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「やがて交わる2つの道(ショウ編)」(2008/01/14 (月) 19:34:19) の最新版変更点
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*● 三毛猫観察日記 ●
**◆ 第十八話 「やがて交わる2つの道(ショウ編)」 ◆
薄汚れた廃工場の中、一人の女性が捕らわれている。
両手両足をロープで縛られている。そして彼女を取り巻く四人の男性。
「こんな方法は好きでは無いんだがな……口を割らない君が悪いんだよ」
そう言ってリーダーらしき男が拷問具の中から鞭を取り出した。
拷問具、と言うよりは陵辱の為の道具か?それは男達の下卑た顔を見れば推測出来る。
彼らが何をする気なのか理解したのか、彼女の顔には絶望と恐怖が入り混じった………
入り混じった…………………寝顔を浮べているし。
「コラ!寝てないで真剣に絵のモデルをやってくれよ!」
俺の声にビクッとなってクレアが目を覚ました。
「……ん、あっ………ショウちゃん……たかが……エロ本屋の店頭POP………」
「バイト先の店長の依頼だし原稿料も貰うんだから!真剣に手伝えよ」
「そんなん……デッサン人形を使えばいいじゃ……面倒くさいなぁ……」
そう言いながらクレアはポーズを取り直した。
俺の目の前にいるのは騎士型神姫のシン=クレア。中学の入学祝に買ってもらったから
付き合ってもう6年目になるのか。ちなみに名前の由来は昔TRPGで使ってたシンクレア
って男キャラ。だから別に某クレイ○アの女主人公とは全然関係ないぞ?
「――――――色を塗って……これで完成!明日にでも店長に渡そう」
「これで東京までの交通費は稼げたの?」
「うん、深夜バスだけどね……まぁ明後日って急な話だし仕方ないか」
「これであのミアとか言うパチモン猫に仕返しが出来るねっ!」
ミア。あのパチモン猫。思い出しただけで腹立たしい!
去年の東京体育館の件といい(第七話「ミア!電光石火!!」参照)、この前の
福岡国際センターの件といい(第十三話「タイガーキャット現る!」参照)、いつも
勝てばファーストに上がれるって試合に限って邪魔をしやがって!
「まぁ普通にアレよね……わざわざ九州大会にまで来るってのも」
「とにかく!どうやら連中は日曜に東京で開かれる産業展示会に行く予定らしいから
そこで復讐をしてやるんだ。今回はその為の東京行きだからね」
えっ、何でそんな事を知ってるかだって?答えは簡単。メンバーの一人「篠原由奈」の
ブログに書いてあったからさ。あの時の大会優勝者だから気になって調べてたら
ブログを発見したんだ。(ネット初心者らしく稚拙な作りだったけどね)
「でも展示会なんだからバトルは関係ないんじゃない?」
「戦うだけが手段じゃないよ。今回は別の方法でダメージを与えてやる……クーックックックッ」
「な、何をするつもりなの?」
「連中の写真を撮って、それを基に同人誌を作ってやるんだ。モチロン成人指定のな」
「………おまいはアホでつか?」
次の日、土曜日。学校で補習を受けた後に(バカで悪かったな)バイトに行く。
店長からPOP絵の原稿料とバイト代の4万円を貰う。これで何とか東京へ行けるな。
(そうそう、店の名前は「うっしっしぃ本屋えろ~ず」と言うんだ。ちなみに去年
新宿に姉妹店「エローズACT2」ってオラオラな店舗が完成した)
んでもってバイト終了後、制服を着たままバスターミナルへ向かう。
家に帰る時間が無かったんだ……途中で夜食用にチョココロネを買う。んでバスに乗る。
「本当に制服のままでいくの?」
「うん。この格好なら見付かっても正体バレないと思うしね。お前も変装用に
ボディスーツとカツラを用意しとけよ」
「これもコスプレの一種なのかねぇ~」
更に次の日、日曜日。長ぁ~~~~~~いバスの旅を終えて早朝の東京へ到着。
駅前で納豆定食を食べた後で電車に飛び乗り、そのまま幕張方面へ。
(「ショウちゃん……なんか臭うよ?」「気のせい気のせい!」)
午前10時、某巨大展示会場に到着。入り口には『精密機械産業展示会』とか書いてある。
企業向けのツマラナイ展示会だと思ってたんだが、パンフレットをチェックすると
全体の四分の一以上を神姫関係のブースが占めている。そういえば周りを見ると
スーツ姿のサラリーマンに混じって神姫ヲタっぽいのが結構いやがる。
「ショウちゃん好みのブースが結構あるみたいじゃない」
「まぁ時間つぶしは出来るみたいだな」
確か連中、12時きっかりにエキシビジョンマッチをやる予定らしいから、それまで適当に
ブースを廻って時間を潰すかな。
≪ブース1:神姫用のドールハウス展示≫
色々なタイプのドールハウスがズラっと並んでいて、まるでガリバーにでもなったような
気分になるブース。普通の一戸建てや豪邸っぽいの、西洋のお城なんかも展示している。
そんな中、端っこにあるログハウスに目が留まった。庭には丸太のような門柱が2つある。
(クレア「あれは樹○のガーディアン……阿○霞、こんな所に隠れてやがったのか!」)
(ショウ「オマエは宇宙海賊魎○かよ………ちなみに俺は鷲○ちゃんのが好きだ」)
≪ブース2:モーター会社なのになぜかクイズコーナー≫
何か電磁波を利用した新しいモーターとかを展示していたがサッパリだ。
それより丁度始まっていたクイズ大会に参加してみる。
(ショウ「………わかったでぇ、正解はボンボ○リカ虫や!!」)
(クレア「アンタ……ネタが激烈に古いしマニアックすぎるし………」)
≪ブース3:神姫の武器展示≫
実際に公式大会で使えるようにカスタマイズされた武器を展示している。
ネームプレートを見ると「ラグナロク」とか「ドラゴンスレイヤー」とか
もの凄い名前が付いている。まぁ伝説の武器をモチーフにして作ったってヤツか。
(クレア「色々あって面白いね。でもショウちゃん………」)
(ショウ「うん、そうだな……」)
(ショウ&クレア)「なんでエス○リボルグが置いてないんだぁぁぁ~~~!!」)
―――以下、各ブースで二人の微妙なオタ話が続く―――
12時。そろそろ時間だ。
会場の巨大プロジェクターには桜花とマヤーちゃんの二人が映し出されている。
公式戦から遠ざかっていたとはいえ、二人のファーストリーガーの試合は
大勢の注目を集める結果となった。ブースの周りには急に人が集まってきている。
「桜花、気を抜くなよ」
『アキオ……了解です!』
インカムから桜花の緊張した声。まぁマヤーちゃんと戦うのは2年ぶりだからな。
対戦相手のマヤーちゃんを見る。
ミアちゃんから貰った雷迅アーマーを装備している。それから斬岩剣ベースラードも。
元々ベースラードはマヤーちゃんの物で、彼女が(桜花に対抗して)バトルに復帰した今、
ミアちゃんは剣を本来の持主に返してしまったのだ。
と言うより……ミアちゃんはもうバトルを引退してしまう気配がある。虎太郎にしてみれば
これ以上ミアちゃんを危険な目に遭わせたくないという所なんだろうが、それにしても
過保護な……まぁあんな事件の後では仕方ないのかもしれないが。
「桜花姉ちゃん!!桜花姉ちゃん!!!!桜花姉ちゃん!!!!!!」
「あーもぅ落ち着きなさいって。逃げやしないから」
「行くニャ!!勝負ニャ!!!突撃ニャぁぁぁぁ~~~~~~!」
試合開始。さっそくベースラードを構えたまま走り回るマヤーちゃん。
得意のピンボールアタックか。懐かしいなぁ、この目で見るのは2年ぶりだ!
しかし攻撃というよりは……桜花にジャレついてるだけにも見える。俺の気のせいか?
『あ~もう始まっちゃってるじゃないか!』
『ショウちゃんが撮影禁止の新製品を盗み撮りしようとして怒られてたからじゃない』
『だって今度の同人誌ネタにしたかったんだもん。いいじゃん減るもんじゃないし……』
『………なんて言ってる間に試合が終わっちゃったじゃない』
「二人ともお疲れさま!」「ドッチもカッコ良かったです♪」
小暮と小春ちゃんが二人を出迎えた。
「にゅぅ……最後までやったら絶対にアタイの勝ちだったニャぁ!」
「はいはい残念でしたね」桜花がマヤーちゃんを軽くあしらう。
まぁエキシビジョンマッチだしね。そんな決着が付くまでやる必要は無いだろう。
「ところでミアちゃんと高槻はん、まだ戻らないんか?」と彩音。
「まだ二人で技術系ブースを廻ってるみたいね」と篠原さん。
「協調性が無いなぁ。まったくコレやから技術系オタクは……」
う~ん、前から気になってたけど……ひょっとして彩音って虎太郎がキライなのか?
「まぁそんなんはどーでもいいわ。もっと気になる事がある」
篠原さんと話していた彩音が急に振り返り、ブースの外を指差した。
「そこのアンタ!何をさっきからウチらの写真を撮りまくってるねん!!」
(「うわぁ!ショウちゃんバレちゃったじゃない!!」)
彩音に諭された制服姿の学生――高校生かな?――が渋々と近づいてきた。
「あ、あのぉ……スミマセン!俺、皆さんのファンなんです!!(ウソだけど)
つい興奮しちゃってパシャパシャと……気を悪くされたなら謝ります」
「ゴメンなさい、マスターに悪気は無いんです(ウソだけど)」
肩に乗っているストラーフ型と一緒に謝った。
「なんや盗撮とかの類かと思ったわ。ファンなら言ってくれればええのに」
そう言って撮影用にポーズを取る彩音。おまえなぁ……
んで彩音から許可を貰っちゃったコイツ、堂々と俺達の写真を撮りまくる。
一通り撮り終わった後でコイツが言った。
「あれ、高槻さんとミアさんは居ないんですか?(肝心のターゲットはドコだ?)」
「二人なら一緒に会場を廻ってるがな。何やお目当ては彼女達か?」
「あ、いえ……ちょっと彼女の戦い方に興味があったもので(弱点とかね)」
「戦い方?アンタ達もバトルをやってるんか」
「えぇまぁ……(よ~し、正体はバレてないみたいだな)」
「そんなに興味あるならアタイが相手をしてやるニャ!」
そう言ってマヤーちゃんが近づいていった。
「ミアの戦い方、ある程度ならアタイがトレース出来るのニャ」
「(何か妙な話になってきたな)いやぁ、あんまり迷惑を掛けたくないし……」
「大丈夫ニャ。アタイも戦い足りなかった所だったニャ」
そう言って勝手にバトルフィールドの中に入ってしまった。
(「ちょっとショウちゃん……」「しょうがないだろ、断ったら怪しまれるし」)
「それでパートナーの名前は何て言うのニャ?」
「えっとクレ……じゃなくって真紅と言います」
「ふーん、宜しくニャ真紅!」
≪赤コーナー:雷迅マヤー≫
武器:斬岩剣ベースラード
武装:雷迅アーマー(ミア仕様)
一言:「ベースラードの切れ味、見せてやるニャ!」
≪青コーナー:デビル真紅≫
武器:純正ストラーフ装備
武装:純正ストラーフ装備
一言:「デビルシンク三大理論、自己中心・自己破産・自己満足ぅ~!」
という感じで二人のバトルが始まった。
「あれっ?マヤーの相手って桜花じゃなかったのか?」
声のした方を見ると、肩にミアちゃんを乗せた虎太郎が立っていた。
「何やってたんだよ!二人の試合ならもう終わっちまったぞ」
「コタローが悪いんだよ!展示品の新型クレードル分解しちゃうんだから!」
「オマエが中身を見たいって言ったんだろ!しかし組み直すのに時間掛かったなぁ~」
「(二人とも何やってるんだ)まぁいいや。今丁度2戦目が始まった所だよ」
バトルフィールドに近づく二人。そのまま試合に注目する。
「マヤーの相手、あのストラーフって誰だ?」
「真紅って言って俺達のファンらしいぞ。彩音が気に入っちまってなぁ……」
突然ミアちゃんが虎太郎の肩からフィールドの端に飛び降り、真紅を見つめる。
「ん?どうしたミア?」
虎太郎の言葉を無視してそのままフィールドの中に入ってしまう。
「おいミア!?何やってるんだよ!!」
突然の乱入者にビックリしたのか、マヤーちゃんと真紅の手が止まる。
「ニャっ?ミアどうしたんニャ?」
マヤーちゃんには答えず、真紅の顔をジッと見つめる。
「…………………………………クレアちゃん???」
「(!!!!!!!!!!)な、何の事ですかぁ~~~~~~!!!」
動揺している真紅(クレア?)の髪を掴むと、そのまま引っ張るミアちゃん。
カツラがスルッと取れると、その下からはサイフォス特有の金髪が現れた。
「ほらやっぱりクレアちゃんじゃない!アタシって一度戦った相手は忘れないんだよ!」
「えっと、え~~~っと、これはつまり○×※△××○○×※※△」
パニクっているクレアを置いといて、虎太郎がミアちゃんに話しかけた。
「えっクレア?…………あの徳田グループ主催の大会で戦った神姫?」
「そだよ!変装してたって仕草とかで判っちゃうって!」
「いや、それは違うだろ」
そう言って虎太郎はクレアとそのマスターの顔を交互に見比べた。
「俺も覚えてるけど、だってクレアのマスターって確か男の子だったろ?
だけどこの娘……制服、セーラー服を着てるじゃないか!」
会場が急に静かになった気がした。その静寂を破ったのはクレアだった。
「あの………高槻さん?貴方すっごい勘違いをしてますよ?
確かに私の名前はクレア。以前ミアさんと戦った神姫です。そしてショウちゃんは
間違いなく私のマスター。よく男の子っぽいって言われますけど、正真正銘の………」
「………ゆ、許さん……居酒屋ボ○バーぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!!」
コイツ・セーラー服の自称ファンが、虎太郎の顔面にラリアットをブチ込んだ。
そして倒れこんだ虎太郎を見下ろしながら言った。
「俺の名前は財間翔子(ざいま・しょうこ)、正真正銘の女だバカヤロウ!!!!」
そしてフィールド上のクレアを掴むと、唖然としてる俺達を残して去っていってしまった。
「ショウちゃんお疲れさまぁ~~~!」
「あ~クレアもね。しっかし正体がバレた時は焦ったよ………」
「力技で誤魔化したねぇ~!でも高槻さん、ショウちゃんをずっと男だと思ってたんだ」
「……ムカつくぅぅ!!やっぱアイツは敵だ!悪魔だ!決定だ!!」
「大会とかで男の子っぽい格好をしてるショウちゃんも悪いと思うけど………」
「服は母ちゃんが作ってくれるんだもん、仕方ないじゃないか!」
「あれって何かのコスプレよね………はぁ、ヲタクは遺伝するのね………」
「………自覚しろ。オマエにも確実に伝染してるんだから」
その後。
ショウちゃんは宣言通りにバンディッツのメンバーを基にした成人向け同人誌
(徳田×高槻が中心のボーイズラヴなの)を作ったけど、登場人物を美化しすぎて
誰も本人達だって気が付かなかったそうです。ここら辺が自己満足なヲタの限界よねぇ!
その後も彼らにライバル心を燃やすことになりますが、結局最後には彼らの仲間に
なってしまうのでした!
(ショウ「絶対にならないって!!クレア、勝手な終わり方をするなよ!!」)
番外編3 [[彩音とトモコと黒い神姫(前編)]] へ進む
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*● 三毛猫観察日記 ●
**◆ 第十八話 「やがて交わる2つの道(ショウ編)」 ◆
薄汚れた廃工場の中、一人の女性が捕らわれている。
両手両足をロープで縛られている。そして彼女を取り巻く四人の男性。
「こんな方法は好きでは無いんだがな……口を割らない君が悪いんだよ」
そう言ってリーダーらしき男が拷問具の中から鞭を取り出した。
拷問具、と言うよりは陵辱の為の道具か?それは男達の下卑た顔を見れば推測出来る。
彼らが何をする気なのか理解したのか、彼女の顔には絶望と恐怖が入り混じった………
入り混じった…………………寝顔を浮べているし。
「コラ!寝てないで真剣に絵のモデルをやってくれよ!」
俺の声にビクッとなってクレアが目を覚ました。
「……ん、あっ………ショウちゃん……たかが……エロ本屋の店頭POP………」
「バイト先の店長の依頼だし原稿料も貰うんだから!真剣に手伝えよ」
「そんなん……デッサン人形を使えばいいじゃ……面倒くさいなぁ……」
そう言いながらクレアはポーズを取り直した。
俺の目の前にいるのは騎士型神姫のシン=クレア。中学の入学祝に買ってもらったから
付き合ってもう6年目になるのか。ちなみに名前の由来は昔TRPGで使ってたシンクレア
って男キャラ。だから別に某クレイ○アの女主人公とは全然関係ないぞ?
「――――――色を塗って……これで完成!明日にでも店長に渡そう」
「これで東京までの交通費は稼げたの?」
「うん、深夜バスだけどね……まぁ明後日って急な話だし仕方ないか」
「これであのミアとか言うパチモン猫に仕返しが出来るねっ!」
ミア。あのパチモン猫。思い出しただけで腹立たしい!
去年の東京体育館の件といい(第七話「ミア!電光石火!!」参照)、この前の
福岡国際センターの件といい(第十三話「タイガーキャット現る!」参照)、いつも
勝てばファーストに上がれるって試合に限って邪魔をしやがって!
「まぁ普通にアレよね……わざわざ九州大会にまで来るってのも」
「とにかく!どうやら連中は日曜に東京で開かれる産業展示会に行く予定らしいから
そこで復讐をしてやるんだ。今回はその為の東京行きだからね」
えっ、何でそんな事を知ってるかだって?答えは簡単。メンバーの一人「篠原由奈」の
ブログに書いてあったからさ。あの時の大会優勝者だから気になって調べてたら
ブログを発見したんだ。(ネット初心者らしく稚拙な作りだったけどね)
「でも展示会なんだからバトルは関係ないんじゃない?」
「戦うだけが手段じゃないよ。今回は別の方法でダメージを与えてやる……クーックックックッ」
「な、何をするつもりなの?」
「連中の写真を撮って、それを基に同人誌を作ってやるんだ。モチロン成人指定のな」
「………おまいはアホでつか?」
次の日、土曜日。学校で補習を受けた後に(バカで悪かったな)バイトに行く。
店長からPOP絵の原稿料とバイト代の4万円を貰う。これで何とか東京へ行けるな。
(そうそう、店の名前は「うっしっしぃ本屋えろ~ず」と言うんだ。ちなみに去年
新宿に姉妹店「エローズACT2」ってオラオラな店舗が完成した)
んでもってバイト終了後、制服を着たままバスターミナルへ向かう。
家に帰る時間が無かったんだ……途中で夜食用にチョココロネを買う。んでバスに乗る。
「本当に制服のままでいくの?」
「うん。この格好なら見付かっても正体バレないと思うしね。お前も変装用に
ボディスーツとカツラを用意しとけよ」
「これもコスプレの一種なのかねぇ~」
更に次の日、日曜日。長ぁ~~~~~~いバスの旅を終えて早朝の東京へ到着。
駅前で納豆定食を食べた後で電車に飛び乗り、そのまま幕張方面へ。
(「ショウちゃん……なんか臭うよ?」「気のせい気のせい!」)
午前10時、某巨大展示会場に到着。入り口には『精密機械産業展示会』とか書いてある。
企業向けのツマラナイ展示会だと思ってたんだが、パンフレットをチェックすると
全体の四分の一以上を神姫関係のブースが占めている。そういえば周りを見ると
スーツ姿のサラリーマンに混じって神姫ヲタっぽいのが結構いやがる。
「ショウちゃん好みのブースが結構あるみたいじゃない」
「まぁ時間つぶしは出来るみたいだな」
確か連中、12時きっかりにエキシビジョンマッチをやる予定らしいから、それまで適当に
ブースを廻って時間を潰すかな。
≪ブース1:神姫用のドールハウス展示≫
色々なタイプのドールハウスがズラっと並んでいて、まるでガリバーにでもなったような
気分になるブース。普通の一戸建てや豪邸っぽいの、西洋のお城なんかも展示している。
そんな中、端っこにあるログハウスに目が留まった。庭には丸太のような門柱が2つある。
(クレア「あれは樹○のガーディアン……阿○霞、こんな所に隠れてやがったのか!」)
(ショウ「オマエは宇宙海賊魎○かよ………ちなみに俺は鷲○ちゃんのが好きだ」)
≪ブース2:モーター会社なのになぜかクイズコーナー≫
何か電磁波を利用した新しいモーターとかを展示していたがサッパリだ。
それより丁度始まっていたクイズ大会に参加してみる。
(ショウ「………わかったでぇ、正解はボンボ○リカ虫や!!」)
(クレア「アンタ……ネタが激烈に古いしマニアックすぎるし………」)
≪ブース3:神姫の武器展示≫
実際に公式大会で使えるようにカスタマイズされた武器を展示している。
ネームプレートを見ると「ラグナロク」とか「ドラゴンスレイヤー」とか
もの凄い名前が付いている。まぁ伝説の武器をモチーフにして作ったってヤツか。
(クレア「色々あって面白いね。でもショウちゃん………」)
(ショウ「うん、そうだな……」)
(ショウ&クレア)「なんでエス○リボルグが置いてないんだぁぁぁ~~~!!」)
―――以下、各ブースで二人の微妙なオタ話が続く―――
12時。そろそろ時間だ。
会場の巨大プロジェクターには桜花とマヤーちゃんの二人が映し出されている。
公式戦から遠ざかっていたとはいえ、二人のファーストリーガーの試合は
大勢の注目を集める結果となった。ブースの周りには急に人が集まってきている。
「桜花、気を抜くなよ」
『アキオ……了解です!』
インカムから桜花の緊張した声。まぁマヤーちゃんと戦うのは2年ぶりだからな。
対戦相手のマヤーちゃんを見る。
ミアちゃんから貰った雷迅アーマーを装備している。それから斬岩剣ベースラードも。
元々ベースラードはマヤーちゃんの物で、彼女が(桜花に対抗して)バトルに復帰した今、
ミアちゃんは剣を本来の持主に返してしまったのだ。
と言うより……ミアちゃんはもうバトルを引退してしまう気配がある。虎太郎にしてみれば
これ以上ミアちゃんを危険な目に遭わせたくないという所なんだろうが、それにしても
過保護な……まぁあんな事件の後では仕方ないのかもしれないが。
「桜花姉ちゃん!!桜花姉ちゃん!!!!桜花姉ちゃん!!!!!!」
「あーもぅ落ち着きなさいって。逃げやしないから」
「行くニャ!!勝負ニャ!!!突撃ニャぁぁぁぁ~~~~~~!」
試合開始。さっそくベースラードを構えたまま走り回るマヤーちゃん。
得意のピンボールアタックか。懐かしいなぁ、この目で見るのは2年ぶりだ!
しかし攻撃というよりは……桜花にジャレついてるだけにも見える。俺の気のせいか?
『あ~もう始まっちゃってるじゃないか!』
『ショウちゃんが撮影禁止の新製品を盗み撮りしようとして怒られてたからじゃない』
『だって今度の同人誌ネタにしたかったんだもん。いいじゃん減るもんじゃないし……』
『………なんて言ってる間に試合が終わっちゃったじゃない』
「二人ともお疲れさま!」「ドッチもカッコ良かったです♪」
小暮と小春ちゃんが二人を出迎えた。
「にゅぅ……最後までやったら絶対にアタイの勝ちだったニャぁ!」
「はいはい残念でしたね」桜花がマヤーちゃんを軽くあしらう。
まぁエキシビジョンマッチだしね。そんな決着が付くまでやる必要は無いだろう。
「ところでミアちゃんと高槻はん、まだ戻らないんか?」と彩音。
「まだ二人で技術系ブースを廻ってるみたいね」と篠原さん。
「協調性が無いなぁ。まったくコレやから技術系オタクは……」
う~ん、前から気になってたけど……ひょっとして彩音って虎太郎がキライなのか?
「まぁそんなんはどーでもいいわ。もっと気になる事がある」
篠原さんと話していた彩音が急に振り返り、ブースの外を指差した。
「そこのアンタ!何をさっきからウチらの写真を撮りまくってるねん!!」
(「うわぁ!ショウちゃんバレちゃったじゃない!!」)
彩音に諭された制服姿の学生――高校生かな?――が渋々と近づいてきた。
「あ、あのぉ……スミマセン!俺、皆さんのファンなんです!!(ウソだけど)
つい興奮しちゃってパシャパシャと……気を悪くされたなら謝ります」
「ゴメンなさい、マスターに悪気は無いんです(ウソだけど)」
肩に乗っているストラーフ型と一緒に謝った。
「なんや盗撮とかの類かと思ったわ。ファンなら言ってくれればええのに」
そう言って撮影用にポーズを取る彩音。おまえなぁ……
んで彩音から許可を貰っちゃったコイツ、堂々と俺達の写真を撮りまくる。
一通り撮り終わった後でコイツが言った。
「あれ、高槻さんとミアさんは居ないんですか?(肝心のターゲットはドコだ?)」
「二人なら一緒に会場を廻ってるがな。何やお目当ては彼女達か?」
「あ、いえ……ちょっと彼女の戦い方に興味があったもので(弱点とかね)」
「戦い方?アンタ達もバトルをやってるんか」
「えぇまぁ……(よ~し、正体はバレてないみたいだな)」
「そんなに興味あるならアタイが相手をしてやるニャ!」
そう言ってマヤーちゃんが近づいていった。
「ミアの戦い方、ある程度ならアタイがトレース出来るのニャ」
「(何か妙な話になってきたな)いやぁ、あんまり迷惑を掛けたくないし……」
「大丈夫ニャ。アタイも戦い足りなかった所だったニャ」
そう言って勝手にバトルフィールドの中に入ってしまった。
(「ちょっとショウちゃん……」「しょうがないだろ、断ったら怪しまれるし」)
「それでパートナーの名前は何て言うのニャ?」
「えっとクレ……じゃなくって真紅と言います」
「ふーん、宜しくニャ真紅!」
≪赤コーナー:雷迅マヤー≫
武器:斬岩剣ベースラード
武装:雷迅アーマー(ミア仕様)
一言:「ベースラードの切れ味、見せてやるニャ!」
≪青コーナー:デビル真紅≫
武器:純正ストラーフ装備
武装:純正ストラーフ装備
一言:「デビルシンク三大理論、自己中心・自己破産・自己満足ぅ~!」
という感じで二人のバトルが始まった。
「あれっ?マヤーの相手って桜花じゃなかったのか?」
声のした方を見ると、肩にミアちゃんを乗せた虎太郎が立っていた。
「何やってたんだよ!二人の試合ならもう終わっちまったぞ」
「コタローが悪いんだよ!展示品の新型クレードル分解しちゃうんだから!」
「オマエが中身を見たいって言ったんだろ!しかし組み直すのに時間掛かったなぁ~」
「(二人とも何やってるんだ)まぁいいや。今丁度2戦目が始まった所だよ」
バトルフィールドに近づく二人。そのまま試合に注目する。
「マヤーの相手、あのストラーフって誰だ?」
「真紅って言って俺達のファンらしいぞ。彩音が気に入っちまってなぁ……」
突然ミアちゃんが虎太郎の肩からフィールドの端に飛び降り、真紅を見つめる。
「ん?どうしたミア?」
虎太郎の言葉を無視してそのままフィールドの中に入ってしまう。
「おいミア!?何やってるんだよ!!」
突然の乱入者にビックリしたのか、マヤーちゃんと真紅の手が止まる。
「ニャっ?ミアどうしたんニャ?」
マヤーちゃんには答えず、真紅の顔をジッと見つめる。
「…………………………………クレアちゃん???」
「(!!!!!!!!!!)な、何の事ですかぁ~~~~~~!!!」
動揺している真紅(クレア?)の髪を掴むと、そのまま引っ張るミアちゃん。
カツラがスルッと取れると、その下からはサイフォス特有の金髪が現れた。
「ほらやっぱりクレアちゃんじゃない!アタシって一度戦った相手は忘れないんだよ!」
「えっと、え~~~っと、これはつまり○×※△××○○×※※△」
パニクっているクレアを置いといて、虎太郎がミアちゃんに話しかけた。
「えっクレア?…………あの徳田グループ主催の大会で戦った神姫?」
「そだよ!変装してたって仕草とかで判っちゃうって!」
「いや、それは違うだろ」
そう言って虎太郎はクレアとそのマスターの顔を交互に見比べた。
「俺も覚えてるけど、だってクレアのマスターって確か男の子だったろ?
だけどこの娘……制服、セーラー服を着てるじゃないか!」
会場が急に静かになった気がした。その静寂を破ったのはクレアだった。
「あの………高槻さん?貴方すっごい勘違いをしてますよ?
確かに私の名前はクレア。以前ミアさんと戦った神姫です。そしてショウちゃんは
間違いなく私のマスター。よく男の子っぽいって言われますけど、正真正銘の………」
「………ゆ、許さん……居酒屋ボ○バーぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!!」
コイツ・セーラー服の自称ファンが、虎太郎の顔面にラリアットをブチ込んだ。
そして倒れこんだ虎太郎を見下ろしながら言った。
「俺の名前は財間翔子(ざいま・しょうこ)、正真正銘の女だバカヤロウ!!!!」
そしてフィールド上のクレアを掴むと、唖然としてる俺達を残して去っていってしまった。
「ショウちゃんお疲れさまぁ~~~!」
「あ~クレアもね。しっかし正体がバレた時は焦ったよ………」
「力技で誤魔化したねぇ~!でも高槻さん、ショウちゃんをずっと男だと思ってたんだ」
「……ムカつくぅぅ!!やっぱアイツは敵だ!悪魔だ!決定だ!!」
「大会とかで男の子っぽい格好をしてるショウちゃんも悪いと思うけど………」
「服は母ちゃんが作ってくれるんだもん、仕方ないじゃないか!」
「あれって何かのコスプレよね………はぁ、ヲタクは遺伝するのね………」
「………自覚しろ。オマエにも確実に伝染してるんだから」
その後。
ショウちゃんは宣言通りにバンディッツのメンバーを基にした成人向け同人誌
(徳田×高槻が中心のボーイズラヴなの)を作ったけど、登場人物を美化しすぎて
誰も本人達だって気が付かなかったそうです。ここら辺が自己満足なヲタの限界よねぇ!
その後も彼らにライバル心を燃やすことになりますが、結局最後には彼らの仲間に
なってしまうのでした!
(ショウ「絶対にならないって!!クレア、勝手な終わり方をするなよ!!」)
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