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「第四話『Prophet of amethyst』」(2008/01/06 (日) 11:01:25) の最新版変更点
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「キミ、女難の相が出てたよ」
開口一番、アメティスタはそう呟いた。
「うるせぇよ。昨日言ってくれればある程度は対応できたってのによ」
「面倒臭がってこなかったのはそっちでしょ? ボクは思いっきり楽しませてもらったけどな。昨日の記四季さん、可愛かったよ?」
「うるせぇ千里眼女。俺ぁお前じゃなくて神主に用事があるんだよ。とっとと呼びやがれ」
「剛三さんならあと三分でここに来るよ。今トイレはいってるみたいだから、少し待てば?」
「・・・・先に上がらせてもらうぞ。彩女はどうする?」
「あ、私はここにいます」
*ホワイトファング・ハウリングソウル
*第四話
*
『Prophet of amethyst』
「久しぶりですね、アメティスタ」
彩女がそういうと、湖のほとりに腰掛けていたアメティスタは微笑む。
今彼女がいるのは北白蛇神社の境内にある“湖”である。正確には湖に神社が併設しているだけなのだが。
「久しぶりだね彩女。昨日はお疲れ」
そういって微笑むアメティスタは、かなり変わった神姫だ。
その顔はハイマニューバトライク型、イーダである。しかしその素体は人魚型イーアネイラのものであるし、本来なら二本の足がついているはずの下半身も人魚型の武装脚部・・・ようするに人魚の尾ひれがついていた。
彼女は常にこの格好だ。陸地を移動するときは誰かの手を借りないといけない。しかし彼女はこの不自由を楽しんでいる節がある。なぜかは彩女にも判らない。
「最近調子はどう?」
「そうだね。湖の水が段々澄んできたかな。魚達も元気だし。外来魚もいないよ」
彼女はそういって湖の水をすくう。
「そう・・・マスターから連絡は?」
「まだ無いね。今頃はロンドンかな」
アメティスタのマスターは現在留学中である。アメティスタの“能力”にいち早く気づいたマスターはアメティスタを祖父である神主に預け、その“能力”について調べるために世界中を回っているらしい。今のところ調べているだけで、如何こうするつもりは無いそうだが。・・・どちらにしろ、彼女は身を潜めなければ行けない。人の預言者も眉唾であるのに、人工物である神姫が未来を視ることを周囲に知られるわけには行かないのだ。
「また難しい顔をしてる。ボクは別に気にして無いんだから」
「あ、いや、そんなつもりでは・・・」
「ふふ、おかしな彩女。貴女が気にすることは無いのに」
彩女はアメティスタの笑顔に思わず見惚れる。
意図しないこととはいえ、その能力のせいでマスターと別れる事になったのに、彼女は本当に気にしていないのだ。むしろ今の彼女がとても自由に見える。
彼女は日がな一日、湖のほとりで唄を謡ったり水遊びをしたりしてすごしているのだ。その姿は正しく、伝説に語り継がれる人魚といえよう。
「そういえばキミ、近々何か大きなことがあるよ」
と、突然アメティスタが言い出した。
彩女は少し驚きながら続きを促す。
「はぁ。・・・・大きなこと、とは?」
「さぁ? ボクが見たのは“放たれた銃弾”“折れる刀”“倒れる銀髪の者”の三つだからね。銃弾はともかく、後の二つの特徴にキミは当てはまる。だから気をつけたほうがいいよ」
そういってアメティスタは横になり、目を瞑る。
アメティスタはかなり気まぐれな性格である。なのでこれはもう話すつもりが無いという意思表示だろう。
彩女もそれに習い、横になり目を瞑る。
日が照っている暖かさのせいか、睡魔はすぐにやってきた。
----
「・・・・で、調子はどうなんでぇ?」
「よかねぇな。このままじゃそう長くは無いぞ」
北白蛇神社の神主にして街医者でもある剛三は、記四季を前にして呟いた。
彼の前にはとある書類が置かれている。それには七瀬記四季と書かれていた。
「・・・そうか。長くねぇってのは、どの位だ」
「今年中にゃ死ぬぞお前さん」
「・・・随分はっきり言うじゃねぇか」
「ぼかしてもお前なら気づくから意味ねぇだろう。ムラサキも予言してたぞ。“放たれた銃弾”“折れる刀”“倒れる銀髪の者”だとよ。刀と銀髪はお前だろ」
剛三はそういうと真っ白になった記四季の頭を指差す。
その髪は見ようによっては銀にも見える。
「刀は仕込みか? ・・・・だとすると銃弾ってのは何だよ」
「んなもん俺が知るかっての。ムラサキの見間違いか・・・さもなきゃアレだ。お前さんが鉄砲に撃たれる」
「な訳あるめぇよ。そいつぁ彩女に関する予言じゃねぇのか」
そういって記四季は煙管を取り出す。そのまま火をつけようとするが・・・
「ここは禁煙だ。大体病人が煙草なんか吸ってんじゃねぇ」
剛三にいさめられ、渋々煙管をしまう。
「さて、俺からはこれくらいだ」
「ん、そうか。だったらホレ、こいつをやるよ」
そういって記四季は木の箱を剛三にわたす。
それには何も書かれておらず、中身を窺い知る事は出来ない
「・・・なんだい、これは?」
「日本酒だ。自家醸造じゃねぇがこの間もらってな。俺には俺の酒があるからおめぇにやるよ」
記四季はそういうと障子を開け、庭に出て湖に向かう。
・・・見るとなぜか剛三もついて来ていた。
「・・・なんでついて来るんだよ?」
「ムラサキに用があるんだよ」
二人は無言で歩く。
そして湖のほとり、普段アメティスタがいる場所について・・・・二人揃って溜息をついた。
岩の上で、彩女とアメティスタが仲良さそうに二人揃って昼寝をしていた。寝顔はとても穏かで、とてもじゃないが起こせる雰囲気ではない。
「・・・・気が変わった。日本酒開けるぞ」
「だな。神酒も出してやる」
・・・二人が目覚めたのは、記四季と剛三が飲み比べを終えた直後だったという。
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「キミ、女難の相が出てたよ」
開口一番、アメティスタはそう呟いた。
「うるせぇよ。昨日言ってくれればある程度は対応できたってのによ」
「面倒臭がってこなかったのはそっちでしょ? ボクは思いっきり楽しませてもらったけどな。昨日の記四季さん、可愛かったよ?」
「うるせぇ千里眼女。俺ぁお前じゃなくて神主に用事があるんだよ。とっとと呼びやがれ」
「剛三さんならあと三分でここに来るよ。今トイレはいってるみたいだから、少し待てば?」
「・・・・先に上がらせてもらうぞ。彩女はどうする?」
「あ、私はここにいます」
*ホワイトファング・ハウリングソウル
*第四話
*
『Prophet of amethyst』
「久しぶりですね、アメティスタ」
彩女がそういうと、湖のほとりに腰掛けていたアメティスタは微笑む。
今彼女がいるのは北白蛇神社の境内にある“湖”である。正確には湖に神社が併設しているだけなのだが。
「久しぶりだね彩女。昨日はお疲れ」
そういって微笑むアメティスタは、かなり変わった神姫だ。
その顔はハイマニューバトライク型、イーダである。しかしその素体は人魚型イーアネイラのものであるし、本来なら二本の足がついているはずの下半身も人魚型の武装脚部・・・ようするに人魚の尾ひれがついていた。
彼女は常にこの格好だ。陸地を移動するときは誰かの手を借りないといけない。しかし彼女はこの不自由を楽しんでいる節がある。なぜかは彩女にも判らない。
「最近調子はどう?」
「そうだね。湖の水が段々澄んできたかな。魚達も元気だし。外来魚もいないよ」
彼女はそういって湖の水をすくう。
「そう・・・マスターから連絡は?」
「まだ無いね。今頃はロンドンかな」
アメティスタのマスターは現在留学中である。アメティスタの“能力”にいち早く気づいたマスターはアメティスタを祖父である神主に預け、その“能力”について調べるために世界中を回っているらしい。今のところ調べているだけで、如何こうするつもりは無いそうだが。・・・どちらにしろ、彼女は身を潜めなければ行けない。人の預言者も眉唾であるのに、人工物である神姫が未来を視ることを周囲に知られるわけには行かないのだ。
「また難しい顔をしてる。ボクは別に気にして無いんだから」
「あ、いや、そんなつもりでは・・・」
「ふふ、おかしな彩女。貴女が気にすることは無いのに」
彩女はアメティスタの笑顔に思わず見惚れる。
意図しないこととはいえ、その能力のせいでマスターと別れる事になったのに、彼女は本当に気にしていないのだ。むしろ今の彼女がとても自由に見える。
彼女は日がな一日、湖のほとりで唄を謡ったり水遊びをしたりしてすごしているのだ。その姿は正しく、伝説に語り継がれる人魚といえよう。
「そういえばキミ、近々何か大きなことがあるよ」
と、突然アメティスタが言い出した。
彩女は少し驚きながら続きを促す。
「はぁ。・・・・大きなこと、とは?」
「さぁ? ボクが見たのは“放たれた銃弾”“折れる刀”“倒れる銀髪の者”の三つだからね。銃弾はともかく、後の二つの特徴にキミは当てはまる。だから気をつけたほうがいいよ」
そういってアメティスタは横になり、目を瞑る。
アメティスタはかなり気まぐれな性格である。なのでこれはもう話すつもりが無いという意思表示だろう。
彩女もそれに習い、横になり目を瞑る。
日が照っている暖かさのせいか、睡魔はすぐにやってきた。
----
「・・・・で、調子はどうなんでぇ?」
「よかねぇな。このままじゃそう長くは無いぞ」
北白蛇神社の神主にして街医者でもある剛三は、記四季を前にして呟いた。
彼の前にはとある書類が置かれている。それには七瀬記四季と書かれていた。
「・・・そうか。長くねぇってのは、どの位だ」
「今年中にゃ死ぬぞお前さん」
「・・・随分はっきり言うじゃねぇか」
「ぼかしてもお前なら気づくから意味ねぇだろう。ムラサキも予言してたぞ。“放たれた銃弾”“折れる刀”“倒れる銀髪の者”だとよ。刀と銀髪はお前だろ」
剛三はそういうと真っ白になった記四季の頭を指差す。
その髪は見ようによっては銀にも見える。
「刀は仕込みか? ・・・・だとすると銃弾ってのは何だよ」
「んなもん俺が知るかっての。ムラサキの見間違いか・・・さもなきゃアレだ。お前さんが鉄砲に撃たれる」
「な訳あるめぇよ。そいつぁ彩女に関する予言じゃねぇのか」
そういって記四季は煙管を取り出す。そのまま火をつけようとするが・・・
「ここは禁煙だ。大体病人が煙草なんか吸ってんじゃねぇ」
剛三にいさめられ、渋々煙管をしまう。
「さて、俺からはこれくらいだ」
「ん、そうか。だったらホレ、こいつをやるよ」
そういって記四季は木の箱を剛三にわたす。
それには何も書かれておらず、中身を窺い知る事は出来ない
「・・・なんだい、これは?」
「日本酒だ。自家醸造じゃねぇがこの間もらってな。俺には俺の酒があるからおめぇにやるよ」
記四季はそういうと障子を開け、庭に出て湖に向かう。
・・・見るとなぜか剛三もついて来ていた。
「・・・なんでついて来るんだよ?」
「ムラサキに用があるんだよ」
二人は無言で歩く。
そして湖のほとり、普段アメティスタがいる場所について・・・・二人揃って溜息をついた。
岩の上で、彩女とアメティスタが仲良さそうに二人揃って昼寝をしていた。寝顔はとても穏かで、とてもじゃないが起こせる雰囲気ではない。
「・・・・気が変わった。日本酒開けるぞ」
「だな。神酒も出してやる」
・・・二人が目覚めたのは、記四季と剛三が飲み比べを終えた直後だったという。
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