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「アラカルトチョコ(バレンタインネタ)」(2008/02/14 (木) 20:56:27) の最新版変更点
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2月14日。
世間様一般では、バレンタインデーと言う奴だ。
「………」
島田祐一。一応男の子である。
当然、バレンタインチョコは貰って嬉しいものだが……。
**鋼の心:番外編 ~Eisen Herz~
*アラカルトチョコ
ケース1
島田雅の場合。
「祐一、朝ごはんできてるよ。一緒に食べよ」
「……姉さんが、作ったの?」
ちょっと引く。
「なによ、あたしだって簡単な料理ぐらいは作れるわ」
祐一の料理スキルを100としたら、雅は6程度だろう。
朝食を載せたテーブルの上には、一口サイズのオムレツ数個とトースト。
トーストはともかく、オムレツは雅の作にしては上出来だろう。
小さいオムレツを作るのは、それも整った形で作るのはかなり難しい。
「……今日は随分頑張ったんだね」
「他ならぬ愛弟(ラブラザー)の為ですもの。卵の100や200、惜しくはないわ」
「……はい?」
まさかとは思いつつも、慌ててキッチンへ踏み込む祐一。
「…………………うわ」
そこに転がる殻、殻、殻。
総数およそ200弱。
「……冗談とか、加減って言葉を知らないのか、姉さん」
「知ってるわよ、実行しないだけで」
意味無い。
意味無いよ、雅さん。
「まあ、片付けは後にして、先に食べましょう」
「……だね」
そうして祐一は席に着いた。
「はい、あーん」
「………」
雅の差し出したオムレツを無視して、自分の箸でオムレツを取って食べる。
「……やられた」
一口目で異変に気付く。
なるほど、切られて、中身を曝さない為の一口サイズだったらしい。
「……中に、チョコかよ……」
「どう、ホワイトチョコだとチーズっぽく見えるでしょ」
見えるだけ、味はチョコである。
「あのさ、せめて卵に塩味をつけなければ普通にお菓子になる出来だと思うんだけど?」
塩味の濃い卵にコーティングされたチョコの甘みは、食べて見なければ理解できまい。
まあ、一言で言えば。
「……不味い」
となる他無い。
「今日はバレンタインデーだから」
これが天国と地獄の開幕だった。
ケース2
伊藤美空の場合。
「べっ、別に、アンタの為に作ったんじゃないんだからね? ただ単にチョコの特売をやっていただけだったんだからね!?」
ツンデレ発言と同時に差し出されるハート型のラッピング。
ご丁寧にも、表には『祐一へ』と書かれたカードが挟まっている。
「ありがとう。美空」
「べっ、別にお礼を言われる筋合いは無いわよ!?」
ふん、とそっぽ向いて先に歩き始めるツンデレ。
まあ、これは天国の分類だろう。
この瞬間までは……。
「開けて良い?」
「すっ、好きにすれば良いじゃない?」
許可が出たので開ける。
「へい、ブラザー。良い天気だな?」
チョコが話しかけてきた。
「―――!?」
「おいおい、そんなに驚くなよ。チョコだって喋る時ゃ喋るぜ?」
んな訳あるか。
「まあ、あれだ。愛の力の奇跡かな?」
「…………み、美空。何これ?」
「……チョコの筈」
「ふっ、俺は自我に目覚めたチョコ。最早ただの食べ物ではない」
当たり前だ。
普通、食べ物は喋らない。
「言うなれば、そう。……進化したチョコ。 略して、『アドバンスド・ザ・ショコラーテ』って名乗ってみるテスト」
「略してない、略してない」
後微妙に文法変です。
「まあ、ともかくアレだ。早い所食べてくんねぇ」
「……ゴミ箱、ゴミ箱」
「ゆ、祐一!? 捨てる気!?」
「当たり前だ、これは既に食べ物じゃない!!」
「折角人が『マンゴラゴラ』とか、『賢者の石』とか『竜の牙』とか取り寄せて作ったのにぃ!!」
「どうやって取り寄せた、そげな異世界アイテム!! しかもそんなもの入れたものが食べられるか!!」
「……ふっ。お嬢ちゃん、泣き止みな。俺が何とかしてやるぜ」
「どうするのよ?」
「おれっちには、『強制的に喰われる』という能力があるのさ」
「何処のアザーズだお前!?」
「ふっ、発動条件は接触距離!! 見よ『一食い弩陣』発動っ!!」
しばらくお待ち下さい。
「……で、味は如何だった?」
「……粘土と砂糖とワサビ?」
その言葉を最後に祐一は昏倒した。
ケース3
リーナ・ベルウッドの場合。
「あ、祐一気が付いた?」
「……こ、ここは?」
「私の部屋よ」
結構ファンシーな造りの部屋だ。
「全く、美空の作ったモノを食べるなんて正気じゃないわよ?」
「食べたんじゃない。『食べられ』られたんだ」
「たべられられた?」
「……もうその話は止めにしよう。折角生きていたんだし、二度と思い出したくない」
「わかったわ」
リーナは素直に頷く。
「それじゃあ、私もチョコを上げるわ」
「……………喋ったりしないよな?」
「…? 喋る?」
「いや、忘れてくれ」
「???」
疑問符を浮かべながらも、リーナが取り出したのはブロックチョコ。
大雑把なつくりのそれは、愛を込めるには不向きなチョコだった。
「私は、チョコの味や形より、私のチョコを食べてもらいたいのよ」
「?」
祐一の疑問は、その直後に氷解する。
「はい、あ~ん」
欠片を一つ手にとって、リーナが祐一の口元へ差し出す。
「……これを、食べろ、と?」
何処のバカップルだ?
「祐一。私の触ったチョコなんか、食べられない?」
悲しそうに、そう呟くリーナ。
「演技だって判ってるけど、逆らえない卑怯なマネをぐぎゅ―――!?」
セリフの途中で、リーナの指が口内に侵入してきた。
「うふふ。女はみんな、生まれついての策士なのよ。覚えておきなさい、祐一」
だがしかし。
これが一番まともだった辺りで祐一の周囲の女性が一筋縄でいかないというのが判るというものだ。
ケース4
土方京子の場合。
「ああ、少年。奇遇だな」
「家の前で待ち伏せしているのは奇遇とは言いません」
「いや、奇遇だぞ。私も今来たばかりだ」
「…………」
疑わしそうな祐一の視線に、聡い京子が気付かぬはずも無い。
「いま、実は何時間も待ってたんじゃないか、とか思っているだろう?」
「まあ、一応」
「安心しろ。本当に今来たばかりなんだ」
「いや、そう言うなら信じますけど」
「うん、予め発信機を仕込んでおいたから、到達予想時刻の演算は簡単だったぞ?」
「発信機ってなんだよ!?」
「…ん、知らんのか? 発信機って言うのはだな―――」
「―――理屈じゃなくて、何処に仕掛けたんだ!?」
「少年の脳に埋め込んだ」
「―――ぶばっ!?」
「あははは、冗談だ。面白いな、少年は」
「性質悪い冗談は止めて下さい!! ……んで、何処に発信機仕込んだんですか!?」
「少年の心臓」
「………」
「右心室の壁部に1mmサイズの発信機を癒着させてある。生体電流で稼動するから、少年が生きている限り機能するぞ、すごいだろ?」
…………凄いダメだった。
「外せるんでしょうね?」
「……外せるよ」
「早く外して下さい」
「でも、外すと死ぬ」
「…………………………………………」
「ま、そんな事より少し上を向け」
「なんでで―――、んむっ!?」
不意打ちのキス。
京子の舌が祐一の舌を絡めとリ、口の中をゆっくりと撫で回す。
ほろ苦い味が広がり、祐一の味覚を侵す。
「―――ぷはっ」
京子の唇が離れたのはその後だった。
「…………今の」
「ああ、バレンタインだからな」
手渡しならぬ、口移しでチョコを貰ってしまった。
「それじゃあ、私はもう行くぞ。またな、少年」
背中を向け、片手を上げて颯爽と去って行く隻眼の美女を呆気に取られた祐一が見送る。
「……発信機、外れるのかな?」
後日、雅が『姉パワー』とやらで取り出した。
10分ほどで京子が『少年が死んでしまったぁ!!』とか泣きながら走ってきたのを見ると、雅も京子も本気だったらしい。
怖い人たちである。
終われ。
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二段オチ。
ケース5
アイゼンの場合。
「……私を食べて」
裸素体の上にチョコを塗って、リボンを巻いたアイゼンが居たので、祐一は窓から外に放り投げた。
「……マスター、酷いぃ」
こんどこそ終われ。
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2月14日。
世間様一般では、バレンタインデーと言う奴だ。
「………」
島田祐一。一応男の子である。
当然、バレンタインチョコは貰って嬉しいものだが……。
**鋼の心:番外編 ~Eisen Herz~
*アラカルトチョコ
ケース1
島田雅の場合。
「祐一、朝ごはんできてるよ。一緒に食べよ」
「……姉さんが、作ったの?」
ちょっと引く。
「なによ、あたしだって簡単な料理ぐらいは作れるわ」
祐一の料理スキルを100としたら、雅は6程度だろう。
朝食を載せたテーブルの上には、一口サイズのオムレツ数個とトースト。
トーストはともかく、オムレツは雅の作にしては上出来だろう。
小さいオムレツを作るのは、それも整った形で作るのはかなり難しい。
「……今日は随分頑張ったんだね」
「他ならぬ愛弟(ラブラザー)の為ですもの。卵の100や200、惜しくはないわ」
「……はい?」
まさかとは思いつつも、慌ててキッチンへ踏み込む祐一。
「…………………うわ」
そこに転がる殻、殻、殻。
総数およそ200弱。
「……冗談とか、加減って言葉を知らないのか、姉さん」
「知ってるわよ、実行しないだけで」
意味無い。
意味無いよ、雅さん。
「まあ、片付けは後にして、先に食べましょう」
「……だね」
そうして祐一は席に着いた。
「はい、あーん」
「………」
雅の差し出したオムレツを無視して、自分の箸でオムレツを取って食べる。
「……やられた」
一口目で異変に気付く。
なるほど、切られて、中身を曝さない為の一口サイズだったらしい。
「……中に、チョコかよ……」
「どう、ホワイトチョコだとチーズっぽく見えるでしょ」
見えるだけ、味はチョコである。
「あのさ、せめて卵に塩味をつけなければ普通にお菓子になる出来だと思うんだけど?」
塩味の濃い卵にコーティングされたチョコの甘みは、食べて見なければ理解できまい。
まあ、一言で言えば。
「……不味い」
となる他無い。
「今日はバレンタインデーだから」
これが天国と地獄の開幕だった。
ケース2
伊藤美空の場合。
「べっ、別に、アンタの為に作ったんじゃないんだからね? ただ単にチョコの特売をやっていただけだったんだからね!?」
ツンデレ発言と同時に差し出されるハート型のラッピング。
ご丁寧にも、表には『祐一へ』と書かれたカードが挟まっている。
「ありがとう。美空」
「べっ、別にお礼を言われる筋合いは無いわよ!?」
ふん、とそっぽ向いて先に歩き始めるツンデレ。
まあ、これは天国の分類だろう。
この瞬間までは……。
「開けて良い?」
「すっ、好きにすれば良いじゃない?」
許可が出たので開ける。
「へい、ブラザー。良い天気だな?」
チョコが話しかけてきた。
「―――!?」
「おいおい、そんなに驚くなよ。チョコだって喋る時ゃ喋るぜ?」
んな訳あるか。
「まあ、あれだ。愛の力の奇跡かな?」
「…………み、美空。何これ?」
「……チョコの筈」
「ふっ、俺は自我に目覚めたチョコ。最早ただの食べ物ではない」
当たり前だ。
普通、食べ物は喋らない。
「言うなれば、そう。……進化したチョコ。 略して、『アドバンスド・ザ・ショコラーテ』って名乗ってみるテスト」
「略してない、略してない」
後微妙に文法変です。
「まあ、ともかくアレだ。早い所食べてくんねぇ」
「……ゴミ箱、ゴミ箱」
「ゆ、祐一!? 捨てる気!?」
「当たり前だ、これは既に食べ物じゃない!!」
「折角人が『マンゴラゴラ』とか、『賢者の石』とか『竜の牙』とか取り寄せて作ったのにぃ!!」
「どうやって取り寄せた、そげな異世界アイテム!! しかもそんなもの入れたものが食べられるか!!」
「……ふっ。お嬢ちゃん、泣き止みな。俺が何とかしてやるぜ」
「どうするのよ?」
「おれっちには、『強制的に喰われる』という能力があるのさ」
「何処のエスパーだお前!?」
「ふっ、発動条件は接触距離!! 見よ『一食い弩陣』発動っ!!」
しばらくお待ち下さい。
「……で、味は如何だった?」
「……粘土と砂糖とワサビ?」
その言葉を最後に祐一は昏倒した。
ケース3
リーナ・ベルウッドの場合。
「あ、祐一気が付いた?」
「……こ、ここは?」
「私の部屋よ」
結構ファンシーな造りの部屋だ。
「全く、美空の作ったモノを食べるなんて正気じゃないわよ?」
「食べたんじゃない。『食べられ』られたんだ」
「たべられられた?」
「……もうその話は止めにしよう。折角生きていたんだし、二度と思い出したくない」
「わかったわ」
リーナは素直に頷く。
「それじゃあ、私もチョコを上げるわ」
「……………喋ったりしないよな?」
「…? 喋る?」
「いや、忘れてくれ」
「???」
疑問符を浮かべながらも、リーナが取り出したのはブロックチョコ。
大雑把なつくりのそれは、愛を込めるには不向きなチョコだった。
「私は、チョコの味や形より、私のチョコを食べてもらいたいのよ」
「?」
祐一の疑問は、その直後に氷解する。
「はい、あ~ん」
欠片を一つ手にとって、リーナが祐一の口元へ差し出す。
「……これを、食べろ、と?」
何処のバカップルだ?
「祐一。私の触ったチョコなんか、食べられない?」
悲しそうに、そう呟くリーナ。
「演技だって判ってるけど、逆らえない卑怯なマネをぐぎゅ―――!?」
セリフの途中で、リーナの指が口内に侵入してきた。
「うふふ。女はみんな、生まれついての策士なのよ。覚えておきなさい、祐一」
だがしかし。
これが一番まともだった辺りで祐一の周囲の女性が一筋縄でいかないというのが判るというものだ。
ケース4
土方京子の場合。
「ああ、少年。奇遇だな」
「家の前で待ち伏せしているのは奇遇とは言いません」
「いや、奇遇だぞ。私も今来たばかりだ」
「…………」
疑わしそうな祐一の視線に、聡い京子が気付かぬはずも無い。
「いま、実は何時間も待ってたんじゃないか、とか思っているだろう?」
「まあ、一応」
「安心しろ。本当に今来たばかりなんだ」
「いや、そう言うなら信じますけど」
「うん、予め発信機を仕込んでおいたから、到達予想時刻の演算は簡単だったぞ?」
「発信機ってなんだよ!?」
「…ん、知らんのか? 発信機って言うのはだな―――」
「―――理屈じゃなくて、何処に仕掛けたんだ!?」
「少年の脳に埋め込んだ」
「―――ぶばっ!?」
「あははは、冗談だ。面白いな、少年は」
「性質悪い冗談は止めて下さい!! ……んで、何処に発信機仕込んだんですか!?」
「少年の心臓」
「………」
「右心室の壁部に1mmサイズの発信機を癒着させてある。生体電流で稼動するから、少年が生きている限り機能するぞ、すごいだろ?」
…………凄いダメだった。
「外せるんでしょうね?」
「……外せるよ」
「早く外して下さい」
「でも、外すと死ぬ」
「…………………………………………」
「ま、そんな事より少し上を向け」
「なんでで―――、んむっ!?」
不意打ちのキス。
京子の舌が祐一の舌を絡めとリ、口の中をゆっくりと撫で回す。
ほろ苦い味が広がり、祐一の味覚を侵す。
「―――ぷはっ」
京子の唇が離れたのはその後だった。
「…………今の」
「ああ、バレンタインだからな」
手渡しならぬ、口移しでチョコを貰ってしまった。
「それじゃあ、私はもう行くぞ。またな、少年」
背中を向け、片手を上げて颯爽と去って行く隻眼の美女を呆気に取られた祐一が見送る。
「……発信機、外れるのかな?」
後日、雅が『姉パワー』とやらで取り出した。
10分ほどで京子が『少年が死んでしまったぁ!!』とか泣きながら走ってきたのを見ると、雅も京子も本気だったらしい。
怖い人たちである。
終われ。
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二段オチ。
ケース5
アイゼンの場合。
「……私を食べて」
裸素体の上にチョコを塗って、リボンを巻いたアイゼンが居たので、祐一は窓から外に放り投げた。
「……マスター、酷いぃ」
こんどこそ終われ。
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