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**そして姫を護る、神竜へ(前半)
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奇妙な住人が増え、数日。私・槇野晶は日々彼女らのアップトゥデートに
追われていた……ロッテ達“妹”を護る竜、“プルマージュ”の三機だ。
“アルファル”と同じくぷちマスィーンズの超AIを使用した彼女らには
宵闇を翔ける者“星龍姫(ライナー)”という称号まで与えた物の、難題が
山積していた。見るがいい、今日も作業台の上で皆の挑戦が続いている!
「ほら、大丈夫。飛べますの♪ゆっくり羽ばたいて~……わ、わわっ!」
『キュ、キュィ……ッ』
「……大丈夫ですの~、わたしが側にいますの。それとも重いですの?」
『キュイ、キュィッ!?』
「有り難うですの♪でも、困りましたの。怖がってばかりじゃ、ね……」
『キュイィィ……』
そう、ロッテの“霜天龍ウィブリオ”からしてコレだ。何をやるにも怯え
自信の無さを露呈させている。無論の事、戦闘意欲など望むべくもない。
超AIのデータを書き換えて調整する方法も無論あり、多少はバイアスを
掛けているのだが……根治療法という程の改竄をするのは理念に反した。
神姫がダメで彼女らなら出来る、というだけの論拠を私は持たぬのでな?
「はいドゥドゥ……とっと、落ちついてファフナーっ!?きゃあっ!」
『グルオオンッ!グオ、グオォッ!!』
「よ、いしょっ!ま、マイスター今日もロデオ大会ですかあたし!?」
「……ううむ、こちらは正反対か。戦闘意欲は実に旺盛で良いのだが」
「で、でもこれじゃあたしの身が持ちませんよ~?!ま、待ってッ!」
『グァァァァーッ!』
アルマは、必死に付属の手綱とジョイントされた自分の下肢を駆使して
“灼地龍ファフナー”の制御を行っていた。だが、彼女をもってしても
やんちゃで暴れん坊なファフナーの調教に手間取っている。戦闘意欲は
旺盛でパワーもあるのだが、主の意思を汲まぬのでは少々不安が残る。
しかも実践では、手綱がない。ジョイントされた己の足と意思だけで、
この“竜”を操らねばならん。その理由か?もうすぐ出来上がる所だ。
「で、こっちも……どうやら相変わらずの様だな、クララや……むう」
『クル、クルクルッ♪』
「……みたいだよ。よく言う事は聞くんだけど、聞き過ぎ……かな?」
『クル?』
「リンドルム、ボクを慕うのは嬉しいんだよ……でも集中もしてね?」
『クルルルッ♪』
一方、クララの“樹海龍リンドルム”。こちらは一見すると彼女の意思を
聞いてはいる。だが『聞くだけ』で汲んではいない。“甘えたい”という
その一心が優先してしまい、どうも与えられた命令の遂行率が低いのだ。
乗りこなす、という一点で言えば問題ないのだが。肝心な所での挙動には
大きく疑問が残るだろう。この通り三匹とも、欠点を抱えている有様だ。
「欠点がある事自体は否定せんのだが、己の役目が果たせぬのは……な」
「生まれたてではしょうがないですの♪でも、何か転機も欲しいですの」
「そ、そうですね……そろそろ、あたしボロボロになりそうですし……」
「……大丈夫なのかな、アルマお姉ちゃん?ショック療法も、必要かも」
「知恵がありますのクララちゃん?良ければ、聞かせて下さいですの♪」
バッテリーを過度に消耗して疲労困憊気味のアルマを支えつつ、クララが
何か思案を巡らせる。彼女としても、現状の打開を望んでいるらしいな。
程なく何かが閃いたのか、クララを中心として三姉妹で円陣が組まれた。
私はそれを信じ、とりあえず己に出来る事……新装備のお披露目を行う。
それは補助アーマー“シルフィード”の強化用服飾と、幾つかの武装だ。
「密談が終わったのならば、これを装着してみてくれ。残りのパーツだ」
「えっと、これは……この“シルフィード”に重ね着する部分鎧です?」
「そうだ。お前達なら分かるだろうが、“レーラズ”では些か大仰でな」
「で、こっちは……盾と槍、なのかな?なんだか形状が異なるけど……」
「よく見ると銃とか杖ですの~……マイスター、わたし達専用ですの?」
私は大きく肯く。三姉妹統一の武装という方向性は、“アルファル”で
試行した。ならば今度は真逆!個々の得意分野を活かす方向で、全てを
チョイスしたのだ。量産・商品化する際の実験データを取る意味でも、
三姉妹の新たな戦い方を模索する意味でも、価値のある試みであろう。
「長柄武器の方が“センチュリオン”、盾は“ティンクルスター”だ!」
「この盾、さりげなく変形機構やビームシールドが仕込んでありますね」
「携行型故に出力は控えめだが、個人用防御兵装としては上等だろう?」
「……うん。“マビノギオン”がない今回は、これでも頼りになるもん」
補助武装として位置づけた装備だが、“妹”達は気に入った様だ。有無。
……そう、あくまで重量級ランクでのメインウェポンはこの“竜”達だ!
どうしてもデビュー戦までに、彼女らには一皮剥けてもらわねばならん。
という訳で私は用意した新装備を神姫達に着せつつ、クララの“秘策”に
期待する事としたのだ……こら、着替えを覗くなッ!あっちを向けッ!?
「よし、では“セイクレール”も持っていき着替えるのだ。そして……」
「はいですの♪引き続き、“プルマージュ”の皆を躾ていきますのっ!」
『グォォン……』
──────貴女達の心に、何が秘められているのかな。
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