「雪国の風景」(2008/12/07 (日) 14:58:22) の最新版変更点
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北海道、一般的に日本列島の中で最も北に位置する島である。
地球温暖化が進み雪が降らない暖冬が一般的となった昨今においても、日本で有数の豪雪地帯を誇る。
&italic(){11月下旬。上川支庁・旭川市、神居。}
「―変わり映えしないもんだなぁ」
団地の駐車場に立ち、五十代に見える中年は呟く。
「何がですか? ご主人様」
彼のコートの胸ポケットに居座るのは全長十五センチの女人形。
…否、世界最小の「心を持つ人造人間」。MMS AutoMutton 神姫。
彼女の商品名は犬型ハウリン。
「2008年ごろと比べて全く変わってない。難儀なもんだよ」
「そう、なんですか?」
「ん。区画整理でもされて国道沿いは大きく変わると思ったけど、時間が停まったように変わってないや」
それを聞き、ハウリンは周りを見た。
#ref(ファイルのURL)
築何年経ったのだろう、周りの建物はかなりくたびれた印象を持った。
「…少し歩こうか」
「はい」
&bold(){~・~・~・~・~・~・~}
第一棟と第二棟の間を抜けて駐輪場を通り、国道へと向かう。
路面は車両が踏んづけた雪とそうでない雪がぼこぼこと複雑な段差を形作っていた。
「おっと」
男はバランスを崩し、手で弄んでいた旧式の携帯電話を落とした。
こう見えても頑丈なもので、バッテリーホルダーすら外れていない。
「あ、わたしが取りますっ」
そう言って飛び降りるハウリン、だが
「ぶっ!?」
カランと音を立ててコケた。
#ref(ファイルのURL)
「大丈夫か?」
「はい…いたた、なんですかこの氷は?」
#ref(ファイルのURL)
「圧雪アイスバーン、雪が車に踏まれて圧縮されるのを繰り返した結果できたものさ。…関東じゃこうなるまで降らないもんな」
「ええ。…本当にツルツルだ」
~・~・~・~・~・~・~
国道に出てスーパーマーケットの横を通り、近くにある公園の方向へと歩いてゆく。
#ref(ファイルのURL)
「うん、全く変わってない。過去にでもタイムスリップしてんじゃないかってぐらい」
「その例えはちょっと…」
バス停の近くまで歩いた。
立ち並ぶ街路樹は、秋に実らせたナナカマドの実を実らせたままであった。
「ご主人様、あの実が採りたいです」
「ん? あれは鳥の餌だぞ?」
「そんなのどうでもいいですよ」
男はハウリンの足をそっと掴み、実が生る枝へと近づけた。
#ref(ファイルのURL)
「そのままで。………とれた! 下ろしてください」
そっと手を下し、指を開くとハウリンはそのまま掌にちょこんと腰かけた。
小指と親指を少し掛け、ずり落ちないようにするのも忘れない。
#ref(ファイルのURL)
「へぇ……固い実だなぁ」
押したりぺしぺし叩いたりした後、実にかぶりついた。
「ちょっ」
「………………………………うう」
「言わんこっちゃない」
&bold(){~・~・~・~・~・~・~}
歩道沿いにある公園の柵に腰掛け、バスを待つ。
#ref(ファイルのURL)
「どうだヴィート、豪雪地帯に来た感想は? …まあ空港からの道での反応を見た限り、答えは聞かなくてもわかるけどな」
「はは、仰せのとおりです。……とっても楽しいです」
「そうかそうか」
男は彼女の頭を人差し指で撫でる。
「へへ……はうっ!?」
&bold(){ぼたっ}
#ref(ファイルのURL)
撫でられた拍子に柵から滑り落ち、誰も踏んでいない雪面へと頭からダイブした。
「あ、すまん」
「つ…つめたぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
オチも特になくおわりw
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作:第七スレの6
ロケ地:旭川市 神居2条4丁目付近
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北海道、一般的に日本列島の中で最も北に位置する島である。
地球温暖化が進み雪が降らない暖冬が一般的となった昨今においても、日本で有数の豪雪地帯を誇る。
&italic(){11月下旬。上川支庁・旭川市、神居。}
「―変わり映えしないもんだなぁ」
団地の駐車場に立ち、五十代に見える中年は呟く。
「何がですか? ご主人様」
彼のコートの胸ポケットに居座るのは全長十五センチの女人形。
…否、世界最小の「心を持つ人造人間」。MMS AutoMutton 神姫。
彼女の商品名は犬型ハウリン。
「2008年ごろと比べて全く変わってない。難儀なもんだよ」
「そう、なんですか?」
「ん。区画整理でもされて国道沿いは大きく変わると思ったけど、時間が停まったように変わってないや」
それを聞き、ハウリンは周りを見た。
#ref(http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/?cmd=upload&act=open&page=%E9%9B%AA%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%A2%A8%E6%99%AF&file=danchi.jpg)
築何年経ったのだろう、周りの建物はかなりくたびれた印象を持った。
「…少し歩こうか」
「はい」
&bold(){~・~・~・~・~・~・~}
第一棟と第二棟の間を抜けて駐輪場を通り、国道へと向かう。
路面は車両が踏んづけた雪とそうでない雪がぼこぼこと複雑な段差を形作っていた。
「おっと」
男はバランスを崩し、手で弄んでいた旧式の携帯電話を落とした。
こう見えても頑丈なもので、バッテリーホルダーすら外れていない。
「あ、わたしが取りますっ」
そう言って飛び降りるハウリン、だが
「ぶっ!?」
カランと音を立ててコケた。
#ref(http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/?cmd=upload&act=open&page=%E9%9B%AA%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%A2%A8%E6%99%AF&file=katan.jpg)
「大丈夫か?」
「はい…いたた、なんですかこの氷は?」
#ref(http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/?cmd=upload&act=open&page=%E9%9B%AA%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%A2%A8%E6%99%AF&file=turuturu.jpg)
「圧雪アイスバーン、雪が車に踏まれて圧縮されるのを繰り返した結果できたものさ。…関東じゃこうなるまで降らないもんな」
「ええ。…本当にツルツルだ」
~・~・~・~・~・~・~
国道に出てスーパーマーケットの横を通り、近くにある公園の方向へと歩いてゆく。
#ref(http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/?cmd=upload&act=open&page=%E9%9B%AA%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%A2%A8%E6%99%AF&file=douro.jpg)
「うん、全く変わってない。過去にでもタイムスリップしてんじゃないかってぐらい」
「その例えはちょっと…」
バス停の近くまで歩いた。
立ち並ぶ街路樹は、秋に実らせたナナカマドの実を実らせたままであった。
#ref(http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/?cmd=upload&act=open&page=%E9%9B%AA%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%A2%A8%E6%99%AF&file=nanakamado.jpg)
「ご主人様、あの実が採りたいです」
「ん? あれは鳥の餌だぞ?」
「そんなのどうでもいいですよ」
男はハウリンの足をそっと掴み、実が生る枝へと近づけた。
#ref(http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/?cmd=upload&act=open&page=%E9%9B%AA%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%A2%A8%E6%99%AF&file=saishu.jpg)
「そのままで。………とれた! 下ろしてください」
そっと手を下し、指を開くとハウリンはそのまま掌にちょこんと腰かけた。
小指と親指を少し掛け、ずり落ちないようにするのも忘れない。
#ref(http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/?cmd=upload&act=open&page=%E9%9B%AA%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%A2%A8%E6%99%AF&file=kapuri.jpg)
「へぇ……固い実だなぁ」
押したりぺしぺし叩いたりした後、実にかぶりついた。
「ちょっ」
「………………………………うう」
「言わんこっちゃない」
&bold(){~・~・~・~・~・~・~}
歩道沿いにある公園の柵に腰掛け、バスを待つ。
#ref(http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/?cmd=upload&act=open&page=%E9%9B%AA%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%A2%A8%E6%99%AF&file=chokon.jpg)
「どうだヴィート、豪雪地帯に来た感想は? …まあ空港からの道での反応を見た限り、答えは聞かなくてもわかるけどな」
「はは、仰せのとおりです。……とっても楽しいです」
「そうかそうか」
男は彼女の頭を人差し指で撫でる。
「へへ……はうっ!?」
&bold(){ぼたっ}
#ref(http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/?cmd=upload&act=open&page=%E9%9B%AA%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%A2%A8%E6%99%AF&file=boss.jpg)
撫でられた拍子に柵から滑り落ち、誰も踏んでいない雪面へと頭からダイブした。
「あ、すまん」
「つ…つめたぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
オチも特になくおわりw
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作:第七スレの6
ロケ地:旭川市 神居2条4丁目付近
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