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「オワリとハジマリ その2」(2009/06/14 (日) 22:20:48) の最新版変更点
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*オワリとハジマリ その2
「次から次へと出てくるな…」
大量発生するバグに対し、ヤクトたちは次第に劣勢になっていった。
「だがここでやられるわけにはいかない。ここで食い止めなければ、世界は闇に包まれてしまう」
リオーネも巨砲から弾丸を撃ち、バグを破壊していくが、バグの大群に弾丸の装填が間に合わなくなっていた。
「まいったぜ、これじゃきりがねえよ」
次々と群がるバグの群れ。しかし、この状況を冷静に見ている神姫が一人いた。
「それにしても、零の姿が見えない気がしませんか?さっきまでいたはずなのに、消えてるんです」
とっさにマリーがこんな質問をしてきた。
「はあ?今はそれどころじゃねえんじゃね?」
「なぜそんな質問を…そうか!そういうことだったのか」
あきれているヤクトを横目に、リオーネがあることを思いついた。
「奴はバグを利用して自分たちを足止めするつもりだ」
「なるほど、あいつの考えそうなことだな。でも、どうやって仮面やろーを追うんだよ?これじゃあ追うことさえできないぜ」
零が入ってきた出入り口にはバグが大量に群がっていた。このままでは入ることはおろか、近づくことすらできない。
「よし、ならば私たちが突破口を開きましょう」
言い出したのはヤイバとヨツンヘイムだった。
「私と白雷、そしてヨツンヘイムさんのコンビネーションなら入り口にいるバグを一瞬だけ追い払うことができます。その隙に皆さんは突入してください」
ヤイバの唐突な発案に対し、リオーネは反対した。
「それでは君たちはバグに飲み込まれてしまう!そんな無茶な方法、了承できるか!!」
「それでもやるしかないんです。誰かが零を止めない限り、次々と犠牲は増えるんですよ!」
確かにその通りだった。このまま足止めを食らうと零がホストコンピュータを利用して、全世界のコンピュータを支配してしまうだろう。そうなってしまえば、神姫をはじめとするヒューマノイドもただではすまない。
「…分かったよ、これしか方法がないならやるしかないな」
ヤクトは珍しく冷静になって結論を出した。
「あの野郎を止めるには、誰かがここに残って突破口を開くしかない。虫軍団がこんなにいるんじゃ全員突破はムリだろうからな。だが、みすみすお前らを死なせるわけにはいかねえ」
そして、一呼吸して大声で叫んだ。
「いいか、ここまで覚悟を決めたなら、必ず成功させろよ!そんでもって、やられたら承知しねえぞ」
ヤクトの気合が入った一声に、ヤイバたちはうなずいた。
「もちろん、生きて戻りましょう。帰るときはみんなと一緒です」
「よし、約束だぞ、じゃ、早速始めようか」
「ちょっと待ってください、私もいかせてください」
マリーが手を上げて自分も同行する意思表示をした。
「え?お前、大丈夫なのかよ?」
「私にはコンピュータをアクセスできるコミュニケーターを搭載しています。もしものときがある場合は、私がアクセスして暴走を止めます」
ヤクトたちは驚きの顔を隠せなかった。どうやら彼女には、アンチイリーガルワクチンのほかにも能力があるらしい。
「…分かった。だが、自分たちがマリーを守りきれる保証はない。もし万が一のことがあったら、自分で身を守る、これだけは約束してほしい」
リオーネの厳しい言葉に、マリーは無言でうなずいた。
「よし、ヤイバとヨツンヘイムたちはここでバグを防いでくれ。その隙に自分たちが門を突破する。…みんな、死ぬなよ」
ヤイバたちはうなずくと、突破口を開く準備を始めた。
一方、零はホストコンピュータの前で立ち往生していた。
「イリーガル数体使っても破れぬとは、なんて強固なプロテクトなのだろう」
零の率いるイリーガルはあと十数体近くに待機しているが、数で攻めようとしても結果は同じになることを悟った。
「仕方がない、あれを呼ぶしかないな」
零が指を弾こうとしたとき、扉が破壊され、何者かがイリーガルを破壊しながら零の前に向かってきた。
「…何奴!?こんな場所に堂々と入って来るとは」
「まあ、正々堂々とはいきませんでしたけど。とりあえずはじめまして、というべきかしら、零さん」
正体はシェイドとソフィだった。
「…零、これ以上の破壊行為、やめてもらう」
「なるほど、エースクラスの戦闘力を持つイリーガルを倒すとは、お前達、ただの神姫ではないな」
零は不敵な笑いをし、仮面の前に手をかざした。
「お前たちの実力は分かった。だが、この力をこんなことに使うのにはもったいなく思うがな。どうだ、余の部下にならぬか?」
意外な答えに、シェイドたちは戸惑いを見せた。
「どういうことだ?」
「言ったとおりの意味だ、余の部下になれといっているのだ。余はロボットによるロボットのための国を作りたいのだ。お前達が協力してくれるなら、早急に実現することも夢ではない」
少しずつシェイドたちに近づいていく零。しかしシェイドたちの答えはすでに決まっている。
「そんなこと、賛成すると思うか?答えはNOだ」
「ふっ、そうか。ならばこちらにも考えがある」
零はかざしていた手を下げた。その瞬間、左目が激しく光り始めた。
「こうなったら無理にでも協力してもらう。さあ、余の命令に従ってもらおうか」
(な、何だ、力が抜ける…もしかすると、この光のせいで…)
シェイドが結論を出そうとしたそのとき、零の目から光が放たれ、二人を包んだ。
「ふえぇ、どうにか突破出来たぜ。大丈夫か、みんな」
バグの群れを無事突破できたヤクトとリオーネ、それとマリーは無事なことを確認した。
「でも、大丈夫でしょうか、さっきの攻撃で半数は減少したものの、かなりのバグが残っていました」
「それにシュートレイが突破に失敗してしまった。シュートレイがいなくなった穴は大きいな」
門を突破する際、最後尾にいたシュートレイがバグの群れに飲み込まれ、戦闘不能になってしまったのだ。幸い、強制送還により最悪の事態は逃れたが、もうシュートレイの復帰は見込めそうにないだろう。
「それでも、おいらたちは仮面やろーのふざけた計画をつぶさなきゃいけねえんだ。そうだろ、みんな」
「その通りだ、たとえ独りになったとしても、最後まで戦う、それが自分たちの使命だから」
最終ゲートを抜け、ヤクトたちはホストコンピュータの中枢部へ進入した。
「ここが中枢部か…」
「でも、誰もいないぞ。零がここにいるんじゃなかったのかよ!?」
ヤクトたちは周りを見回したが、零どころか、イリーガルすら見当たらなかった。
「おかしい、確かに奴はここに侵入したはずだ。それなのに、誰もいないとは…」
そのとき、何者かがマリーの背後に出現し、彼女の首に刃をつきたてた。
「きゃあああ!!」
「マリー!貴様、何者だ?」
影の正体は、以前メルクリウスと対決したマーメイドタイプ神姫・ソフィだった。
「てめえはメルが言ってたあの神姫か!!」
卑劣な手を使うソフィに、ヤクトが激怒した。リオーネも同じ気持ちだった。
「やはり貴様はイリーガルの!」
「違う!!」
別の扉の影から別の黒い神姫がよろよろした足どりで表れた。
「ソフィは零に操られているんだ!!」
[[第3章その3に進む>オワリとハジマリ その3]]
[[戻る>おまかせ♪ホーリーベル]]
*オワリとハジマリ その2
「次から次へと出てくるな…」
大量発生するバグに対し、ヤクトたちは次第に劣勢になっていった。
「だがここでやられるわけにはいかない。ここで食い止めなければ、世界は闇に包まれてしまう」
リオーネも巨砲から弾丸を撃ち、バグを破壊していくが、バグの大群に弾丸の装填が間に合わなくなっていた。
「まいったぜ、これじゃきりがねえよ」
次々と群がるバグの群れ。しかし、この状況を冷静に見ている神姫が一人いた。
「それにしても、零の姿が見えない気がしませんか?さっきまでいたはずなのに、消えてるんです」
とっさにマリーがこんな質問をしてきた。
「はあ?今はそれどころじゃねえんじゃね?」
「なぜそんな質問を…そうか!そういうことだったのか」
あきれているヤクトを横目に、リオーネがあることを思いついた。
「奴はバグを利用して自分たちを足止めするつもりだ」
「なるほど、あいつの考えそうなことだな。でも、どうやって仮面やろーを追うんだよ?これじゃあ追うことさえできないぜ」
零が入ってきた出入り口にはバグが大量に群がっていた。このままでは入ることはおろか、近づくことすらできない。
「よし、ならば私たちが突破口を開きましょう」
言い出したのはヤイバとヨツンヘイムだった。
「私と白雷、そしてヨツンヘイムさんのコンビネーションなら入り口にいるバグを一瞬だけ追い払うことができます。その隙に皆さんは突入してください」
ヤイバの唐突な発案に対し、リオーネは反対した。
「それでは君たちはバグに飲み込まれてしまう!そんな無茶な方法、了承できるか!!」
「それでもやるしかないんです。誰かが零を止めない限り、次々と犠牲は増えるんですよ!」
確かにその通りだった。このまま足止めを食らうと零がホストコンピュータを利用して、全世界のコンピュータを支配してしまうだろう。そうなってしまえば、神姫をはじめとするヒューマノイドもただではすまない。
「…分かったよ、これしか方法がないならやるしかないな」
ヤクトは珍しく冷静になって結論を出した。
「あの野郎を止めるには、誰かがここに残って突破口を開くしかない。虫軍団がこんなにいるんじゃ全員突破はムリだろうからな。だが、みすみすお前らを死なせるわけにはいかねえ」
そして、一呼吸して大声で叫んだ。
「いいか、ここまで覚悟を決めたなら、必ず成功させろよ!そんでもって、やられたら承知しねえぞ」
ヤクトの気合が入った一声に、ヤイバたちはうなずいた。
「もちろん、生きて戻りましょう。帰るときはみんなと一緒です」
「よし、約束だぞ、じゃ、早速始めようか」
「ちょっと待ってください、私もいかせてください」
マリーが手を上げて自分も同行する意思表示をした。
「え?お前、大丈夫なのかよ?」
「私にはコンピュータをアクセスできるコミュニケーターを搭載しています。もしものときがある場合は、私がアクセスして暴走を止めます」
ヤクトたちは驚きの顔を隠せなかった。どうやら彼女には、アンチイリーガルワクチンのほかにも能力があるらしい。
「…分かった。だが、自分たちがマリーを守りきれる保証はない。もし万が一のことがあったら、自分で身を守る、これだけは約束してほしい」
リオーネの厳しい言葉に、マリーは無言でうなずいた。
「よし、ヤイバとヨツンヘイムたちはここでバグを防いでくれ。その隙に自分たちが門を突破する。…みんな、死ぬなよ」
ヤイバたちはうなずくと、突破口を開く準備を始めた。
一方、零はホストコンピュータの前で立ち往生していた。
「イリーガル数体使っても破れぬとは、なんて強固なプロテクトなのだろう」
零の率いるイリーガルはあと十数体近くに待機しているが、数で攻めようとしても結果は同じになることを悟った。
「仕方がない、あれを呼ぶしかないな」
零が指を弾こうとしたとき、扉が破壊され、何者かがイリーガルを破壊しながら零の前に向かってきた。
「…何奴!?こんな場所に堂々と入って来るとは」
「まあ、正々堂々とはいきませんでしたけど。とりあえずはじめまして、というべきかしら、零さん」
正体はシェイドとソフィだった。
「…零、これ以上の破壊行為、やめてもらう」
「なるほど、エースクラスの戦闘力を持つイリーガルを倒すとは、お前達、ただの神姫ではないな」
零は不敵な笑いをし、仮面の前に手をかざした。
「お前たちの実力は分かった。だが、この力をこんなことに使うのにはもったいなく思うがな。どうだ、余の部下にならぬか?」
意外な答えに、シェイドたちは戸惑いを見せた。
「どういうことだ?」
「言ったとおりの意味だ、余の部下になれといっているのだ。余はロボットによるロボットのための国を作りたいのだ。お前達が協力してくれるなら、早急に実現することも夢ではない」
少しずつシェイドたちに近づいていく零。しかしシェイドたちの答えはすでに決まっている。
「そんなこと、賛成すると思うか?答えはNOだ」
「ふっ、そうか。ならばこちらにも考えがある」
零はかざしていた手を下げた。その瞬間、左目が激しく光り始めた。
「こうなったら無理にでも協力してもらう。さあ、余の命令に従ってもらおうか」
(な、何だ、力が抜ける…もしかすると、この光のせいで…)
シェイドが結論を出そうとしたそのとき、零の目から光が放たれ、二人を包んだ。
「ふえぇ、どうにか突破出来たぜ。大丈夫か、みんな」
バグの群れを無事突破できたヤクトとリオーネ、それとマリーは無事なことを確認した。
「でも、大丈夫でしょうか、さっきの攻撃で半数は減少したものの、かなりのバグが残っていました」
「それにシュートレイが突破に失敗してしまった。シュートレイがいなくなった穴は大きいな」
門を突破する際、最後尾にいたシュートレイがバグの群れに飲み込まれ、戦闘不能になってしまったのだ。幸い、強制送還により最悪の事態は逃れたが、もうシュートレイの復帰は見込めそうにないだろう。
「それでも、おいらたちは仮面やろーのふざけた計画をつぶさなきゃいけねえんだ。そうだろ、みんな」
「その通りだ、たとえ独りになったとしても、最後まで戦う、それが自分たちの使命だから」
最終ゲートを抜け、ヤクトたちはホストコンピュータの中枢部へ進入した。
「ここが中枢部か…」
「でも、誰もいないぞ。零がここにいるんじゃなかったのかよ!?」
ヤクトたちは周りを見回したが、零どころか、イリーガルすら見当たらなかった。
「おかしい、確かに奴はここに侵入したはずだ。それなのに、誰もいないとは…」
そのとき、何者かがマリーの背後に出現し、彼女の首に刃をつきたてた。
「きゃあああ!!」
「マリー!貴様、何者だ?」
影の正体は、以前メルクリウスと対決したマーメイドタイプ神姫・ソフィだった。
「てめえはメルが言ってたあの神姫か!!」
卑劣な手を使うソフィに、ヤクトが激怒した。
「違う!!」
別の扉の影から別の黒い神姫がよろよろした足どりで表れた。
「ソフィは零に操られているんだ!!」
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