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「第二十六話『剣林弾雨』」(2008/03/29 (土) 00:03:17) の最新版変更点
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「第四補給ポイントに到達! 補給に入るよ!!」
ハウの抱えるガトリングの弾幕が途切れる。
その隙を逃さず大量のネイキッドがゾンビの如く押し寄せるが・・・
「ああぁぁぁぁぁぁああああああ!!」
彩女の振り回す斬馬刀に両断され、一人たりともポイントに入ったハウには近寄れなかった。
『バレルが焼け付いてる! 交換をしている暇は無いぞ!!』
「だったらミニガンを使います! 予備マグを持てばゴールまでは持つはずです!!」
ハウはそう叫びながらミニガンにマガジンを叩き込みボルトを引く。そのまま予備のマガジンやサブウェポンのハンドガンやSMGにもマガジンを叩き込んでいく。
第三補給ポイントを通過した辺りから敵の数が急に増えてきた。恐らく最後のルートだから大盤振る舞いなのだろう。
「・・・流石に・・・これは・・・!!」
一度に三人以上を斬り払いながら苦しそうに彩女は言う。
その全身は冷却材の汗にまみれ、彼女の美しい銀髪が額に張り付いていた。
『右前方、一番崩しやすい場所を狙え。次は左斜め前だ。・・・いけるか?』
大混乱の中冷静な記四季の助言が飛ぶ。
「はい・・・! まだいけます!!」
彩女はそれに返事を返すと、斬馬刀を大きく振りかぶった。
*ホワイトファング・ハウリングソウル
*第二十六話
*『剣林弾雨』
戦い続ける戦いは初めてだ。
斬馬刀を捨て二刀一対の小太刀、群菖蒲に持ち替えた彩女は思った。
いつものバトルならば一人倒した後に多少の息をつけた。しかしこれは違う。
「息をもつかせぬとは・・・! まさにこの事を言うのでしょうね・・・・ッ!!」
右手で抜いた刀で前にいたネイキッドを斬り捨て、左手で抜いた刀でその後ろにいたネイキッドを両断する。
少し向こうではハウがミニガンを乱射していた。
「伏せて!!」
ハウの声に彩女は条件反射のようにその場に這いつくばる。
彩女の頭のすぐ上をミニガンの弾頭が通り過ぎ、周囲のネイキッドを一掃する。
「ごめん、大丈夫だった!?」
「問題ありません。むしろ助かりました」
そういいながら立ち上がり様に抜刀し一人片付ける彩女。
「主、ゴールまで後どの位でしょうか」
『南にあと五百メートルだ』
「左様で。・・・しかしこの中をサラ様たちも戦っているのですね。少し信じられません」
何気なく呟いた彩女の言葉に、記四季の声が少しこわばる。
その変化を怪訝に思った彩女が口を開こうとした時、先に記四季が口を開いた。
『・・・いや、あいつらはついさっきやられたらしい』
「・・・本当ですか」
少し残念に思いながら彩女は言う。
この戦いが終わるとき、全員揃っていたらよかったと。
だが、今はそんなことを考えている場合ではない。
彩女はそこいらにいたネイキッドを斬り捨てながらハウに近づき、そのまま背中合わせになる。
「・・・ハウ様、足に自身はお有りで?」
少し後ろを振り返り、ハウに耳打ちする。
彩女の言わんとする所を一瞬で理解したのか、ハウは笑いながら答えた。
「あるよ。僕は犬型だもん」
言っている間にも一掃したはずのネイキッドはどこからとも無く湧いてくる。
これ以上ここに留まるのも拙いし、なにより相手にしていたのではゴールに辿り着く前に息が切れてしまう。
「方角と距離は?」
「南に五百ほど」
「南ね」
ハウはそういうと腰に手を回し手榴弾を三つ、取り出す。
そのまま小さな手で器用にピンを一斉に抜くと南に向けて全て放り投げた。
「伏せて!」
彩女はハウの言うとおりにその場に伏せる。
直後に轟く爆音。
彩女は伏せていた頭を上げ、爆心地を見やる。
ネイキッドの包囲網に、そこだけぽっかりと穴が開いていた。
「では行きましょう」
「うん!」
彩女は先行し前にいるネイキッドだけを斬り捨てる。横から来るネイキッドは全てハウに任せていた。
夜闇の森を、銀の髪を持つ紅の狼と黒い狗が楽しそうに疾駆する。
その様はまるではるか昔の御伽噺のよう。
彩女が踊るように刃を振るえば、ハウが小さな炎を撒き散らしながら過激に撃つ。
始めて共に戦ったにも拘らず二人の連携は完璧だった。
「ふふ・・・! 楽しいね・・・!」
「言うに、及ばず・・・!」
状況は芳しくない。
撃ちすぎてガタの来た銃身、残り少ない弾丸、斬りそこなって切れ味の落ちた刀に体力の消耗。更には小さいながらも蓄積したダメージ。
今、石にでも蹴躓けばそれだけで致命傷。360度を多い尽くすネイキッドの群になすすべも無く引き裂かれるだろう。
だが
「・・・見えた! 森の終わりだ!!」
「そこを抜ければ・・・・・!!」
それもすぐに終わる。
森を抜けた彼女達は広大な草原に立てられた教会を見つける。
その開かれた扉に飛び込むと同時に、大きな教会の扉は音を立てて閉じられた。
「・・・・・・・・・はぁ・・・疲れた・・・」
「・・・・・・同じく」
飛び込んで転がった姿勢そのままに、二人は教会の高い天井を見ながら呟いた。
はるか上の方ではシャンデリアがゆっくりと揺れている。
ハウは頭を傾けて周囲をみやる。
奥のほうには祭壇とキリスト像、そして巨大なステンドグラス。壁には頑丈そうな窓があり、長椅子が規則正しく並べられている。どうやら礼拝堂らしい。
「・・・・ふぅ・・・主、ここのどこかにゴールがあるんですね? ・・・・・・・主?」
と、彩女の呼びかけに記四季が応じない。
不審に思ってハウも呼びかけてみるも都は応じない。
「・・・これって・・・・・?」
「この教会・・・外との会話が出来ないようですね。バグなのか仕様なのかは判りませんが」
そういいながら彩女は立ち上がる。と、教会の隅のほうに補給ポイントを発見した。
彩女は黙ってそこに近づき、置いてあった新しい刀を腰に差す。ついでに何本かドローイングナイフも拝借しておく。
それが終わると手招きでハウを呼び寄せ、新しい銃器を渡す。
まだ安心は出来ないのだ。
この教会の中に敵がいるとも限らない。
「・・・この教会のどこかにゴールがあるんでしょうか」
少し疲れた表情で彩女が呟く。
「・・・多分ね。とりあえず探検してみよう」
ハウがそういって祭壇の方に行こうと足を一歩踏み出したとき
「―――――――何じゃ、結局辿り着いたのは汝等か」
少し低い、何処か気だるそうな声が礼拝堂に響いた。
ハウは反射的にハンドガンを抜き、声のしたほうへとむける。彩女は既に間合いを詰める構えだ。
「・・・・・・・どちら様でしょうか」
彩女の呼びかけに、礼拝堂の支柱の影からカソックを着、ワイングラスをもったシスターが姿を現す。
そのシスターは・・・天使型のアーンヴァルだ。
「・・・・・・貴女は」
「久しいの。狗、そして大神よ」
そういって、天使型のジャンヌは妖しく笑った。
「何故こちらに? 貴女も参加していたのですか?」
彩女は構えを緩めずに摺り足でジャンヌに近づく。彼女はこの神姫センターで最強と謳われる一人だ。油断は出来ない。
「・・・参加は参加だがの。今回はここの主としての参加だ」
ジャンヌはそういうと椅子にグラスを置く。その瞬間彼女の体を光が包み、彼女は一瞬で武装状態に変身していた。
純白の機械翼、純白の身体、純白の剣。その姿は正しく伝説に謳われる勝利の女神そのもの。
ジャンヌは肩に担いだライフルブレードの切先をゆっくりと彩女に向ける。
「――――――ゆくぞ。今度は負けぬ」
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「第四補給ポイントに到達! 補給に入るよ!!」
ハウの抱えるガトリングの弾幕が途切れる。
その隙を逃さず大量のネイキッドがゾンビの如く押し寄せるが・・・
「ああぁぁぁぁぁぁああああああ!!」
彩女の振り回す斬馬刀に両断され、一人たりともポイントに入ったハウには近寄れなかった。
『バレルが焼け付いてる! 交換をしている暇は無いぞ!!』
「だったらミニガンを使います! 予備マグを持てばゴールまでは持つはずです!!」
ハウはそう叫びながらミニガンにマガジンを叩き込みボルトを引く。そのまま予備のマガジンやサブウェポンのハンドガンやSMGにもマガジンを叩き込んでいく。
第三補給ポイントを通過した辺りから敵の数が急に増えてきた。恐らく最後のルートだから大盤振る舞いなのだろう。
「・・・流石に・・・これは・・・!!」
一度に三人以上を斬り払いながら苦しそうに彩女は言う。
その全身は冷却材の汗にまみれ、彼女の美しい銀髪が額に張り付いていた。
『右前方、一番崩しやすい場所を狙え。次は左斜め前だ。・・・いけるか?』
大混乱の中冷静な記四季の助言が飛ぶ。
「はい・・・! まだいけます!!」
彩女はそれに返事を返すと、斬馬刀を大きく振りかぶった。
*ホワイトファング・ハウリングソウル
*第二十六話
*『剣林弾雨』
戦い続ける戦いは初めてだ。
斬馬刀を捨て二刀一対の小太刀、群菖蒲に持ち替えた彩女は思った。
いつものバトルならば一人倒した後に多少の息をつけた。しかしこれは違う。
「息をもつかせぬとは・・・! まさにこの事を言うのでしょうね・・・・ッ!!」
右手で抜いた刀で前にいたネイキッドを斬り捨て、左手で抜いた刀でその後ろにいたネイキッドを両断する。
少し向こうではハウがミニガンを乱射していた。
「伏せて!!」
ハウの声に彩女は条件反射のようにその場に這いつくばる。
彩女の頭のすぐ上をミニガンの弾頭が通り過ぎ、周囲のネイキッドを一掃する。
「ごめん、大丈夫だった!?」
「問題ありません。むしろ助かりました」
そういいながら立ち上がり様に抜刀し一人片付ける彩女。
「主、ゴールまで後どの位でしょうか」
『南にあと五百メートルだ』
「左様で。・・・しかしこの中をサラ様たちも戦っているのですね。少し信じられません」
何気なく呟いた彩女の言葉に、記四季の声が少しこわばる。
その変化を怪訝に思った彩女が口を開こうとした時、先に記四季が口を開いた。
『・・・いや、あいつらはついさっきやられたらしい』
「・・・本当ですか」
少し残念に思いながら彩女は言う。
この戦いが終わるとき、全員揃っていたらよかったと。
だが、今はそんなことを考えている場合ではない。
彩女はそこいらにいたネイキッドを斬り捨てながらハウに近づき、そのまま背中合わせになる。
「・・・ハウ様、足に自身はお有りで?」
少し後ろを振り返り、ハウに耳打ちする。
彩女の言わんとする所を一瞬で理解したのか、ハウは笑いながら答えた。
「あるよ。僕は犬型だもん」
言っている間にも一掃したはずのネイキッドはどこからとも無く湧いてくる。
これ以上ここに留まるのも拙いし、なにより相手にしていたのではゴールに辿り着く前に息が切れてしまう。
「方角と距離は?」
「南に五百ほど」
「南ね」
ハウはそういうと腰に手を回し手榴弾を三つ、取り出す。
そのまま小さな手で器用にピンを一斉に抜くと南に向けて全て放り投げた。
「伏せて!」
彩女はハウの言うとおりにその場に伏せる。
直後に轟く爆音。
彩女は伏せていた頭を上げ、爆心地を見やる。
ネイキッドの包囲網に、そこだけぽっかりと穴が開いていた。
「では行きましょう」
「うん!」
彩女は先行し前にいるネイキッドだけを斬り捨てる。横から来るネイキッドは全てハウに任せていた。
夜闇の森を、銀の髪を持つ紅の狼と黒い狗が楽しそうに疾駆する。
その様はまるではるか昔の御伽噺のよう。
彩女が踊るように刃を振るえば、ハウが小さな炎を撒き散らしながら過激に撃つ。
始めて共に戦ったにも拘らず二人の連携は完璧だった。
「ふふ・・・! 楽しいね・・・!」
「言うに、及ばず・・・!」
状況は芳しくない。
撃ちすぎてガタの来た銃身、残り少ない弾丸、斬りそこなって切れ味の落ちた刀に体力の消耗。更には小さいながらも蓄積したダメージ。
今、石にでも蹴躓けばそれだけで致命傷。360度を多い尽くすネイキッドの群になすすべも無く引き裂かれるだろう。
だが
「・・・見えた! 森の終わりだ!!」
「そこを抜ければ・・・・・!!」
それもすぐに終わる。
森を抜けた彼女達は広大な草原に立てられた教会を見つける。
その開かれた扉に飛び込むと同時に、大きな教会の扉は音を立てて閉じられた。
「・・・・・・・・・はぁ・・・疲れた・・・」
「・・・・・・同じく」
飛び込んで転がった姿勢そのままに、二人は教会の高い天井を見ながら呟いた。
はるか上の方ではシャンデリアがゆっくりと揺れている。
ハウは頭を傾けて周囲をみやる。
奥のほうには祭壇とキリスト像、そして巨大なステンドグラス。壁には頑丈そうな窓があり、長椅子が規則正しく並べられている。どうやら礼拝堂らしい。
「・・・・ふぅ・・・主、ここのどこかにゴールがあるんですね? ・・・・・・・主?」
と、彩女の呼びかけに記四季が応じない。
不審に思ってハウも呼びかけてみるも都は応じない。
「・・・これって・・・・・?」
「この教会・・・外との会話が出来ないようですね。バグなのか仕様なのかは判りませんが」
そういいながら彩女は立ち上がる。と、教会の隅のほうに補給ポイントを発見した。
彩女は黙ってそこに近づき、置いてあった新しい刀を腰に差す。ついでに何本かドローイングナイフも拝借しておく。
それが終わると手招きでハウを呼び寄せ、新しい銃器を渡す。
まだ安心は出来ないのだ。
この教会の中に敵がいるとも限らない。
「・・・この教会のどこかにゴールがあるんでしょうか」
少し疲れた表情で彩女が呟く。
「・・・多分ね。とりあえず探検してみよう」
ハウがそういって祭壇の方に行こうと足を一歩踏み出したとき
「―――――――何じゃ、結局辿り着いたのは汝等か」
少し低い、何処か気だるそうな声が礼拝堂に響いた。
ハウは反射的にハンドガンを抜き、声のしたほうへとむける。彩女は既に間合いを詰める構えだ。
「・・・・・・・どちら様でしょうか」
彩女の呼びかけに、礼拝堂の支柱の影からカソックを着、ワイングラスをもったシスターが姿を現す。
そのシスターは・・・天使型のアーンヴァルだ。
「・・・・・・貴女は」
「久しいの。狗、そして大神よ」
そういって、天使型のジャンヌは妖しく笑った。
「何故こちらに? 貴女も参加していたのですか?」
彩女は構えを緩めずに摺り足でジャンヌに近づく。彼女はこの神姫センターで最強と謳われる一人だ。油断は出来ない。
「・・・参加は参加だがの。今回はここの主としての参加だ」
ジャンヌはそういうと椅子にグラスを置く。その瞬間彼女の体を光が包み、彼女は一瞬で武装状態に変身していた。
純白の機械翼、純白の身体、純白の剣。その姿は正しく伝説に謳われる勝利の女神そのもの。
ジャンヌは肩に担いだライフルブレードの切先をゆっくりと彩女に向ける。
「――――――ゆくぞ。今度は負けぬ」
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