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「オワリとハジマリ その4」(2009/09/12 (土) 21:59:06) の最新版変更点
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リオーネ、ヤクトと零との戦闘より少し前、バグに追い詰められたヤイバとヨツンヘイムは、覚悟を決めていた。
「あと少し、力及ばず…ですね…」
「すまない、私さえこんなことにならなければ…」
ヨツンは、バグとの戦闘で痛手を負っていた。それを知ってヤイバは彼女をかばうように戦っていたのだ。しかし、それも限界だった。
「もう少し時間を稼げれば何とかなったのですが、もう遅いみたいです。もう百雷も走れなくなってしまいましたし…」
ヤイバはヨツンに謝罪した。
「でも、最後まであきらないで。さっきの通信で援軍が来るっていう話があったじゃない」
ヨツンはあらかじめ凛花に援軍を呼ぶように頼んでいた。しかし、その援軍は遅れているのか、いまだに到着していない。
バグの集団は少しずつ二人のそばに近づいていく。もはや、やられるのも時間の問題だろう。
「…ヨツンさん、最後のあがきでもして見ましょうか」
ヤイバはゆっくりと立ち上がり、破邪顕正を構えた。
「どうせここでやられるなら、何もしないよりましよね」
ヨツンも先の折れたランスを構える。そして、二人は顔をあわせると、バグ軍団に向けて攻撃態勢をとった。
そのとき、どこからか爆発音が鳴り響いた。
「な、何がおきた?!」
爆発の発生源は、ヨツンたちが侵入した場所からだった。バグたちは爆発により次々と破壊されていった。
「…来たみたいね、援軍が」
「でも、いったい誰が来たのでしょう?」
その瞬間、甲高い声がフィールド内に響き渡った。
「衝撃のサンダーブリッド!!!」
放たれた電流が次々とバグを襲い、消滅していく。さっきまで大量にいたはずのバグは、ほとんど姿を消していた。
「それにしてもすごいですね、大量のバグを退治するなんて」
「ここまでできるなんて、かなりの実力ね」
あっけにとられる二人の前に、援軍らしき人物が二人姿を現した。
「お待ちどうさま、援軍ただいま到着いたしました」
「ヨツンさん、ヤイバさん、ご無事でしたか?」
その二人とは、白いアーマーに身を包んだアスティと、新型ユニットを装着したカウベルだった。
「二人とも、傷のほうは大丈夫なんですか?」
「完全復活とはいえませんけれど、これくらいなら十分大丈夫です」
「ヤイバさんたちはフィールドの外に出て帰還してください、今なら脱出できるはずです」
二人はダメージを受けているヤイバとヨツンに脱出するように進めた。
「分かった、私たちはエリア外に出ることにしよう」
「でも気をつけてください、奥ではリオーネさんたちが零と戦っていますから」
ヤイバとヨツンは無言でうなずくと、プチマシンの誘導でエリアの外へ脱出した。
「さあ、早く行きましょう」
アスティとカウベルは中心部へ脚を急がせた。
*オワリとハジマリ その4
零が去ったエリアで、ヤクトは動かなくなったリオーネを抱きかかえていた。
「おい、しっかりしろ。こんなところでやられるような奴じゃないだろ、お前は…」
リオーネの腹部には、零が貫いた傷跡が痛々しく残る。そのせいなのか、リオーネはぴくりとも動く気配はなかった。
「…このまま死んだらおいらとの約束はどうなるんだよ…」
そのとき、リオーネの目がうっすらと開いた。
「…おい、勝手に、殺すな…」
苦しそうだが何とか力を振り絞ってヤクトに話しかけるリオーネ。どうやら致命傷だけは避けられたようだ。
「だ、大丈夫か、お前、さっき貫かれたんじゃ…」
「ふ、腹部を貫かれただけだ、CSCまで、破壊されたわけではない。だ、だが、今の状態、無事とはいえないけれど、な…」
相棒の無事を喜ぶヤクト。しかし、今のリオーネはダメージが大きく、あと数十分で活動を停止してしまう。もはや油断を許さない状態だった。
「とにかく早いところエリアの外に出ようぜ、このままじゃお前が大変なことに…」
しかしリオーネはそれを拒否した。
「いや、お前はこのまま零を追え」
「でもリオーネ、お前は…」
「お前の忠告はありがたい。しかし、今は一刻を争う状態にある。零の野望をとめないと世界は闇に沈んでしまう」
震える腕でヤクトの肩をつかもうとするリオーネ。ヤクトはその手を握り返した。
「…分かった、けどリオーネ、こんなところで死ぬんじゃねえぞ。この戦いが終わったら勝負するんだからな」
ヤクトは約束を交わすと不動に乗り込み、零の後を追っていった。
「…勝負か…、お前らしい…」
零の後を追うヤクトと不動の後ろ姿を見守りながら、リオーネは静かにまぶたを閉じた。
それからどのくらいに時間が経過したのだろうか、リオーネはどこかで聞いた声で目を覚ました。
(…リオーネ、リオーネ…)
この懐かしい声は…。
「じ、自分は……?!」
とっさに身体を起こそうとするリオーネ。しかしその瞬間、傷の痛みが身体の自由を奪った。
「危なかった、あと少しで命を落とすところでした」
目の前には心配そうにしているアスティの顔があった。
「…アスティ…、どうしてこんなところに…」
「パートナーのピンチにいてもたってもいられなかったんですよ、とはいえ、私も同じなんですけどね」
隣に座っているカウベルが答える。その脇には外付けのバッテリーユニットが置いてあり、電源コードが自分の腹部に接続してあった。
「…また助けられたか」
「え?」
「…いや、なんでもない」
バッテリーが節電モードに入る。その瞬間、リオーネは深い眠りについた。
「省電力モード、設定完了。これで研究所までは持ちますよ」
設定を終えたカウベルは自分のマシンに乗り込んだ。
「それでは私はヤクトを追います。アスティさんはリオーネさんを安全な場所に」
「後は任せてください。リオーネを運んだら必ず応援に行きますから」
安心して眠っているパートナーの顔を見て、アスティは少しほっとした表情になった。
「…助けられたのはわたくしのほうです。前の作戦のとき、あなたのとっさの判断で危機を脱することができたのですから。意識が回復するまで時間がかかりましたが、これからはわたくしが貴方の代わりに戦います。ですから、もう心配しなくてもいいのですよ」
アスティは休止状態のリオーネを後部座席に乗せ、エリアを後にした。
<以下執筆中>
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リオーネ、ヤクトと零との戦闘より少し前、バグに追い詰められたヤイバとヨツンヘイムは、覚悟を決めていた。
「あと少し、力及ばず…ですね…」
「すまない、私さえこんなことにならなければ…」
ヨツンは、バグとの戦闘で痛手を負っていた。それを知ってヤイバは彼女をかばうように戦っていたのだ。しかし、それも限界だった。
「もう少し時間を稼げれば何とかなったのですが、もう遅いみたいです。もう百雷も走れなくなってしまいましたし…」
ヤイバはヨツンに謝罪した。
「でも、最後まであきらないで。さっきの通信で援軍が来るっていう話があったじゃない」
ヨツンはあらかじめ凛花に援軍を呼ぶように頼んでいた。しかし、その援軍は遅れているのか、いまだに到着していない。
バグの集団は少しずつ二人のそばに近づいていく。もはや、やられるのも時間の問題だろう。
「…ヨツンさん、最後のあがきでもして見ましょうか」
ヤイバはゆっくりと立ち上がり、破邪顕正を構えた。
「どうせここでやられるなら、何もしないよりましよね」
ヨツンも先の折れたランスを構える。そして、二人は顔をあわせると、バグ軍団に向けて攻撃態勢をとった。
そのとき、どこからか爆発音が鳴り響いた。
「な、何がおきた?!」
爆発の発生源は、ヨツンたちが侵入した場所からだった。バグたちは爆発により次々と破壊されていった。
「…来たみたいね、援軍が」
「でも、いったい誰が来たのでしょう?」
その瞬間、甲高い声がフィールド内に響き渡った。
「衝撃のサンダーブリッド!!!」
放たれた電流が次々とバグを襲い、消滅していく。さっきまで大量にいたはずのバグは、ほとんど姿を消していた。
「それにしてもすごいですね、大量のバグを退治するなんて」
「ここまでできるなんて、かなりの実力ね」
あっけにとられる二人の前に、援軍らしき人物が二人姿を現した。
「お待ちどうさま、援軍ただいま到着いたしました」
「ヨツンさん、ヤイバさん、ご無事でしたか?」
その二人とは、白いアーマーに身を包んだアスティと、新型ユニットに搭乗したカウベルだった。
「二人とも、傷のほうは大丈夫なんですか?」
「完全復活とはいえませんけれど、これくらいなら十分大丈夫です」
「ヤイバさんたちはフィールドの外に出て帰還してください、今なら脱出できるはずです」
二人はダメージを受けているヤイバとヨツンに脱出するように進めた。
「分かった、私たちはエリア外に出ることにしよう」
「でも気をつけてください、奥ではリオーネさんたちが零と戦っていますから」
ヤイバとヨツンは無言でうなずくと、プチマシンの誘導でエリアの外へ脱出した。
「さあ、早く行きましょう」
アスティとカウベルは中心部へ脚を急がせた。
*オワリとハジマリ その4
零が去ったエリアで、ヤクトは動かなくなったリオーネを抱きかかえていた。
「おい、しっかりしろ。こんなところでやられるような奴じゃないだろ、お前は…」
リオーネの腹部には、零が貫いた傷跡が痛々しく残る。そのせいなのか、リオーネはぴくりとも動く気配はなかった。
「…このまま死んだらおいらとの約束はどうなるんだよ…」
そのとき、リオーネの目がうっすらと開いた。
「…おい、勝手に、殺すな…」
苦しそうだが何とか力を振り絞ってヤクトに話しかけるリオーネ。どうやら致命傷だけは避けられたようだ。
「だ、大丈夫か、お前、さっき貫かれたんじゃ…」
「ふ、腹部を貫かれただけだ、CSCまで、破壊されたわけではない。だ、だが、今の状態、無事とはいえないけれど、な…」
相棒の無事を喜ぶヤクト。しかし、今のリオーネはダメージが大きく、あと数十分で活動を停止してしまう。もはや油断を許さない状態だった。
「とにかく早いところエリアの外に出ようぜ、このままじゃお前が大変なことに…」
しかしリオーネはそれを拒否した。
「いや、お前はこのまま零を追え」
「でもリオーネ、お前は…」
「お前の忠告はありがたい。しかし、今は一刻を争う状態にある。零の野望をとめないと世界は闇に沈んでしまう」
震える腕でヤクトの肩をつかもうとするリオーネ。ヤクトはその手を握り返した。
「…分かった、けどリオーネ、こんなところで死ぬんじゃねえぞ。この戦いが終わったら勝負するんだからな」
ヤクトは約束を交わすと不動に乗り込み、零の後を追っていった。
「…勝負か…、お前らしい…」
零の後を追うヤクトと不動の後ろ姿を見守りながら、リオーネは静かにまぶたを閉じた。
それからどのくらいに時間が経過したのだろうか、リオーネはどこかで聞いた声で目を覚ました。
(…リオーネ、リオーネ…)
この懐かしい声は…。
「じ、自分は……?!」
とっさに身体を起こそうとするリオーネ。しかしその瞬間、傷の痛みが身体の自由を奪った。
「危なかった、あと少しで命を落とすところでした」
目の前には心配そうにしているアスティの顔があった。
「…アスティ…、どうしてこんなところに…」
「パートナーのピンチにいてもたってもいられなかったんですよ、とはいえ、私も同じなんですけどね」
隣に座っているカウベルが答える。その脇には外付けのバッテリーユニットが置いてあり、電源コードが自分の腹部に接続してあった。
「…また助けられたか」
「え?」
「…いや、なんでもない」
バッテリーが節電モードに入る。その瞬間、リオーネは深い眠りについた。
「省電力モード、設定完了。これで研究所までは持ちますよ」
設定を終えたカウベルは自分のマシンに乗り込んだ。
「それでは私はヤクトを追います。アスティさんはリオーネさんを安全な場所に」
「後は任せてください。リオーネを運んだら必ず応援に駆けつけますから」
ヤクトの元へと走るカウベルを見送ったアスティは、安心して眠っているパートナーの顔を見た。その瞬間、アスティは少しほっとした表情になった。
「…助けられたのはわたくしのほうです。前の作戦のとき、あなたのとっさの判断で危機を脱することができたのですから。意識が回復するまで時間がかかりましたが、これからはわたくしが貴方の代わりに戦います。ですから、もう心配しなくてもいいのですよ」
アスティは休止状態のリオーネを後部座席に乗せ、エリアを後にした。
そのころ、零の後を追うヤクトと不動は、なんとか零に追いつこうとしていた。
「んなろぉ、仮面野郎め、早すぎて後を追いかけるのがやっとだ」
「やくと、ソンナニ熱クナルコトナイ。零ハソレヲ利用シヨウトシテイル」
熱くなりすぎているヤクトに、不動は落ち着かせようとしている。しかしその言葉はヤクトにとって逆効果だった。
「それが何だってんだ。あとすこしでマリーがいる端末エリアに到着しちまうんだぞ。落ち着いていられるかってんだ」
マリーがいる場所まであと少し、ヤクトの焦りはピークに達しようとしていた。
「もう少し、あと少し早く飛べ、不動!!」
そのとき、ゼロカイザーの動きが止まった。
「あん?あいつどうしたんだ?」
「気ヲツケテクダサイ、零ハナニカヲシヨウトシテイル」
不動もそれにあわせて速度を弱める。そして2体は向かいあった。
「ふん、鬼ごっこも飽きたな、やはりここでお前を倒してからにするか」
零は翼を広げ、攻撃態勢をとった。
「おいらもなめられたもんだ、鬼ごっこにしか見られてないとはね」
2体は暫くのあいだ動かずに互いの様子を見ていた。しかし持久戦が苦手なヤクトはどう仕掛けるか迷っていた。
(このまま攻撃するか、それともあっちが攻撃を仕掛けるのを待つか、どっちにしても時間がないんだけどな)
このまま待っても何もできないのは目に見えている。だったら先制攻撃を仕掛ければまだチャンスがあるとヤクトは思ったのだ。
(よし、あいつが動いたらビームでも撃ってみるか)
刹那、零が後方に動いた。
「よし、4連ビームキャノン発射!!」
不動の両肩のビームキャノンがゼロカイザーめがけて発射した。
「当たれ!」
しかし零本人は不敵な笑みを浮かべ、翼を前方に移動させた。
「防御するつもりか?でも高出力のビームだぞ、貫かれるのがオチだ」
しかしヤクトの予想を裏切り、ビームは翼の表面で弾かれてしまった。
「こんなもので余を破壊できるとでも思ったのか?甘いな、ガキが」
その瞬間、零は翼をギロチンカッターに変形させ、不動のキャノン砲身を切断した。とたんにバランスを崩す不動。
「まずい、バランスをとれ、このままじゃあいつの思うつぼだ」
ヤクトはバーニアで姿勢制御をし、何とか転倒を防いだ。しかしこれで遠距離の攻撃手段を失ったのは、こちらにとって不利になってしまった。
「遊びは終わりだ、さっさと片付けさせてもらうぞ」
隙を与えずに攻撃を仕掛けてくるゼロカイザー。瞬く間に尻尾で不動の片脚を切断し、足蹴りで遠くへ吹き飛ばした。
「たわい無いな、これでバトルロンド上位ランクといえるのか?笑わせる」
横倒しになった不動に迫る零。ダメージが大きい不動は、立ち上がるのがやっとだった。
「だ、大丈夫か不動…」
「左脚部、両肩きゃのんゆにっと破損。背部すらすたー異常発生。じぇねれーたー出力70%ニだうん…」
さっきのダメージで不動の戦闘能力は大幅に減少している。このまま戦っても勝つ見込みはないのかもしれない。しかしヤクトは勝利を信じてなおも攻撃を仕掛けようとしていた。
「接近戦を仕掛けてみるか、あいつの懐に入ればあの武器も使えないだろう」
「シカシやくと、コノママ戦ッテモ勝チ目ハアリマセン。ココハ体勢ヲ立テ直シテカラデモ」
「バカいうな、ここでおいらたちが倒れたら、世界はあいつの思うままになっちまうんだぞ!そのためにも、立ち上がるんだ、不動」
力を振り絞り、片脚でよろよろと立ち上がる不動。しかしその姿はもはや瀕死の状態といえる。
「ふん、まだ戦うつもりか。これ以上戦ってもお前たちが負けるのは目に見えている。いい加減あきらめろ」
だがヤクトはあきらめなかった。なぜなら、ここであきらめたら今までともに戦ってきた仲間たちに合わせる目がないと思ったからだ。
「あきらめるのはおめえのほうだ、仮面野郎。お前の野望もこれで…」
ヤクトが言い終らないうちに、ゼロは攻撃を仕掛けてきた。
「ちょっ、話し聞かないうちにこれかよ」
スラスター全開で零の攻撃をかわす不動だが、それが精一杯だった。しかしかわし続けることもできず、バランスを崩してしまった。
「終わるのはお前のほうだったな。せめてもの情けだ、楽にしてやろう」
零の杖がヤクトの頭上に振り上げられる。
「や、やくと!ハヤク脱出ヲ!!」
不動の叫びもむなしく、杖が振り下ろされる。ヤクトは約束を守れなかった自分を責めながら覚悟を決めた…。
[[その5に進む>オワリとハジマリ その5]]
[[戻る>おまかせ♪ホーリーベル]]
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