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「妄想神姫:第五十二章(中編)」(2007/11/23 (金) 11:28:18) の最新版変更点
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**天より降りし、白霜の竜(中編)
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ロッテが得ていた位置的アドバンテージは、対戦神姫・ハニエルの曲芸で
あっという間にひっくり返された。相手火器のロックオンは、私の方でも
感知する所となる。多分使われるのは、機首のレーザーキャノンだろう。
直線的な攻撃しか出来ぬと言って侮れば、一巻の終わりともなりかねん!
「じゃあ見せてください。早くしないとアタシ、待ち切れませんよ?」
「今見せますの、この娘……ウィブリオが竜である事を!ねっ?」
『キュィィ……キュイッ!!』
「ッ!?そんな、いきなり反転……ッ!?」
だが、ハニエルとやらは若干堅い思考を拭えなかったらしいな。何故、
竜という空想の生物をモチーフとしたか。それは、士気高揚など様々な
意図を含んでいるが、その一つには『常識に囚われない戦法』がある。
“変幻自在”と言っても、常識や生半可な経験で推し量れる程度では、
そのバリエーションとて有限だ。それを撃ち破る為に、竜の姿がある。
実際ロッテの駆るウィブリオは、空で『制止しつつ』反転してみせた!
「ウィブリオ、“フォールダウン”!そこから……決めますのッ!」
『キュィィィ……キュィィィ~ッ!!』
「きゃぅんっ!?な、躯が凍って……ッ!?」
互いに向き合う形となったハニエルは驚き、ブレーキを掛けてしまう。
ロッテは恐らく、それを狙っていたのだろう。すぐさまウィブリオに、
“竜の吐息”で砲撃を行わせた!直撃を受けたハニエルは、凍り付く。
そう、ウィブリオに与えた“砲弾”には液体窒素が詰まっていたのだ。
威力は若干低いが、それは相手の機動力を止めるに十分な能力を持つ!
「ライナスト、『疾く来たれ』!プラズマ・クロスボウ形態ですのっ!」
「あ、あれは!?く、ぅ……氷が、邪魔で動けない……ッ!?」
「名付けて“アヴァランテス・スティング”!一気に攻めますのッ!」
機を見逃さず、ロッテは翼竜から飛び立った。その手にあるのは、魔剣を
矢尻に見立てた巨大な機械弓だ。これが、ロッテの“センチュリオン”と
“ティンクルスター”に仕込まれた変形機構である!即ち、強力な雷撃を
閃光の矢に見立て発射する事が可能な“プラズマ・クロスボウ”形態だ。
ロッテはそこから“矢”を連射し、ハニエルの鈍い動きを更に牽制する。
「きゃ、きゃあああっ……!?雷の矢が、いっぱい迫ってくる……!!」
「──今ですの、ウィブリオっ!!」
『キュイ!!』
「あああ……く、ぅッ……!!?」
そして……ロッテの命令で、主を乗せぬ飛竜がハニエルに向かい突撃ッ!
その小さく細い前肢には、後半身に仕込んであった専用ライトセイバーが
がっちりとホールドされていたのだ。双振りの光刃を携えたウィブリオは
初期段階の臆病さを微塵も感じさせる事なく、ハニエルに斬り掛かるッ!
「……ッ!!さ、流石先輩。戦闘センスが、桁外れですね……」
「それはあくまで、マイスターの為に一生懸命頑張った結果ですの♪」
『む……?直撃、していないな。氷の被膜を切り裂いただけか』
『キュィィ……』
だが、相手も強かだった。己にまとわりついた分厚い氷を盾と為して、
更に“バイザー”の変形機構で氷を剥がす事により直撃を免れたのだ。
“バイザー”を纏ったハニエルの姿は“天空騎士”の名前に相応しく、
ガンランス風のレーザーキャノンと翼を用いたカイトシールドを携え、
両肩には別のバイザー由来と思しき剣を装着した、雄々しい物である。
「第二ラウンドと行きましょう、先輩!……はっ!!」
「ひゃっ!?とと、槍の“繰り出し”が鋭いですの……きゃっ!?」
『キュィンッ!?』
そして見かけ倒しではないその潜在能力を、私達は目撃する事となった。
特殊工作用という位置付けをされているヴァッフェドルフィンタイプは、
銃器がメイン装備とは言えど、白兵武器もそれなりに使いこなせるのだ。
そしてハニエルだ。彼女は、自分の持っている銃器と白兵武器のスキル、
双方の技能を手持ちのレーザーガンランスで、巧く融合させているのだ!
「隙有りッ!……はぁっ!!」
『キュィィィンッ!!!?』
「ウィブリオっ!?きゃぁああああ……ッ!」
鋭い突きと共に繰り出される閃光は、程なく飛竜を縫い止めた……いや、
厳密には装甲貫通にまでは至っていない。だが、バランスを大きく崩した
ウィブリオとロッテは、近くの浮島に落着してしまう。ここが正念場だ。
即座に体勢を立て直せなければ、機動性能に優れるハニエルには勝てぬ!
「これで終わりです。先輩……お覚悟ッ!」
「先輩として尊敬してもらえるのに、簡単には負けられませんの!」
『キュィッ!』
「ッ!?飛竜が、変形して……させませんっ!」
その時に下したロッテの判断は、相手の意表を突く“奇策”だった。即ち
“ドラグーン・シルエット”から“ゴーレム・シルエット”への変形だ。
だがこの“ゴーレム・シルエット”、明らかに飛行能力では前者に劣る。
ハニエルもそれを見抜いてか、最大出力のレーザーで浮島を撃ち砕いた!
「浮島を破壊された……でもそれこそ、わたしの計算の内ですのっ!」
「え?!……な、浮島の破片を蹴って駆け上がっていく……!?」
『それがあったか、ロッテ!“ブランド・ダイナスト”の機能で……!』
“ブランド・ダイナスト”。“アルファル”で実験的に搭載して、この
“プルマージュ”でも使用している、空気の流れを利用した攻性防壁、
“ソニック・ブランド”を強化するターボファンエンジンの事だ。本来
これは真空波の強化がメインであり推進力はないが、ロッテは真空波の
威力を逆用して、浮島の欠片を砕いた反動で天空を駆けているのだッ!
ブースターと併用すれば、その機動はトリッキー且つ超高速となる!!
「ここからが本領発揮ですの!それっ!!」
「きゃぁぁあっ!!」
『キュッ!』
──────華麗で過激なロンドは、何処まで踊れるかな?
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