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「明日の為に、其の7!(後編)」(2006/10/31 (火) 19:12:15) の最新版変更点
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<明日の為に、其の7!(後編)>
さっきまで布団を叩くような音がしていたのだが、急に静かになった事を不審に思いベランダの方を見る。
エストの姿はそこには無く、PONでライオンが物悲しそうに座っているのみだ。
少々変わった形状の1Fに住んでいる為、ベランダからすぐに外に出られるので度々周囲を走ってたりする事が以前にもあった。
なので今回もそんな類の事だろうと思っていると、神姫サイズのダンボールを抱えて何か言いたそうに帰って来た。
このサイズの中に納まる犬猫が存在すると思ったエストにも呆れたが、やり取りを纏めるとこうなる。
・名前はSir The darkとかいうらしい。
・自分のほかにもう一体同系機が作成されたが、性格上の理由で破棄が決定された。
・気付いた時には箱に入れられて家の前だったらしい。
製作者やら、どうやったらこのサイズでの自律型AIが搭載可能なのか、とか肝心な箇所が一切不明なのである。
「それで、貴様は一体何者だ?」
「それは俺の台詞だ、この馬鹿!」
「Sirの称号を与えられた我輩を愚弄するとは、その度胸だけは褒めてやろう。」
「師匠、とりあえず殴って黙らせますか?」
「暴力反対、貴殿も姫の名を冠する以上は平和的な解決方法を探したまえ。」
自分の不利を悟って上手く言葉で逃げるつもりのようだが、それにしても思考が柔軟すぎる。
思い当たる節は”ブレインコピー”という構想があったらしいという噂の類の情報であり、詳細は不明だ。
厄介事は御免なのだが、元の場所に戻せと言おうにも玄関前にあったのでは無理だ。
「師匠ー、この猫飼っても良いですか?良いですよね。」
「我輩は姫を守る騎士、飼うなどと愛玩動物と一緒の扱いをされては困る。」
何となくだが捨てられた理由がわからんでもないな。
「俺の指示に従え無いのなら出て行け、それだけだ。」
我ながら随分と面倒見が良くなったもんだ。
「では我が主に対し改めて名を名乗ろう。我輩の名はSir The dark、姫を守る闇の騎士だ。」
「闇?似合わんな、アンで十分だろう。今日からお前をアンと呼ぶ。」
「私はエスト、アンよろしくー。」
「勝手に人の名前を変えるな!!そもそもこの名前には……」
「嫌なら出て行ってもらって一向に構わんぞ?」
えーっと師匠ってば、物凄く悪そうな顔になってますよ。
「グ…、アンで良い。」
アンは何やら不満そうだけど、師匠>私>アンの図式を享受したみたいだ。
ところで最初に頭に響いた声は、何がどうなっていたんだろうか、今度聞いてみよう。
「とりあえず当分の間、居場所はこれで我慢しておけ。」
一般のプチマスィーンと異なり、移動用のデバイスが無い為に作成途中のサポートメカに接続しておく事にした。
「うむ、我慢しよう。」
扇風機の前で素振りを再開したエストが
「前がら思っでだんでずげど、師匠の周囲っで変な人ばがりでずね。」
お前が言うな。
「それで、その扇風機は何の真似ですかねエストさん。」
「嫌ですねー、以前師匠に空気を感じ取れるようになれって言われたから、その修行してるんじゃないですか。もうボケました?」
顔を見合わせた俺とアンは、無言で”爆風注意”と書かれた髑髏マーク入りの赤いボタンを押し、ベランダの外に飛ばされたエストを見送った。
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[[師匠と弟子>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/84.html]]
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