「第壱拾六話:話せばわかるって!!」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「第壱拾六話:話せばわかるって!!」(2010/05/14 (金) 15:46:58) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
「先輩!イルカがこっちを向きましたよ」
「おー、かわいいなぁ。しってたか?イルカは睡眠をとるときに脳を半分ずつ寝かせているんだ」
「そうなんですか?理系としては興味深いですね」
「そのあたりは俺はサッパリだけどな・・・」
「・・・・・あ、次のショーが始まりますよ」
気まずくなって話題をそらす由佳里、その心遣いが優一には痛かった。
電車で小一時間ほどの距離にある水族館、その一角の一番広いスペースを占める大型プールで行われている、イルカのショーを二人は見物していた。
すると突然、イルカの一頭が大ジャンプして着水、大量の水飛沫が二人に降りかかる。
「のわっ!?」
「きゃぁ!!」
「はっちゃー、ビショ濡れだな。大丈夫か?」
「どうにか・・・」
優一は暗い色の服装のためか頭が濡れた以外目立った被害は無いが、由佳里の方は白いブラウス越しに下着が透けてしまっていた。
「・・・・とりあえずこれ、羽織っとくといいよ」
「はい・・・」
そう言って彼は紅くなりながら自分の半袖ジャケットを由佳里に手渡した。
--
「フンガー!!!」
「お姉様落ち着いてください!」
「駄目だコリャ」
反対側の座席の一角、優一らが座っているちょうど反対側に八雲達がいた。
「だって、今もの凄く良い雰囲気だったでしょう!?」
「だから落ち着いてくださいって!」
怒りやら嫉妬やら負の感情で、アカツキは完全に我を失っていた。
「とにかく、見つかったら面倒だから、二人とも静かにしてくれよ・・・」
「『女の嫉妬は地獄の業火』、って言うでしょ。諦めなさいな」
頭を抱える八雲に追い打ちをかけるミコト。シラヌイは彼の気持ちが何となく判る気がした。
お天道様が南のど真ん中を通過する頃、イルカショーを見終えた二人は外のベンチで休憩を取っていた。
「えっと・・・・・・由佳里、今何時だ?腹減っちまった・・・」
「丁度十二時半ですね。実はお弁当、作って来たんですよ。先輩もどうですか?」
そう言うと由佳里は自分のバッグからゆうに五人分は有りそうな重箱を取り出したが、空腹感が既にピーク(優一の体はトコトン燃費が悪い)に達していた優一からしてみれば好都合だった。
「いよっしゃ。戴くとするかな」
「あhfhrkfじゃいおええかm!!」
「だから!いい加減にしてください!!」
一方、100メートルほど離れた植え込みの影では段々と手に負えなくなってきたアカツキをシラヌイが必死に止めようとしていた。
「手作り弁当とは・・・・やるな・・・・」
「同感」
「まさか、まさかまさかまさか、『君も食べちゃいたいよ』みたいな展開に・・・」
「「なるわけあるか!!」」
二人に気づかれない最大限の音量で突っ込むミコトとシラヌイ。いつもの敬語は何処へやら・・・。
「はふぁー」
ため息をつく八雲、辟易するのも無理は無いだろう。元来彼は他人の行動や言動を疑うことがない。よく言えば正直者、悪く言えば早とちり仕勝ちな人物だからだ。
「兎に角、二人とも後で黒崎に謝っとけよ」
気を取り直して八雲はアカツキとシラヌイに忠告すると、シラヌイは沈黙を持って了解としたが、アカツキから拒否の言葉が飛び出した。
「・・・・・・・・」
「嫌です!」
「へっ?」
「だって、私たちに相談せずに勝手に由佳里さんと出かけちゃったんですよ!後を付けない理由はありません!」
『私があの時シラを切っていればこんな事には・・・!』
内心、「しまった」と思うシラヌイ。自分の所為で優一に怪我をさせてしまったことに。
「兎にも角にも、ランチが済んだら・・・。否!今すぐにでも突撃です!!」
「あ、ちょっと!お姉様!!」
時既に遅し。どこにしまっていたのか、完全武装でアカツキは二人の元へ突貫していた。
「うん?ってえぇえ!?アカツキ!?なんでここに!?」
「マスタァアア!!覚悟ーーーー!!!」
「待て!!話せば判る!!」
「問答無用!!話す必要はありません!!!」
まるで何時ぞやに起きたクーデターを彷彿とさせるやり取りを交わしながら、数分ほど、一人と一体の一方的なドッグファイトが続いた。
ドッグファイトが終わって、悠一は肩で息をしながらアカツキ達に説明していた。
「ぜぇはっ、ぜぇはっ。だから、由佳里に誘われたって、言ってンだろ・・・!」
「だからと言って、隠し事をしていたことには変わらないじゃないですか!」
「あの・・・ごめんなさい、アカツキちゃん。私が、先輩を誘わなければ・・・・」
「そんな!由佳里さんが謝る事じゃ・・・。それに、悪いのはそれに鼻を伸ばして乗っかったマスターの方ですよ」
「だから、黙っていたのは悪かったって言ってるだろうが・・・」
「まあ、その位で良いんじゃないかな?彼にも事情が有ったって事で」
優一は内心「有り難い」と思ってしまった。八雲が間に入らなければ、延々と続いたであろう循環を止めてくれたことに。
「それはともかくとしておいて、久しぶりだな御名上。三年ぶりか?」
「ああ、二日前イギリスからね。本物のタワーブリッジはデカかった・・・」
「ミコトも連れているってことは・・・」
「そう!向こうでも、いや向こうだけでなく世界中で武装神姫は大人気さ!良い修行になったよ。・・・・・ヨーロッパチャンピオンには返り討ちにされたけど・・・」
「あれは別格だろ・・・。ともかく、今度一戦どうだ?留学に出るときは全然だったお前の腕前、どの程度か見たくなった」
「良いねぇ、それ。じゃあ、都合が付いたらすぐにでも連絡するよ」
「あいよ、またな。さてと、俺らも帰るとするかな?」
「マスター、まだ話は終わっていませんよ?」
「そ、そうだったな。はは・・・ははははは」
その後、優一が家路につくのは日も暮れかける時刻だったそうな。
その日の夜、優一達が寝静まった頃合いを見計らって、一つの影がムックリと起き上がると窓を開け、夜空へと飛び立って行った・・・。
[[とっぷに戻る>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2005.html]]
「先輩!イルカがこっちを向きましたよ」
「おー、かわいいなぁ。しってたか?イルカは睡眠をとるときに脳を半分ずつ寝かせているんだ」
「そうなんですか?理系としては興味深いですね」
「そのあたりは俺はサッパリだけどな・・・」
「・・・・・あ、次のショーが始まりますよ」
気まずくなって話題をそらす由佳里、その心遣いが優一には痛かった。
電車で小一時間ほどの距離にある水族館、その一角の一番広いスペースを占める大型プールで行われている、イルカのショーを二人は見物していた。
すると突然、イルカの一頭が大ジャンプして着水、大量の水飛沫が二人に降りかかる。
「のわっ!?」
「きゃぁ!!」
「はっちゃー、ビショ濡れだな。大丈夫か?」
「どうにか・・・」
優一は暗い色の服装のためか頭が濡れた以外目立った被害は無いが、由佳里の方は白いブラウス越しに下着が透けてしまっていた。
「・・・・とりあえずこれ、羽織っとくといいよ」
「はい・・・」
そう言って彼は紅くなりながら自分の半袖ジャケットを由佳里に手渡した。
--
「フンガー!!!」
「お姉様落ち着いてください!」
「駄目だコリャ」
反対側の座席の一角、優一らが座っているちょうど反対側に八雲達がいた。
「だって、今もの凄く良い雰囲気だったでしょう!?」
「だから落ち着いてくださいって!」
怒りやら嫉妬やら負の感情で、アカツキは完全に我を失っていた。
「とにかく、見つかったら面倒だから、二人とも静かにしてくれよ・・・」
「『女の嫉妬は地獄の業火』、って言うでしょ。諦めなさいな」
頭を抱える八雲に追い打ちをかけるミコト。シラヌイは彼の気持ちが何となく判る気がした。
お天道様が南のど真ん中を通過する頃、イルカショーを見終えた二人は外のベンチで休憩を取っていた。
「えっと・・・・・・由佳里、今何時だ?腹減っちまった・・・」
「丁度十二時半ですね。実はお弁当、作って来たんですよ。先輩もどうですか?」
そう言うと由佳里は自分のバッグからゆうに五人分は有りそうな重箱を取り出したが、空腹感が既にピーク(優一の体はトコトン燃費が悪い)に達していた優一からしてみれば好都合だった。
「いよっしゃ。戴くとするかな」
「あhfhrkfじゃいおええかm!!」
「だから!いい加減にしてください!!」
一方、100メートルほど離れた植え込みの影では段々と手に負えなくなってきたアカツキをシラヌイが必死に止めようとしていた。
「手作り弁当とは・・・・やるな・・・・」
「同感」
「まさか、まさかまさかまさか、『君も食べちゃいたいよ』みたいな展開に・・・」
「「なるわけあるか!!」」
二人に気づかれない最大限の音量で突っ込むミコトとシラヌイ。いつもの敬語は何処へやら・・・。
「はふぁー」
ため息をつく八雲、辟易するのも無理は無いだろう。元来彼は他人の行動や言動を疑うことがない。よく言えば正直者、悪く言えば早とちり仕勝ちな人物だからだ。
「兎に角、二人とも後で黒崎に謝っとけよ」
気を取り直して八雲はアカツキとシラヌイに忠告すると、シラヌイは沈黙を持って了解としたが、アカツキから拒否の言葉が飛び出した。
「・・・・・・・・」
「嫌です!」
「へっ?」
「だって、私たちに相談せずに勝手に由佳里さんと出かけちゃったんですよ!後を付けない理由はありません!」
『私があの時シラを切っていればこんな事には・・・!』
内心、「しまった」と思うシラヌイ。自分の所為で優一に怪我をさせてしまったことに。
「兎にも角にも、ランチが済んだら・・・。否!今すぐにでも突撃です!!」
「あ、ちょっと!お姉様!!」
時既に遅し。どこにしまっていたのか、完全武装でアカツキは二人の元へ突貫していた。
「うん?ってえぇえ!?アカツキ!?なんでここに!?」
「マスタァアア!!覚悟ーーーー!!!」
「待て!!話せば判る!!」
「問答無用!!話す必要はありません!!!」
まるで何時ぞやに起きたクーデターを彷彿とさせるやり取りを交わしながら、数分ほど、一人と一体の一方的なドッグファイトが続いた。
ドッグファイトが終わって、悠一は肩で息をしながらアカツキ達に説明していた。
「ぜぇはっ、ぜぇはっ。だから、由佳里に誘われたって、言ってンだろ・・・!」
「だからと言って、隠し事をしていたことには変わらないじゃないですか!」
「あの・・・ごめんなさい、アカツキちゃん。私が、先輩を誘わなければ・・・・」
「そんな!由佳里さんが謝る事じゃ・・・。それに、悪いのはそれに鼻を伸ばして乗っかったマスターの方ですよ」
「だから、黙っていたのは悪かったって言ってるだろうが・・・」
「まあ、その位で良いんじゃないかな?彼にも事情が有ったって事で」
優一は内心「有り難い」と思ってしまった。八雲が間に入らなければ、延々と続いたであろう循環を止めてくれたことに。
「それはともかくとしておいて、久しぶりだな御名上。三年ぶりか?」
「ああ、二日前イギリスからね。本物のタワーブリッジはデカかった・・・」
「ミコトも連れているってことは・・・」
「そう!向こうでも、いや向こうだけでなく世界中で武装神姫は大人気さ!良い修行になったよ。・・・・・ヨーロッパチャンピオンには返り討ちにされたけど・・・」
「あれは別格だろ・・・。ともかく、今度一戦どうだ?留学に出るときは全然だったお前の腕前、どの程度か見たくなった」
「良いねぇ、それ。じゃあ、都合が付いたらすぐにでも連絡するよ」
「あいよ、またな。さてと、俺らも帰るとするかな?」
「マスター、まだ話は終わっていませんよ?」
「そ、そうだったな。はは・・・ははははは」
その後、優一が家路につくのは日も暮れかける時刻だったそうな。
その日の夜、優一達が寝静まった頃合いを見計らって、一つの影がムックリと起き上がると窓を開け、夜空へと飛び立って行った・・・。
[[第壱拾七話へ続く>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2242.html]]
[[とっぷに戻る>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2005.html]]
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: