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「第二話~レイヴン~」(2008/06/29 (日) 20:30:59) の最新版変更点
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この話には、神姫破壊描写があります。
そのような描写が苦手な方は、読まないことをお薦めします。
「落ち着け…落ち着くんだ。
相手はストラーフだぞ…落ち着けば、私の剣の錆にするくらい…」
廃墟と化した都市の中、荒い息を吐きながらそう言うのは騎士型MMSサイフォスである。
相手は、悪魔型MMSストラーフ。
純正装備のただのストラーフ…というわけではなかった。
GA4チーグルアームパーツには、グレネードライフル…
リアユニットには高性能ブースターとリニアカノン。
見るからに普通ではない…ふと彼女の脳裏に“あること”が浮かぶ。
『レイヴン』
ジャーナルから警告されている要注意神姫の内の1体。
イリーガルとは違う民間の神姫である。
「どうして…逃げるの?苦しいだけなのに…楽になればいいのに」
そのレイヴンが口を開く。
「黙れ!私は、お前のようなバケモノに倒されるほど愚かではない!」
怒鳴るサイフォス。
「バケモノ…あなたもそう呼ぶんだね、私のことを」
「黙れと…言っている!!」
サイフォスは長剣コルヌを両手で持つと、叫びながらレイヴンに向かって振り下ろす。
が、そこにレイヴンは居なかった。
「…ッ!避けられた!?」
「私だって、好きでこんなことをしているんじゃないのに。それなのに…!」
と、背後に気配。
(いつの間に!?)
気付いたときにはもう遅く、GA4チーグルアームパーツで頭を鷲掴みにされてしまう。
「貴女はどうして戦うの?」
「貴様こそ何故戦う!?何故、こんな残酷な真似を…!」
寂しげに語るレイヴンと苦しげだが怒鳴るサイフォス。
「…マスターの命令だから」
「いくら主人の命令とて…貴様には良心がないのか?意思というものがないのか!?」
「良心?意思なんてものは私の中にはない」
「なん、だと?では、貴様の言っていることは何なんだ!?」
「作り物。紛い物」
「……」
淡々と答えるレイヴンに対し、サイフォス自身何も言えなくなってしまった。
彼女の心には絶望感と悲壮感が同時に襲っていた。
「それが貴女の答えなら…もういい」
カチャ…
腕部に取り付けられたグレネードライフルが、サイフォスへと向けられる。
サイフォスを見るレイヴンの目は…悲しみと憎しみが混在していた。
そして、「さようなら」という言葉と共に、キャヴァリエアルミュールが爆音と共に砕かれていく。
ドゴッ!…ドゴッ!…ドゴッ!
脚部、腕部、と次々に破壊されていく。
神姫の命ともいえる、CSCにもヒビが入る。
薄れゆく視界、意識の中でサイフォスは最後の力を振り絞り、
「血に…飢えた…カラ…ス…め…」
と言うと、ピクリとも動かなくなった。
「褒め言葉として受け取っておくわ」
レイヴンは薄く笑うと、フィールドを後にした。
一方その頃、そんなことが起こっていたことも知らない私は始業式に出ていた。
「ふわぁ…しかし、凄いわね。24時間、あの子を見ていたなんて」
あくびをしながら、私はそんなことを呟いていた。
「そんなことを自画自賛するものでもないだろうが」
横からそう声を掛けてきたのは、私の親友兼クラスメイトの姫宮若菜。
傍から見るとすっごく美人で容姿も抜群なんだけど、それとは裏腹に男っぽい。
故に、近付き難い印象が出ていて、女子は私以外ほとんど寄り付かない。
「で。その香鈴…だったか。そんなに見とれるほど可愛いものなのか?」
「ん~、そりゃあ超が付くほどに♪」
「…そ、そうか(汗」
若菜は私の惚けた顔に引きつつ、適当にあしらう。
そんな他愛もない会話をしている内に、始業式が終了した。
終わった瞬間、携帯に電話が入った。
ん…誰からだろ?
液晶画面に表示されていたのは、春姫の名前。
私は非常用などに自分の神姫たちに対して、連絡できるように自作の神姫用通信端末を渡している。
何度かどうでもいいことで掛かってくることがあった。
だけど、今回はどうも違うらしい。
「はい、もしもし。どったの、春姫」
『マスター!早く帰ってきてくださいよぉ!香鈴と彩里が…喧嘩して困ってるんですぅ!』
あー…何が原因か、何となーく分かる様な気がするけど…
「念のために聞いとくけど、何が原因?」
『彩里が香鈴にちょっかいを出して…!
香鈴シャンや何て出しちゃ駄目!彩里も久し振りだからって月光は駄目~!』
想像してたのと…逆だったか。
それは思いつかなかったよ、うん。
ってか、私の部屋を破壊する気か!?
「春姫、緊急事態だから“アレ”の使用を許可。何が何でも止めなさい。私も今すぐ帰るから」
『レーザーライフルの使用ですね!了解です!お気をつけて帰ってきて下さいね』
プツ…ツー…ツー…ツー…ピッ。
私は携帯の電源を切ると、ふぅ…と溜め息をついた。
マジ?
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