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「第9話:高校と友人と」(2008/08/29 (金) 03:19:27) の最新版変更点
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がやがやわいわいとざわめき立つ教室。
そりゃまぁ、めんどくさーいHRも終わり、これからやっとの放課後に相成るわけで。
腕伸ばしておしゃべりやら、したくもなるわなぁ。
でも、最近俺は即お帰りの超・帰宅部なわけですが。
もちろん、愛しのさっちゃんに会いに行くって大変なお題目があるからさッ。
さっちゃんとまさかの再開からそこそこ経ったわけだけど、段々笑顔が見え隠れしてきている気がする。
これが俺のおかげだったらいいなぁー、とか、すごい自惚れてみたいんだけど。
昔の、太陽みたいな笑顔と腰の入った右ストレートが懐かしい。
……こればっかりは時間、かけるしかないよなぁ。
少しずつ近づいていこう。
「相沢ちゃーん、最近一人でどこいってるのぉー?」
カバンを手に、席を立った矢先、とっても聞き覚えのあるお声がひとつ。
「そうだぞ、こないだもゲーセンめぐり断ってくれたな」
―――二つだった。
眼鏡をかけたいい顔してる細いヤツと、俺より背の高い、随分体格のいいヤツ。
「いや、最近いろいろね、あるのだよ」
とりあえず言い繕っておこう。あとでめんどそーな予感がするぜ。
「ほー、いろいろねぇー?いろいろー……」
眼鏡のイケメンの細いヤツこと、我が親友その1の前田クンの目の辺りがギラリと光った。
……くっ、これは何かを知っている眼だ!?
「ふむ、いろいろか、貴様チョメチョメしているな」
「鈴原くんはチョメチョメ発言好きだなぁ、意味わかってるのんか?」
「いやまったく」
「じゃあ言うな」
体格のよいヤツこと、親友その2の鈴原くんはよくチョメチョメ言う。たまに考えてることが分からないヤツだぜ。
「ともかく!俺は知っているのだよ相沢くん?キミが最近なぜ、付き合いを無視して早く帰るのかを」
……な、なんだってー!!?
「ふむ、本当かキバヤシ」
「誰がキバヤシよ鈴原くん」
俺に向き直り、にじりと距離を詰める前田氏。眼が光っていらっしゃる!
ヤバイ!この眼はヤバイぜ!?
「相沢くん、あなたはここ一番から近い―――」
ならばとるべき道は唯一つ!
「あばよとっつぁぁぁぁああああああんッ!」
「神姫センターでっあぁあああああ逃げたぞ、逃げたぞ鈴原くんよ!」
「ふむ、逃げたな。チョメチョメするつもりか」
「いいから追うのだ鈴原くんよ!ヤツを逃がすな!」
「ふむ、追うか」
させねぇ!街中にまぎれてしまえば俺の勝ちよッ!
走れ俺!流れる汗もそのままにっ!
「……ここまでくれば、どうよ……」
ところは変わり、街中の雑踏。
夕焼けに近い空の下、同じく帰りの学生やらその他やらで一杯。
あとは目立たなければオッケーなはず。
こそこそと隅を歩こうじゃないか。
ついでにルートも変えよう、網を張られると困るしなっ。
早くムラクモさんを迎えにいかねば!
「……あ、相沢くん?」
ぬぅ!?まさかもうバレたというのか!?いったいどんな追跡術を!
逃げてもダメなら、やるしかないッ!
「ちくしょう、かかってきやがれ!ノしてから向かうまでよォッ!」
KIAI十分で振り返れば、そこに居たのは輝く眼鏡ビームでも、チョメチョメマッチョメンでもなく。
「あ……あの……ごめん、なさい……」
ものすごく申し訳なさそうに頭を下げる、これまた見知った女の子がいるわけで。
「……もしかして、柚子っち?」
「……うん」
もしかしなくてもだった。
「イヤ、本当にごめん!マジにごめんなさい!」
「大丈夫だからっ、私大丈夫だからっ」
そして、ベコンベコンと、お互いに頭を下げまくる俺たちだった。
で、何故か俺の隣には、柚子っちこと、斉藤柚子様が並んでいるのだ。
あの喫茶店の美人オカマスターのマリコさんの親戚だとかなんとか。
マリコさん譲りの可愛い人なんだけど、ちょっと引っ込み思案。
……これでマリコさんのあの感じが混ざったら怖いかも。
「……相沢くん」
「ナンデスカ、柚子サマ」
申し訳なさ加減がハンパない俺は、なぜか片言だった。
「相沢くん、その、最近すぐ帰っちゃうよね……?」
……まさか?
「なにか、あるの?」
MASAKAーっ!?
「……こないだ、神姫センターに入るとこ、見たよ?」
しかも見られてるーッ!?
いやまて、センターに行くのは俺的にはよくあることじゃないか!
「よく行くのは知ってるけど、近頃は特に多い気がする……どうして?」
なんかいろいろご存知ねこの子!
「む、ムラクモさんが最近よくさ、バトルしようぜ!ってさ……」
「ムラクモちゃん、そんなタイプ、だったかな……」
苦しいっ、苦しいよママー!
首をかしげながら俺を見上げてくる柚子サマに、俺は歯が立ちません。
「じゃあ……私のルリとバトル、してみない?」
そ、そーきたかー!?
「ってか、柚子っちはバトルあんま好きじゃないんじゃなかったっけか?」
柚子っちは俺の友人周りで数少ない、神姫ユーザーの一人だったりする。
しかしどうも、本人はバトル好きじゃないみたいで、センターであった事はないけど。
「……そうなんだけど……くんとなら……」
ものっそい小声になってしまった柚子っち。
「た、たまにはいいかなってっ」
「さ、さいですか」
そんなわけで、なんか奇妙なことになってしまった。
普通ならNOというところなんだけど、なんというか、場に飲まれてしまったうえに、申し訳なさMAXハートなところで。
……ついついOKしてしまったのだ。
―――さっちゃんに紹介するってのも、手かな?
「ごめん、またせた?」
「ううん、大丈夫だよ?」
夕闇が濃くなり、アタリが暗くなり始めた頃、件のセンター前、俺と柚子っちとの待ち合わせ。
なんかこのやりとりのせいで、ものっそくデートっぽいっつーか。
なんか空気が甘酸っぱい感じがするぜ!?
「マイマスター、なんか顔が百面相してるよ」
「いっそ怪人百面相目指せるかしら」
「怪人は目指しちゃだめだと思うよ」
「相変わらずだね、ムラクモちゃんと相沢くんは」
柔らかそうな笑顔で俺とムラクモさんのやりとりを眺めてる柚子っち。
その肩には、メットのバイザーを深く下げたエメラルドブルーの神姫。
ちょっと縮こまってるようにも見える。
「ルリ、ちゃんと挨拶しなきゃだめだよ」
「……」
「ルリっ」
「……」
「……もう」
俺たちみたいにわいのわいのとじゃれあうタイプとは違う、静かなコンビ。
「ルリさんも相変わらず無口っ子だなぁ……ムラクモさんと双子とは思えないぜ」
「双子って!?確かに同時期発売ではあるけど!」
アーク型であるムラクモさんと同じ、トライク変形が可能なイーダ型のルリさん。
これは略称というか愛称で、本当はルリカラクサというらしい。響きは日本語みたいだけど、どんな字書くんだ?
「あながち間違ってないかもね、トライク変形って大きな共通点もあるし」
「…………土台とデザイナーが同じだけだから」
ようやく喋ったと思ったらキツイカウンターだ!?
「でも両方とも和名じゃない、村雲(ムラクモ)と瑠璃唐草(ルリカラクサ)だもの」
「…………あくまで柚子がつけた名前」
「……ルリってばぁ……」
静かだけど、なんか俺たちとあんまかわんない気がしてきました。
「ともあれ行こうぜ、これから人増えてくるし、ムラクモFC(団員?増加中)な人たちが来るといろいろめんどーだしさ!」
「あの人たちは……なんで私にあんな熱狂的になれるんだろう……」
「そりゃぁ、ムラクモさんがかわいーからに決まってるダニンガン」
「かっ……かわいいっていうのは、嬉しい、けど……ダニンガンってなに?」
「ティターンズの少佐、ジャマイカンっているじゃん?」
「……えーと……それは、『決まってるじゃないか→じゃまいか→ジャマイカン』ということになるの、かな?」
「オーゥ、ザッツラーイ」
「ザッツライじゃないよ!?」
律儀に返してくれたムラクモさんの叫びと、後ろからくすくすと笑う柚子っちと、周りの喧騒と。
そんなものを耳にしながら、俺たちは神姫センターへ。
―――でもまさか、あんな酷い事になるとは、俺は微塵も思わなかった。
がやがやわいわいとざわめき立つ教室。
そりゃまぁ、めんどくさーいHRも終わり、これからやっとの放課後に相成るわけで。
腕伸ばしておしゃべりやら、したくもなるわなぁ。
でも、最近俺は即お帰りの超・帰宅部なわけですが。
もちろん、愛しのさっちゃんに会いに行くって大変なお題目があるからさッ。
さっちゃんとまさかの再開からそこそこ経ったわけだけど、段々笑顔が見え隠れしてきている気がする。
これが俺のおかげだったらいいなぁー、とか、すごい自惚れてみたいんだけど。
昔の、太陽みたいな笑顔と腰の入った右ストレートが懐かしい。
……こればっかりは時間、かけるしかないよなぁ。
少しずつ近づいていこう。
「相沢ちゃーん、最近一人でどこいってるのぉー?」
カバンを手に、席を立った矢先、とっても聞き覚えのあるお声がひとつ。
「そうだぞ、こないだもゲーセンめぐり断ってくれたな」
―――二つだった。
眼鏡をかけたいい顔してる細いヤツと、俺より背の高い、随分体格のいいヤツ。
「いや、最近いろいろね、あるのだよ」
とりあえず言い繕っておこう。あとでめんどそーな予感がするぜ。
「ほー、いろいろねぇー?いろいろー……」
眼鏡のイケメンの細いヤツこと、我が親友その1の前田クンの目の辺りがギラリと光った。
……くっ、これは何かを知っている眼だ!?
「ふむ、いろいろか、貴様チョメチョメしているな」
「鈴原くんはチョメチョメ発言好きだなぁ、意味わかってるのんか?」
「いやまったく」
「じゃあ言うな」
体格のよいヤツこと、親友その2の鈴原くんはよくチョメチョメ言う。たまに考えてることが分からないヤツだぜ。
「ともかく!俺は知っているのだよ相沢くん?キミが最近なぜ、付き合いを無視して早く帰るのかを」
……な、なんだってー!!?
「ふむ、本当かキバヤシ」
「誰がキバヤシよ鈴原くん」
俺に向き直り、にじりと距離を詰める前田氏。眼が光っていらっしゃる!
ヤバイ!この眼はヤバイぜ!?
「相沢くん、あなたはここ一番から近い―――」
ならばとるべき道は唯一つ!
「あばよとっつぁぁぁぁああああああんッ!」
「神姫センターでっあぁあああああ逃げたぞ、逃げたぞ鈴原くんよ!」
「ふむ、逃げたな。チョメチョメするつもりか」
「いいから追うのだ鈴原くんよ!ヤツを逃がすな!」
「ふむ、追うか」
させねぇ!街中にまぎれてしまえば俺の勝ちよッ!
走れ俺!流れる汗もそのままにっ!
「……ここまでくれば、どうよ……」
ところは変わり、街中の雑踏。
夕焼けに近い空の下、同じく帰りの学生やらその他やらで一杯。
あとは目立たなければオッケーなはず。
こそこそと隅を歩こうじゃないか。
ついでにルートも変えよう、網を張られると困るしなっ。
早くムラクモさんを迎えにいかねば!
「……あ、相沢くん?」
ぬぅ!?まさかもうバレたというのか!?いったいどんな追跡術を!
逃げてもダメなら、やるしかないッ!
「ちくしょう、かかってきやがれ!ノしてから向かうまでよォッ!」
KIAI十分で振り返れば、そこに居たのは輝く眼鏡ビームでも、チョメチョメマッチョメンでもなく。
「あ……あの……ごめん、なさい……」
ものすごく申し訳なさそうに頭を下げる、これまた見知った女の子がいるわけで。
「……もしかして、柚子っち?」
「……うん」
もしかしなくてもだった。
「イヤ、本当にごめん!マジにごめんなさい!」
「大丈夫だからっ、私大丈夫だからっ」
そして、ベコンベコンと、お互いに頭を下げまくる俺たちだった。
で、何故か俺の隣には、柚子っちこと、斉藤柚子様が並んでいるのだ。
あの喫茶店の美人オカマスターのマリコさんの親戚だとかなんとか。
マリコさん譲りの可愛い人なんだけど、ちょっと引っ込み思案。
……これでマリコさんのあの感じが混ざったら怖いかも。
「……相沢くん」
「ナンデスカ、柚子サマ」
申し訳なさ加減がハンパない俺は、なぜか片言だった。
「相沢くん、その、最近すぐ帰っちゃうよね……?」
……まさか?
「なにか、あるの?」
MASAKAーっ!?
「……こないだ、神姫センターに入るとこ、見たよ?」
しかも見られてるーッ!?
いやまて、センターに行くのは俺的にはよくあることじゃないか!
「よく行くのは知ってるけど、近頃は特に多い気がする……どうして?」
なんかいろいろご存知ねこの子!
「む、ムラクモさんが最近よくさ、バトルしようぜ!ってさ……」
「ムラクモちゃん、そんなタイプ、だったかな……」
苦しいっ、苦しいよママー!
首をかしげながら俺を見上げてくる柚子サマに、俺は歯が立ちません。
「じゃあ……私のルリとバトル、してみない?」
そ、そーきたかー!?
「ってか、柚子っちはバトルあんま好きじゃないんじゃなかったっけか?」
柚子っちは俺の友人周りで数少ない、神姫ユーザーの一人だったりする。
しかしどうも、本人はバトル好きじゃないみたいで、センターであった事はないけど。
「……そうなんだけど……くんとなら……」
ものっそい小声になってしまった柚子っち。
「た、たまにはいいかなってっ」
「さ、さいですか」
そんなわけで、なんか奇妙なことになってしまった。
普通ならNOというところなんだけど、なんというか、場に飲まれてしまったうえに、申し訳なさMAXハートなところで。
……ついついOKしてしまったのだ。
―――さっちゃんに紹介するってのも、手かな?
「ごめん、またせた?」
「ううん、大丈夫だよ?」
夕闇が濃くなり、アタリが暗くなり始めた頃、件のセンター前、俺と柚子っちとの待ち合わせ。
なんかこのやりとりのせいで、ものっそくデートっぽいっつーか。
なんか空気が甘酸っぱい感じがするぜ!?
「マイマスター、なんか顔が百面相してるよ」
「いっそ怪人百面相目指せるかしら」
「怪人は目指しちゃだめだと思うよ」
「相変わらずだね、ムラクモちゃんと相沢くんは」
柔らかそうな笑顔で俺とムラクモさんのやりとりを眺めてる柚子っち。
その肩には、メットのバイザーを深く下げたエメラルドブルーの神姫。
ちょっと縮こまってるようにも見える。
「ルリ、ちゃんと挨拶しなきゃだめだよ」
「……」
「ルリっ」
「……」
「……もう」
俺たちみたいにわいのわいのとじゃれあうタイプとは違う、静かなコンビ。
「ルリさんも相変わらず無口っ子だなぁ……ムラクモさんと双子とは思えないぜ」
「双子って!?確かに同時期発売ではあるけど!」
アーク型であるムラクモさんと同じ、トライク変形が可能なイーダ型のルリさん。
これは略称というか愛称で、本当はルリカラクサというらしい。響きは日本語みたいだけど、どんな字書くんだ?
「あながち間違ってないかもね、トライク変形って大きな共通点もあるし」
「…………土台とデザイナーが同じだけだから」
ようやく喋ったと思ったらキツイカウンターだ!?
「でも両方とも和名じゃない、村雲(ムラクモ)と瑠璃唐草(ルリカラクサ)だもの」
「…………あくまで柚子がつけた名前」
「……ルリってばぁ……」
静かだけど、なんか俺たちとあんまかわんない気がしてきました。
「ともあれ行こうぜ、これから人増えてくるし、ムラクモFC(団員?増加中)な人たちが来るといろいろめんどーだしさ!」
「あの人たちは……なんで私にあんな熱狂的になれるんだろう……」
「そりゃぁ、ムラクモさんがかわいーからに決まってるダニンガン」
「かっ……かわいいっていうのは、嬉しい、けど……ダニンガンってなに?」
「ティターンズの少佐、ジャマイカンっているじゃん?」
「……えーと……それは、『決まってるじゃないか→じゃまいか→ジャマイカン』ということになるの、かな?」
「オーゥ、ザッツラーイ」
「ザッツライじゃないよ!?」
律儀に返してくれたムラクモさんの叫びと、後ろからくすくすと笑う柚子っちと、周りの喧騒と。
そんなものを耳にしながら、俺たちは神姫センターへ。
―――でもまさか、あんな酷い事になるとは、俺は微塵も思わなかった。
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