大切なんだ」
今はそれでいい。
他を考える暇は無い。
北斗は走り出した。
彼女が待っている学校の屋上へと。
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ついに神様まで出ましたさ。
神様が悪魔に手出しできないというのは悪魔が悪魔としてではなく、
神姫として出来る事しかしていない為です(と言う設定)。
神様側も人間(神から見れば神姫と同レベル)としてできる干渉しか出来ないとご理解下さい。
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名探偵でもダメならば。
もう。
神様に真実をお伺いするしかない。
だろ?
*アスカ・シンカロン11
**~神可~
「……」
客は見知った顔だった。
正確には一度だけ。
「その後の様子は如何だね、神凪北斗」
名乗った覚えは無い。
「いやいや、神姫購入の書類に名前を書いたであろう? 真実などそんなものだ」
「うっ」
確かにそうだ。
「まぁ、ロクに見ては居ないがね」
「おい」
「まぁいいさ。ようやく私の動ける余地が出来たからな。終わらせに来たのさ」
終わらせる?
「何をだ?」
嫌な想像が過り、眠る飛鳥を庇うように間に入る。
「心配するな。どちらかと言えば、私はお前たちの味方側だ」
あの幻のような骨董屋の店主の女はそう言った。
「まずはそうだな、自己紹介をしておこう。一言で言えば、私は『神様』だ」
「黄色い救急車、黄色い救急車……」
キチピーが此処に居ます。
「何を言う、死人が神姫になって甦る事実は認めても、神様は認めんのか?」
「うっ」
確かに。
それこそが、一番の異常な事態だ。
「私は神様で、死んだその少女の魂を神姫に入れた。……ここまでは理解できたか?」
「……ああ、分りやすい説明だよ」
事実と認めたくは無いが。
「アンタ、何が目的なんだ?」
ふふふと、神を自称する女は笑って言った。
「悪魔狩り」
世界には神も悪魔も居る。
そしてそれは、数々の神話で語られるように、敵対し続けているのだと。
「要するに、お前の幼馴染には悪魔が憑いた。その悪魔を消去するのが私の目的だ」
「ならさっさとやってくれ」
「無理だ」
「何でだよ、神様なんだろ? まさか、悪魔の方が強いとか言うなよ?」
「それは無い。私たちの間では、『強い方が神』だからな。その気になれば一瞬でヤツは消せる」
「……だったら」
「だが、無理だ。……理由の説明は長くなるのでそういうルールだと理解しておくが良い」
「……」
「私は、ヤツが行った干渉と同レベルの干渉しか行えないのだ。ヤツが悪魔としての力を振るわぬ限り、私は神としてヤツを滅ぼすことは出来ない」
「同レベルの干渉?」
「そうだ。ヤツの行った干渉は、言葉による誘導くらいでな。死者の魂に細工をした私の方が過干渉をしていたとも言える」
だから、飛鳥を売る程度の干渉しか出来なかったのだ、と彼女は言った。
「もっとも、警官のふりしてヒントを出したりはしたがね」
「警官?」
「電話をしたろ? おかしいと思わなかったのか?
遺族でもない奴に電話で捜査機密を漏らす警官がいるかね?」
「あのときの電話に出た警官はアンタか?」
「そうだ。もどかしい事この上ないが、奴と同種の干渉となるとその辺りが関の山なのだ」
だが、と言葉を区切る神。
「今日、ヤツが直接その神姫に接触した事と、お前が自力で幾つかの綻びを解いたお陰で、如何にかヒント位は出せる条件が揃ったという訳だ」
「ふん。全然自力じゃねぇよ」
明日香と夜宵については何も答えが出ていない。
そして、そこに辿り着いたのも、結局は友人のお陰だ。
「考えた事が重要なのだ。そして、そのヒントをくれた友人を得たという過去の功績が結実したことが、な」
我等の間では重要なのだ。と神は続ける。
「そして、此処まで言えば。お前の幼馴染に取り付いた悪魔には行き当たるだろう?」
「ああ」
そうだとすれば。もう認めるしかないのだが。
「夜宵に取り憑いている悪魔は、あの白いストラーフだろう?」
「ご名答。私ほどではないが、中々高位の悪魔でな。お前たちの間でも伝承に名が残っているレベルとして顕現した存在だよ」
意味は分らないが強敵だと言いたいのだろう。
「んで、オレは。如何すればいい?」
「話が早いな。お前の役割は、あの『悪魔のイレモノになっている神姫』の破壊だ。アレを破壊されればヤツはこれ以上お前たちに干渉できなくなるし、その状態で存続しようとするのなら、後は私の領分だ」
なるほど。
お互いに同レベルの干渉しか出来ないというのなら。
幽霊だかになってまで残ると言うのなら、それを駆除するのも同レベルの干渉と言うことか。
「それじゃあ、あの神姫が有り得ない位頑丈だとかも無いんだな?」
「そうだ。物理的に有り得ない強度を得る等の干渉が行われれば、即座に私が介入できる」
向こうもそれが分っているから、神姫として有り得る事しかして来ない。
神様はそう言った。
「あいつは今、家か?」
「いや―――」
彼女の言葉を遮るように、北斗の携帯がメールの着信を告げる。
発信は。
『弥涼夜宵』
学校の屋上。
今すぐ来て。
コナイトワタシモシンジャウヨ?
「―――!!」
「急げよ、神凪北斗。15分したら本当に彼女も飛び降りるぞ?」
「お見通し、か?」
「ああ、お前が間に合う事も。な……」
「ふん」
踵を返す北斗の背に、神の声がかかる。
「―――最後のヒントだ。あの双子には我等の干渉以外の非常識がある。それに気付け。それが最後の鍵だ」
「え?」
振り返った背後には。
しかし。
誰も居なかった。
「本当に神様だったのか?」
部屋の中にはクレイドルで眠っている飛鳥。
その寝顔を見ても、明日香と夜宵の区別は付かない。
「どっちか分らなくても。どっちも大切なんだ」
今はそれでいい。
他を考える暇は無い。
北斗は走り出した。
彼女が待っている学校の屋上へと。
----
ついに神様まで出ましたさ。
神様が悪魔に手出しできないというのは悪魔が悪魔としてではなく、
神姫として出来る事しかしていない為です(と言う設定)。
神様側も人間(神から見れば神姫と同レベル)としてできる干渉しか出来ないとご理解下さい。
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