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{どうでもいい話し合いと、真面目な話し合い}
アンジェラスの視点
ご主人様は愛車のスカイラインを運転してアンダーグラウンドに向かっています。
私はご主人様の右肩に座っているのですが…。
ちょっと車の中は居た堪れない空気になっているのですよ。
何故かと言いますと。
「ねぇーご主人様。今日はいったいどのようなご用件ですか?」
「………」
ご主人様は運転に集中しているのか、さっきから私が声を掛けてもうんともすんとも答えてくれないのです。
ズーッと無言でズーッとシカトです。
別に機嫌が悪いとかじゃないと思うのですが…何かこぉ~、考え事をしているような感じですかね。
今はそれだけの事しか考えられないみたいなぁ。
ご主人様がこんな感じになってしまった原因は、あのアンダーグラウンドの住人、ご主人様が言う通称オヤッさんその人である。
帰宅したご主人様は私とまた煙草の事で口論してる途中、オヤッさんから電話がきて、ご主人様が電話に出てのですが。
電話している時間が経つごとにご主人様の顔は厳しくなり真剣な表情に変わりました。
そして電話が終わった後の私に向けられた言葉が一言、『行くぞ、アンジェラス』です。
電話の内容も何も言わずに家を出るご主人様に私は『はい!』としか言えず、付いて来ましたのが今の状況に繋がる訳です。
車を走らせるご主人様は無言で前を見続ける。
私はそんなご主人様の顔を見る事しか出来なかった。
そうこうしている内にアンダーグラウンドの町に入りご主人様は駐車場に入る。
駐車場の適当な場所で車を止めて車から出る。
その時でした。
ご主人様が低い声で私にこう言いました。
「これから起きる事は何事にも驚くな。後、俺の命令に絶対に従えよ。解ったな?」
「は!?はい!」
その時のご主人様の顔は怖かったです。
いつも苦笑いしたり、ニヤつきながら私を褒めてくれるご主人様じゃなかった…。
まるで別人のようでした。
顔はご主人様でも違うご主人様みたいな…。
冷酷で人間の感情が無いよな感じ。
「解ったのならいい。今から一言も喋るな。黙って俺について来い」
無言のまま私は頷いた。
するとご主人様は私を一瞥してから駐車場から出た。
アンダーグラウンドを歩き数分。
神姫センターが見てきました。
今日はここに行くのでしょうか?
確認したいのですけれど、ご主人様は私に『一言も喋るな』と言ったので喋る事が出来ません。
…いったいご主人様はどうなちゃったでしょ。
あ、神姫センターを横切りました。
今日はここに用は無いみたいです。
じゃあ何処に行くんだろう。
そして更に数十分が経ちました。
ご主人様は一つのバーに入りました。
お酒を飲む場所とデータでは知っていますが…。
私が実際に見たバーとデータで理解していたバーとは全然違いました。
やっぱり実際に行くのとデータだけでは、経験値が全然違いますね。
「お、時間通りに来たな。おーい、閃鎖ーこっちだー」
「………」
通称、オヤッさんの人が一つの卓上のテーブル近くの椅子に座っていました。
左右に二人づつ座れる場所です。
そしてそのテーブルの周りにグルリと円状に囲んだ怖い男の人達がズラリといました。
チンピラとかヤクザの名がつきそうな人達ばかりです。
ご主人様はそんな人達の間を入ろうとすると男の人達は十分に歩けるスペースを作り退く。
まるで歓迎されているような感じ。
それと同時にご主人様がその間を抜けると逃げられない様にがっしりと周り固める。
正直、もう私はビビッています。
「まぁ掛けて下さい」
「…はい」
オヤッさんの反対側に座っていた二人のいかついオジさんが態々立ち上がり座る事を勧める。
ご主人様は低い声で答えオヤッさんの隣に座っり、いかついオジさん達も同時に座る。
ご主人様は両手をポケットに突っ込んだまま。
礼儀がちょっとなってないと注意したいですが、今は喋っちゃいけません。
といいますか、こんな張り詰めた空気の中で喋りたくありません。
「さて、役者が揃った所で話しを始めますか」
一人のいかついオジさんが先に喋りだしました。
「まず今回、閃鎖さんをお呼びにしたのは我々の不始末を言いたかったわけです」
「どのような不始末ですか」
オヤッさんはご主人様の代弁をしてるように答えた。
「まずこれを見てください」
もう一人のオジさんが頑丈そうなアタッシュケースを取り出してきて中身を見せてくれました。
中身に入っていたのは、数枚の何かのリストみたいです。
ご主人様は無言でそのリストを全部受け取り目をとおす。
私もご主人様の右肩にズーッといるのでついでに見せてもらい、そしてすぐにその紙に書かれてるリストがなんなのか分かりました。
この紙は記されてる内容はすべて武装神姫の違法改造武器です。
しかも武器の全ての製作者覧がご主人様の『閃鎖』という名前で埋め尽くされていました。
「見ての通り。我々も色々な事に手を出して仕事をしている訳ですが…今回、この武装神姫で一つ閃鎖さんにご迷惑をかけてしまった。おい、アレを」
「はい」
命令したオジさんがもう一人のオジさんに命令し、次は海外旅行で行くときに使われる大きなハードケースを出してきました。
そしてハードケースを開けると。
「ン~~~~!?!?」
一人の男の人が両腕両足を頑丈な紐で縛られて口には叫べないようにガムテープが張られています…パンツ一丁の姿で…。
「うちの者です。こいつは自分が儲けるように無断で閃鎖さんの商品を無断で売り捌いていたんだ。オマケにうちの島ならともかく、他の島で売ってやがった」
「おかげで、他の島の連中達が怒ってうちの組にけしかけてきて大変でした」
「治まりはついたのですか?」
今度はオヤッさんが冷静沈着に言う。
いつも見ていたオヤッさんも別人を見てるようです。
「そこら辺はご心配なく。うちの組がそれなりの金額を譲渡したので。赤字なのは変わらないが…」
「そうですか。ではこいつをどうするんですか?」
「この者の処分は閃鎖さんの言葉で決まる。生かすのも殺すのも閃鎖さん次第です」
「………」
ご主人様はバサッとリストされている紙を全て机に置き煙草に火をつけた。
「…そのゲス野郎にチャンスを与えてやる。だが、もし次にヘマしたら命は無いと思え、と言っとけ」
「生かしておくのか?」
「人間、一度は欲に負ける事がある。けどもう一度同じ過ちを繰り返したらそいつは学習能力が無い訳だ。そんな人間は生かしとく必要は無い。この町で生きていくには学習が必要な事だからな」
「そうか。閃鎖さんがそう言うなら分かった」
「これで俺の用事は済んだか?」
「いや、もう一つある。この件でうちの懐が少し寂しくなっちまったものだから、少し閃鎖さんの商品を取り寄せをしたい」
「なら、オヤッさんに言ってくれ。俺は開発者なのでね。帰ってもいいか?」
「そいう事ならもう結構です。この度は申し訳なかった」
「気をつけて仕事してくれよ」
そう言ってご主人様は立ち上がり店をでようとした。
「おまえら閃鎖を送れ」
「いい、一人で帰れる。後は頼むぜ、オヤッさん」
「おう、任しとけ」
そしてご主人様と私は店を出た。
…。
……。
………。
ご主人様の車に乗って数分が経ちました。
丁度、アンダーグラウンドの町から出た頃です。
その時でした。
「今日は悪かったな」
「エッ?」
ご主人様が私に話してくれました。
最初みたく冷酷な声ではなく、温かみがある声でした。
「なんとなく…解ったろ?俺が今日、お前にきつく言った言葉がなんなのか」
「はい…。でもなんであんな風に言ったのですか?」
「その言い方だと、まだ少し解ってないみたいだな」
煙草に火をつけ運転席側の窓を全開にするご主人様。
煙は車から外に出て消えていく。
「お前には必要だと思ったからだ。俺が今どいう立場にいるのかちゃんと理解しているのかな…てな」
「立場?」
「そう。お前、もし俺がなにも言わずにあんな所に行ったらどうしてた?」
「それは…多分、ご主人様を止めて無理矢理にでも連れて帰ろうとします。ご主人様にはなるべく普通の生活して欲しいですし」
「…はぁ~。やっぱりそんな事かぁ」
溜息を吐き煙草を右手で持ちながら運転する。
「アンジェラス。俺はな…普通の大学生、天薙龍悪の顔をと今日見せたヤクザと商売している閃鎖の顔を持っている」
「二つの顔ですか?」
「そうだ。それに俺はどちらかというとこっちの世界の住人に近い」
「そんな!?ご主人様は普通の人です!」
「ヤクザと仕事上関係をもってる奴がか?」
「………」
「おやおや、黙まりか?中臭い設定だが、残念だけどこれは現実だ」
私は衝撃の事実を知ってしまい俯く。
まさかご主人様は表の世界の住人でもあって裏の住人でもあるという事に。
今はまともにご主人様の顔を見る事ができません。
「幻滅したか?嫌いになったか??別に俺は構わないぜ。今日はあえてお前を連れて来たんだ」
「…あえて…ですか?」
「あぁ。アンジェラスには俺の全てを見て欲しかったんだよ」
「全て…」
私はやっとの思いで顔を上げご主人様の顔を見れた。
ご主人様の顔は苦笑いしていました。
「なんて言えば良いんだろうなぁ?アンジェラスなら俺の秘密を教えてもいいかな、と思っちゃうんだ。上手くは言えないが多分俺はお前に心を許してるんだろうな」
「私だけに心を許す…それってつまり」
「んぅ~、まぁそのなんだなぁ。俺にとってアンジェラスは特別な存在というか信頼し合える者同士というか…あーもうなんて言えば解らん」
「そうですか。私だけが、ご主人様と特別な関係を持っているのですね!」
「そいう事にしといてくれ。だぁー、なんか恥ずかしいぜ」
「クスクス♪」
私は笑いました、心の底から。
嬉しい気持ちでいっぱいです。
だって、ご主人様から『お前だけに心を許す』なんて言って頂けたのですから。
これで私はまた新しいご主人様の姿を見れました。
もっと色々なご主人様が見てみたいです。
「笑うな。ガチで恥ずかしいんだから!」
「クスクス♪すみません。でも嬉しくて…クスクス♪」
「だから笑うなって!」
そう言うご主人様も笑っているじゃないですか。
さっきまで気まずい雰囲気だったのに今はお互いを理解しあって笑っている。
嫌な一面も見てしまいましたが、今日はまたご主人様との距離が近くなったような気がします。
ご主人様、私はいつでもご主人様と一緒ですよ。
今日からまた一つよろしくお願いしますね、私が大好きなご主人様♪
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