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「無頼外伝1「神姫と社会」」(2008/02/28 (木) 08:17:49) の最新版変更点
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***外伝1「神姫と社会」
ある日の事。
ホームルームにてこんな話が出た。
「残り時間は最近色々話題になってる、MMSによる犯罪についてを考えようと思う」
MMSによる犯罪。
以前挙げた「アウトロー」による国際法違反および賭博の他にも、性的目的による改造や
「バトルロンド」用の部品の違法製造はまだいい方である。
SF作家、アイザック・アジモフが提唱した「ロボット工学三原則」を改変する。
それは人間と同じ事が可能になると言う事。
つまり、MMSによる殺人が可能となる事を指す。
「…先生は、それに『ともだち』として生まれた神姫が使われてる事を思うと悲しい」
日本人がアメリカ人と「決定的に考えが違う」ところがある。
それは「ロボットは人間のともだちか否か」と言う所だ。
『自らが創り出したものに、いつか滅ぼされるのでは?』という、
俗に言う『フランケンシュタイン・コンプレックス』が欧米には蔓延している。
日本では、『鉄腕アトム』を始めとする作品がある。
これらでは『ロボットは人間のパートナーであり、ともだちである』といった書かれ方がされている。
それにより、日本では意思を持った人型ロボットへの抵抗が少ない。
アトムの成し得たものは、とても大きいと思う。
&bold(){「先生、ロボットは『ともだち』なんかじゃありません」}
突然、考えを遮る発言がされた。
&bold(){「ロボットはただの『道具』です」}
教室内の視線が、一点に注がれる。
一番後ろの、右端の席の人物。
「神崎! どうゆう事だ」
風間が思わず叫ぶ。
神崎鍼麻(かみざき はりま)の姿がそこにあった。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
(そろそろ授業が終わる)
グレースは、教師が出てきたらすぐに教室に入れるように、1-A組に向かっていた。
今日、この時間が終われば、後は帰るだけである。
(マスターと一緒に居られる時間が増える)
こう見えても、グレースは甘えん坊であった。
モデルがウサギとゆうのもあるのだろうが。
&bold(){『何度でも言ってやる! 神姫なんてただ命令を聞いて動く人形だ!』}
突然、叫び声が聞こえた。
声は、1-Aの教室から聞こえてきた。
『神崎、君の気持ちは分かる。しかしだな…』
『黙っててください! 大体皆揃って神姫神姫って…』
グレースには、次に発せられる言葉が容易に想像出来た。
&bold(){『うざいんだよ正直!!』}
やっぱり…
分かっていたものの、正直この言葉はきつい。
『神崎! お前言っていい事と悪い事があるだろ!?』
『やめろ風間! 掴み掛かるな!』
マスターと彩聞氏の声が聞こえてきた。
グレースには、掴み掛かる主と、それを抑える形人の姿が想像出来た。
*ばきっ!
鈍い音がした直後、机が倒れる音と悲鳴があがった。
『神崎! やめろ!』
『お前に分かる筈がない!』
**『肉親を神姫に殺された俺の気持ちが!!』
………
……
…
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
…
……
………
結局、指導員が来て神埼を引っ張っていった。
ほほ笑ましいはずのHRが、最悪の時間となってしまった。
終わった後、扉を開けるとそこにはグレースが居た。
ただ膝を抱えて、耳を手で塞いて
聞きたくない、認めたくないと言いたいかのごとく。
「形人、何かあったの?」
「なんでもない! お前らとは関係ない話だ」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「マスター…」
左の頬を腫らしながら出てきた風間に気付き、グレースは顔を上げた。
「帰るぞ」
「は、はい…」
いつもの軽口が無い。
それを気重く感じながら、グレースは肩に飛び乗った。
……
「聞いてたのか?」
「はい…」
校門前までやって来て、風間はようやく口を開いた。
「そうか」
………
「辛い話だろうが、これが現実だ。…結局、人がいけないんだよなぁ」
「…」
「大丈夫だ、俺は道を外れはしない」
「そうですか…」
「第一、外れていい事なんて全くないもんな!」
突然、いつもの調子で話し出す風間。
空元気だと判っていたが、こう答えるしかない。
「ええ、もちろん!」
意志を持つ人形「神姫」。
人はいつ、真に『ともだち』になれるだろうか…?
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ある日の事。
ホームルームにてこんな話が出た。
「残り時間は最近色々話題になってる、MMSによる犯罪についてを考えようと思う」
MMSによる犯罪。
以前挙げた「アウトロー」による国際法違反および賭博の他にも、性的目的による改造やリアルバトル用の部品の違法製造はまだいい方である。
SF作家、アイザック・アジモフが提唱した「[[ロボット工学三原則>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88%E5%B7%A5%E5%AD%A6%E4%B8%89%E5%8E%9F%E5%89%87]]」を改変する。
それは人間と同じ行動が可能となる、つまりMMSによる殺人が可能となる事を指す。
「…先生は、それに『ともだち』として生まれたMMSが使われてる事を思うと悲しい」
日本人がアメリカ人と「決定的に考えが違う」ところがある。
それは「ロボットは人間のともだちか否か」と言う所だ。
欧米圏には『自らが創り出したものに、いつか滅ぼされるのでは?』という、俗に言う『[[フランケンシュタイン・コンプレックス>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9]]』蔓延している。
その為、米国においての展開は複雑なものとなっている。
日本では、『鉄腕アトム』を始めとする作品がある。これらでは『ロボットは人間のパートナーであり、ともだちである』といった書かれ方がされている。
それにより、日本では意思を持った人型ロボットへの抵抗が少ないと言う。
アトムの成し得たものは、とても大きいと思う。
「先生、ロボットは『ともだち』なんかじゃありません」
突然、考えを遮る発言がされた。
「ロボットはただの機械です」
教室内の視線が、一点に注がれる。一番後ろの、右端の席の人物。
「神崎! どうゆう事だ」
風間が思わず叫ぶ。
神崎鍼麻(かんざき はりま)の姿がそこにあった。
「だから、ロボット…というよりMMSはただの機械だと言いたいんだ」
「…何故なのか答えてみろ、神崎」
先生が一筋の汗を垂らし、問う。
「神姫にはロボット工学三原則がインプットしてあります。だがそれは簡単に削除、もしくは動作妨害が可能な状態です。
犯罪者は神姫のAIに関係なく妨害処理を施し、殺傷が可能なように改変します」
一呼吸おいてから、奴は更に続ける。
「人間とは違い、プログラムでしかないMMSの人格は容易に改ざんされる。
そんな人間以上に不安定な存在を「人と同じ」と言えますか?」
「待て、その理屈はおかしい」
今度は風間が挙手した。
「風間、お前の意見を言ってみてくれ」
「人間の意思・人格だって弱いところを突けば容易に改変可能だ。
世の中の人間は「危険だからもっと規制を強めるべきだ」と言うが、犯罪行為はMMSが自発的に行うものじゃない。誰かしら悪意を持った人間によって引き起こされるものだ」
…最後の行を除いて、神崎の言い分にも納得できる点はある。
だが神崎と風間の会話は大きく食い違っている。
神崎は「MMSは機械である(これは「人間と同じ意思は存在しない」と言う意味)」と言う持論の説明をしているが、それに対し風間は今回の授業内容である「MMSを使った犯罪はなぜ起こるか」を起点に話をしている。
こんなんじゃいつまで経っても議論が終わるわけがない。
「なにをっ、あんな模造品の肩を持つのかっ!?」
「テメェこそガチガチのワイドショーの評論家(笑)みたいな事いってんじゃねぇ!!」
席を立ち、二人とも距離を縮めつつ口論を展開する。これは手が出るか? 足が出るか?
&bold(){きーんこーんかーんこーん}
一触即発の状態は、終業のチャイムと共に打ち砕かれた。
「今日の授業はここまで。あと二人共、議論を白熱させるのはいいが喧嘩はするんじゃないぞ?」
先生が小さく息を吐いた様に見えたのは気のせいではないだろう。
「きりーつ、礼」
とんだ冷や水だ、二人がポカンとしている間にSHRが終わってしまった。
あ、そういや今日の教室掃除はあの二人だな。却って汚くなりそうだなぁ。
「形人っ、かえろっ!!」
いつの間にか目の前に居たヒカルがペンケースを持ちながら言った。今日は掃除当番じゃないからな、まっすぐ帰ってゴロゴロするかな。
「うしっ、帰ろう」
教室を出る直前に見た光景は、二人が箒を持ちながら互いを見て呻っているシーンだった。
まあ、他人の持論に関しちゃ僕は関係ないな。
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