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ディオーネコーポレーション。
神姫素体を開発し、武装部分をアームズ・イン・ポケット社が担当する異例のタッグで神姫事業に参入したこの会社は、他の事業で培った高度な技術を生かし、既存の他社製神姫に一歩も引けを取らない、いや、それ以上の神姫を世に送り出した。
初回生産分こそ不良の報告がちらほらと見受けられたものの、AIが暴走するといった重大事故に繋がるほどの事例もなく、むしろその初期不良を抱えた神姫に愛着が湧き、常とは異なる部分を持つ彼女たち戦乙女――アルトレーネとアルトアイネスは、今も迎えられたマスターと共に幸せな日々を過ごしている。
私――アルトレーネ型アマティもその一人だ。
どんなに技術が高度化したところで、不良品が生み出される可能性をゼロにすることはできない。
素体開発に当たって度重なる検討・デバッグが行われ、生産ラインの不良品選別は人に代わる画像認識システムが僅かの不良も見逃さない。
厳密な検査を運良く(?)掻い潜り、一般家庭で起動された神姫たちは、ある者はそのまま生活を共にし、ある者は素直に返品され、またある者は……。
……前言撤回。
用済みの不良品としてオークションで取引されたり、 「出来損ない」 とオーナーに罵られ続けたり、ジャンク品として粗暴な扱いを受ける神姫も決して少なくないと聞く。
そのことを思うと、いや、思うまでもなく、私は幸せに包まれている。
私は不良部分を持っているとはいえ日常生活やバトルに支障があるわけではなく、しいて欠点を挙げるならば、マスターが買ってくれた純正武装のうちヴォータンヘルメがちょっと装備しづらいことくらいだ。
かといって実用に問題があるわけでもないので、ごく普通のアルトレーネとして劣る点も無く、神姫センターのバトルではぼちぼちの成績を収めている。
そんな私に、マスターは満足してくれている。
私を買ってきて開封した時こそ、その不良部分のあまりの 【自然さ】 に 「これが待ちに待ったアルトレー……ネ?」 と、眠ったままの私とディオーネの特設ページを何度も交互に見比べ、小一時間悩んだ末、私が他のアルトレーネと違うという結論に至ったらしい。
返品されずマスターの下に置いてもらっているのは嬉しいけれど、その時のクエスチョンマークを頭の上に浮かべたマスターの顔を見られなかったのは残念だ。
でも、マスターがどんな顔をしていたかはなんとなく想像がつく。
『アマティ』 という名前を貰い、マスターに手鏡を差し出されて自分の姿を見た私は恐らく、首を傾げるマスターと同じような顔をしていたことだろう。
鏡に映ったその姿を見ても 【元々そういうデザインだった】 としか思えないほどの自然さ。
むしろ私を除いたアルトレーネこそ 【この部分】 が抜け落ちた不良品じゃないか、とすら思えてくる。
自分の意思とは関係なく、たまにぴょこぴょこと動く三角形のそれ。
髪と同じくブロンドの、触られると少しだけくすぐったいもの。
私の頭には、ネコミミが生えている。
&bold(){[[2匹目 『疫病猫がやって来た』>疫病猫がやって来た]]}
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