「プロローグ 侵略」(2008/06/01 (日) 08:51:54) の最新版変更点
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「メインコンピュータルームに異常発生!」
真夜中、とある街の施設で事件が起きた。施設内に設置されているホストコンピュータに異常が生じたのだ。
「どうした、何かあったのか?!」
「外部から何者かがネットを通じてコンピュータルームに潜入、次々とプロテクトを突破して深層部に向かっています」
「何だと!」
外部からの進入―――それはここではあってはならない事件だった。おそらく強力なプログラムを送りこんでコンピュータを狂わせるつもりなのだろう。
「早く外部からのネットをシャットダウンしろ。最小限に食い止めるのだ」
しかしすでに遅かった。ウイルスは急激な速度で進行し、コンピュータを沈黙させてしまった。
「ホストコンピュータ、完全に沈黙しました」
「ウイルスはどうした?!」
「外部に逃げてしまったようです。跡形もなく」
ここまで素早いウイルスでは、もはや追跡する事は不可能だった。
「まさかここまで侵食が早いウイルスだとは…。我々は一杯食わされたようだな」
研究院長らしき男はうつむき、自分の無能さを呪った。そしてその後、顔を上げた彼は冷静な判断で部下に指令を下した。
「直ちにコンピュータウイルスを消滅させろ。完全に、完璧に、だ。外部の者に協力を頼んでもかまわん。必ず原因を突き止め、殲滅するのだ」
*ネット世界の侵略者
*プロローグ 侵略
「あ~あ、何でこんな事手伝わなきゃいけねえんだよ」
ここは和多家のガレージ。ここでは真鬼王「不動」の追加パーツの取り付けをしていた。ヤクトはそれの手伝いをしている…いや、されているのだった。
「めんどくせえなぁ、こんなことしなくても不動は十分強いと思うんだけどなあ」
しぶしぶ文句を言いながら、ヤクトはパーツを運んだ。
「これからは強敵が多くなるだろうから、今のうちにパワーアップしておかないと。それに、今までの不動ではパワー不足な点があるからな」
「かといって、今すぐにやらなくても…。もうちょっと心に準備ってもんが…」
不満げに作業を続けるヤクトは、近くでプログラムの作業をしているカウベルを見た。
「あいつ、よく文句言わずにやってるよな」
「お前とは違って、進んで手伝っているんだ。それにメイベルは不動に愛着を持っているからな」
一生懸命不動ヘッドの制御プログラムを組み込んでいくカウベルの姿に、ヤクトは関心を示した。
「愛着ねえ…、それならおいらだってあると思うんだけど」
「だったら、文句言わないで手伝うんだな」
そのとき、ネット通信を告げるコール音が聞こえた。
「ありゃ、いったいどうしたんだ?」
「研究所からの通信が入ったんだろうか。とにかくヤクト、ここはカウベルに任せて一緒に居間に戻ろう」
「あいよ」
ヤクトを肩に乗せ、和多は居間に向かった。
「すまないな和多君、緊急事態が起こった」
モニターには真剣な顔をしている博士らしき人物がいた。
「どうしたんです」
「実は、とんでもない事件が起きてね」
とんでもない事件…おそらくこれは最重要指令だろう。和多は顔色を変えずに話を聞き続けた。
「ある研究施設で何者かにホストコンピュータを停止させられる事件があった。研究班は何とか情報の流出を止めようとしたが、肝心の極秘データの一部を奪われてしまったのだ」
「そのデータとは一体?!」
「バトルロンドに登録されている神姫たちのデータだ。改めてチェックしたところ、登録している神姫のデータの半分近くが流出されていた。しかも…」
博士は少し深呼吸をし、落ち着いてから言い放った。
「上位クラスの神姫の能力データを中心に流出していたのだ。おそらくこれは意図的に犯人がデータを選び、奪ったに違いないのだ」
驚愕の事実を知った和多は、盗まれたデータが使用される可能性があるのでは、と考えた。
「もしそれが本当なら、そのデータを使われる可能性がありますね」
「むう、犯人の考えている事はまだ分からんのだが、おそらくは自分の兵士にするのではないかと思うのだ」
「兵士、ですか…。考えられなくもないですね。上位クラスの神姫データをわざわざ選んでいますから」
和多はそのデータが悪用されたときの事態を予測した。それは深刻な事態だということを意味していた。
「そこで君に頼みがある。これ以上彼らの襲来を防ぐために協力して欲しいのだ」
やっぱりそうか…。和多は予想していた事が真実だという事を確信した。
「もちろんこれは強要ではない。もし無理なら参加しなくてもいいのだ」
「いいえ、協力しましょう。ただ、まだ準備が整っていませんので、もうしばらくの猶予が必要ですが」
「そうだな、いきなり言われたところですぐに出動できるわけじゃないだろうからな。とにかく出動できる状態でスタンバイしてほしい。ただしそんなに時間は取れない。緊急事態であることを頭に入れて欲しい」
ネット通信が切れた後、和多は謎の敵の襲来に脅威を感じていた。あれだけ強固なプロテクトを破ったのである、よほど腕の立つクラッカーだろう。
「なあマスター、これってとっても重大な事件なんだろ。何とかしないといけないんじゃないか?」
近くで座っていたヤクトが和多に話しかけてくる。
「もちろん何とかして手を打たないといけない。でもその前にやらないといけないことがある」
「ああ、あれか。あんな事があるから不動のパワーアップをしてたんだな」
さっきの作業の事を思い出しながら、ヤクトは納得していた。
「分かったなら早いところ終わらせるぞ。いつ出るか分からないからな」
「わあってるよ、で、なにやればよかったんだっけ?」
こいつ、解かっていて言ってるのか…。和多は半分呆れたような感じでヤクトを見た。そして肩に乗せると、そのままガレージに向かっていった。
[[第1章その1に進む>出撃、討伐部隊 その1]]
「メインコンピュータルームに異常発生!」
真夜中、とある街の施設で事件が起きた。施設内に設置されているホストコンピュータに異常が生じたのだ。
「どうした、何かあったのか?!」
「外部から何者かがネットを通じてコンピュータルームに潜入、次々とプロテクトを突破して深層部に向かっています」
「何だと!」
外部からの進入―――それはここではあってはならない事件だった。おそらく強力なプログラムを送りこんでコンピュータを狂わせるつもりなのだろう。
「早く外部からのネットをシャットダウンしろ。最小限に食い止めるのだ」
しかしすでに遅かった。ウイルスは急激な速度で進行し、コンピュータを沈黙させてしまった。
「ホストコンピュータ、完全に沈黙しました」
「ウイルスはどうした?!」
「外部に逃げてしまったようです。跡形もなく」
ここまで素早いウイルスでは、もはや追跡する事は不可能だった。
「まさかここまで侵食が早いウイルスだとは…。我々は一杯食わされたようだな」
研究院長らしき男はうつむき、自分の無能さを呪った。そしてその後、顔を上げた彼は冷静な判断で部下に指令を下した。
「直ちにコンピュータウイルスを消滅させろ。完全に、完璧に、だ。外部の者に協力を頼んでもかまわん。必ず原因を突き止め、殲滅するのだ」
*ネット世界の侵略者
*プロローグ 侵略
「あ~あ、何でこんな事手伝わなきゃいけねえんだよ」
ここは和多家のガレージ。ここでは真鬼王「不動」の追加パーツの取り付けをしていた。ヤクトはそれの手伝いをしている…いや、されているのだった。
「めんどくせえなぁ、こんなことしなくても不動は十分強いと思うんだけどなあ」
しぶしぶ文句を言いながら、ヤクトはパーツを運んだ。
「これからは強敵が多くなるだろうから、今のうちにパワーアップしておかないと。それに、今までの不動ではパワー不足な点があるからな」
「かといって、今すぐにやらなくても…。もうちょっと心に準備ってもんが…」
不満げに作業を続けるヤクトは、近くでプログラムの作業をしているカウベルを見た。
「あいつ、よく文句言わずにやってるよな」
「お前とは違って、進んで手伝っているんだ。それにメイベルは不動に愛着を持っているからな」
一生懸命不動ヘッドの制御プログラムを組み込んでいくカウベルの姿に、ヤクトは関心を示した。
「愛着ねえ…、それならおいらだってあると思うんだけど」
「だったら、文句言わないで手伝うんだな」
そのとき、ネット通信を告げるコール音が聞こえた。
「ありゃ、いったいどうしたんだ?」
「研究所からの通信が入ったんだろうか。とにかくヤクト、ここはカウベルに任せて一緒に居間に戻ろう」
「あいよ」
ヤクトを肩に乗せ、和多は居間に向かった。
「すまないな和多君、緊急事態が起こった」
モニターには真剣な顔をしている博士らしき人物がいた。
「どうしたんです」
「実は、とんでもない事件が起きてね」
とんでもない事件…おそらくこれは最重要指令だろう。和多は顔色を変えずに話を聞き続けた。
「ある研究施設で何者かにホストコンピュータを停止させられる事件があった。研究班は何とか情報の流出を止めようとしたが、肝心の極秘データの一部を奪われてしまったのだ」
「そのデータとは一体?!」
「バトルロンドに登録されている神姫たちのデータだ。改めてチェックしたところ、登録している神姫のデータの半分近くが流出されていた。しかも…」
博士は少し深呼吸をし、落ち着いてから言い放った。
「上位クラスの神姫の能力データを中心に流出していたのだ。おそらくこれは意図的に犯人がデータを選び、奪ったに違いないのだ」
驚愕の事実を知った和多は、盗まれたデータが使用される可能性があるのでは、と考えた。
「もしそれが本当なら、そのデータを使われる可能性がありますね」
「むう、犯人の考えている事はまだ分からんのだが、おそらくは自分の兵士にするのではないかと思うのだ」
「兵士、ですか…。考えられなくもないですね。上位クラスの神姫データをわざわざ選んでいますから」
和多はそのデータが悪用されたときの事態を予測した。それは深刻な事態だということを意味していた。
「そこで君に頼みがある。これ以上彼らの襲来を防ぐために協力して欲しいのだ」
やっぱりそうか…。和多は予想していた事が真実だという事を確信した。
「もちろんこれは強要ではない。もし無理なら参加しなくてもいいのだ」
「いいえ、協力しましょう。ただ、まだ準備が整っていませんので、もうしばらくの猶予が必要ですが」
「そうだな、いきなり言われたところですぐに出動できるわけじゃないだろうからな。とにかく出動できる状態でスタンバイしてほしい。ただしそんなに時間は取れない。緊急事態であることを頭に入れて欲しい」
ネット通信が切れた後、和多は謎の敵の襲来に脅威を感じていた。あれだけ強固なプロテクトを破ったのである、よほど腕の立つクラッカーだろう。
「なあマスター、これってとっても重大な事件なんだろ。何とかしないといけないんじゃないか?」
近くで座っていたヤクトが和多に話しかけてくる。
「もちろん何とかして手を打たないといけない。でもその前にやらないといけないことがある」
「ああ、あれか。あんな事があるから不動のパワーアップをしてたんだな」
さっきの作業の事を思い出しながら、ヤクトは納得していた。
「分かったなら早いところ終わらせるぞ。いつ出るか分からないからな」
「わあってるよ、で、なにやればよかったんだっけ?」
こいつ、解かっていて言ってるのか…。和多は半分呆れたような感じでヤクトを見た。そして肩に乗せると、そのままガレージに向かっていった。
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