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「『武装神姫の秘密!?』」(2010/04/06 (火) 18:21:06) の最新版変更点
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「……おいしい」
こんにちは。武装神姫、犬型ハウリンの凛です。さて私この度、初めて食事とい
うものをとる事となりました。
舞達がよく訪れているという『喫茶翠屋』さん。パン屋さんを営む傍らで営業し
ている喫茶店らしいのですが、こちらのパンケーキ。ふわふわとした食感がとて
も心地好く、口の中に入れた瞬間には圧倒的な存在感を持ちながら、次の瞬間に
は消えてしまいそうな儚さ。柔かく広がる甘みは鮮明な印象を残し、あっと言う
間に駆け抜けて行きます。食事という経験が乏しいばかりにうまくこの感動を表
現出来ないのがもどかしくて仕方ありませんが、正に幸せの味、とにかくただた
だ『おいしい』のです。
「ホントにどうなってんだ、神姫って?味覚まであるのか?」
「武装神姫、26の秘密のひとつ!なんだって。でもよかったじゃない。一緒に
おいしいって言えるでしょー?」
「ふーん。あとの25はなんなんだ?力と技の風車とか?」
夢中になってパンケーキをむさぼる私とヒカリをよそに、隼人と舞はカップを片
手に楽しそうに話しています。
先日の騒動から数日間、隼人は舞達に冷たくあしらわれ続けていました。耐えら
れなくなったらしい隼人はとうとう全面的に謝罪し、今日はその御詫びも兼ねて
ここ、翠屋で御馳走する事となり訪れた訳なのです。。
そう、先刻まではあんなに不機嫌そうだったのです。それがまぁ、随分楽しそう
だ事。って言うか改めて見るとこの二人、意外といい感じなんじゃあないでしょ
うか。
「そういやお前、髪伸びたんじゃないのか?」
「でしょー?奈々さんのマネしてみようかなーって。あ、でもあたしね、なんだか
髪細いみたいなの。気になってるんだー。さわってみてよ」
「そうか?いいんじゃねーの?綺麗だし」
舞の髪に指を滑らせる隼人。ちょっとなんですか、その雰囲気?また自然に触れ
合うじゃあないですか若い二人が。隼人もさりげなく綺麗とか言っちゃってなん
なんですか?私今初食事中なんですけどもう少し関心とか感動とかないんですか
なんなんですか?
「相変わらずうらやましいですね~、このラブラブカップルは」
またどこからともなく二人を冷やかす声。そうですか、そんなに私にケンカを売
りたいと。
「はぁ?」
隼人達より先に、私が不機嫌オーラ全開で声に応えます。どこの誰だか知りませ
んが、今の私はすこぶる機嫌が悪いですよ?
「ひぅっ!」
視線を泳がせ、あからさまに怯える小柄な少女。初めて見る方ですが、どこのど
ちら様でいらっしゃるんでしょう。
「バカ。なんで俺らがらぶらぶしなきゃならんのだ」
「そーだよ、ルナちゃん。いつも言ってるけど、あたしと隼人だよー?そんなの
ないってばー」
二人の対応を見るに、どうやら隼人達の知り合いのようです。いぶかし気な視線
を送り続ける私に気付いたのか、舞がルナさんと呼ばれた少女を紹介してくれま
した。
「この娘は北斗ルナちゃん。あたし達のクラスメイトで、この翠屋の看板娘なの
」
「へぇ。そうなんですか」
「ご、ごめんなさぃ」
不機嫌な私に余程驚いたのか、おろおろしながら謝罪を述べる彼女。段々気の毒
になってきました。その様子を見るに悪意があった訳ではないようですし、これ
は悪い事をしてしまいましたね。
「あの私、なにかしちゃいました……?」
「い、いえいえ!こちらこそすみませんでした」
深々。誠心誠意の座礼で反省の意を表します。私とした事が、隼人達の友人に対
してなんと失礼な事を。
「いぇ、そんな……?」
「こいつは凛。見ての通り俺の神姫だよ」
隼人の紹介を聞くとよくやく安堵したようで、申し訳ない気持ちを引きずる私に
「よろしくね」と柔らかな笑顔を向けてくれました。その後の談笑でもころころ
と表情を変え、その度にふわふわ揺れるツインテールが彼女の可愛らしさを際立
たせていました。多少幼く控え目な印象もありますが、穏やかな物腰の優しい方
のようです。
「ぁ、ごめんなさぃ。そろそろ戻らないと」
「お店の手伝い?大変だね」
「うぅん、私もやってて楽しいから。みんなはゆっくりしていってね」
「あ――」
改めて謝罪を述べようとした私を制すると、ルナさんは微笑みながらそっと頭を
撫でてくれました。
「凛さん。またね」
まるで私の気持ちを見透かしたような明るい笑顔。それだけで、暗い気持ちが晴
れていくようでした。
「はい!ありがとうございました」
私達に手を振り、とてとてと店の中へと駆けて行くルナさん。さりげなく伝票を
持って行くあたりも彼女の人柄を表しているのでしょう。
「可愛らしい方ですね」
「ああ、舞とは違って……痛いごめん冗談痛い」
笑顔のまま隼人の足をぐりぐりする舞。怖いです。隼人もどうなるかはわかって
いるのですから、余計な事を言わなければいいのに。
「でもいい娘でしょー?ちっちゃくて可愛いし」
「舞!あたしはー?」
「うん、ヒカリも可愛いよ」
「えへへー」
こんな風に過ごす平和な時間。マスターやその友人達と過ごすこんな時間も、私
達神姫にとってとても幸せな事なのです。こうして深められる絆が、苦しい時に
立ち上がる力になるのです。
神姫とマスター、これが私達の日常。少しずつ積み重ねていく日常なのです。
「舞ー!おかわりー!」
「まだ食うのか!?」
「あ、隼人。私もお願いします」
「……おいしい」
こんにちは。武装神姫、犬型ハウリンの凛です。さて私この度、初めて食事とい
うものをとる事となりました。
舞達がよく訪れているという『喫茶翠屋』さん。パン屋さんを営む傍らで営業し
ている喫茶店らしいのですが、こちらのパンケーキ。ふわふわとした食感がとて
も心地好く、口の中に入れた瞬間には圧倒的な存在感を持ちながら、次の瞬間に
は消えてしまいそうな儚さ。柔かく広がる甘みは鮮明な印象を残し、あっと言う
間に駆け抜けて行きます。食事という経験が乏しいばかりにうまくこの感動を表
現出来ないのがもどかしくて仕方ありませんが、正に幸せの味、とにかくただた
だ『おいしい』のです。
「ホントにどうなってんだ、神姫って?味覚まであるのか?」
「武装神姫、26の秘密のひとつ!なんだって。でもよかったじゃない。一緒に
おいしいって言えるでしょー?」
「ふーん。あとの25はなんなんだ?力と技の風車とか?」
夢中になってパンケーキをむさぼる私とヒカリをよそに、隼人と舞はカップを片
手に楽しそうに話しています。
先日の騒動から数日間、隼人は舞達に冷たくあしらわれ続けていました。耐えら
れなくなったらしい隼人はとうとう全面的に謝罪し、今日はその御詫びも兼ねて
ここ、翠屋で御馳走する事となり訪れた訳なのです。。
そう、先刻まではあんなに不機嫌そうだったのです。それがまぁ、随分楽しそう
だ事。って言うか改めて見るとこの二人、意外といい感じなんじゃあないでしょ
うか。
「そういやお前、髪伸びたんじゃないのか?」
「でしょー?ちょっと奈々さんのマネしてみようかなーって。あ、でもあたしね
、なんだか髪細いみたいなの。気になってるんだー。さわってみてよ」
「そうか?いいんじゃねーの?綺麗だし」
舞の髪に指を滑らせる隼人。ちょっとなんですか、その雰囲気?また自然に触れ
合うじゃあないですか若い二人が。隼人もさりげなく綺麗とか言っちゃってなん
なんですか?私今初食事中なんですけどもう少し関心とか感動とかないんですか
なんなんですか?
「相変わらずうらやましいですね~、このラブラブカップルは」
またどこからともなく二人を冷やかす声。そうですか、そんなに私にケンカを売
りたいと。
「はぁ?」
隼人達より先に、私が不機嫌オーラ全開で声に応えます。どこの誰だか知りませ
んが、今の私はすこぶる機嫌が悪いですよ?
「ひぅっ!」
視線を泳がせ、あからさまに怯える小柄な少女。初めて見る方ですが、どこのど
ちら様でいらっしゃるんでしょう。
「バカ。なんで俺らがらぶらぶしなきゃならんのだ」
「そーだよ、ルナちゃん。いつも言ってるけど、あたしと隼人だよー?そんなの
ないってばー」
二人の対応を見るに、どうやら隼人達の知り合いのようです。いぶかし気な視線
を送り続ける私に気付いたのか、舞がルナさんと呼ばれた少女を紹介してくれま
した。
「この娘は北斗ルナちゃん。あたし達のクラスメイトで、この翠屋の看板娘なの
」
「へぇ。そうなんですか」
「ご、ごめんなさぃ」
不機嫌な私に余程驚いたのか、おろおろしながら謝罪を述べる彼女。段々気の毒
になってきました。その様子を見るに悪意があった訳ではないようですし、これ
は悪い事をしてしまいましたね。
「あの私、なにかしちゃいました……?」
「い、いえいえ!こちらこそすみませんでした」
深々。誠心誠意の座礼で反省の意を表します。私とした事が、隼人達の友人に対
してなんと失礼な事を。
「いぇ、そんな……?」
「こいつは凛。見ての通り俺の神姫だよ」
隼人の紹介を聞くとよくやく安堵したようで、申し訳ない気持ちを引きずる私に
「よろしくね」と柔らかな笑顔を向けてくれました。その後の談笑でもころころ
と表情を変え、その度にふわふわ揺れるツインテールが彼女の可愛らしさを際立
たせていました。多少幼く控え目な印象もありますが、穏やかな物腰の優しい方
のようです。
「ぁ、ごめんなさぃ。そろそろ戻らないと」
「お店の手伝い?大変だね」
「うぅん、私もやってて楽しいから。みんなはゆっくりしていってね」
「あ――」
改めて謝罪を述べようとした私を制すると、ルナさんは微笑みながらそっと頭を
撫でてくれました。
「凛さん。またね」
まるで私の気持ちを見透かしたような明るい笑顔。それだけで、暗い気持ちが晴
れていくようでした。
「はい!ありがとうございました」
私達に手を振り、とてとてと店の中へと駆けて行くルナさん。さりげなく伝票を
持って行くあたりも彼女の人柄を表しているのでしょう。
「可愛らしい方ですね」
「ああ、舞とは違って……痛いごめん冗談痛い」
笑顔のまま隼人の足をぐりぐりする舞。怖いです。隼人もどうなるかはわかって
いるのですから、余計な事を言わなければいいのに。
「でもいい娘でしょー?ちっちゃくて可愛いし」
「舞!あたしはー?」
「うん、ヒカリも可愛いよ」
「えへへー」
こんな風に過ごす平和な時間。マスターやその友人達と過ごすこんな時間も、私
達神姫にとってとても幸せな事なのです。こうして深められる絆が、苦しい時に
立ち上がる力になるのです。
神姫とマスター、これが私達の日常。少しずつ積み重ねていく日常なのです。
「舞ー!おかわりー!」
「まだ食うのか!?」
「あ、隼人。私もお願いします」
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