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「第十二話 闘いの時ですわ」(2010/01/25 (月) 23:40:28) の最新版変更点
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営業時間が終了し一般客のいなくなった仙石神姫センター、その裏口にクロエとエリアーデそして立会人として晶とサイファが居た。
「今日はありがとう。悪いなワガママを聞いてもらって」
クロエが礼を言うのは神姫センターの店長である神崎=美咲(かんざきみさき)だ。ウェーブの掛った栗色の長い髪、細く鋭い目には細いフレームレスのメガネ、紅い唇で銜えているのは火をつけたばかりの煙草、ほっそりとした身体に立派な胸そうとても立派な胸をした若くして店長を務めているとは思えない。この間のハロウィンパーティーでコスプレして司会を務めていた人だ。
ワガママと言うのはリオラとのバトルロンドの事、普通なら営業中に来てバトルロンドをすれば良いのだがリオラもクロエも今回のバトルは私怨によるものが大きい為人に見られるのを嫌い、無理を言って営業終了後の店を借りたのだ。
「別に良いよ。イベント手伝ってもらったし、それにあのワールドクィーンのバトルが見られるなら安いもんだよ。まぁ外では何だし歩きながら話そっか」
営業中と比べ明りが半分落ちた廊下を歩きだす。
「そんなこと言って本当はお客さん入れたかったんじゃないですか?」
晶の指摘にバレたかと笑う美咲、商売に繋がりそうな事は鼻の利く根っからの商売人である。
「まぁ本当の事言うとそうだよね。なんせ拳様と現ワールドクィーンのバトルロンドだものお金は取らなくてもお客さんは呼び込めるマッチメイクだよね」
本当に残念そうな顔をしている。
「そうか?エリアーデの戦歴は中の上位でそんなに目立つようなものではないと思うんだけど?」
「知らぬは本人だけか」
「ですね」
晶が肯き、美咲が「ふ~っ」と灰色の煙を吐き出すと短くなった煙草を携帯灰皿へとしまう
「え?」
「戦歴は関係ないよ。エリアーデちゃん結構人気あるんだよね、お嬢様っぽい喋り方にツンデレな性格。それに戦歴は関係ないって言ったけど白兵戦じゃほとんど負け無しじゃない。謙遜するなよ」
「いや、でも」
「クロエあんまり謙遜し過ぎるなよ。過剰な謙遜は嫌味にしか見えない、それにエリアーデちゃんだけじゃない君の技術力だって相当なものじゃない、なのにあんな人目に付かないような場所に店を出して君は商売をする気があるのかい?」
的を射ている言葉と美咲の真剣な眼差しにクロエは目を逸らすことしかできなかった。
「・・・まぁ、言いたくないなら良いよ、自覚はあるみたいだし私も問い詰めるつもりもないから、しかし君も色々と大変だね」
「大変?」
「またまたとぼけちゃって、彼女・・・リオラちゃんのこと。そうでしょ?ワールドクィーンがただの神姫オーナーを名指しでバトルロンド申し込むなんてあり得ないでしょ?」
沈黙、クロエは美咲の言葉に何も答えない。何か知っているだろう晶に視線を移したが黙りこんでいる。美咲がクロエと知り合ったのは数年前、クロエが日本に帰ってきた時からの付き合いだが、ある一定のラインで他人をシャットアウトする癖がある。
「・・・また沈黙か、沈黙は金とも言うしね。おっと着いたね」
リオラとネメシスが待っている部屋までの所でクロエが立ち止まった。
「ん?どうした?」
「クロエさん?」
「神崎、詳しくは話せないけど僕は過去の因縁にケリをつけにきたんだ」
いつものどこかはぐらかす様なクロエのまっすぐな瞳、数年の付き合いだがこんなクロエを見たのは初めてだった。
「・・・因縁・・・ね。まぁがんばんなよ」
クロエの背中を思い切り叩く。
「痛!」
「ク、クロエさん!?」
晶の心配そうな声に手を上げて無事を伝える。
「そんなに痛がる事無いだろ」
「事実痛いんだよ。まったく・・・・・でもまぁがんばるよ」
バーチャルルームに着くとリオラとネメシスが待っていた。
「逃げずによく来ましたねニイサン」
クロエと会うなりリオラが皮肉交じりに言う。
「もう逃げないさ、過去との因縁はもう断たなくちゃいけない」
クロエの因縁を断つと言う言葉にリオラが睨む
「過去との因縁?姉さんを過去に・・・忘れるつもりですか?」
「そうじゃない!僕はっ」
「もういい!言い訳は聞きたくないです」
言いだす前に拒絶するリオラ、その心にはかつて憧れていたクロエに対する思い以上の憎しみや怒りが渦巻いていた。危険な狂気が宿った目にクロエにもう何も言えなかった。昔はこんな目をするような子ではなかった。いつも姉の周りを小動物のようにチョロチョロ動き回っていた笑顔の絶えない子だったのに
「・・・リオラ・・・」
「ニイサン覚えていますか?この勝負に私が勝ったら・・・」
リオラとの勝負に負けた条件はクロエ達が旗揚げした神姫チーム『オルデン』に戻る事
「あぁ分かっている。僕が、エリアーデがネメシスに負けたら君の言う通り、『オルデン』に戻るよ」
「何を言っているんですか?『オルデン』に戻るだけじゃありませんよ。国に戻って来てもらいますよ」
「そんな条件飲める筈ないじゃない!」
余りに理不尽とも言えるリオラの条件にクロエの隣に居た晶が声を上げた。
「黙れ!アンタなんかに聞いてない。ニイサンその女は何ですか?この勝負は私とニイサンの問題じゃないですか、何で関係ない人を連れてくるんですか?まさか」
「違う。彼女は関係あるよ。彼女は僕の大事な人だ」
「え?」
「な!?」
大事な人、その一言に晶とリオラが驚いた。リオラは固まり、晶は顔を林檎の様に真っ赤にして何かを呟いている。
「ん?」
何か自分は不味い事を言ったのだろうか?自分をここに立つ決意をさせてくれた晶は大事な恩人だ。
不思議そうに首をひねるクロエにエリアーデがツッコむ
「クロエ、言い回しが不味いですわね。それでは勘違いするのも無理はないですわ」
エリアーデに言われクロエが考える。
「ん~~?・・・あっ!いや違いますよ!そういう意味ではなくて晶さんは僕をここに立たせてくれた人という意味で・・・」
「ここを勃たせた!?どういう意味ですか!」
「字も何もかも違う!」
「ナニをどうしたんですか!?」
詰め寄るリオラに困るクロエ、晶は顔を赤くして固まっている。
「あ~もう!君は何を言っているんだ!僕と晶さんはリオラが考えているような間柄じゃない!それよりもバトルをするんじゃないのか!?」
「そうでしたね。よく考えればニイサンがあんな発育不良になびくはずがないですよね」
リオラが晶のお世辞にもあるとは言えない胸を見て言い放つ。発育不良と言われた胸を腕で隠すようにリオラの目から少しでも見えないようにする晶、確かに平均と比べれば胸は無い方だろうしかし、晶の思い人であるクロエはそんなことで判断しないはずだ。そう信じている。
「胸だけが全てじゃない!そうですよね!?クロエさん!」
鬼気迫る晶の問いに素早く何度も肯くクロエ
「えぇ」
その一言にほっと胸をなで下ろす晶。ふと美咲の方を見てみると、よほどクロエ達のやり取りが可笑しかったらしい腹を抱えて笑っていた。
「それよりリオラ、バトルをするんだろう。条件は?」
「そうでした。バトルの条件はリアルバトル、バトル中はお互いの神姫と通信する事は不可、こちらの条件はこんなものでしょうかね。ニイサンの条件は?」
「通信できないのは痛いな、それなら制限時間は5分だ。短期決戦はネメシスも得意だろう?」
ネメシスが静かに肯く。
もちろん制限時間はエリアーデが全力を出してもエネルギー切れを起こす事のない時間としてエリアーデの為に出した条件だが、これが功を奏すかは分からない、なぜならネメシスも短期決戦を得意とするからだ。
「それじゃいきましょうか」
♦
バトル形式:リアルバトル バトルステージ:ザ・サバイバル(密林)
熱帯のジャングルをイメージした緑生い茂る密林、悪魔のような重装備を纏うエリアーデが歩くたび足元が沈む。
「このステージは嫌いですわ」
湿気を多分に含んだ空気、歩くたび長く伸びた草が身体のあちこちにまとわりついてくる。エリアーデの不快指数はグングン上昇していく
「もう!泥が付きましたわ!アッまた、ジメジメして熱いし、もう・・・お風呂に入りたいですわ」
「風呂か、私は冷たいシャワーを浴びたいものだな」
エリアーデが声のした方を振り向く。
エリアーデが声のした方を振り向く。
風にたなびく腰まで伸びた薄紫の髪、見つめるは金色の瞳、手には一振りの片刃の剣、ネメシスだ。
距離はわずか1mにも満たない距離、どうやってここまで侵入してきた?気配もセンサー類のどれも引っ掛からなかった。どんなに鈍い神姫でもこの距離で声を掛けられるまで気付かないわけが無い。
ネメシスが近づいてくる。一歩一歩草を踏む音が聞こえる、聴覚に異常はない。姿だってちゃんと見えている、視覚にも異常はない。ならば何故許した?
エリアーデが自問自答するが明確な答えが見出せない。
「不思議そうな顔をしているな、しかし見れば見るほど我が妹ながら似ていないな」
皮肉ともとれる妹という言葉にエリアーデが眉を顰めた。
「妹?あなたは冗談を言わないと聞いていたのですけど、つまらない冗談は言うんですのね」
「冗談?冗談などではないさ、私達は姉妹だよ。同じ身体を持つ、同じ親にしてマスターを持つ姉妹だ」
「私があなたと同じ身体?私があなたと同じ兵器モドキですって・・・許せない」
エリアーデの心に怒りが込み上げてきた。固く握られる手、それと連動するようにチーグル改の四つの手も握られる
「・・・許しませんわ!」
エリアーデがネメシスとの距離を一気に詰めチーグル改で殴りかかった。
「危ないな」
四本あるチーグル改の連続攻撃を難なくかわすネメシス
「つまらない冗談は聞き飽きましたわ!私が兵器モドキですって、そんな優雅さの欠片もない野蛮な兵器と一緒にしないで!!」
営業時間が終了し一般客のいなくなった仙石神姫センター、その裏口にクロエとエリアーデそして立会人として晶とサイファが居た。
「今日はありがとう。悪いなワガママを聞いてもらって」
クロエが礼を言うのは神姫センターの店長である神崎=美咲(かんざきみさき)だ。ウェーブの掛った栗色の長い髪、細く鋭い目には細いフレームレスのメガネ、紅い唇で銜えているのは火をつけたばかりの煙草、ほっそりとした身体に立派な胸そうとても立派な胸をした若くして店長を務めているとは思えない。この間のハロウィンパーティーでコスプレして司会を務めていた人だ。
ワガママと言うのはリオラとのバトルロンドの事、普通なら営業中に来てバトルロンドをすれば良いのだがリオラもクロエも今回のバトルは私怨によるものが大きい為人に見られるのを嫌い、無理を言って営業終了後の店を借りたのだ。
「別に良いよ。イベント手伝ってもらったし、それにあのワールドクィーンのバトルが見られるなら安いもんだよ。まぁ外では何だし歩きながら話そっか」
営業中と比べ明りが半分落ちた廊下を歩きだす。
「そんなこと言って本当はお客さん入れたかったんじゃないですか?」
晶の指摘にバレたかと笑う美咲、商売に繋がりそうな事は鼻の利く根っからの商売人である。
「まぁ本当の事言うとそうだよね。なんせ拳様と現ワールドクィーンのバトルロンドだものお金は取らなくてもお客さんは呼び込めるマッチメイクだよね」
本当に残念そうな顔をしている。
「そうか?エリアーデの戦歴は中の上位でそんなに目立つようなものではないと思うんだけど?」
「知らぬは本人だけか」
「ですね」
晶が肯き、美咲が「ふ~っ」と灰色の煙を吐き出すと短くなった煙草を携帯灰皿へとしまう
「え?」
「戦歴は関係ないよ。エリアーデちゃん結構人気あるんだよね、お嬢様っぽい喋り方にツンデレな性格。それに戦歴は関係ないって言ったけど白兵戦じゃほとんど負け無しじゃない。謙遜するなよ」
「いや、でも」
「クロエあんまり謙遜し過ぎるなよ。過剰な謙遜は嫌味にしか見えない、それにエリアーデちゃんだけじゃない君の技術力だって相当なものじゃない、なのにあんな人目に付かないような場所に店を出して君は商売をする気があるのかい?」
的を射ている言葉と美咲の真剣な眼差しにクロエは目を逸らすことしかできなかった。
「・・・まぁ、言いたくないなら良いよ、自覚はあるみたいだし私も問い詰めるつもりもないから、しかし君も色々と大変だね」
「大変?」
「またまたとぼけちゃって、彼女・・・リオラちゃんのこと。そうでしょ?ワールドクィーンがただの神姫オーナーを名指しでバトルロンド申し込むなんてあり得ないでしょ?」
沈黙、クロエは美咲の言葉に何も答えない。何か知っているだろう晶に視線を移したが黙りこんでいる。美咲がクロエと知り合ったのは数年前、クロエが日本に帰ってきた時からの付き合いだが、ある一定のラインで他人をシャットアウトする癖がある。
「・・・また沈黙か、沈黙は金とも言うしね。おっと着いたね」
リオラとネメシスが待っている部屋までの所でクロエが立ち止まった。
「ん?どうした?」
「クロエさん?」
「神崎、詳しくは話せないけど僕は過去の因縁にケリをつけにきたんだ」
いつものどこかはぐらかす様なクロエのまっすぐな瞳、数年の付き合いだがこんなクロエを見たのは初めてだった。
「・・・因縁・・・ね。まぁがんばんなよ」
クロエの背中を思い切り叩く。
「痛!」
「ク、クロエさん!?」
晶の心配そうな声に手を上げて無事を伝える。
「そんなに痛がる事無いだろ」
「事実痛いんだよ。まったく・・・・・でもまぁがんばるよ」
バーチャルルームに着くとリオラとネメシスが待っていた。
「逃げずによく来ましたねニイサン」
クロエと会うなりリオラが皮肉交じりに言う。
「もう逃げないさ、過去との因縁はもう断たなくちゃいけない」
クロエの因縁を断つと言う言葉にリオラが睨む
「過去との因縁?姉さんを過去に・・・忘れるつもりですか?」
「そうじゃない!僕はっ」
「もういい!言い訳は聞きたくないです」
言いだす前に拒絶するリオラ、その心にはかつて憧れていたクロエに対する思い以上の憎しみや怒りが渦巻いていた。危険な狂気が宿った目にクロエにもう何も言えなかった。昔はこんな目をするような子ではなかった。いつも姉の周りを小動物のようにチョロチョロ動き回っていた笑顔の絶えない子だったのに
「・・・リオラ・・・」
「ニイサン覚えていますか?この勝負に私が勝ったら・・・」
リオラとの勝負に負けた条件はクロエ達が旗揚げした神姫チーム『オルデン』に戻る事
「あぁ分かっている。僕が、エリアーデがネメシスに負けたら君の言う通り、『オルデン』に戻るよ」
「何を言っているんですか?『オルデン』に戻るだけじゃありませんよ。国に戻って来てもらいますよ」
「そんな条件飲める筈ないじゃない!」
余りに理不尽とも言えるリオラの条件にクロエの隣に居た晶が声を上げた。
「黙れ!アンタなんかに聞いてない。ニイサンその女は何ですか?この勝負は私とニイサンの問題じゃないですか、何で関係ない人を連れてくるんですか?まさか」
「違う。彼女は関係あるよ。彼女は僕の大事な人だ」
「え?」
「な!?」
大事な人、その一言に晶とリオラが驚いた。リオラは固まり、晶は顔を林檎の様に真っ赤にして何かを呟いている。
「ん?」
何か自分は不味い事を言ったのだろうか?自分をここに立つ決意をさせてくれた晶は大事な恩人だ。
不思議そうに首をひねるクロエにエリアーデがツッコむ
「クロエ、言い回しが不味いですわね。それでは勘違いするのも無理はないですわ」
エリアーデに言われクロエが考える。
「ん~~?・・・あっ!いや違いますよ!そういう意味ではなくて晶さんは僕をここに立たせてくれた人という意味で・・・」
「ここを勃たせた!?どういう意味ですか!」
「字も何もかも違う!」
「ナニをどうしたんですか!?」
詰め寄るリオラに困るクロエ、晶は顔を赤くして固まっている。
「あ~もう!君は何を言っているんだ!僕と晶さんはリオラが考えているような間柄じゃない!それよりもバトルをするんじゃないのか!?」
「そうでしたね。よく考えればニイサンがあんな発育不良になびくはずがないですよね」
リオラが晶のお世辞にもあるとは言えない胸を見て言い放つ。発育不良と言われた胸を腕で隠すようにリオラの目から少しでも見えないようにする晶、確かに平均と比べれば胸は無い方だろうしかし、晶の思い人であるクロエはそんなことで判断しないはずだ。そう信じている。
「胸だけが全てじゃない!そうですよね!?クロエさん!」
鬼気迫る晶の問いに素早く何度も肯くクロエ
「えぇ」
その一言にほっと胸をなで下ろす晶。ふと美咲の方を見てみると、よほどクロエ達のやり取りが可笑しかったらしい腹を抱えて笑っていた。
「それよりリオラ、バトルをするんだろう。条件は?」
「そうでした。バトルの条件はリアルバトル、バトル中はお互いの神姫と通信する事は不可、こちらの条件はこんなものでしょうかね。ニイサンの条件は?」
「通信できないのは痛いな、それなら制限時間は5分だ。短期決戦はネメシスも得意だろう?」
ネメシスが静かに肯く。
もちろん制限時間はエリアーデが全力を出してもエネルギー切れを起こす事のない時間としてエリアーデの為に出した条件だが、これが功を奏すかは分からない、なぜならネメシスも短期決戦を得意とするからだ。
「それじゃいきましょうか」
♦
バトル形式:リアルバトル バトルステージ:ザ・サバイバル(密林)
熱帯のジャングルをイメージした緑生い茂る密林、悪魔のような重装備を纏うエリアーデが歩くたび足元が沈む。
「このステージは嫌いですわ」
湿気を多分に含んだ空気、歩くたび長く伸びた草が身体のあちこちにまとわりついてくる。エリアーデの不快指数はグングン上昇していく
「もう!泥が付きましたわ!アッまた、ジメジメして熱いし、もう・・・お風呂に入りたいですわ」
「風呂か、私は冷たいシャワーを浴びたいものだな」
エリアーデが声のした方を振り向く。
エリアーデが声のした方を振り向く。
風にたなびく腰まで伸びた薄紫の髪、見つめるは金色の瞳、手には一振りの片刃の剣、ネメシスだ。距離はわずか1mにも満たない距離、どうやってここまで侵入してきた?気配もセンサー類のどれも引っ掛からなかった。どんなに鈍い神姫でもこの距離で声を掛けられるまで気付かないわけが無い。
ネメシスが近づいてくる。一歩一歩草を踏む音が聞こえる、聴覚に異常はない。姿だってちゃんと見えている、視覚にも異常はない。ならば何故許した?
エリアーデが自問自答するが明確な答えが見出せない。
「不思議そうな顔をしているな、しかし見れば見るほど我が妹ながら似ていないな」
皮肉ともとれる妹という言葉にエリアーデが眉を顰めた。
「妹?あなたは冗談を言わないと聞いていたのですけど、つまらない冗談は言うんですのね」
「冗談?冗談などではないさ、私達は姉妹だよ。同じ身体を持つ、同じ親にしてマスターを持つ姉妹だ」
「私があなたと同じ身体?私があなたと同じ兵器モドキですって・・・許せない」
エリアーデの心に怒りが込み上げてきた。固く握られる手、それと連動するようにチーグル改の四つの手も握られる
「・・・許しませんわ!」
エリアーデがネメシスとの距離を一気に詰めチーグル改で殴りかかった。
「危ないな」
四本あるチーグル改の連続攻撃を難なくかわすネメシス
「つまらない冗談は聞き飽きましたわ!私が兵器モドキですって、そんな優雅さの欠片もない野蛮な兵器と一緒にしないで!!」
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