「アスカ・シンカロン06」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「アスカ・シンカロン06」(2011/01/07 (金) 00:34:35) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*アスカ・シンカロン06
**~心火~
弥涼明日香が生き返って(?)から、早くも一週間が経とうとしていた。
流石にそれだけの時間が経過すれば、幾つか分かる事も出て来る。
「とりあえず、機能は神姫その物って事みたいだな」
パソコン関連の操作や管理は、明日香にも問題無くこなせるようだ。
活動にはクレイドルによる睡眠を必要とし、食事は必ずしも必須ではないらしい。
どうにも、神姫の記憶と判断基準、即ち人格が、死んだ弥涼明日香のものであるらしい。
「って事はつまり、明日香の幽霊が神姫に取り付いたような物か?」
「私としては~、ふと目が覚めたら神姫になってた。って感じなんだよ」
肝心の記憶は、弥涼明日香の死亡30分前ほどで薄れて消えているらしく、自殺の原因は未だ不明。
だがしかし。
(……自殺じゃない可能性だってある筈なんだ)
そもそも、自殺と言う死因は警察が出したものに過ぎない。
頭が良くないと自覚する北斗にだって分かる。
(明日香が自殺する訳が無い。……つまり、これは)
「……どういう事だ?」
「ん? 何が?」
とりあえず。
明日香がココに居る事だけは確かなようだった。
「だけど。夜宵には明日香の事、教えておきたいんだがな」
ダメなのか? と視線で神姫に問う。
「ダメなんだよ。夜宵ちゃんにはまだナイショ。今話しても『姉さんの死で北斗が狂ったぁ!?』って思われるだけなんだよ」
「お前が説明すれば信じてくれないかな?」
「ダメだと思うよ。北斗ちゃんが、自分の神姫にそう教え込んだんだ、って思われるだけなんだよ」
「そっか」
弥涼夜宵は明日香の双子の妹だ。
何処かノンビリしている明日香と違い、冷静で的確な判断を下せる。
頭脳労働に不向きな北斗と違い、協力してくれるなら頼れる味方となるだろう。
「それじゃあ、当面は二人で何とかするしかないか」
「何とかって、何?」
「そうだな。とりあえず、夜宵を納得させられる材料を探すか、明日香がこんな事になっている原因を探すか……」
そして、最後の一項だけは声に出さず、胸中で呟く北斗。
(明日香が、本当に自殺をしたのか、を調べないとな……)
自殺で無いなら事故か、あるいは……。
――殺人。
と言う可能性もありうるのだった。
「とりあえず、電話でもしてみるか」
◆
「―――そうですか、分かりました。ありがとございました」
「どうだった~?」
携帯の通話を切った北斗を明日香が下から覗き込む。
「とりあえず、目撃者は今の所居ないらしい。第一発見者は定時巡回に来た警備員だそうだ」
明日香の自殺について、警察に問い合わせた結果がそれだった。
「遺書は無し。屋上に争った形跡もないし、遺体にも転落時に出来たもの以外の外傷は無し」
「他には~?」
「いや、話をしてくれた人の個人的感想って事らしいんだが」
自殺にしては符に落ちない点があるらしい。
「なんでも、この手の飛び降り自殺って言うのはデモンストレーションの要素があるらしいんだわ」
「ん~、確かに目立つ死に方なんだよ。飛び降り自殺」
電話に出た警官の話では、自殺には目立つ死に方とそうでない死に方があるらしい。
その中でも、飛び降り自殺と言うのは目立つ方に分類される。
「だったら真夜中に、それも目立たない裏庭側に飛び降りたのは何でだろうって、言ってたな」
「そっか、目立った死に方をしたいなら、昼間に、校庭側に飛び降りた方が良いんだよ」
飛び降りたはずの当人が、それを肯定する。
「逆に、目立たないように死にたいなら、どうしても人目につく学校で自殺する訳無いんじゃないかってな」
「確かに。中途半端なんだよ」
うんうんと頷く明日香。
「あと、警官は知らんだろうが。お前が自殺したなら、それを思いついたのは死ぬ30分ぐらい前になるんだろ?」
「う~ん。記憶のある限りは、自殺したいと思ってなかったんだよ」
「だったら、思い立って直ぐに自殺する為に学校に行ったって事になる。すぐ死にたいなら、普通、家の中で自殺する筈だろう?」
「そう、なるんだよ。やっぱり」
「って事は、だ」
「ん?」
明日香は正座した姿勢から、両手を突いて北斗の方へと身を乗り出す。
「お前、殺されたんじゃないのか?」
「私? ……………誰に?」
「……あれ?」
自殺で無いなら事故か殺人。
事故の線は薄いだろうから、恐らくは殺人。
だが、殺人ならば犯人が居るわけで……。
「……お前を恨みそうな奴って、誰かいるか?」
「さ、流石に殺されちゃうような恨みは、買ってないと思うんだよ」
「だよなぁ……。他人から恨まれるタイプじゃないもんな~、お前」
怨恨の線は薄い。
「……じゃぁ、通り魔とか?」
「それは、流石に抵抗すると思うんだよ」
ケンカの達人を自称する北斗程ではないが、明日香も夜宵も部活動で通用する程度には空手を収めている。
ナイフを持った程度の通り魔なら叶わずとも抵抗ぐらいはするだろう。
だがしかし、それならば怪我の一つ位はしている筈だ。
「でも、遺体には争った形跡は無かったんだよな……」
「じゃあ、通り魔でもないね~」
う~ん、と考え込む事しばし。
「……やっぱダメだ。この手の事は夜宵に頼る方が良い」
「でも、北斗ちゃんが『キチ(ピー)』扱いされちゃうよ?」
「誠心誠意を持って話せば……。……解ってくれないだろうなぁ、……あいつ頭固いもん」
「……。……ホントなんだよ」
北斗と同時に溜息を付く明日香。
一瞬だけ微妙な表情をしていたのは夜宵を悪く言ったからだろう。
彼女達にもう一方の悪口は厳禁だったのを思い出す。
「……あ~、ったくわからん事だらけだ」
「北斗ちゃんは、頭悪いんだよ」
「うるせぇ」
「あはは。まぁ、焦らずのんびりやろうよ。私は当面このままでも困らないんだよ」
「なるほど。それもそうか」
「そうなんだよ」
にっこり、と微笑む明日香は、サイズこそ違えど生きていた時と変わりなく見えた。
◆
明日香と夜宵は仲が良い。
常に息はピッタリで、北斗が覚えている限り、喧嘩をした事などただの一度も無い位に。
違うのは性格だけ。
性格以外は瓜二つの双子。
眠ったら。
北斗にすらその区別は付かないのだった。
◆
「マスター」
「どうしたらいいのかな。パール?」
北斗の部屋の外で、ノックも出来ずに夜宵は踵を返す。
「やっぱり、北斗は、明日香の方が良いのかな?」
「そんな事はありませン。単に、失ったモノだから眩しく見えているだけでしょウ」
慈しむ様にそう応える白いストラーフ。
「それじゃあ、あたしでも良いのかな?」
「はい。神凪北斗には、もう貴女しか居ないのでス。失ったものは、やがて思い出として風化するでしょウ。生きて、傍にいる貴女が悩む事ではありませン」
「……」
「さあ、マスター。顔を上げてくださイ。もう涼影明日香は居ないのですから、貴女がしっかりしないとなりませんヨ。貴女は弥涼夜宵なのですかラ」
「……」
夜宵は応えない。
足音を忍ばせて階下へ降り、無言のままキッチン前の廊下を通り玄関へと向かう。
今日は、北斗の母は家に不在だった。
余計な言い訳をせず済む事に安堵しながら、夜宵は靴を履く。
家族も同然の幼馴染として、夜宵と明日香の二人で預かっていた一つの鍵。
それで、神凪家の玄関に鍵をかけて外に出る。
「…………やっぱり、ダメだよ」
「マスター?」
日の沈んだ闇の中、浮かび上がるように光が漏れる二階の窓を見上げ、夜宵は泣き出しそうな声で呟いた。
「……北斗の中で、まだ明日香が死んでない」
胸に抱く鍵は、二人で一つだけ持っていた物。
二人で交代しながら持っていた物。
今は、彼女だけが持っている、神凪北斗へ通じる鍵。
だが。
「……人形に同じ名前付けて身代わりにしてたら、何時まで経っても明日香の事は忘れないんだよ……」
その鍵では立ち入れない場所で、北斗は明日香を見ていた。
「……何時まで待っても、私を見てはくれないんだよ……」
「……でハ。……如何なさいますカ?」
パールはただ尋ねただけ。
「……如何? ……如何、すれ、ば……?」
しかし、その声は文字通り悪魔の狡猾さで持って夜宵を蝕む……。
「……あの…、神姫、が……」
「あのニセモノが居なくなれバ、北斗は貴女を見てくれますカ?」
「……そう、だよ……。……あれは……。……あれは明日香じゃ、ない……。×××じゃないニセモノなんだから……」
弥涼明日香を語る神姫。
他ならぬ弥涼夜宵には断言できる。
あの神姫が弥涼明日香ではありえないと言う事を。
何故ならば、あの神姫は弥涼明日香ではなく、ましてや弥涼夜宵でもありえない。
彼女には如何考えてもニセモノでしかないソレは、今や彼女から北斗を奪う敵だった。
「……壊しても、いいんだよね。パール?」
「それは、私では無ク、あなたが決めることでス、マスター」
臣下として一歩引き、パールは己が主の判断を求める。
「ですが、もしも壊すというのなラ……。その時は私にご命令下さイ」
「やって、くれるの?」
「……必ずヤ」
短く、だがはっきりと。
白い悪魔は、主に向かってそう答えた。
◆
弥涼明日香も、弥涼夜宵も。
一人で充分だ。
彼女はそう考えた。
そう、考えてしまった…。
----
お次は少しバトルなどを予定中…。
バトルの形式は複数の神姫によるバトルロイヤル形式です。
&counter()
*アスカ・シンカロン06
**~心火~
弥涼明日香が生き返って(?)から、早くも一週間が経とうとしていた。
流石にそれだけの時間が経過すれば、幾つか分かる事も出て来る。
「とりあえず、機能は神姫その物って事みたいだな」
パソコン関連の操作や管理は、明日香にも問題無くこなせるようだ。
活動にはクレイドルによる睡眠を必要とし、食事は必ずしも必須ではないらしい。
どうにも、神姫の記憶と判断基準、即ち人格が、死んだ弥涼明日香のものであるらしい。
「って事はつまり、明日香の幽霊が神姫に取り付いたような物か?」
「私としては~、ふと目が覚めたら神姫になってた。って感じなんだよ」
肝心の記憶は、弥涼明日香の死亡30分前ほどで薄れて消えているらしく、自殺の原因は未だ不明。
だがしかし。
(……自殺じゃない可能性だってある筈なんだ)
そもそも、自殺と言う死因は警察が出したものに過ぎない。
頭が良くないと自覚する北斗にだって分かる。
(明日香が自殺する訳が無い。……つまり、これは)
「……どういう事だ?」
「ん? 何が?」
とりあえず。
明日香がココに居る事だけは確かなようだった。
「だけど。夜宵には明日香の事、教えておきたいんだがな」
ダメなのか? と視線で神姫に問う。
「ダメなんだよ。夜宵ちゃんにはまだナイショ。今話しても『姉さんの死で北斗が狂ったぁ!?』って思われるだけなんだよ」
「お前が説明すれば信じてくれないかな?」
「ダメだと思うよ。北斗ちゃんが、自分の神姫にそう教え込んだんだ、って思われるだけなんだよ」
「そっか」
弥涼夜宵は明日香の双子の妹だ。
何処かノンビリしている明日香と違い、冷静で的確な判断を下せる。
頭脳労働に不向きな北斗と違い、協力してくれるなら頼れる味方となるだろう。
「それじゃあ、当面は二人で何とかするしかないか」
「何とかって、何?」
「そうだな。とりあえず、夜宵を納得させられる材料を探すか、明日香がこんな事になっている原因を探すか……」
そして、最後の一項だけは声に出さず、胸中で呟く北斗。
(明日香が、本当に自殺をしたのか、を調べないとな……)
自殺で無いなら事故か、あるいは……。
――殺人。
と言う可能性もありうるのだった。
「とりあえず、電話でもしてみるか」
◆
「―――そうですか、分かりました。ありがとございました」
「どうだった~?」
携帯の通話を切った北斗を明日香が下から覗き込む。
「とりあえず、目撃者は今の所居ないらしい。第一発見者は定時巡回に来た警備員だそうだ」
明日香の自殺について、警察に問い合わせた結果がそれだった。
「遺書は無し。屋上に争った形跡もないし、遺体にも転落時に出来たもの以外の外傷は無し」
「他には~?」
「いや、話をしてくれた人の個人的感想って事らしいんだが」
自殺にしては符に落ちない点があるらしい。
「なんでも、この手の飛び降り自殺って言うのはデモンストレーションの要素があるらしいんだわ」
「ん~、確かに目立つ死に方なんだよ。飛び降り自殺」
電話に出た警官の話では、自殺には目立つ死に方とそうでない死に方があるらしい。
その中でも、飛び降り自殺と言うのは目立つ方に分類される。
「だったら真夜中に、それも目立たない裏庭側に飛び降りたのは何でだろうって、言ってたな」
「そっか、目立った死に方をしたいなら、昼間に、校庭側に飛び降りた方が良いんだよ」
飛び降りたはずの当人が、それを肯定する。
「逆に、目立たないように死にたいなら、どうしても人目につく学校で自殺する訳無いんじゃないかってな」
「確かに。中途半端なんだよ」
うんうんと頷く明日香。
「あと、警官は知らんだろうが。お前が自殺したなら、それを思いついたのは死ぬ30分ぐらい前になるんだろ?」
「う~ん。記憶のある限りは、自殺したいと思ってなかったんだよ」
「だったら、思い立って直ぐに自殺する為に学校に行ったって事になる。すぐ死にたいなら、普通、家の中で自殺する筈だろう?」
「そう、なるんだよ。やっぱり」
「って事は、だ」
「ん?」
明日香は正座した姿勢から、両手を突いて北斗の方へと身を乗り出す。
「お前、殺されたんじゃないのか?」
「私? ……………誰に?」
「……あれ?」
自殺で無いなら事故か殺人。
事故の線は薄いだろうから、恐らくは殺人。
だが、殺人ならば犯人が居るわけで……。
「……お前を恨みそうな奴って、誰かいるか?」
「さ、流石に殺されちゃうような恨みは、買ってないと思うんだよ」
「だよなぁ……。他人から恨まれるタイプじゃないもんな~、お前」
怨恨の線は薄い。
「……じゃぁ、通り魔とか?」
「それは、流石に抵抗すると思うんだよ」
ケンカの達人を自称する北斗程ではないが、明日香も夜宵も部活動で通用する程度には空手を収めている。
ナイフを持った程度の通り魔なら叶わずとも抵抗ぐらいはするだろう。
だがしかし、それならば怪我の一つ位はしている筈だ。
「でも、遺体には争った形跡は無かったんだよな……」
「じゃあ、通り魔でもないね~」
う~ん、と考え込む事しばし。
「……やっぱダメだ。この手の事は夜宵に頼る方が良い」
「でも、北斗ちゃんが『キチ(ピー)』扱いされちゃうよ?」
「誠心誠意を持って話せば……。……解ってくれないだろうなぁ、……あいつ頭固いもん」
「……。……ホントなんだよ」
北斗と同時に溜息を付く明日香。
一瞬だけ微妙な表情をしていたのは夜宵を悪く言ったからだろう。
彼女達にもう一方の悪口は厳禁だったのを思い出す。
「……あ~、ったくわからん事だらけだ」
「北斗ちゃんは、頭悪いんだよ」
「うるせぇ」
「あはは。まぁ、焦らずのんびりやろうよ。私は当面このままでも困らないんだよ」
「なるほど。それもそうか」
「そうなんだよ」
にっこり、と微笑む明日香は、サイズこそ違えど生きていた時と変わりなく見えた。
◆
明日香と夜宵は仲が良い。
常に息はピッタリで、北斗が覚えている限り、喧嘩をした事などただの一度も無い位に。
違うのは性格だけ。
性格以外は瓜二つの双子。
眠ったら。
北斗にすらその区別は付かないのだった。
◆
「マスター」
「どうしたらいいのかな。パール?」
北斗の部屋の外で、ノックも出来ずに夜宵は踵を返す。
「やっぱり、北斗は、明日香の方が良いのかな?」
「そんな事はありませン。単に、失ったモノだから眩しく見えているだけでしょウ」
慈しむ様にそう応える白いストラーフ。
「それじゃあ、あたしでも良いのかな?」
「はい。神凪北斗には、もう貴女しか居ないのでス。失ったものは、やがて思い出として風化するでしょウ。生きて、傍にいる貴女が悩む事ではありませン」
「……」
「さあ、マスター。顔を上げてくださイ。もう弥涼明日香は居ないのですから、貴女がしっかりしないとなりませんヨ。貴女は弥涼夜宵なのですかラ」
「……」
夜宵は応えない。
足音を忍ばせて階下へ降り、無言のままキッチン前の廊下を通り玄関へと向かう。
今日は、北斗の母は家に不在だった。
余計な言い訳をせず済む事に安堵しながら、夜宵は靴を履く。
家族も同然の幼馴染として、夜宵と明日香の二人で預かっていた一つの鍵。
それで、神凪家の玄関に鍵をかけて外に出る。
「…………やっぱり、ダメだよ」
「マスター?」
日の沈んだ闇の中、浮かび上がるように光が漏れる二階の窓を見上げ、夜宵は泣き出しそうな声で呟いた。
「……北斗の中で、まだ明日香が死んでない」
胸に抱く鍵は、二人で一つだけ持っていた物。
二人で交代しながら持っていた物。
今は、彼女だけが持っている、神凪北斗へ通じる鍵。
だが。
「……人形に同じ名前付けて身代わりにしてたら、何時まで経っても明日香の事は忘れないんだよ……」
その鍵では立ち入れない場所で、北斗は明日香を見ていた。
「……何時まで待っても、私を見てはくれないんだよ……」
「……でハ。……如何なさいますカ?」
パールはただ尋ねただけ。
「……如何? ……如何、すれ、ば……?」
しかし、その声は文字通り悪魔の狡猾さで持って夜宵を蝕む……。
「……あの…、神姫、が……」
「あのニセモノが居なくなれバ、北斗は貴女を見てくれますカ?」
「……そう、だよ……。……あれは……。……あれは明日香じゃ、ない……。×××じゃないニセモノなんだから……」
弥涼明日香を語る神姫。
他ならぬ弥涼夜宵には断言できる。
あの神姫が弥涼明日香ではありえないと言う事を。
何故ならば、あの神姫は弥涼明日香ではなく、ましてや弥涼夜宵でもありえない。
彼女には如何考えてもニセモノでしかないソレは、今や彼女から北斗を奪う敵だった。
「……壊しても、いいんだよね。パール?」
「それは、私では無ク、あなたが決めることでス、マスター」
臣下として一歩引き、パールは己が主の判断を求める。
「ですが、もしも壊すというのなラ……。その時は私にご命令下さイ」
「やって、くれるの?」
「……必ずヤ」
短く、だがはっきりと。
白い悪魔は、主に向かってそう答えた。
◆
弥涼明日香も、弥涼夜宵も。
一人で充分だ。
彼女はそう考えた。
そう、考えてしまった…。
----
お次は少しバトルなどを予定中…。
バトルの形式は複数の神姫によるバトルロイヤル形式です。
&counter()
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: