「妄想神姫:第五十七章(前編)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「妄想神姫:第五十七章(前編)」(2007/12/17 (月) 17:50:36) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
**光の刃と、真心の白き翼(前編)
----
大惨敗より、約束の一週間が過ぎた。今日、フリッグのマスターと連絡を
とった私は神姫センターに来ていた。普段以上に気合いを入れた服装に、
私とアルマ・クララは身を包み、ロッテは“シルフィード”姿で迎える。
そして程なく、賢者たる騎士はやってきた。鋭く深遠な眼差しと共にな。
「久方ぶりだな、ロッテ。そしてその姉妹と……槇野殿。答えは……?」
「……それは、戦いの中で見せますの。貴女なら、それを望むかなって」
「読まれていたか、にしても今日はいい目をしている。初戦以来の眼だ」
「全く、難しい“宿題”をふっかけてくれた物だ。だが感謝もしている」
「では何を掴んだのか、実戦の中で貴女の妹から聞かせて頂きましょう」
不敵に笑うフリッグは、無口なマスターを促して受付の方へ向かった。
彼女からの指名戦という形で戦う事になっていた為だ。私達は、手早く
最終チェックを行う……それを受けるロッテの目は、澄み切っていた。
そう、あの夜。ロッテと語り合った後、四人で夜通し話し続けたのだ。
そこで様々な思いを聞き、また語った。未だ完璧な答えは出ていない。
だが、そこで交わされた想いは……今日、一定の答えを見せるだろう!
「……お前の全てをぶつけてくるのだ、ロッテよ。皆も見ているぞ!」
「ロッテちゃん、貴方の想いはあたし達の想い……期待してますっ!」
「……大丈夫、ロッテお姉ちゃんの目は違う。きっと、想いが勝つよ」
「はいですの。もう、迷いはないです……精一杯、頑張ってきますの」
そして笑顔と共にエントリーゲートを降下するロッテを見送って、私は
前回より大型化したコンテナをサイドボードに装填した。そう、今回は
今まで避けていた“アルファルとプルマージュの同時運用”を行うッ!
それが、週後半にロッテが為した特訓の一つである。如何に混乱せず、
二体の支援兵器を自在に運用するか。これも迷いが在れば出来ぬ事だ!
『クララvsフリッグ、本日の重量級リーグ第3戦闘、開始します!』
『“W.I.N.G.S.”……Execution!』
「“レーラズ”と“セイクレール”の重ね着も、うん……大丈夫ですの」
「今回のフィールドも、高空域だ。特訓した戦術を、フルに活かせ!」
「はいですのっ!」
ゲートの中で、ロッテの姿が変化する。従来使ってきた“レーラズ”と、
重量級用に開発したオプションドレス“セイクレール”。本来、これらは
同時装備に対応している。いずれ、“アルファル”と“プルマージュ”を
併用する時が来ると踏んでいたのでな……機能面は問題ない様だ、有無。
『3……2……1……GO!!』
「ウィブリオ、お待たせしましたのっ!」
『キュイッ!!』
天高く射出されたロッテは、ドレスを靡かせて空を舞う。それに続いて、
“龍”が“姫”を受けとめんと彼女の元へ舞い降りた。接合も問題なし。
となれば、ここからだ……そう思った瞬間、太陽に影が差した。強襲だ!
「“大剣士”フリッグ、推して参る!往くぞ、ロッテッ!!」
「ッ……やっぱり、速いですの!でも……フィオナッ!!」
『Yes,sir(妨害します)』
“ソードダンサー”に乗るフリッグが、太陽を背にして突撃してきた。
狙いは前回同様、ロッテ本体とウィブリオ。そのスピードは凄まじく、
回避は困難に思われた。だが、今回は……ロッテの対応力も負けぬぞ!
「ぐッ!?これは、軽量級で使っていた騎士……ッ!」
「ウィブリオ、左に身を翻してっ!」
『キュ、キュイッ!』
ロッテの声に飛び出してきたのは、“アルファル”のフィオナ。彼女が、
両手にブレードを構えてフリッグへと斬りかかったのだ。突然の反撃に、
堪らずフリッグはその軌道を変える。後は、ウィブリオの機動力で回避。
“先の先”の技ならば、崩せば勝機が見える……これがロッテの結論だ!
「くっ……そう何度も機先を制する事は出来ない、という事か」
「はいですの。私は、マイスターの笑顔の為に戦うんですから!」
「主の笑顔、か……ふむ。それが、ロッテの戦う理由という事か?」
「はい。その為にも、何時でも手を抜いた戦いは出来ないですのッ!」
「……その意気は良し。後は、取り戻した輝きを活かせるかだ!」
体勢を立て直したフリッグが、“ソードダンサー”をその全身に纏った。
対するロッテは、アルファルを巨大な盾の姿に変じさせた。左手に盾を、
右手にはライナストを合体させた、“プラズマ・クロスボウ”を携える。
これが攻防に機動力を兼ね備えた、ロッテの“ライダー・フォーム”だ!
「では、こちらから仕掛けますの!せやぁーっ!!」
「ッ!?武器がボウガンにも拘わらず、突撃してくるだと……」
「私には“仲間”がいますの、だから近距離でも十分戦えますの!」
「よかろう、受けて立とう……往くぞッ!!」
『キュイッ!!』
ロッテは“竜騎士”の姿に恥じる事のない、勇猛果敢な突撃を敢行する。
主の意気に刺激されて故か、ウィブリオもその両腕にレーザーブレードを
装着して、超高速でフリッグに接近した。雷の矢による驟雨と、光の刃。
そして、文字通り“盾”として剣士の一撃を弾く騎士。それに怯む事無く
幾度も重い剣戟を繰り出す青き剣士。その姿、空に在って輝く星の如し!
「く……ぅ、ボウガンをまるで槍の様にも扱っている。これは……!」
「そうですの。“Valkyrja”で戦った時に使ったレーザーガンランス!」
「あの用法と戦法を活かしているというのか……くっ!!」
「隙有り、ですの……ウィブリオ!!」
『キュイィィ……キュァッ!!!』
「ぐ、あああっ!?」
──────惑いのない、輝く魂。それは何よりも、鋭い刃だよ。
----
[[次に進む>妄想神姫:第五十七章(中編)]]/[[メインメニューへ戻る>妄想神姫]]
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: