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「ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅧ~」(2009/07/15 (水) 21:52:18) の最新版変更点
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「……大丈夫、ですか?」
「まぁ……なんとか。
また止まってしまったようで、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
「いえ……お気になさらず。それで……」
ビルの玄関先で向かい合っている私と遠野女史。ふよふよと彼女の顔の位置に浮かんでいる私だが、心境的には今すぐにでもこの場から逃げ出したい気分だ。
既にあれから3時間。ショックで放心状態になった私は、あの場でそのままフリーズしてしまったようだった。一生の恥辱……いや、全ては自らが招いた事なのだ。
あの時、あの悪魔の甘言に耳を貸さなければ……
『……お願い、します。私に教えて、調教して……頂きたい』
だがあのままで何も知らず、アキラがあれだけ楽しみにしている10倍返しの時間を台無しに……ひいてはアキラに苦痛を与える事になりでもしたら。この身よりも大切なモノに比べれば、私の恥辱、羞恥心など論ずるに値しない。
「……全ては、アキラの為に」
「……はい……?」
「ぁ、いえ何でもありません」
どうやら声に出てしまっていたらしい。また恥かしい事を……もっと気をつけなければ。
「……そうですか。……では、えぇと……そう言う訳でして……進呈」
「はぁ……どうも」
そう言って彼女が差し出したのは、進呈とだけ書かれた茶封筒だった。私はそれをぶら下げるようにして手に持つ。封筒の膨らみ方から言って中身は多分紙のようなもの……つまり、紙幣なのだろうか。
「あの、お金でしたらご遠慮させて頂きます。私のミスですのでこんな……」
「……違いますよ? 開けてみて、下さい」
「はぁ……」
ゴソゴソと封筒の中身を覗き込むように見ると、確かにそれは紙幣ではなかった。500という数字こそ書かれてはいたが、それは……
「お、お米券……」
「進呈。……えっへん」
何故か誇らしげに、その豊かな胸を張る遠野女史。
確かに金権ではあるものの、現金ではないが……やはり折角の親切を無下に断り続けるのも悪いのだろうか。
「……では有り難く、頂きます」
このくらいならばアキラへのお土産に良いかもしれない。
「あと、此方も……進呈、です」
「あ、どうも……って、ぉわっ」
つい反射的に受け取ってしまったものの、そのズシリとくる重さに、思わず高度がガクリと落ちる。更に彼女から渡されたのは、神姫が数人は入りそうなサイズの茶巾袋。中には箱のような四角い物が色々入っているのか、その外見はまるでサンタクロースのプレゼント袋のようにゴツゴツと大きく膨れ上がっている。
「バイト代です……。せめてこれくらいは、受け取ってください、ね。
それとブースターも……。このままだと、お帰りになれないかもしれないので」
カチャリと背中の翼にエクステンドブースターをセットしてくれる。確かに大荷物を抱えたまま現状の推力で飛び続けるのは少々難がある為、非常に助かる。
「はぁ……では。色々と申し訳ありません」
「よかった。楽しんでください……ね」
「……はぁ?。所で中身は何なのでしょうか、かなり重たいのですけれど……」
紐の部分を持って袋を吊り下げている為に、袋の自重によって口の部分が硬く閉まっており中身を全く覘けないのだ。
「ひみつ、です。うふふ」
「……さ、左様ですか」
ポーカーフェイスのままで笑う(笑ったような気がした)遠野女子。
思わず背筋に寒気が走ったのは気のせい……とは思えない。今までの事を考えると、今回もこの場に居続けては何か致命的な事態が発生してしまうかも。
「それと……ですね…………」
「そ、それでは失礼しますっ。色々とご迷惑をかけましたが、ありがとうございました!」
彼女の声を掻き消すかのように、本物のロケット打ち上げみたいに最大パワーでブースターに点火。そのまま急速上昇を図る。
そして数秒後には、街並みが眼下に広がる高度まで上昇し、町の喧騒も彼女の声も聞こえなくなる。
……決して逃げ出したのではない。早く家に帰りたかっただけだ。
「……聞かないで、行ってしまいました。――――まぁ、それも人生?」
***~ネメシスの憂鬱・ファイルⅧ~
「…………ふぅ」
大変重かった荷物を、ドサリとアキラのベッドの上に落とす。ベッドは非常に柔らかいので、別に中身が壊れる事もないだろう。……中身がケーキのような柔らかいナマモノだった場合はダメだろうが。
「たった1日居なかっただけなのに……落ち着くな。……いや、疲れただけか」
外は既に夜の帳が下り、電気による人工的な明るさだけが暗闇を照らす、そんな時間になっている。
かなりの時間気を失っていた為、比較的長時間動き続けていられたものの、それでも私のバッテリーは既に底を尽きかけている。このまますぐにクレイドルで充電の為の眠りについた方が良いのだろうが、やはり貰ってきた荷物が気になる。
何というか、あのまま放置しておくと何かが夜中にひとりでに動き出してしまうのではないかと心配になるのだ。あんな事の直後では尚更……
「あんな……事…………――――っ!?」
一瞬気が遠くなった気がしたが、自分のした事に驚いて、はっと我に返る。
私の手は無意識のうちに乳房に伸び、昼間触手にされたのと同じようにその指で胸を掴み歪ませようとしていたのだ。
「わ、私は何を考えているのだっ! 昼間あれだけ凌辱……そう犯されたというのに何を考えているッ!」
一時的な気の迷いに流されてはいけない。第一アキラの居ない場所で、1人そんな行為をしても何の意味も意義もないではないか。
「と、とにかく開けるぞ。開けてみなければいけないのだ!」
誰に聞かせる訳でもないが、とにかく声を出しながら行動しなければまた変な感慨に耽ってしまいそうで、とにかく勢いよく行動する事にする。
「紐を緩めて…………パッケージか。こ……これは…………」
袋の中から最初に私の目に飛び込んできたのは、一抱え以上ある四角い透明なパッケージの中に詰め込まれた……触手の塊だ。
「ま、また使えというのか……あの人はッ」
透明なパッケージの上には、テンタクルスⅡ試供品と書かれた簡素な名前シールが貼られている。
昨日の今日で再度こんなものを使おうという気には流石にならない。……確かにほんの少し、ちょっとだけ気持ちよかったが……。だが1人でこんな事に耽るのは非生産的すぎる。
「……閉まっておこう」
とりあえず見なかったことにして、私のプライベート空間に閉まっておく事とする。
「えぇと……次は…………。『赤ずきんちゃんご用心?』」
次に出てきたのはファンシーなパッケージの品で、此方は正規品だという事が一目でわかる。
しかし何処かで聞いた名前のような気がするのだが……
「――――嗚呼、リンが使っていた物か」
パッケージ横の実物写真を見て気づく。コレは昨晩、リンが使用していたものと同じ物に間違いない。
「……私とアキラとでは使えないな。残念」
これをアキラに見られて、男の人間と不倫しているとでも思われたら厄介だ。早めに捨てるか誰かにあげてしまうとしよう。
「(……そうだ、エルゴの店長にあげるのもいいかもしれない。
日頃お世話になっている分もあるし、彼ならいい処分法も知っているかもしれないし)」
更にガサゴソと袋を漁るが、どれも過激なグッズが多い気がする。私はそんなにエロ魔人に見え……たのだろうな。
「……はて、これは」
その目に留まった長方形のパッケージの表題には、『神姫用ふれあいツール「あなたも狼に変わりますか」』と書かれている。
側面を見ると大雑把な使い方が書かれていたのだが、これは……
「ペ、ペニスを生やす道具なのか…………」
説明書きには医療用と書かれているが、一体どんな医療なのだろうか。それにマスターとではなくて、神姫同士で繋がるなんて……その、非生産的な。神姫はマスターに対してこそ、最大の愛情を注ぐモノではないのだろうか。
「――――男、か……」
男。
それは女と対になる存在。生命が子孫を残す為のシステム。愛情の結果沸き起こる相手を抱きたいという性欲も、本来は子を生み出す生殖の為。故に、同性同士の性愛はタブーとされる。
「好きになってしまったのなら、関係ないよな……」
私にとっては、アキラが全て。その事実の前には、世間の常識など関係ない。だが……
「男の、感覚……」
性交の時、男は女を責め喘がせ、そして絶頂に導く。ならば女……アキラを絶頂に導く為には男の感覚も知っておいた方がいいのではないだろうか。
「――――」
パッケージを睨むように見つめたまま、ゴクリと生唾を飲み込む。
そう、これはアキラの為なんだ。だから私は……
「――――……ぅわ」
パッケージを開け、内包されていた収納ケースを開ける。目に飛び込んできたのは、濃い肌色をした1本の細長い瓜のような物体。だが瓜のようにつるりとした形状ではなく、両先端には男性器の先端部と同じ造形が成されている。
恐る恐る手にとってみると、シリコンのようなペタペタと手に吸い付くような独特の手触りをしている。
「えぇと……説明書によるとこれを……。っ!?」
説明書によると、自分の秘処を濡らして準備しておかなければいけないらしい。
……つまり、使いたければまたえっちな事をしなければいけないと言う事だ。
「流石に今日は…………でも、うぅ」
頭の中では理性と欲望がぶつかり合うが、正直なカラダはその手を秘処へとゆっくり伸ばし始め、指先は恥丘のカーブをゆるりと撫ではじめている。
「あ……ん……」
ボディスーツの上から軽く触れたはずの秘処は、早くも湿ったくちゅりと艶っぽい音を立てる。……あれだけ性的なグッズを見続けたせいで、私の体は既に期待し始めてしまっていたらしい。
「もう…………でもこれじゃ、ダメだ……な」
膣内に直接挿入する必要がある以上、スーツを着たままでは無理がある。私はスーツの前を開き、ファスナーを下げ、素肌を露出させる。
構造上乳房も露になり、夜の冷えてきた空気が胸と秘処を軽く刺激する。特に秘処はピッタリとフィットした生地が離れると、粘液がにちゃりと音を立てキラキラと糸を引いていた。
「……いっぱい、出てる……」
スーツの中から漂ってくる独特な匂い、そして既に期待によって準備が整いつつあるその淫靡な光景に酔ってしまいそう。
いや、既に酔っているのかもしれない。だって今の私は、快楽が欲しくて堪らないのだから……
「あふ……おちんちん……入れちゃぉ」
ツールの先、男性器を模したソレをピトリと秘処にあてがう。軽く触れただけなのに私の秘処からは待ちきれないとばかりに潤滑油が溢れ出す。それはかつてリンに処女を奪われた時に使われたディルドに比べれば半分ほどしかないサイズなのだが、今の私にとって期待を膨らませるには十分なモノだった。
「ぁ……にゅるんって入っちゃぁ……あふぅん」
昼間たっぷりと犯された膣内がまだ緩んでいたのか、それとも期待で十分に解れていたのか、私の膣内はするりと難なく男性器を咥え込んだ。
「ふぇっ!?」
その瞬間、むず痒く掻き毟りたくなるような感覚が膣内を駆け回る。蛇がもがきのた打ち回るようなうねりが襲い、目がチカチカするような悪寒に襲われる。
「……ふぁ……、何だコレは……、あっ」
だがソレも一瞬の事で、嵐が駆け抜けた後には静寂……いや、おぞましい異物のような違和感が下半身に残っている。
その正体が何なのかは、今更考えるまでもない。
「おちん……ちん、生えちゃったんだ……」
恐る恐る視線を下ろすと、本来つるりと何もない筈の恥丘に、ナマコのようにでろりと垂れ下がったグロテスクな濃い肌色の物体が付いている。それは取り付け前よりも独特の光沢を増しており、まるで本物の人間のペニスのような艶になってしまっている。
「……凄く、えっちっぽい」
垂れ下がったソレを、指先で軽く突付いてみる。
「ひゃんッ」
するとペニスはぴくんと軽く跳ねるみたいに、グロテスクというよりも可愛さのある反応を示す。
同時に今まで感じたことのない気持ちよさが私の背筋を抜けていった。クリトリスに触れられる感触に近いけど、もっと大味で……でもクセになりそうな、背徳的な感覚。
「もっと……だよね」
昨日リンがしていたみたいに、先端の……亀頭部分を指でその形状を確認するみたいに、優しく撫でていく。
「嗚呼……気持ち良い……なにこれぇ」
撫で回す度に腰の後ろをむず痒い様な独特な快感が溜まってゆき、それに呼応するかのように、ペニスがムクムクと起き上がり始めてくる。亀頭と幹の継ぎ目の辺りを撫でると、今までよりも一段鋭い快感が駆け抜け、腰が小刻みにカクカクと勝手に揺れ始めてしまい、ペニスは更に硬度を増し、太く大きく……快楽という名の餌を喰らい、育ってゆく。
「うゎ……おっきぃ」
まるで全身のオイルがそこに集められてしまったみたいに、熱く硬くそそり立つペニス。私の石とは関係なく、どくどくと己の存在を誇張するかのように力強く脈動していて、その脈動すら腰が浮くような快感を私に与えてくれている、
「えぇと……次は……、こう……かな」
私は意を決し、そそり立ったペニスに手を添え、きゅっと軽く握り締める。その動きにびくんと反応するソレは、まるでゴムのような弾力性といかにも生々しい熱さが感触として私の手に伝わってくる。
「……ぁ、ふぅ」
そのままリンがしていたように、きゅっと握った手を上下にゆっくりと動かし始める。手と幹が擦れあう度、ゾクゾクと腰に女の感覚とは明らかに違う快感が注ぎ込まれ、よりペニスは硬度を増し、全長も更に大きくなってきている。
「はぁ……はぁ……。おんちんちんって……すごぉぃ」
思考が段々と快楽に侵食され、ペニスを扱く事しか頭に無くなってくるようだ。
遂にはヘソにぴったりと密着するのではないかという位に大きく反り返り、その存在を私に否応無く見せ付ける。
そしてペニスがその存在を誇張するように大きくなればなる程、最初はゆっくりと優しく擦るだけで十分な快感を感じていた筈が、それだけでは物足りなく感じるようになってきている。擦れば気持ちよさは感じるのに、それと同等以上の割合で何か欲求不満が腰に溜まってきているような、そんな感覚が。
「あぁ……もっと……」
私はその疼きに耐えられず、躊躇いがちに擦っていた手を段々と激しく上下させ始める。
「嗚呼っ、これ……いぃっ!」
若干乱暴な位に握り締め、飲み物をシェイクするみたいに激しく上下に擦り上げる。すると今までとは比べ物にならない快感が全身に走り、オイルが更にペニスに集まるような感覚を覚え、それが更に快楽を高めていくのだ。
「おちんちん擦るの……すきぃ。クセになっちゃうよぉ……っ」
少し痛いくらいに握り、軽く爪を立てて擦り上げる。すると最初こそ痛みを感じるものの、あっという間にその強さが快楽へと変化し、更に激しい動きを求めて止まずにいられなくなるのだ。
……男が何故あんなにも荒々しく女を抱くのか、少しは理解できたような気がする。
「キモチイイ……、男のおなにぃがこんなに良いなんて知らなかった……ぁ」
はっはと犬みたいに情けなく呼吸を乱しながら、ゴシゴシとタワシでこびり付いた油ヨゴレを洗う位に強く擦りつける。既にペニスは痛く破裂するのではないかと思うくらいに怒張し、先端の切れ込み口からは透明で粘り気の強い液体が、とろりと溢れ垂れ出し、私の思考はペニスを擦るという行動と、それによって得られる快感に塗りつぶされてゆく。
「―――ぁ、何かくるぅ……!?」
それまでもやもやとしていた欲求不満のような違和感が、急速に下半身へ収束してゆく。
ペニスの根元……ペニスと一体化している膣内に何か……快感と疼きが同時に溜まっていくような感覚を覚え、それをぶちまけたい、ぶちまけてしまえとペニスが訴えかけてくるかのよう。これは、やはり……
「射精……しちゃうの……ぉ……?」
そう明確に言葉に吐き出した途端、ビクンと一際大きくペニスが反応し、透明な液体がベッドの上にぴゅっと飛び散る。
「ぁは……出ちゃうんだ。出しちゃうんだ……」
一度そう理解・確信してしまうと、あとはもう突き進むだけ。指先で先端から溢れている粘液を、亀頭全体へと荒い指使いでぬちゃりと塗り広げ、更に幹を強く握り締めて痛いくらいに扱きあげる。
「キちゃ……っ! なにか出ちゃう……おちんちんから……でちゃうよぉぉっ」
卑猥な言葉が理性を無視し崩壊させるかのように、勝手に口から溢れ出す。そしてその言葉によって私は更に興奮してしまっている。今の私はペニスから欲望の塊を吐き出したいだけの、只の醜い人形……
「あぁぁ……でっ、出ちゃ……何かびゅって出ちゃ……。ひぁ……ぁぁぁぁあああああああ」
未知の快感、そして初めての行為と感触に困惑しつつも、私のカラダはその未知の快楽を求め、手を休めることなくペニスを扱き続ける。
そして限界を迎えたペニスが限界まで膨らんだ風船のように張り詰め、膣内が収縮し、膣奥から熱いマグマの噴出するかのようなおぞましさすら覚える快楽が昇って……
「いぁっ!? びゅー……ってでちゃ……出ちゃでちゃでちゃああああああああああああああ!!!」
まるで全てが破裂するような感覚に包まれた瞬間、尿道が全開に開き、全身から集められた熱く濃い欲望の塊が噴出す。
びゅる……びゅると生々しい音が聞こえてきそうな程の、激しい射精。射精する度に私の身体を雷のような激しい快感。そして同時にカラダからあらゆるものが抜け出てしまうような虚脱感が私を襲う。
まるで噴水のように垂直にたっぷりと放たれた白濁液はベッドや私の肢体を醜く汚してゆく。
「あつぅ……ぃ……」
私の全身に熱くドロリとした精液が降り注がれてゆく。生臭い香りと火傷しそうなくらいの生々しい熱。そして女の快楽とは全く違う、男の快楽……その余韻に酔いしれ、そして私は意識を手放した。
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[[続く>ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅨ~]] [[トップへ戻る>ねここの飼い方]]
「……大丈夫、ですか?」
「まぁ……なんとか。
また止まってしまったようで、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
「いえ……お気になさらず。それで……」
ビルの玄関先で向かい合っている私と遠野女史。ふよふよと彼女の顔の位置に浮かんでいる私だが、心境的には今すぐにでもこの場から逃げ出したい気分だ。
既にあれから3時間。ショックで放心状態になった私は、あの場でそのままフリーズしてしまったようだった。一生の恥辱……いや、全ては自らが招いた事なのだ。
あの時、あの悪魔の甘言に耳を貸さなければ……
『……お願い、します。私に教えて、調教して……頂きたい』
だがあのままで何も知らず、アキラがあれだけ楽しみにしている10倍返しの時間を台無しに……ひいてはアキラに苦痛を与える事になりでもしたら。この身よりも大切なモノに比べれば、私の恥辱、羞恥心など論ずるに値しない。
「……全ては、アキラの為に」
「……はい……?」
「ぁ、いえ何でもありません」
どうやら声に出てしまっていたらしい。また恥かしい事を……もっと気をつけなければ。
「……そうですか。……では、えぇと……そう言う訳でして……進呈」
「はぁ……どうも」
そう言って彼女が差し出したのは、進呈とだけ書かれた茶封筒だった。私はそれをぶら下げるようにして手に持つ。封筒の膨らみ方から言って中身は多分紙のようなもの……つまり、紙幣なのだろうか。
「あの、お金でしたらご遠慮させて頂きます。私のミスですのでこんな……」
「……違いますよ? 開けてみて、下さい」
「はぁ……」
ゴソゴソと封筒の中身を覗き込むように見ると、確かにそれは紙幣ではなかった。500という数字こそ書かれてはいたが、それは……
「お、お米券……」
「進呈。……えっへん」
何故か誇らしげに、その豊かな胸を張る遠野女史。
確かに金権ではあるものの、現金ではないが……やはり折角の親切を無下に断り続けるのも悪いのだろうか。
「……では有り難く、頂きます」
このくらいならばアキラへのお土産に良いかもしれない。
「あと、此方も……進呈、です」
「あ、どうも……って、ぉわっ」
つい反射的に受け取ってしまったものの、そのズシリとくる重さに、思わず高度がガクリと落ちる。更に彼女から渡されたのは、神姫が数人は入りそうなサイズの茶巾袋。中には箱のような四角い物が色々入っているのか、その外見はまるでサンタクロースのプレゼント袋のようにゴツゴツと大きく膨れ上がっている。
「バイト代です……。せめてこれくらいは、受け取ってください、ね。
それとブースターも……。このままだと、お帰りになれないかもしれないので」
カチャリと背中の翼にエクステンドブースターをセットしてくれる。確かに大荷物を抱えたまま現状の推力で飛び続けるのは少々難がある為、非常に助かる。
「はぁ……では。色々と申し訳ありません」
「よかった。楽しんでください……ね」
「……はぁ?。所で中身は何なのでしょうか、かなり重たいのですけれど……」
紐の部分を持って袋を吊り下げている為に、袋の自重によって口の部分が硬く閉まっており中身を全く覘けないのだ。
「ひみつ、です。うふふ」
「……さ、左様ですか」
ポーカーフェイスのままで笑う(笑ったような気がした)遠野女子。
思わず背筋に寒気が走ったのは気のせい……とは思えない。今までの事を考えると、今回もこの場に居続けては何か致命的な事態が発生してしまうかも。
「それと……ですね…………」
「そ、それでは失礼しますっ。色々とご迷惑をかけましたが、ありがとうございました!」
彼女の声を掻き消すかのように、本物のロケット打ち上げみたいに最大パワーでブースターに点火。そのまま急速上昇を図る。
そして数秒後には、街並みが眼下に広がる高度まで上昇し、町の喧騒も彼女の声も聞こえなくなる。
……決して逃げ出したのではない。早く家に帰りたかっただけだ。
「……聞かないで、行ってしまいました。――――まぁ、それも人生?」
***~ネメシスの憂鬱・ファイルⅧ~
「…………ふぅ」
大変重かった荷物を、ドサリとアキラのベッドの上に落とす。ベッドは非常に柔らかいので、別に中身が壊れる事もないだろう。……中身がケーキのような柔らかいナマモノだった場合はダメだろうが。
「たった1日居なかっただけなのに……落ち着くな。……いや、疲れただけか」
外は既に夜の帳が下り、電気による人工的な明るさだけが暗闇を照らす、そんな時間になっている。
かなりの時間気を失っていた為、比較的長時間動き続けていられたものの、それでも私のバッテリーは既に底を尽きかけている。このまますぐにクレイドルで充電の為の眠りについた方が良いのだろうが、やはり貰ってきた荷物が気になる。
何というか、あのまま放置しておくと何かが夜中にひとりでに動き出してしまうのではないかと心配になるのだ。あんな事の直後では尚更……
「あんな……事…………――――っ!?」
一瞬気が遠くなった気がしたが、自分のした事に驚いて、はっと我に返る。
私の手は無意識のうちに乳房に伸び、昼間触手にされたのと同じようにその指で胸を掴み歪ませようとしていたのだ。
「わ、私は何を考えているのだっ! 昼間あれだけ凌辱……そう犯されたというのに何を考えているッ!」
一時的な気の迷いに流されてはいけない。第一アキラの居ない場所で、1人そんな行為をしても何の意味も意義もないではないか。
「と、とにかく開けるぞ。開けてみなければいけないのだ!」
誰に聞かせる訳でもないが、とにかく声を出しながら行動しなければまた変な感慨に耽ってしまいそうで、とにかく勢いよく行動する事にする。
「紐を緩めて…………パッケージか。こ……これは…………」
袋の中から最初に私の目に飛び込んできたのは、一抱え以上ある四角い透明なパッケージの中に詰め込まれた……触手の塊だ。
「ま、また使えというのか……あの人はッ」
透明なパッケージの上には、テンタクルスⅡ試供品と書かれた簡素な名前シールが貼られている。
昨日の今日で再度こんなものを使おうという気には流石にならない。……確かにほんの少し、ちょっとだけ気持ちよかったが……。だが1人でこんな事に耽るのは非生産的すぎる。
「……閉まっておこう」
とりあえず見なかったことにして、私のプライベート空間に仕舞っておく事とする。
「えぇと……次は…………。『赤ずきんちゃんご用心?』」
次に出てきたのはファンシーなパッケージの品で、此方は正規品だという事が一目でわかる。
しかし何処かで聞いた名前のような気がするのだが……
「――――嗚呼、リンが使っていた物か」
パッケージ横の実物写真を見て気づく。コレは昨晩、リンが使用していたものと同じ物に間違いない。
「……私とアキラとでは使えないな。残念」
これをアキラに見られて、男の人間と不倫しているとでも思われたら厄介だ。早めに捨てるか誰かにあげてしまうとしよう。
「(……そうだ、エルゴの店長にあげるのもいいかもしれない。
日頃お世話になっている分もあるし、彼ならいい処分法も知っているかもしれないし)」
更にガサゴソと袋を漁るが、どれも過激なグッズが多い気がする。私はそんなにエロ魔人に見え……たのだろうな。
「……はて、これは」
その目に留まった長方形のパッケージの表題には、『神姫用ふれあいツール「あなたも狼に変わりますか」』と書かれている。
側面を見ると大雑把な使い方が書かれていたのだが、これは……
「ペ、ペニスを生やす道具なのか…………」
説明書きには医療用と書かれているが、一体どんな医療なのだろうか。それにマスターとではなくて、神姫同士で繋がるなんて……その、非生産的な。神姫はマスターに対してこそ、最大の愛情を注ぐモノではないのだろうか。
「――――男、か……」
男。
それは女と対になる存在。生命が子孫を残す為のシステム。愛情の結果沸き起こる相手を抱きたいという性欲も、本来は子を生み出す生殖の為。故に、同性同士の性愛はタブーとされる。
「好きになってしまったのなら、関係ないよな……」
私にとっては、アキラが全て。その事実の前には、世間の常識など関係ない。だが……
「男の、感覚……」
性交の時、男は女を責め喘がせ、そして絶頂に導く。ならば女……アキラを絶頂に導く為には男の感覚も知っておいた方がいいのではないだろうか。
「――――」
パッケージを睨むように見つめたまま、ゴクリと生唾を飲み込む。
そう、これはアキラの為なんだ。だから私は……
「――――……ぅわ」
パッケージを開け、内包されていた収納ケースを開ける。目に飛び込んできたのは、濃い肌色をした1本の細長い瓜のような物体。だが瓜のようにつるりとした形状ではなく、両先端には男性器の先端部と同じ造形が成されている。
恐る恐る手にとってみると、シリコンのようなペタペタと手に吸い付くような独特の手触りをしている。
「えぇと……説明書によるとこれを……。っ!?」
説明書によると、自分の秘処を濡らして準備しておかなければいけないらしい。
……つまり、使いたければまたえっちな事をしなければいけないと言う事だ。
「流石に今日は…………でも、うぅ」
頭の中では理性と欲望がぶつかり合うが、正直なカラダはその手を秘処へとゆっくり伸ばし始め、指先は恥丘のカーブをゆるりと撫ではじめている。
「あ……ん……」
ボディスーツの上から軽く触れたはずの秘処は、早くも湿ったくちゅりと艶っぽい音を立てる。……あれだけ性的なグッズを見続けたせいで、私の体は既に期待し始めてしまっていたらしい。
「もう…………でもこれじゃ、ダメだ……な」
膣内に直接挿入する必要がある以上、スーツを着たままでは無理がある。私はスーツの前を開き、ファスナーを下げ、素肌を露出させる。
構造上乳房も露になり、夜の冷えてきた空気が胸と秘処を軽く刺激する。特に秘処はピッタリとフィットした生地が離れると、粘液がにちゃりと音を立てキラキラと糸を引いていた。
「……いっぱい、出てる……」
スーツの中から漂ってくる独特な匂い、そして既に期待によって準備が整いつつあるその淫靡な光景に酔ってしまいそう。
いや、既に酔っているのかもしれない。だって今の私は、快楽が欲しくて堪らないのだから……
「あふ……おちんちん……入れちゃぉ」
ツールの先、男性器を模したソレをピトリと秘処にあてがう。軽く触れただけなのに私の秘処からは待ちきれないとばかりに潤滑油が溢れ出す。それはかつてリンに処女を奪われた時に使われたディルドに比べれば半分ほどしかないサイズなのだが、今の私にとって期待を膨らませるには十分なモノだった。
「ぁ……にゅるんって入っちゃぁ……あふぅん」
昼間たっぷりと犯された膣内がまだ緩んでいたのか、それとも期待で十分に解れていたのか、私の膣内はするりと難なく男性器を咥え込んだ。
「ふぇっ!?」
その瞬間、むず痒く掻き毟りたくなるような感覚が膣内を駆け回る。蛇がもがきのた打ち回るようなうねりが襲い、目がチカチカするような悪寒に襲われる。
「……ふぁ……、何だコレは……、あっ」
だがソレも一瞬の事で、嵐が駆け抜けた後には静寂……いや、おぞましい異物のような違和感が下半身に残っている。
その正体が何なのかは、今更考えるまでもない。
「おちん……ちん、生えちゃったんだ……」
恐る恐る視線を下ろすと、本来つるりと何もない筈の恥丘に、ナマコのようにでろりと垂れ下がったグロテスクな濃い肌色の物体が付いている。それは取り付け前よりも独特の光沢を増しており、まるで本物の人間のペニスのような艶になってしまっている。
「……凄く、えっちっぽい」
垂れ下がったソレを、指先で軽く突付いてみる。
「ひゃんッ」
するとペニスはぴくんと軽く跳ねるみたいに、グロテスクというよりも可愛さのある反応を示す。
同時に今まで感じたことのない気持ちよさが私の背筋を抜けていった。クリトリスに触れられる感触に近いけど、もっと大味で……でもクセになりそうな、背徳的な感覚。
「もっと……だよね」
昨日リンがしていたみたいに、先端の……亀頭部分を指でその形状を確認するみたいに、優しく撫でていく。
「嗚呼……気持ち良い……なにこれぇ」
撫で回す度に腰の後ろをむず痒い様な独特な快感が溜まってゆき、それに呼応するかのように、ペニスがムクムクと起き上がり始めてくる。亀頭と幹の継ぎ目の辺りを撫でると、今までよりも一段鋭い快感が駆け抜け、腰が小刻みにカクカクと勝手に揺れ始めてしまい、ペニスは更に硬度を増し、太く大きく……快楽という名の餌を喰らい、育ってゆく。
「うゎ……おっきぃ」
まるで全身のオイルがそこに集められてしまったみたいに、熱く硬くそそり立つペニス。私の石とは関係なく、どくどくと己の存在を誇張するかのように力強く脈動していて、その脈動すら腰が浮くような快感を私に与えてくれている、
「えぇと……次は……、こう……かな」
私は意を決し、そそり立ったペニスに手を添え、きゅっと軽く握り締める。その動きにびくんと反応するソレは、まるでゴムのような弾力性といかにも生々しい熱さが感触として私の手に伝わってくる。
「……ぁ、ふぅ」
そのままリンがしていたように、きゅっと握った手を上下にゆっくりと動かし始める。手と幹が擦れあう度、ゾクゾクと腰に女の感覚とは明らかに違う快感が注ぎ込まれ、よりペニスは硬度を増し、全長も更に大きくなってきている。
「はぁ……はぁ……。おんちんちんって……すごぉぃ」
思考が段々と快楽に侵食され、ペニスを扱く事しか頭に無くなってくるようだ。
遂にはヘソにぴったりと密着するのではないかという位に大きく反り返り、その存在を私に否応無く見せ付ける。
そしてペニスがその存在を誇張するように大きくなればなる程、最初はゆっくりと優しく擦るだけで十分な快感を感じていた筈が、それだけでは物足りなく感じるようになってきている。擦れば気持ちよさは感じるのに、それと同等以上の割合で何か欲求不満が腰に溜まってきているような、そんな感覚が。
「あぁ……もっと……」
私はその疼きに耐えられず、躊躇いがちに擦っていた手を段々と激しく上下させ始める。
「嗚呼っ、これ……いぃっ!」
若干乱暴な位に握り締め、飲み物をシェイクするみたいに激しく上下に擦り上げる。すると今までとは比べ物にならない快感が全身に走り、オイルが更にペニスに集まるような感覚を覚え、それが更に快楽を高めていくのだ。
「おちんちん擦るの……すきぃ。クセになっちゃうよぉ……っ」
少し痛いくらいに握り、軽く爪を立てて擦り上げる。すると最初こそ痛みを感じるものの、あっという間にその強さが快楽へと変化し、更に激しい動きを求めて止まずにいられなくなるのだ。
……男が何故あんなにも荒々しく女を抱くのか、少しは理解できたような気がする。
「キモチイイ……、男のおなにぃがこんなに良いなんて知らなかった……ぁ」
はっはと犬みたいに情けなく呼吸を乱しながら、ゴシゴシとタワシでこびり付いた油ヨゴレを洗う位に強く擦りつける。既にペニスは痛く破裂するのではないかと思うくらいに怒張し、先端の切れ込み口からは透明で粘り気の強い液体が、とろりと溢れ垂れ出し、私の思考はペニスを擦るという行動と、それによって得られる快感に塗りつぶされてゆく。
「―――ぁ、何かくるぅ……!?」
それまでもやもやとしていた欲求不満のような違和感が、急速に下半身へ収束してゆく。
ペニスの根元……ペニスと一体化している膣内に何か……快感と疼きが同時に溜まっていくような感覚を覚え、それをぶちまけたい、ぶちまけてしまえとペニスが訴えかけてくるかのよう。これは、やはり……
「射精……しちゃうの……ぉ……?」
そう明確に言葉に吐き出した途端、ビクンと一際大きくペニスが反応し、透明な液体がベッドの上にぴゅっと飛び散る。
「ぁは……出ちゃうんだ。出しちゃうんだ……」
一度そう理解・確信してしまうと、あとはもう突き進むだけ。指先で先端から溢れている粘液を、亀頭全体へと荒い指使いでぬちゃりと塗り広げ、更に幹を強く握り締めて痛いくらいに扱きあげる。
「キちゃ……っ! なにか出ちゃう……おちんちんから……でちゃうよぉぉっ」
卑猥な言葉が理性を無視し崩壊させるかのように、勝手に口から溢れ出す。そしてその言葉によって私は更に興奮してしまっている。今の私はペニスから欲望の塊を吐き出したいだけの、只の醜い人形……
「あぁぁ……でっ、出ちゃ……何かびゅって出ちゃ……。ひぁ……ぁぁぁぁあああああああ」
未知の快感、そして初めての行為と感触に困惑しつつも、私のカラダはその未知の快楽を求め、手を休めることなくペニスを扱き続ける。
そして限界を迎えたペニスが限界まで膨らんだ風船のように張り詰め、膣内が収縮し、膣奥から熱いマグマの噴出するかのようなおぞましさすら覚える快楽が昇って……
「いぁっ!? びゅー……ってでちゃ……出ちゃでちゃでちゃああああああああああああああ!!!」
まるで全てが破裂するような感覚に包まれた瞬間、尿道が全開に開き、全身から集められた熱く濃い欲望の塊が噴出す。
びゅる……びゅると生々しい音が聞こえてきそうな程の、激しい射精。射精する度に私の身体を雷のような激しい快感。そして同時にカラダからあらゆるものが抜け出てしまうような虚脱感が私を襲う。
まるで噴水のように垂直にたっぷりと放たれた白濁液はベッドや私の肢体を醜く汚してゆく。
「あつぅ……ぃ……」
私の全身に熱くドロリとした精液が降り注がれてゆく。生臭い香りと火傷しそうなくらいの生々しい熱。そして女の快楽とは全く違う、男の快楽……その余韻に酔いしれ、そして私は意識を手放した。
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