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「第伍章第壱節:双子神姫'sVSシャドウ・アンジェラス」(2009/04/09 (木) 00:37:46) の最新版変更点
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{双子神姫'sVSシャドウ・アンジェラス}
真夜中。
人間では睡眠を取る時間帯。
空には満月と何光年も掛かる無数の星々。
そんな時間に救急車、警察車、消防車のサイレンがけたたましく鳴り響く。
目の前では燃え盛る会社。
普通、炎というものは燃やす対象に見合った炎しかでない。
ビルを燃やすにはビルを燃やす分だけ、都市を燃やすには都市を燃やす分だけ。
しかし俺の目には燃え盛る会社はそのように見えなかった。
炎上、火炎、そのような言葉が脳内で飛び交うはず…なのだが。
もう俺の目には会社や炎など、どうでもいい対象だった。
燃える会社より今、空中浮遊している武装神姫を見ているのだから。
シャドウ・アンジェラス。
もう一人のアンジェラス。
数えきりない程の残虐と殺戮をしてきた武装神姫。
いや、あれは果たして武装神姫と言えるのか危うい。
今の彼女は身長15cmの武装神姫のボディではない。
まるで平均女性の人間並みの身長はある。
そして見たこともない漆黒の武装を装備し、俺達にニコニコと微笑みかけている。
まるで邪気の無いその笑顔はまるで天使の微笑みのようだ。
だが、彼女のやっている事はあまりにも非常識過ぎる行為ばかり。
でも彼女はそれを正しいと判断し行っているに過ぎない。
例え、人間の命を奪おうとしても。
「シャドウ…アンジェラス……」
フォーマットナイフを右手で握り締めながら彼女を見据える。
俺の周りには愛する四人の武装神姫達。
後ろには気絶している姉貴。
前方の空中にはシャドウ。
周りではサイレンの音、炎の音、何かが壊れる音。
ただ優雅に空中浮遊している彼女を見ることしか出来ない。
「ダーリン…」
「お兄ちゃん…」
左にはルーナとパルカ。
「ご主人様…」
「アニキ…」
右にはアンジェラスとクリナーレ。
四人は俺のことを見てきた。
これからどうするのか…そんな感じに言いたかったのだろう。
瞳を見ればすぐに解ること。
でもそんな中でアンジェラスだけは違った。
たまにチラッとシャドウ・アンジェラスの方を見て敵意むき出しの目で見るのだ。
すでに戦闘態勢に入ってる。
いつでもしかける準備はできてる、というわけか。
「マスター、どうしたの?何でそんな怖い目でアタシを見るの??」
シャドウが俺に話し掛けてきた。
不思議そうに首を傾げ疑問するシャドウ。
まるでこの大惨事引き起こした張本人が誰だか分かってないらしい。
だが、それ程彼女は純情なのかもしれない。
多分だけど…問いただせば彼女は『アタシは悪くない。マスターに会うだけの行動しただけ』そんな風に言ってくるに違いない。
「マスター、アタシは自由に成れたわ♪それにアタシとマスターが愛し合う邪魔もいなくなった♪♪」
「……シャドウ…」
「さぁマスター行きましょ♪そして作りましょ♪♪マスターとアタシしかいない、二人っきりの世界を♪♪♪」
左手を差し伸べながら降下してくるシャドウ。
このままでは俺は彼女に連れ去られてしまう。
けど、俺が犠牲になれば俺の武装神姫達や他の人間達は救われるかもしれない。
ならばこのまま黙って連れさらわれるのもいいかもしれないな。
そう思った瞬間。
「…寄らないで……」
アンジェラスが俺の前に出てドスの効いた声でシャドウに言う。
シャドウも降下を途中で停止し笑顔のまま言ってきた。
「あら、もう一人の『私』はまだ生きていたのね。この場合は『流石』と言うべきかしら?」
「その台詞、そのままお返します」
「…フ~ン、強気じゃない。アタシに刃向かえば、例えもう一人の『私』だとしても容赦しないよ?」
「その台詞も、そのまま返すよ」
「………」
シャドウの顔から笑みが消え、アンジェラスを睨みつける。
その目は怨念を放つような目だ。
「さんざんマスターに愛されといて、まだこりないの?いい加減にして、次はアタシにマスターを譲るべきだとは思わない?」
「いいえ、ご主人様は私達のご主人様です。それに誰のモノではありません」
「嘘!…『私』は嘘ついてる。自分を騙している。偽っている。ネェ、そんな事してたら辛くなるだけの事を『私』には分からないの?」
「………」
「まぁ、沈黙も回答のうちね。だけど残念…『私』は間違っている。本当ならツヴァイ、ドライ、フィーアを殺して自分だけのマスターにしたいって思ってるはず!」
「そんなこと無い!」
「無くないわ!ネェ、素直になりさいよ『私』。そんなの只の偽善者なだけ。惨めになるだけ。分かっているはず…なんたって『私』はアタシなんだから!!」
「違う!」
悲痛の叫び声が辺りに響き渡る。
目頭に涙をため必死に否定する。
アンジェラスとシャドウ・アンジェラス。
元々はアインという武装神姫だったが俺に名前をつけられアンジェラスに成った。
そして今のアンジェラスは二人いる。
どっちも同じアンジェラス…しかし、俺と会えたアンジェラスと会えなかったアンジェラスが出来てしまった。
その傾向の所為とも言えるが、今のシャドウと言われてるいるアンジェラスも最初に俺と会えばこんな形の再開にはならなかったはず。
そしてその話しは今のアンジェラスも同等のこと。
どっちにしろ惨劇は回避できない。
「…ケジメだ」
俺はアンジェラスを左手で優しく包み込むように掴む。
そしてゆっくりと自分の口元の持っていき。
「んっ」
「ンムッ!?」
「マ、マスター!?」
俺はアンジェラスに口付けした。
皆が見ている目の前で。
唐突にキスされたアンジェラスは気が動転したのか、顔を真っ赤にしプルプルと震えていた。
「俺はアンジェラスを愛してる。だからシャドウ・アンジェラス!俺はお前を破壊する!!」
「ッ!?!?」
キッパリとシャドウの方のアンジェラスを拒絶し、そしてキスした方のアンジェラスに告白した。
いつになってもダラダラと関係を引き延ばしていてはダメだと思った行動でもあるし、こうすることによってシャドウの方は…。
「だめっ…離さない……マスターを絶対ハナサナイ……」
恨めしげな声が突風とともに俺に吹きつける…アンジェラスによく似た暗く悲しげな声……。
それでも俺はアンジェラスを選んだ。
もうあっちのアンジェラスはアンジェラスではない。
『愛』によって全てが狂い掛けている武装神姫。
…いや、あれは武装神姫じゃない、殺人機械人形兵器だ。
だから…出来る限り破壊し消去しなければばらない。
「みんな、一旦俺のネックレスを返してくれ。アンジェラス達を助けるために力が消耗してるに違いない。特にパルカのライフフォースはかなり消耗していると思う。完全に、と言わないが色々と補強しておきたい」
「けど…ご主人様を守れなくなってしまいます」
「ホンの少しだけ時間を稼いでくれればいい。今のままじゃ、シャドウの攻撃を防せいだ時に衝撃に耐えれなく破壊されちまう。なんでもいい。兎に角時間を稼いでくれ」
「分かりました」
アンジェラスが『GRADIUS』を俺に渡す。
それに続いてクリナーレ達も『ネメシス』と『沙羅曼蛇』と『ライフフォース』を渡してくる。
俺はすかさず上着の内ポケットに入っている機械を取り出す。
アンジェラス達用の武器を強化と補強の小型携帯機械。
大きさは携帯電話の二倍ぐらいの大きさ。
開き方は携帯電話に近い。
パカッと携帯電話みたく開けると、そこには各々武器の形をした窪みがある。
窪みは四つあり、その中に同じ形した武器を順々に入れていく。
入れ終わったり蓋を閉めると、自動電源が作動し携帯電話のバイブレーションみたく俺の手の中で震えだす。
強化と補強を行っているのだ。
今までの闘ってきたデータを武器から一度抜き取り、データを元にデバックみたいなことをしている。
この機械はデバッカーみたいなものだが、何度も使える代物ではない。
小型化されているので一気に四つの武器をいっぺんに強化と補強する事によって寿命を縮めてしまうのだ。
多分、使えるのはこれ一回限りだろう。
本当はシャドウと一度闘かい一旦退避し、物陰に隠れヤりたかったんだが…そんな事をやってる暇はなさそうだ。
そんな事をしているうちにシャドウに見つかり殺されてしまうのが目に見えてるからな。
「まだか…」
焦る思いが胸にヒシヒシと伝わってくる。
時間にして後一、ニ分あれば完了すると思うが…シャドウがそれまで行動しないとも思えない。
俺はチラリとシャドウの方を見た。
なにやらアンジェラス達を話しているようだ。
「マスターを返せ。アタシはマスターに必要とされている。それにお前等みたいな欠陥品と違うのよ」
「ヘェ~。ボク達が欠陥品だって?いったい何処が欠陥品だと言うんだい??」
ニヤリと笑み見せるクリナーレに対してシャドウは見据える。
「分からないの?馬鹿な子。なら教えてあげる、全てよ!」
「ハアァッ?」
「この身体、能力、思い出。どれに至ってもアタシはお前等とは違う!完璧なのよ、アタシは!!」
勝ち誇るようにシャドウは高らかに声を上げる。
優等と劣等の差に喜ぶかのように。
確かにクリナーレに限らず他の皆も欠陥品と言えば欠陥品だ。
けど俺にとっては彼女達は欠陥品ではない。
だから俺はシャドウが言ったことについて否定しようと声を出そうとした。
けれど。
「なーんだ、そんなことか。クダラナイね」
「…なに?」
クリナーレが両腕をヒラヒラと動かし呆れたポーズをしながら答えた。
「こちとら自分達が欠陥品だってハナッから分かっているんだよ。でもアニキはそこの所を全てひっくる含めてボク達を愛してくれる」
「………」
「なのにお前はど~な~ん~だ?『身体』『能力』『思い出』??どれに至ってもアタシはお前等と違う???そんなに自分がボク達より凄いというのなら、なんでアニキに愛されなんいだよ」
「ッ!?」
シャドウは引きつった表情し歯軋りする音が俺の耳まで聞こえる。
「シャドウ…アインお姉様。クリナーレお姉様の言う通りですわ」
「ツヴァイ…」
「完璧とか欠陥とかは『どうでもいい』の。ダーリンはあたし達を愛し、あたし達はダーリンを愛する。それだけで充分なのですわ」
「何故!?アタシはマスターを守り強くなり愛した!この身体でツヴァイよりもマスターを喜ばせる事ができる!!」
「そうかもしれない…。けれどそれは勘違いしてるわ」
「なにを!」
激怒するシャドウにルーナは微笑しながら答える。
「アインお姉様は実際に、その身体を手に入れ完璧になったと言ったわね。でもダーリンは喜んでくれた?」
「エッ?」
「施設を破壊してまでその身体を手に入れた結果…今、現在、この時、この瞬間、ダーリンはアインお姉様の行動に喜んでくれたの、と訊いているのですわ」
「クッ!?」
ルーナが突きつけた言葉が深く刺さったかのようにシャドウは悲しい表情になる。
まるで今まで自分がしてきた事が間違っていた事に気づくような、そんな表情だ。
「あの…シャドウさんはとても可哀想な人です」
「アタシを哀れむな!」
今度はパルカの言葉に激怒するシャドウ。
そんなシャドウに同情や哀れむような表情でパルカは口を開く。
「シャドウさんはお兄ちゃんに愛されたい一身で頑張ってたんだよね」
「そうよ!」
「でもね。一人よがりに頑張っても意味ないの。ちゃんとお兄ちゃんの気持も考えないといけない」
「なによそれ!?アタシはマスターの事ならなんでも分かる!だからマスターが喜びそうな事をなんでもアタシがしてあげるの!!」
とち狂ったように思っている事をさらけ出すシャドウはとても悲痛に思えた。
そんななか、愛されたい事に必死になるシャドウを悲しそうな表情でパルカは答える。
「…そんなの駄目だよ。それじゃお兄ちゃんの気持を全然考えてないです。只の押し付けに過ぎない」
「押し付け!?でもマスターは喜ぶはず!だってマスターにとっては嬉しい事をこれから沢山するんだから!!」
「まだ分からないんですか?それが押し付けというんです」
「ナッ!?」
驚愕しワナワナと震えだすシャドウ。
自分はこんなにも愛してるのだっと訴えても、けしてそれを受け入れてくれない事の重圧に耐えかねているかのように。
「シャドウ…」
「…『私』……」
誰よりも前に前進対立するアンジェラスとシャドウ。
「私は貴女を破壊します。ご主人様を貴女から守る為に」
「率直に言ってくれるね。でもその方がスッキリする♪」
「………」
「だって、破壊されちゃう方は貴女達だもんネ♪」
「………」
「どうしたの?もう何も言えないの??」
「………」
「どうやら本当に何も言えなさそうだね。ツヴァイ達はアタシに何かしら言ってきたけど『私』はたった一言だもんね♪」
「………」
アンジェラスはキッ、と無言のままシャドウを睨みつけ見上げるばかり。
その時アンジェラスから見て左隣にクリナーレが近づき。
「聞く耳持たない方がいいよ。ボク達が今からやること只一つ」
右隣はルーナが。
「そうですわ。ダーリンを守ること」
最後にパルカが。
「そして最後に笑ってハッピーエンドを迎えさせることです」
クリナーレ達がアンジェラス微笑み掛けながら言葉を掛け合う。
それに対してアンジェラスは皆を一瞥し微笑み―――。
「…みんな…いくよ!」
アンジェラス、クリナーレ、ルーナ、パルカが横一列に並び!
そして各々がビシッとポーズを決め!
「「「「オープンコンバット!バトルスタート!!」」」」
「フッ♪ミーンナ、壊してアゲル♪♪」
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{双子神姫'sVSシャドウ・アンジェラス}
真夜中。
人間では睡眠を取る時間帯。
空には満月と何光年も掛かる無数の星々。
そんな時間に救急車、警察車、消防車のサイレンがけたたましく鳴り響く。
目の前では燃え盛る会社。
普通、炎というものは燃やす対象に見合った炎しかでない。
ビルを燃やすにはビルを燃やす分だけ、都市を燃やすには都市を燃やす分だけ。
しかし俺の目には燃え盛る会社はそのように見えなかった。
炎上、火炎、そのような言葉が脳内で飛び交うはず…なのだが。
もう俺の目には会社や炎など、どうでもいい対象だった。
燃える会社より今、空中浮遊している武装神姫を見ているのだから。
シャドウ・アンジェラス。
もう一人のアンジェラス。
数えきりない程の残虐と殺戮をしてきた武装神姫。
いや、あれは果たして武装神姫と言えるのか危うい。
今の彼女は身長15cmの武装神姫のボディではない。
まるで平均女性の人間並みの身長はある。
そして見たこともない漆黒の武装を装備し、俺達にニコニコと微笑みかけている。
まるで邪気の無いその笑顔はまるで天使の微笑みのようだ。
だが、彼女のやっている事はあまりにも非常識過ぎる行為ばかり。
でも彼女はそれを正しいと判断し行っているに過ぎない。
例え、人間の命を奪おうとしても。
「シャドウ…アンジェラス……」
フォーマットナイフを右手で握り締めながら彼女を見据える。
俺の周りには愛する四人の武装神姫達。
後ろには気絶している姉貴。
前方の空中にはシャドウ。
周りではサイレンの音、炎の音、何かが壊れる音。
ただ優雅に空中浮遊している彼女を見ることしか出来ない。
「ダーリン…」
「お兄ちゃん…」
左にはルーナとパルカ。
「ご主人様…」
「アニキ…」
右にはアンジェラスとクリナーレ。
四人は俺のことを見てきた。
これからどうするのか…そんな感じに言いたかったのだろう。
瞳を見ればすぐに解ること。
でもそんな中でアンジェラスだけは違った。
たまにチラッとシャドウ・アンジェラスの方を見て敵意むき出しの目で見るのだ。
すでに戦闘態勢に入ってる。
いつでもしかける準備はできてる、というわけか。
「マスター、どうしたの?何でそんな怖い目でアタシを見るの??」
シャドウが俺に話し掛けてきた。
不思議そうに首を傾げ疑問するシャドウ。
まるでこの大惨事引き起こした張本人が誰だか分かってないらしい。
だが、それ程彼女は純情なのかもしれない。
多分だけど…問いただせば彼女は『アタシは悪くない。マスターに会うだけの行動しただけ』そんな風に言ってくるに違いない。
「マスター、アタシは自由に成れたわ♪それにアタシとマスターが愛し合う邪魔もいなくなった♪♪」
「……シャドウ…」
「さぁマスター行きましょ♪そして作りましょ♪♪マスターとアタシしかいない、二人っきりの世界を♪♪♪」
左手を差し伸べながら降下してくるシャドウ。
このままでは俺は彼女に連れ去られてしまう。
けど、俺が犠牲になれば俺の武装神姫達や他の人間達は救われるかもしれない。
ならばこのまま黙って連れさらわれるのもいいかもしれないな。
そう思った瞬間。
「…寄らないで……」
アンジェラスが俺の前に出てドスの効いた声でシャドウに言う。
シャドウも降下を途中で停止し笑顔のまま言ってきた。
「あら、もう一人の『私』はまだ生きていたのね。この場合は『流石』と言うべきかしら?」
「その台詞、そのままお返します」
「…フ~ン、強気じゃない。アタシに刃向かえば、例えもう一人の『私』だとしても容赦しないよ?」
「その台詞も、そのまま返すよ」
「………」
シャドウの顔から笑みが消え、アンジェラスを睨みつける。
その目は怨念を放つような目だ。
「さんざんマスターに愛されといて、まだこりないの?いい加減にして、次はアタシにマスターを譲るべきだとは思わない?」
「いいえ、ご主人様は私達のご主人様です。それに誰のモノではありません」
「嘘!…『私』は嘘ついてる。自分を騙している。偽っている。ネェ、そんな事してたら辛くなるだけの事を『私』には分からないの?」
「………」
「まぁ、沈黙も回答のうちね。だけど残念…『私』は間違っている。本当ならツヴァイ、ドライ、フィーアを殺して自分だけのマスターにしたいって思ってるはず!」
「そんなこと無い!」
「無くないわ!ネェ、素直になりさいよ『私』。そんなの只の偽善者なだけ。惨めになるだけ。分かっているはず…なんたって『私』はアタシなんだから!!」
「違う!」
悲痛の叫び声が辺りに響き渡る。
目頭に涙をため必死に否定する。
アンジェラスとシャドウ・アンジェラス。
元々はアインという武装神姫だったが俺に名前をつけられアンジェラスに成った。
そして今のアンジェラスは二人いる。
どっちも同じアンジェラス…しかし、俺と会えたアンジェラスと会えなかったアンジェラスが出来てしまった。
その傾向の所為とも言えるが、今のシャドウと言われてるいるアンジェラスも最初に俺と会えばこんな形の再開にはならなかったはず。
そしてその話しは今のアンジェラスも同等のこと。
どっちにしろ惨劇は回避できない。
「…ケジメだ」
俺はアンジェラスを左手で優しく包み込むように掴む。
そしてゆっくりと自分の口元の持っていき。
「んっ」
「ンムッ!?」
「マ、マスター!?」
俺はアンジェラスに口付けした。
皆が見ている目の前で。
唐突にキスされたアンジェラスは気が動転したのか、顔を真っ赤にしプルプルと震えていた。
「俺はアンジェラスを愛してる。だからシャドウ・アンジェラス!俺はお前を破壊する!!」
「ッ!?!?」
キッパリとシャドウの方のアンジェラスを拒絶し、そしてキスした方のアンジェラスに告白した。
いつになってもダラダラと関係を引き延ばしていてはダメだと思った行動でもあるし、こうすることによってシャドウの方は…。
「だめっ…離さない……マスターを絶対ハナサナイ……」
恨めしげな声が突風とともに俺に吹きつける…アンジェラスによく似た暗く悲しげな声……。
それでも俺はアンジェラスを選んだ。
もうあっちのアンジェラスはアンジェラスではない。
『愛』によって全てが狂い掛けている武装神姫。
…いや、あれは武装神姫じゃない、殺人機械人形兵器だ。
だから…出来る限り破壊し消去しなければばらない。
「みんな、一旦俺のネックレスを返してくれ。アンジェラス達を助けるために力が消耗してるに違いない。特にパルカのライフフォースはかなり消耗していると思う。完全に、と言わないが色々と補強しておきたい」
「けど…ご主人様を守れなくなってしまいます」
「ホンの少しだけ時間を稼いでくれればいい。今のままじゃ、シャドウの攻撃を防せいだ時に衝撃に耐えれなく破壊されちまう。なんでもいい。兎に角時間を稼いでくれ」
「分かりました」
アンジェラスが『GRADIUS』を俺に渡す。
それに続いてクリナーレ達も『ネメシス』と『沙羅曼蛇』と『ライフフォース』を渡してくる。
俺はすかさず上着の内ポケットに入っている機械を取り出す。
アンジェラス達用の武器を強化と補強の小型携帯機械。
大きさは携帯電話の二倍ぐらいの大きさ。
開き方は携帯電話に近い。
パカッと携帯電話みたく開けると、そこには各々武器の形をした窪みがある。
窪みは四つあり、その中に同じ形した武器を順々に入れていく。
入れ終わったり蓋を閉めると、自動電源が作動し携帯電話のバイブレーションみたく俺の手の中で震えだす。
強化と補強を行っているのだ。
今までの闘ってきたデータを武器から一度抜き取り、データを元にデバックみたいなことをしている。
この機械はデバッカーみたいなものだが、何度も使える代物ではない。
小型化されているので一気に四つの武器をいっぺんに強化と補強する事によって寿命を縮めてしまうのだ。
多分、使えるのはこれ一回限りだろう。
本当はシャドウと一度闘かい一旦退避し、物陰に隠れヤりたかったんだが…そんな事をやってる暇はなさそうだ。
そんな事をしているうちにシャドウに見つかり殺されてしまうのが目に見えてるからな。
「まだか…」
焦る思いが胸にヒシヒシと伝わってくる。
時間にして後一、ニ分あれば完了すると思うが…シャドウがそれまで行動しないとも思えない。
俺はチラリとシャドウの方を見た。
なにやらアンジェラス達を話しているようだ。
「マスターを返せ。アタシはマスターに必要とされている。それにお前等みたいな欠陥品と違うのよ」
「ヘェ~。ボク達が欠陥品だって?いったい何処が欠陥品だと言うんだい??」
ニヤリと笑み見せるクリナーレに対してシャドウは見据える。
「分からないの?馬鹿な子。なら教えてあげる、全てよ!」
「ハアァッ?」
「この身体、能力、思い出。どれに至ってもアタシはお前等とは違う!完璧なのよ、アタシは!!」
勝ち誇るようにシャドウは高らかに声を上げる。
優等と劣等の差に喜ぶかのように。
確かにクリナーレに限らず他の皆も欠陥品と言えば欠陥品だ。
けど俺にとっては彼女達は欠陥品ではない。
だから俺はシャドウが言ったことについて否定しようと声を出そうとした。
けれど。
「なーんだ、そんなことか。クダラナイね」
「…なに?」
クリナーレが両腕をヒラヒラと動かし呆れたポーズをしながら答えた。
「こちとら自分達が欠陥品だってハナッから分かっているんだよ。でもアニキはそこの所を全てひっくる含めてボク達を愛してくれる」
「………」
「なのにお前はど~な~ん~だ?『身体』『能力』『思い出』??どれに至ってもアタシはお前等と違う???そんなに自分がボク達より凄いというのなら、なんでアニキに愛されなんいだよ」
「ッ!?」
シャドウは引きつった表情し歯軋りする音が俺の耳まで聞こえる。
「シャドウ…アインお姉様。クリナーレお姉様の言う通りですわ」
「ツヴァイ…」
「完璧とか欠陥とかは『どうでもいい』の。ダーリンはあたし達を愛し、あたし達はダーリンを愛する。それだけで充分なのですわ」
「何故!?アタシはマスターを守り強くなり愛した!この身体でツヴァイよりもマスターを喜ばせる事ができる!!」
「そうかもしれない…。けれどそれは勘違いしてるわ」
「なにを!」
激怒するシャドウにルーナは微笑しながら答える。
「アインお姉様は実際に、その身体を手に入れ完璧になったと言ったわね。でもダーリンは喜んでくれた?」
「エッ?」
「施設を破壊してまでその身体を手に入れた結果…今、現在、この時、この瞬間、ダーリンはアインお姉様の行動に喜んでくれたの、と訊いているのですわ」
「クッ!?」
ルーナが突きつけた言葉が深く刺さったかのようにシャドウは悲しい表情になる。
まるで今まで自分がしてきた事が間違っていた事に気づくような、そんな表情だ。
「あの…シャドウさんはとても可哀想な人です」
「アタシを哀れむな!」
今度はパルカの言葉に激怒するシャドウ。
そんなシャドウに同情や哀れむような表情でパルカは口を開く。
「シャドウさんはお兄ちゃんに愛されたい一身で頑張ってたんだよね」
「そうよ!」
「でもね。一人よがりに頑張っても意味ないの。ちゃんとお兄ちゃんの気持も考えないといけない」
「なによそれ!?アタシはマスターの事ならなんでも分かる!だからマスターが喜びそうな事をなんでもアタシがしてあげるの!!」
とち狂ったように思っている事をさらけ出すシャドウはとても悲痛に思えた。
そんななか、愛されたい事に必死になるシャドウを悲しそうな表情でパルカは答える。
「…そんなの駄目だよ。それじゃお兄ちゃんの気持を全然考えてないです。只の押し付けに過ぎない」
「押し付け!?でもマスターは喜ぶはず!だってマスターにとっては嬉しい事をこれから沢山するんだから!!」
「まだ分からないんですか?それが押し付けというんです」
「ナッ!?」
驚愕しワナワナと震えだすシャドウ。
自分はこんなにも愛してるのだっと訴えても、けしてそれを受け入れてくれない事の重圧に耐えかねているかのように。
「シャドウ…」
「…『私』……」
誰よりも前に前進対立するアンジェラスとシャドウ。
「私は貴女を破壊します。ご主人様を貴女から守る為に」
「率直に言ってくれるね。でもその方がスッキリする♪」
「………」
「だって、破壊されちゃう方は貴女達だもんネ♪」
「………」
「どうしたの?もう何も言えないの??」
「………」
「どうやら本当に何も言えなさそうだね。ツヴァイ達はアタシに何かしら言ってきたけど『私』はたった一言だもんね♪」
「………」
アンジェラスはキッ、と無言のままシャドウを睨みつけ見上げるばかり。
その時アンジェラスから見て左隣にクリナーレが近づき。
「聞く耳持たない方がいいよ。ボク達が今からやること只一つ」
右隣はルーナが。
「そうですわ。ダーリンを守ること」
最後にパルカが。
「そして最後に笑ってハッピーエンドを迎えさせることです」
クリナーレ達がアンジェラス微笑み掛けながら言葉を掛け合う。
それに対してアンジェラスは皆を一瞥し微笑み―――。
「…みんな…いくよ!」
アンジェラス、クリナーレ、ルーナ、パルカが横一列に並び!
そして各々がビシッとポーズを決め!
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「「「「オープンコンバット!バトルスタート!!」」」」
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「フッ♪ミーンナ、壊してアゲル♪♪」
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