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*第四話 それぞれの正義
夜はまだ明けない。それどころかさらに深まる時刻だった。
ぼたん雪のかすかな音を、サーッ、というサルーンの――車にしては静寂な――エンジン音がかき消している。つまりそこだけはサルーンが支配しているということになる。
サルーンの周囲はサルーンの世界であり、雪の入り込む余地は無かった。サルーンの所有者は誰かといえば鶴畑であり、つまり車の周囲は鶴畑の支配する世界であり、その世界はある一定の範囲の空間を持ち、サルーンを中心に同等の速度で動いているといえた。
サルーンが去ってしまえば追いやられた雪の世界がふたたび戻ってくるが、サルーンの周りは雪などその辺の石ころと同等であり、言い換えれば絶対的に鶴畑の支配が及んでいるのだった。
鶴畑家、ひいては鶴畑コンツェルンとはそういう組織だった。自らの支配できる範囲を、絶対的な権力で押さえつけるやり方である。範囲を少しでも外れるものに対しては途端に興味を失ってしまうが、手の届くところに一ミリでも入り込んでしまえばそれは否応無しに、たちどころに鶴畑の支配を受けることになるのだった。
独裁者、絶対王政、などという言葉が似合った。武装神姫に関して形容するなら、鶴畑は裏の世界の表の帝王だった。
被支配者に対し、支配していると強固に分からせるやり方。
それは支配という概念に関して、夢卯理音の持っている、「支配していることを被支配者に絶対に気付かせない」支配論とまったく相対する理論だった。
非効率的だ。と、理音は思った。
相手に自分が支配していることを分からせるやり方はたしかに方法としては強力だが、オープンであるがゆえに穴が出来ざるを得ない。加えて被支配層との無駄な対立、そしてそこから派生する紛争が確実に勃発するのだ。被支配層は支配から逃れるために真っ向から対抗しつつ支配の穴を突こうとし、支配者は自らの軍で反乱を鎮圧しつつ見つかった穴を塞ぐ。穴は無数にあり簡単には見つからないから、結局戦いはいつまでも続くのだ。どちらかの戦力が疲弊するか、穴を突かれて支配者が暗殺や処刑されるかするまで、である。
そして単純に考えれば、純粋戦力が打破される懸念に加えて、支配者側には穴を突かれてトップから瓦解する懸念があるわけだから、ウィークポイント比率は支配者対被支配者で二対一、ゆうに半分もの差がそこにある。支配者は権力と戦力をふんだんに利用したパワープレイで、多くは純粋戦力面を増強するが、反乱を早期に鎮圧できるならまだしも、対立が長引けば穴を突かれて一撃必殺される危険性は加速度的に増大してゆく。
リーダーを失った組織は、例外なくもろい。すぐに後継者が現れるならいいが、後継者は後継者として完成するための育成機関があるわけで、育成が完了していれば問題ないがだいたい間に合わない。
鶴畑の支配体制は鶴畑が経済的に強大すぎるほどの力を持っているそれゆえに、資本主義社会の上においてのみ成立する体制なのだった。
これに対する理音の支配論の有効性は、さらに著しく行を割いてしまうため詳しく述べない。前述の懸念がほぼ綺麗に無くなるのだから、それだけ有効なやり方だとだけ述べるにとどめておく。
非効率すぎてやる気が失せる。理音はドアにひじをついて、真っ暗な夜の街を見ながらため息をついた。
窓に、車内灯に照らされた鶴畑興紀の横顔が写っている。彼は腕組みをしながら背もたれに長躯を預け、目を閉じていた。眠っているのだろうか。
彼は支配者としての優越感を味わいたいだけなのかもしれない。オープンな支配の、支配者に対するリターンのほとんどはまさにそこにある。支配していることを手に取るように実感させてくれるのだ。
その面白さは、理音にも、分かる。
胸元がもぞもぞと動き出した。
「ねえ、もう出てもいい?」
そうだ。あれからずっと胸元にクエンティンを押し込んでいたのだ。
「ごめん、いま出すね」
入れるときは首元からだったが皮膚に装甲の突起が当たって痛かったため、理音は裾をまくって下から手を入れ、クエンティンを取り出した。
彼女の姿は変わったままだった。おそらくあのアイスバーンの下から出てきた神姫の仕業だろう。原理は分からないが合体してしまったらしかった。そのおかげで私は助けられたのだから、文句は言えない。
「なるほど、それが例のプロトタイプか」
いつの間にか鶴畑興紀が目を覚まして、クエンティンを見つめていた。もともと眠っていなかったのかもしれない。冷たさは幾分感じられるが、獲物を狙うような、残忍な目、では無かった。能ある鷹は爪を隠すというように、彼も本性を隠しているのだろう。
「違うわ、融合しちゃったのよ」
クエンティンはことの顛末を話した。
「フムン、やはり単なる強化パーツではなかったか。一体まるごと新型の神姫を作って、対称の神姫に合体、いや、融合させる方がもっとも強力だろうからな。名前は?」
「アタシはクエンティン」
「お前じゃない。知っている。私のルシフェルに傷をつけた神姫は忘れん。お前の中にいるその試作型だ」
『独立型武装神姫総合戦闘支援システムプロトタイプ、エイダです』
「やはり独立したAIを備えていたか」
表情をまったく変えずに、興紀は言った。
「ねえ、いま、やはり、って言ったわね。『やはり単なる強化パーツではなかったか』って」
理音は言葉尻をとらえて訊いた。
「鶴畑はこれと何か関係しているの?」
「鶴畑はこのプロジェクトの筆頭出資者だ」
興紀はなんら隠すそぶりも見せずに答えた。
「プロジェクト?」
「次世代強化パーツ開発計画、メタトロン・プロジェクト」
大仰な名前だな、と、理音は思った。
「だがこれで分かった。次世代強化パーツ開発計画などというのは表向きで、実際は次世代の武装神姫開発計画、あるいはそれと同等の計画と呼ぶのが正しいようだ」
「もしかして、それを確かめるためにあそこに来たの?」
「筆頭出資者としてプロジェクトの詳細は把握するのは当たり前だ。だがプロジェクトチームはチーム以外の関係各所に対して微塵も情報開示しなかった。だからこの機に確かめに来て、可能なら回収するつもりだった。そこにたまたま貴方が居合わせ、さらに回収目的にあの新型どもが現れ、危機を察した試作型は貴方の神姫に融合した」
さっきは貴様、って言ったくせに。と理音は思った。
「私達は巻き込まれたわけか。で、そのプロジェクトの存在も教えた以上、帰すわけにも行かないってことね」
「可能なら神姫だけを持って行きたいが、それはあなたが許さないだろう、それにもうあなたにも危険が及ぶ可能性がある」
「私を助けるのは鶴畑のイメージ戦略? 私はお荷物なわけか」
「どうとってもらっても構わないが、お荷物だとは思わん。あなたのシステムに対する挑戦能力は、正直言うと私も見習いたいくらいだ。例の瞬間移動はあなたが発祥だ。もう使えなくなったのが気の毒だが」
「……それは、どうも、ありがとう」
理音は驚いた。お世辞だとしてもあの鶴畑の、しかも長男からそんな言葉が聞けるなんて。
「ともかく、ということはあなたも詳しくは知らないわけね」
「試作型があそこにいた理由だけだ。プロジェクトチームの一部が造反を起こし、二機の試作型を奪って他社に情報を売ろうとしたと聞いている。一機は奪取に成功したがもう一機は自ら逃走。後はあなたが体験したとおりだ」
「あの一つ目の神姫みたいなのは?」
「新型神姫の量産試験型だろう。素体のみで大したAIも積んでない。だが、拳銃を弾いたのが気になる」
理音は先ほどのことを思い出した。拳銃弾が命中したにもかかわらず、それだけでは壊れず、電柱に激突してやっと爆散したのだ。それもいままでクエンティンがダメージを与えていたからそうなったのであって、あれがもし無傷であったらと考えると……。
理音は武者震いを禁じえなかった。
「融合する前のクエンティンが戦ったとき、あんなに細い骨格に切り込むことすらできなかった。それに、神姫のパワーじゃないって言ったわ」
「うん、あれは下手すると素手で人を殺せるわね。レーザーカッターみたいなのを使えば、鉄板なんて紙きれだと思う」
クエンティンが答えた。
「もうただの趣味のための道具ではないな」
興紀は再び背もたれに身体を預け、ふう、と息を吐いた。
「これからどこへ?」
「ひとまず私の屋敷だ。そこで今後の対策を練る。あなたとその神姫にも協力してもらう。どうせあなたの神姫から、プロトタイプはもう引っぺがせないだろう」
『機密ロックが掛かっています。責任者が許可するか死亡しない限り、融合は解除できません』
「ご丁寧にありがとう」
『どういたしまして』
「その責任者って?」
「最悪なことに、造反組のリーダーだ。たしか、ノウマン、とかいうEU人」
「そう……」
それでひとまず会話は中断した。
ぼたん雪が降りしきる暗い夜道を、真っ黒なサルーンが高級車特有の静かなエンジン音を立てて走る。ヘッドライトが照らす道は轍の出来た雪道だけで、周囲がどうなっているかは分からない。
この道はまっすぐ行けば、郊外の鶴畑邸へ続いている。
到着までまだ二十分少々掛かるとのことだった。
車内は沈黙が支配してしまう。
が、理音は落ち着かなかった。
会話をしていなければ不安なのだ。相手が鶴畑だというのが気に食わないが、この際どうでもいい。まあ、性格はともかく、顔だけ見れば良い男だからそれでチャラにしてやろう。などと思いつつ、理音はかねてから聞きたかったことを切り出そうとした。
が、先に切り出したのはクエンティンの方だった。
「ねえ」
「なんだ」
「アンタ、自分の神姫が負けたら片っ端から廃棄処分にしてるってホント?」
あからさまに侮蔑と敵意を込めた口調であった。
これにはさすがの理音も肝を冷やした。
だが興紀は悪びれた様子も無く、いつもどおりの淡々とした表情で、
「そうだが、それがどうした」
と答えた。
この返答の仕方がクエンティンの堪忍袋の尾をぶち切ったらしかった。
「やめなさい、クエンティン!」
とっさに理音が静止していなければ、クエンティンはブレードを展開して興紀に襲い掛かっていたかもしれなかった。人工知能基本三原則を無視できる一つ目どもと同じ出自の神姫と融合しているのだから、その可能性はあったのだ。
一歩間違えれば殺されていたにもかかわらず、興紀は動揺するそぶりすら見せなかった。
「出来れば理由を聞きたいわ。よろしいかしら?」
いまだブツブツくすぶり続けるクエンティンを押さえつけながら理音は言った。
興紀はしばらく目をつぶっていたが、一度深呼吸をした後、話し始めた。
「武装神姫は道具だ」
その一言目だけでクエンティンがびくりと動くのを理音は感じた。
「神姫とは趣味のための道具、ツールでしかない。釣竿やゴルフクラブ、あるいはゲーム機。それらと同等だ」
「使えない道具は棄てるというわけ?」
「単純に言えばそうだが、ただ棄てるだけでは意味が無い。神姫という道具は蓄積された戦闘データを受け継がせ、必要な装備を移行させ、より洗練されたボディに移し変えるものだ。より自分に合った洗練された道具を作り出す」
自分とはもちろんオーナー自身のことだろう。
「棄てられた神姫のことは考えないのね」
「何の意味がある? いちいち道具に思い入れていたらキリが無い」
「神姫は意思を持っているわ。私たちと同じ意思が」
「下らんな。人工物に意思があるなどというのは幻想だ。有ったとしても邪魔なだけだ。必要ない。神姫に人権を与えようとする運動が盛んなようだが、反吐が出る。モノに権利など要らん。面倒くさくなるだけだ。理解が出来ん」
会話している最中、何度もクエンティンがもがくのを理音は押さえつけていなければならなかった。
ここまで話しただけで、理音は彼とは武装神姫、ひいては人工知能に対する見識まで決定的な乖離があることを思い知った。
彼は武装神姫を知性体とは見なしていなかった。彼にとって、武装神姫とは自分の趣味を行うために必要な道具であり、それ以上でも以下でもないのである。
おそらく彼の持論に対して、過半数の神姫とそのオーナーは反発を示すだろう。なぜならば彼の持論を一かけらでも認めたが最後、いままで築き上げてきた自身と神姫との蓄積の全てが、無意味なものになってしまうからだ。
だがその点で言うなら、幻想だとするのも間違ってはいない。そもそも、どれが現実でどれが幻想だと区別するのはもはやこの時代においては意味をなさない。目には見えない実体の無いものが多すぎるからだ。コンピュータデータ然り、人工知能の意思然りである。だが、難しい理屈を抜いても、人々にとってそれは「ある」ように感じられる。ならば「ある」とした方が後々落ち着くのは道理だろう。人は幻想がなくては生きて行けないのだ。
たとえ武装神姫に意思があるというのが幻想だとしても、「ある」と感じられるのが重要で、多くの人々はそれを認めているからこそ、神姫の人権運動が起こるのである。
だが彼は、違う。鶴畑興紀という人間は、武装神姫の意思が「ある」とは感じられないのだ。理屈のあとさきは問題ではない。どうであれ彼が武装神姫に意思はないと感じたならば、周囲がどんなに「ある」とまくし立てたところで、彼にとってはどうあがいても「ない」のである。
それが鶴畑興紀の正義なのだ。話し合いの余地の無い、正義。
私が武装神姫でシステムの裏をかこうとするように。あいつが公式装備以外を絶対に使わないように。
だから彼がたとえこの先神姫を棄てても、批判することは出来ても糾弾したり弾劾したりすることは決して出来ないのだ。
「……あなたの思想は認めるわ」
「お姉さま!?」
「でもやっぱり私は、個人的感情として納得することは出来ない」
「それでいい。個人の思想や正義は誰にも侵害されない。同時に自分の正義で他人を押しつぶしてもならない。最近私たちの思想に対して正義の味方気取りで向かってくる馬鹿がいるが、そんなものは正義の味方でもなんでもない。ただの押し売りだ」
もっともだ、と理音は思う。
彼の正義は、他人の正義を侵犯したことは少しもない。
武装神姫のバトルは認められた戦いであって、対戦者相互の個人的な事情でないかぎり正義がぶつかることはまず、無い。
正義の味方というのは、強者の正義で弱者の正義が侵犯されたときに現れるのであり、それ以外で現れたのなら正義の味方は転じて悪の権化と化すのである。
自分を含む過半数のオーナーと神姫に対して鶴畑三兄弟とは悪に違いないが、彼らは経営レベルはともかく直接関係のあるユーザーレベルにおいてはよくよく見ればただバトルをしているだけであって、正義を振りかざして他人を貶めることは何一つやっていないのである。
この先武装神姫の人権が認められてからもまた、彼が神姫を棄て続けるとすれば、それは明らかに人権侵害であり犯罪であるが、神姫に人権が出来るなら彼はたちどころに武装神姫から手を引くことは容易に予想できる。
彼のような人間は決して一人や少数ではないのもまた事実なのである。神姫に人権を認めたなら彼らの思想を侵害してしまうのであり、また経済的に見れば甚大な損失が計上されるのは間違いない。
長い間、「神姫には意思はあるが人権は無い」とする矛盾した体制になっている理由はここにあるのだ。
漫画の神様がロボットは友達だと教えてくれたこの日本においても、だからこのさきしばらくは、人工知能や武装神姫に人権が認められることは無いだろう。
◆ ◆ ◆
車の心地よい振動が眠気を誘う。考えてみれば今は寝る時間だ。
仕事明けで、しかもあんな体験の後だったから、理音はひどく疲れていた。
仕事のことは鶴畑がなんとかしてくれるだろうという甘い考えに浸りつつ、まどろみの中へ沈んでゆく。
が、睡眠への埋没はすんでのところで叶わなかった。
『警告、後方より脅威、高速接近中。数、一』
唐突にクエンティン、いや、彼女の中のエイダが言った。
「追っ手だと? じい」
「申し訳ありません、撒いたはずなのですが……」
「車じゃないわ」
理音が後ろを見て叫ぶ。
青白い交点が、サルーンを追っているのが見えた。
「神姫か……!?」
『脅威詳細確認。警告。敵はMMSタイプ・アヌビスです』
「アヌビス?」クエンティンが訊ねる。
『私と同じプロトタイプです。私の開発コードはMMSタイプ・ジェフティです』
「片割れというわけか。虎の子をまさか実戦投入してくるとはな。じい、屋敷まではあとどれくらいだ?」
「あと五分少々です」
「追いつかれるぞ」
「アタシが出る」
「何?」
クエンティンが手を上げた。
「だって、片割れなんでしょ? だったらこの子と融合してるアタシが相手するしかないじゃない」
『現状ではアヌビスに勝てません』
「……うそ?」
『サブウェポン、その他各機能を駆動するためのデバイスドライバがインストールされていません。手動でプログラムを組むことは出来ますが、本来の性能を発揮できず、また大きな負荷がかかります。現状の戦力比は本機を一として、アヌビス、三二七です』
「冗談みたいな戦力比だな」
『事実です』
「あなたが出て捕まったら意味が無いわ」
「このままでも一緒よ!」
「ねえ、あなた、あのルシフェルとかいう神姫は持ってきてないの?」
「バトル以外で持ち出すわけが無い」
「役立たずね」
「なんだと!?」
「お二方、けんかをしている暇はございません」
運転席の執事がいさめる。
「屋敷まで着けば対空ファランクス砲があります」
「何でそんなもの日本の屋敷に付いてるのよ」理音が突っ込む。
「鶴畑の敵は多いんだ」興紀が答えた。
「ですからそれまで、クエンティン様が足止めしていただければ、追い払うことは出来ます。これしか方法がありませんぞ」
一瞬の沈黙。
「止むを得んな」
興紀が言った。
「クエンティン……」
心配そうに理音が見つめる。
「だいじょーぶよ。足止めするくらいなら、出来るわよ」
『目的地に到着するまでならば、可能です』
「ほら、エイダも言ってるんだしさ」
「…………」
理音はうつむく。
彼女をサポートできないのがこんなに辛いとは。
だが、いまは頼るしかない。
ややあって意を決したように顔を上げた。
「頼んだわよ、クエンティン」
「まっかせなさーい」
窓が開けられる。高速の風が雪ごと車内に吹き込み、一気に寒くなる。
「車からできるだけ離れないように。では、頼みましたぞ」
「ラジャー!」
クエンティンの背中の羽からエメラルド色の粒子がほとばしる。
出撃。
つづく
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*第四話 それぞれの正義
夜はまだ明けない。それどころかさらに深まる時刻だった。
ぼたん雪のかすかな音を、サーッ、というサルーンの――車にしては静寂な――エンジン音がかき消している。つまりそこだけはサルーンが支配しているということになる。
サルーンの周囲はサルーンの世界であり、雪の入り込む余地は無かった。サルーンの所有者は誰かといえば鶴畑であり、つまり車の周囲は鶴畑の支配する世界であり、その世界はある一定の範囲の空間を持ち、サルーンを中心に同等の速度で動いているといえた。
サルーンが去ってしまえば追いやられた雪の世界がふたたび戻ってくるが、サルーンの周りは雪などその辺の石ころと同等であり、言い換えれば絶対的に鶴畑の支配が及んでいるのだった。
鶴畑家、ひいては鶴畑コンツェルンとはそういう組織だった。自らの支配できる範囲を、絶対的な権力で押さえつけるやり方である。範囲を少しでも外れるものに対しては途端に興味を失ってしまうが、手の届くところに一ミリでも入り込んでしまえばそれは否応無しに、たちどころに鶴畑の支配を受けることになるのだった。
独裁者、絶対王政、などという言葉が似合った。武装神姫に関して形容するなら、鶴畑は裏の世界の表の帝王だった。
被支配者に対し、支配していると強固に分からせるやり方。
それは支配という概念に関して、夢卯理音の持っている、「支配していることを被支配者に絶対に気付かせない」支配論とまったく相対する理論だった。
非効率的だ。と、理音は思った。
相手に自分が支配していることを分からせるやり方はたしかに方法としては強力だが、オープンであるがゆえに穴が出来ざるを得ない。加えて被支配層との無駄な対立、そしてそこから派生する紛争が確実に勃発するのだ。被支配層は支配から逃れるために真っ向から対抗しつつ支配の穴を突こうとし、支配者は自らの軍で反乱を鎮圧しつつ見つかった穴を塞ぐ。穴は無数にあり簡単には見つからないから、結局戦いはいつまでも続くのだ。どちらかの戦力が疲弊するか、穴を突かれて支配者が暗殺や処刑されるかするまで、である。
そして単純に考えれば、純粋戦力が打破される懸念に加えて、支配者側には穴を突かれてトップから瓦解する懸念があるわけだから、ウィークポイント比率は支配者対被支配者で二対一、ゆうに半分もの差がそこにある。支配者は権力と戦力をふんだんに利用したパワープレイで、多くは純粋戦力面を増強するが、反乱を早期に鎮圧できるならまだしも、対立が長引けば穴を突かれて一撃必殺される危険性は加速度的に増大してゆく。
リーダーを失った組織は、例外なくもろい。すぐに後継者が現れるならいいが、後継者は後継者として完成するための育成機関があるわけで、育成が完了していれば問題ないがだいたい間に合わない。
鶴畑の支配体制は鶴畑が経済的に強大すぎるほどの力を持っているそれゆえに、資本主義社会の上においてのみ成立する体制なのだった。
これに対する理音の支配論の有効性は、さらに著しく行を割いてしまうため詳しく述べない。前述の懸念がほぼ綺麗に無くなるのだから、それだけ有効なやり方だとだけ述べるにとどめておく。
非効率すぎてやる気が失せる。理音はドアにひじをついて、真っ暗な夜の街を見ながらため息をついた。
窓に、車内灯に照らされた鶴畑興紀の横顔が写っている。彼は腕組みをしながら背もたれに長躯を預け、目を閉じていた。眠っているのだろうか。
彼は支配者としての優越感を味わいたいだけなのかもしれない。オープンな支配の、支配者に対するリターンのほとんどはまさにそこにある。支配していることを手に取るように実感させてくれるのだ。
その面白さは、理音にも、分かる。
胸元がもぞもぞと動き出した。
「ねえ、もう出てもいい?」
そうだ。あれからずっと胸元にクエンティンを押し込んでいたのだ。
「ごめん、いま出すね」
入れるときは首元からだったが皮膚に装甲の突起が当たって痛かったため、理音は裾をまくって下から手を入れ、クエンティンを取り出した。
彼女の姿は変わったままだった。おそらくあのアイスバーンの下から出てきた神姫の仕業だろう。原理は分からないが合体してしまったらしかった。そのおかげで私は助けられたのだから、文句は言えない。
「なるほど、それが例のプロトタイプか」
いつの間にか鶴畑興紀が目を覚まして、クエンティンを見つめていた。もともと眠っていなかったのかもしれない。冷たさは幾分感じられるが、獲物を狙うような、残忍な目、では無かった。能ある鷹は爪を隠すというように、彼も本性を隠しているのだろう。
「違うわ、融合しちゃったのよ」
クエンティンはことの顛末を話した。
「フムン、やはり単なる強化パーツではなかったか。一体まるごと新型の神姫を作って、対称の神姫に合体、いや、融合させる方がもっとも強力だろうからな。名前は?」
「アタシはクエンティン」
「お前じゃない。知っている。私のルシフェルに傷をつけた神姫は忘れん。お前の中にいるその試作型だ」
『独立型武装神姫総合戦闘支援システムプロトタイプ、エイダです』
「やはり独立したAIを備えていたか」
表情をまったく変えずに、興紀は言った。
「ねえ、いま、やはり、って言ったわね。『やはり単なる強化パーツではなかったか』って」
理音は言葉尻をとらえて訊いた。
「鶴畑はこれと何か関係しているの?」
「鶴畑はこのプロジェクトの筆頭出資者だ」
興紀はなんら隠すそぶりも見せずに答えた。
「プロジェクト?」
「次世代強化パーツ開発計画、メタトロン・プロジェクト」
大仰な名前だな、と、理音は思った。
「だがこれで分かった。次世代強化パーツ開発計画などというのは表向きで、実際は次世代の武装神姫開発計画、あるいはそれと同等の計画と呼ぶのが正しいようだ」
「もしかして、それを確かめるためにあそこに来たの?」
「筆頭出資者としてプロジェクトの詳細は把握するのは当たり前だ。だがプロジェクトチームはチーム以外の関係各所に対して微塵も情報開示しなかった。だからこの機に確かめに来て、可能なら回収するつもりだった。そこにたまたま貴方が居合わせ、さらに回収目的にあの新型どもが現れ、危機を察した試作型は貴方の神姫に融合した」
さっきは貴様、って言ったくせに。と理音は思った。
「私達は巻き込まれたわけか。で、そのプロジェクトの存在も教えた以上、帰すわけにも行かないってことね」
「可能なら神姫だけを持って行きたいが、それはあなたが許さないだろう、それにもうあなたにも危険が及ぶ可能性がある」
「私を助けるのは鶴畑のイメージ戦略? 私はお荷物なわけか」
「どうとってもらっても構わないが、お荷物だとは思わん。あなたのシステムに対する挑戦能力は、正直言うと私も見習いたいくらいだ。例の瞬間移動はあなたが発祥だ。もう使えなくなったのが気の毒だが」
「……それは、どうも、ありがとう」
理音は驚いた。お世辞だとしてもあの鶴畑の、しかも長男からそんな言葉が聞けるなんて。
「ともかく、ということはあなたも詳しくは知らないわけね」
「試作型があそこにいた理由だけだ。プロジェクトチームの一部が造反を起こし、二機の試作型を奪って他社に情報を売ろうとしたと聞いている。一機は奪取に成功したがもう一機は自ら逃走。後はあなたが体験したとおりだ」
「あの一つ目の神姫みたいなのは?」
「新型神姫の量産試験型だろう。素体のみで大したAIも積んでない。だが、拳銃を弾いたのが気になる」
理音は先ほどのことを思い出した。拳銃弾が命中したにもかかわらず、それだけでは壊れず、電柱に激突してやっと爆散したのだ。それもいままでクエンティンがダメージを与えていたからそうなったのであって、あれがもし無傷であったらと考えると……。
理音は武者震いを禁じえなかった。
「融合する前のクエンティンが戦ったとき、あんなに細い骨格に切り込むことすらできなかった。それに、神姫のパワーじゃないって言ったわ」
「うん、あれは下手すると素手で人を殺せるわね。レーザーカッターみたいなのを使えば、鉄板なんて紙きれだと思う」
クエンティンが答えた。
「もうただの趣味のための道具ではないな」
興紀は再び背もたれに身体を預け、ふう、と息を吐いた。
「これからどこへ?」
「ひとまず私の屋敷だ。そこで今後の対策を練る。あなたとその神姫にも協力してもらう。どうせあなたの神姫から、プロトタイプはもう引っぺがせないだろう」
『機密ロックが掛かっています。責任者が許可するか死亡しない限り、融合は解除できません』
「ご丁寧にありがとう」
『どういたしまして』
「その責任者って?」
「最悪なことに、造反組のリーダーだ。たしか、ノウマン、とかいうEU人」
「そう……」
それでひとまず会話は中断した。
ぼたん雪が降りしきる暗い夜道を、真っ黒なサルーンが高級車特有の静かなエンジン音を立てて走る。ヘッドライトが照らす道は轍の出来た雪道だけで、周囲がどうなっているかは分からない。
この道はまっすぐ行けば、郊外の鶴畑邸へ続いている。
到着までまだ二十分少々掛かるとのことだった。
車内は沈黙が支配してしまう。
が、理音は落ち着かなかった。
会話をしていなければ不安なのだ。相手が鶴畑だというのが気に食わないが、この際どうでもいい。まあ、性格はともかく、顔だけ見れば良い男だからそれでチャラにしてやろう。などと思いつつ、理音はかねてから聞きたかったことを切り出そうとした。
が、先に切り出したのはクエンティンの方だった。
「ねえ」
「なんだ」
「アンタ、自分の神姫が負けたら片っ端から廃棄処分にしてるってホント?」
あからさまに侮蔑と敵意を込めた口調であった。
これにはさすがの理音も肝を冷やした。
だが興紀は悪びれた様子も無く、いつもどおりの淡々とした表情で、
「そうだが、それがどうした」
と答えた。
この返答の仕方がクエンティンの堪忍袋の尾をぶち切ったらしかった。
「やめなさい、クエンティン!」
とっさに理音が静止していなければ、クエンティンはブレードを展開して興紀に襲い掛かっていたかもしれなかった。人工知能基本三原則を無視できる一つ目どもと同じ出自の神姫と融合しているのだから、その可能性はあったのだ。
一歩間違えれば殺されていたにもかかわらず、興紀は動揺するそぶりすら見せなかった。
「出来れば理由を聞きたいわ。よろしいかしら?」
いまだブツブツくすぶり続けるクエンティンを押さえつけながら理音は言った。
興紀はしばらく目をつぶっていたが、一度深呼吸をした後、話し始めた。
「武装神姫は道具だ」
その一言目だけでクエンティンがびくりと動くのを理音は感じた。
「神姫とは趣味のための道具、ツールでしかない。釣竿やゴルフクラブ、あるいはゲーム機。それらと同等だ」
「使えない道具は棄てるというわけ?」
「単純に言えばそうだが、ただ棄てるだけでは意味が無い。神姫という道具は蓄積された戦闘データを受け継がせ、必要な装備を移行させ、より洗練されたボディに移し変えるものだ。より自分に合った洗練された道具を作り出す」
自分とはもちろんオーナー自身のことだろう。
「棄てられた神姫のことは考えないのね」
「何の意味がある? いちいち道具に思い入れていたらキリが無い」
「神姫は意思を持っているわ。私たちと同じ意思が」
「下らんな。人工物に意思があるなどというのは幻想だ。有ったとしても邪魔なだけだ。必要ない。神姫に人権を与えようとする運動が盛んなようだが、反吐が出る。モノに権利など要らん。面倒くさくなるだけだ。理解が出来ん」
会話している最中、何度もクエンティンがもがくのを理音は押さえつけていなければならなかった。
ここまで話しただけで、理音は彼とは武装神姫、ひいては人工知能に対する見識まで決定的な乖離があることを思い知った。
彼は武装神姫を知性体とは見なしていなかった。彼にとって、武装神姫とは自分の趣味を行うために必要な道具であり、それ以上でも以下でもないのである。
おそらく彼の持論に対して、過半数の神姫とそのオーナーは反発を示すだろう。なぜならば彼の持論を一かけらでも認めたが最後、いままで築き上げてきた自身と神姫との蓄積の全てが、無意味なものになってしまうからだ。
だがその点で言うなら、幻想だとするのも間違ってはいない。そもそも、どれが現実でどれが幻想だと区別するのはもはやこの時代においては意味をなさない。目には見えない実体の無いものが多すぎるからだ。コンピュータデータ然り、人工知能の意思然りである。だが、難しい理屈を抜いても、人々にとってそれは「ある」ように感じられる。ならば「ある」とした方が後々落ち着くのは道理だろう。人は幻想がなくては生きて行けないのだ。
たとえ武装神姫に意思があるというのが幻想だとしても、「ある」と感じられるのが重要で、多くの人々はそれを認めているからこそ、神姫の人権運動が起こるのである。
だが彼は、違う。鶴畑興紀という人間は、武装神姫の意思が「ある」とは感じられないのだ。理屈のあとさきは問題ではない。どうであれ彼が武装神姫に意思はないと感じたならば、周囲がどんなに「ある」とまくし立てたところで、彼にとってはどうあがいても「ない」のである。
それが鶴畑興紀の正義なのだ。話し合いの余地の無い、正義。
私が武装神姫でシステムの裏をかこうとするように。あいつが公式装備以外を絶対に使わないように。
だから彼がたとえこの先神姫を棄てても、批判することは出来ても糾弾したり弾劾したりすることは決して出来ないのだ。
「……あなたの思想は認めるわ」
「お姉さま!?」
「でもやっぱり私は、個人的感情として納得することは出来ない」
「それでいい。個人の思想や正義は誰にも侵害されない。同時に自分の正義で他人を押しつぶしてもならない。最近私たちの思想に対して正義の味方気取りで向かってくる馬鹿がいるが、そんなものは正義の味方でもなんでもない。ただの押し売りだ」
もっともだ、と理音は思う。
彼の正義は、他人の正義を侵犯したことは少しもない。
武装神姫のバトルは認められた戦いであって、対戦者相互の個人的な事情でないかぎり正義がぶつかることはまず、無い。
正義の味方というのは、強者の正義で弱者の正義が侵犯されたときに現れるのであり、それ以外で現れたのなら正義の味方は転じて悪の権化と化すのである。
自分を含む過半数のオーナーと神姫に対して鶴畑三兄弟とは悪に違いないが、彼らは経営レベルはともかく直接関係のあるユーザーレベルにおいてはよくよく見ればただバトルをしているだけであって、正義を振りかざして他人を貶めることは何一つやっていないのである。
この先武装神姫の人権が認められてからもまた、彼が神姫を棄て続けるとすれば、それは明らかに人権侵害であり犯罪であるが、神姫に人権が出来るなら彼はたちどころに武装神姫から手を引くことは容易に予想できる。
彼のような人間は決して一人や少数ではないのもまた事実なのである。神姫に人権を認めたなら彼らの思想を侵害してしまうのであり、また経済的に見れば甚大な損失が計上されるのは間違いない。
長い間、「神姫には意思はあるが人権は無い」とする矛盾した体制になっている理由はここにあるのだ。
漫画の神様がロボットは友達だと教えてくれたこの日本においても、だからこのさきしばらくは、人工知能や武装神姫に人権が認められることは無いだろう。
◆ ◆ ◆
車の心地よい振動が眠気を誘う。考えてみれば今は寝る時間だ。
仕事明けで、しかもあんな体験の後だったから、理音はひどく疲れていた。
仕事のことは鶴畑がなんとかしてくれるだろうという甘い考えに浸りつつ、まどろみの中へ沈んでゆく。
が、睡眠への埋没はすんでのところで叶わなかった。
『警告、後方より脅威、高速接近中。数、一』
唐突にクエンティン、いや、彼女の中のエイダが言った。
「追っ手だと? じい」
「申し訳ありません、撒いたはずなのですが……」
「車じゃないわ」
理音が後ろを見て叫ぶ。
青白い交点が、サルーンを追っているのが見えた。
「神姫か……!?」
『脅威詳細確認。警告。敵はMMSタイプ・アヌビスです』
「アヌビス?」クエンティンが訊ねる。
『私と同じプロトタイプです。私の開発コードはMMSタイプ・ジェフティです』
「片割れというわけか。虎の子をまさか実戦投入してくるとはな。じい、屋敷まではあとどれくらいだ?」
「あと五分少々です」
「追いつかれるぞ」
「アタシが出る」
「何?」
クエンティンが手を上げた。
「だって、片割れなんでしょ? だったらこの子と融合してるアタシが相手するしかないじゃない」
『現状ではアヌビスに勝てません』
「……うそ?」
『サブウェポン、その他各機能を駆動するためのデバイスドライバがインストールされていません。手動でプログラムを組むことは出来ますが、本来の性能を発揮できず、また大きな負荷がかかります。現状の戦力比は本機を一として、アヌビス、三二七です』
「冗談みたいな戦力比だな」
『事実です』
「あなたが出て捕まったら意味が無いわ」
「このままでも一緒よ!」
「ねえ、あなた、あのルシフェルとかいう神姫は持ってきてないの?」
「バトル以外で持ち出すわけが無い」
「役立たずね」
「なんだと!?」
「お二方、けんかをしている暇はございません」
運転席の執事がいさめる。
「屋敷まで着けば対空ファランクス砲があります」
「何でそんなもの日本の屋敷に付いてるのよ」理音が突っ込む。
「鶴畑の敵は多いんだ」興紀が答えた。
「ですからそれまで、クエンティン様が足止めしていただければ、追い払うことは出来ます。これしか方法がありませんぞ」
一瞬の沈黙。
「止むを得んな」
興紀が言った。
「クエンティン……」
心配そうに理音が見つめる。
「だいじょーぶよ。足止めするくらいなら、出来るわよ」
『目的地に到着するまでならば、可能です』
「ほら、エイダも言ってるんだしさ」
「…………」
理音はうつむく。
彼女をサポートできないのがこんなに辛いとは。
だが、いまは頼るしかない。
ややあって意を決したように顔を上げた。
「頼んだわよ、クエンティン」
「まっかせなさーい」
窓が開けられる。高速の風が雪ごと車内に吹き込み、一気に寒くなる。
「車からできるだけ離れないように。では、頼みましたぞ」
「ラジャー!」
クエンティンの背中の羽からエメラルド色の粒子がほとばしる。
出撃。
つづく
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