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「第二十三話『すれ違い』」(2007/10/29 (月) 09:24:20) の最新版変更点
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「・・・・なんというか、面倒な事になりましたね。また随分と」
「・・・チクショウ、遙のバカ野郎ぉ・・・・」
*クラブハンド・フォートブラッグ
*第二十三話
*『すれ違い』
「で、本気で相手していいんですか?」
今日起きた遙の策略を話し終えると、サラはそういった。
本気で・・・いやいや・・・でも。
「それは・・・」
「手加減しませんよ。砂漠ステージですし」
私の言葉を待たずにサラは言う。
・・・っていうかなんか怒ってる。
「あの、サラ? もしかして怒ってる?」
「もしかしなくても怒ってます。全く、そのハルカと言う友人は恐ろしい人だ。このわたしに負けろと言っている様に見えて、その実本気の勝負を期待しているようにしか思えない」
・・・あの、サラさん?
言ってる意味がよくわからないんだけど?
「つまるところはですね。他のステージなら多分わたしは負けたでしょう。しかし砂漠ステージならわたしは絶対に負けない。負けたこともない。勝率100%は伊達じゃないですし。でも今の状況なら? 負けなければハチヤは面子丸つぶれです。・・・全く、非常に不愉快だ」
・・・いまいちよく判らない。
「要するにハチヤに告白させるには勝率100%を捨てなければいけないんですよ。わたしの唯一の誇りだったのに」
「あの・・・だったら倒しちゃってもいいのよ? あとで私の方から言えばいいんだし」
「それじゃダメです。ここで問題とするべきは『ハルナがハチヤに申し込んでしまった』という事実。これはすなわち『あたしに告白したいならこのあたしを倒してからにしな!』と挑発したのと同義ですよ。こんな状態でハチヤ倒して告白するのって・・・どんなもんでしょうね?」
「・・・言いたいことは判ったけど、あんまり告白告白言わないでよ・・・・恥ずかしいじゃない」
しかし・・・これは、その、なんと言うか。
もしかして板ばさみって奴なのでは?
「・・・今回限りは、私の独断で動きます。正直、今の状態では如何とも・・・」
サラはそう重く呟くと、バイザーを下ろしてクレイドルに寝転がってしまった。
話しかけようとしたけど、私はそれをやめた。
「・・・・・・」
八谷が私に告白するには、サラが負けなければいけない。
でも・・・私はもうサラが負ける姿なんて見たくないのだ。それも砂漠で。
私は・・・サラに何て言えばいい?
負けろ? 勝て? どっちもいえるわけがない。
でもそれ以前に・・・・サラはどうすればいい?
答えは・・・でそうになかった。
----
「・・・・というわけなんだけど」
「随分無茶なはなしだなん。あのサラやんに砂漠で勝てとか・・・今のままじゃ土台無理なのだ」
ハチやんの話をきいたあたしは溜息をついた。
なんてーか、絶対なんかこんがらがるのわかっててやったとした思えないのだ。
「そこを何とかできないかな。今回の僕はかなり本気だぜ?」
そういってハチやんはあちしを見つめてくるし。
この分だとサラやんの苦悩なんてわかってないだろうけど、まぁ知る必要は無さそうだし教えなくてもいいかなん?
あちしは全力出せればそれでいいわけだし・・・・でも。
「秘策・・・ないわけじゃないのだが・・・・ハチやん、秘策を教える前に一つ教えて欲しいのだ」
「ん?」
「ほんとーにナナやんのこと好きなのか?」
「・・・・・」
「そりゃあたしはハチやんの神姫だ。神姫はオーナーに仕えるものだってのも承知の上。でも今回ばかりは幾らあちしでもわりとマジだぜ。その位勝つのは難しいし、なによりサラやんは結果がどうあれ本気で来るのだなん。そのくらい、サラやんにとって勝率100パーセントってのは重いものなのだ」
・・・・その100パーセントは、ナナやんとサラやんの大事な誇りだから。
「お前にそれを打ち破るだけの気持ちがあるというのなら、あたしは全力を出す。もしないというのなら・・・」
「あるよ」
あたしの問いに、ハチやんは即答した。
「サラちゃんを砂漠ステージで倒すって事が、どういう意味なのかちゃんと判ってる。それがサラちゃんを傷つけるかもしれないってことも」
そういいながら、ハチやんは椅子から立ち上がってあたしを見下ろす。
「でも、それでも、自分の気持ちに嘘は、つきたくない。あんなもやもやした気分は、もう御免だ。僕は、七瀬の事が好きだから」
・・・多分あたまのなかで言葉を一つ一つ選んでるんだろう。
たどたどしい言葉遣いだった。
「だから・・・マイ。僕に力を貸してくれ」
そしてハチやんは机の上のあたしに向かって、深く頭を下げた。
そのまま頭を上げる気配はない。あたしの言葉を待っているんだろう。
「・・・・凄い回転のドリルたくさんと、音で居場所がわかるやつ」
「え?」
「凄い回転のドリルたくさんと! 音で居場所がわかるやつ!! 勝ちたかったら耳そろえてとっとと準備するのだ! あと砂避けゴーグルに真っ赤なマントもよこすのだ!! 一個でも欠けたら勝ってやらないんだからな!!」
全く、ハチやんはあちしがいないと何にも出来ないんだからなん。
ここはネコとして一肌脱ぐべきなのだ!
「マイ・・・ありがとう」
「うるせぇとっとと準備するのだ! あと他にはだなん・・・・・・・・・・・・!」
素直じゃないのはナナやんだけじゃないのかもなん?
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「・・・・なんというか、面倒な事になりましたね。また随分と」
「・・・チクショウ、遙のバカ野郎ぉ・・・・」
*クラブハンド・フォートブラッグ
*第二十三話
*『すれ違い』
「で、本気で相手していいんですか?」
今日起きた遙の策略を話し終えると、サラはそういった。
本気で・・・いやいや・・・でも。
「それは・・・」
「手加減しませんよ。砂漠ステージですし」
私の言葉を待たずにサラは言う。
・・・っていうかなんか怒ってる。
「あの、サラ? もしかして怒ってる?」
「もしかしなくても怒ってます。全く、そのハルカと言う友人は恐ろしい人だ。このわたしに負けろと言っている様に見えて、その実本気の勝負を期待しているようにしか思えない」
・・・あの、サラさん?
言ってる意味がよくわからないんだけど?
「つまるところはですね。他のステージなら多分わたしは負けたでしょう。しかし砂漠ステージならわたしは絶対に負けない。負けたこともない。勝率100%は伊達じゃないですし。でも今の状況なら? 負けなければハチヤは面子丸つぶれです。・・・全く、非常に不愉快だ」
・・・いまいちよく判らない。
「要するにハチヤに告白させるには勝率100%を捨てなければいけないんですよ。わたしの唯一の誇りだったのに」
「あの・・・だったら倒しちゃってもいいのよ? あとで私の方から言えばいいんだし」
「それじゃダメです。ここで問題とするべきは『ハルナがハチヤに申し込んでしまった』という事実。これはすなわち『あたしに告白したいならこのあたしを倒してからにしな!』と挑発したのと同義ですよ。こんな状態でハチヤ倒して告白するのって・・・どんなもんでしょうね?」
「・・・言いたいことは判ったけど、あんまり告白告白言わないでよ・・・・恥ずかしいじゃない」
しかし・・・これは、その、なんと言うか。
もしかして板ばさみって奴なのでは?
「・・・今回限りは、私の独断で動きます。正直、今の状態では如何とも・・・」
サラはそう重く呟くと、バイザーを下ろしてクレイドルに寝転がってしまった。
話しかけようとしたけど、私はそれをやめた。
「・・・・・・」
八谷が私に告白するには、サラが負けなければいけない。
でも・・・私はもうサラが負ける姿なんて見たくないのだ。それも砂漠で。
私は・・・サラに何て言えばいい?
負けろ? 勝て? どっちもいえるわけがない。
でもそれ以前に・・・・サラはどうすればいい?
答えは・・・でそうになかった。
----
「・・・・というわけなんだけど」
「随分無茶なはなしだなん。あのサラやんに砂漠で勝てとか・・・今のままじゃ土台無理なのだ」
ハチやんの話をきいたあたしは溜息をついた。
なんてーか、絶対なんかこんがらがるのわかっててやったとした思えないのだ。
「そこを何とかできないかな。今回の僕はかなり本気だぜ?」
そういってハチやんはあちしを見つめてくるし。
この分だとサラやんの苦悩なんてわかってないだろうけど、まぁ知る必要は無さそうだし教えなくてもいいかなん?
あちしは全力出せればそれでいいわけだし・・・・でも。
「秘策・・・ないわけじゃないのだが・・・・ハチやん、秘策を教える前に一つ教えて欲しいのだ」
「ん?」
「ほんとーにナナやんのこと好きなのか?」
「・・・・・」
「そりゃあたしはハチやんの神姫だ。神姫はオーナーに仕えるものだってのも承知の上。でも今回ばかりは幾らあちしでもわりとマジだぜ。その位勝つのは難しいし、なによりサラやんは結果がどうあれ本気で来るのだなん。そのくらい、サラやんにとって勝率100パーセントってのは重いものなのだ」
・・・・その100パーセントは、ナナやんとサラやんの大事な誇りだから。
「お前にそれを打ち破るだけの気持ちがあるというのなら、あたしは全力を出す。もしないというのなら・・・」
「あるよ」
あたしの問いに、ハチやんは即答した。
「サラちゃんを砂漠ステージで倒すって事が、どういう意味なのかちゃんと判ってる。それがサラちゃんを傷つけるかもしれないってことも」
そういいながら、ハチやんは椅子から立ち上がってあたしを見下ろす。
「でも、それでも、自分の気持ちに嘘は、つきたくない。あんなもやもやした気分は、もう御免だ。僕は、七瀬の事が好きだから」
・・・多分あたまのなかで言葉を一つ一つ選んでるんだろう。
たどたどしい言葉遣いだった。
「だから・・・マイ。僕に力を貸してくれ」
そしてハチやんは机の上のあたしに向かって、深く頭を下げた。
そのまま頭を上げる気配はない。あたしの言葉を待っているんだろう。
「・・・・凄い回転のドリルたくさんと、音で居場所がわかるやつ」
「え?」
「凄い回転のドリルたくさんと! 音で居場所がわかるやつ!! 勝ちたかったら耳そろえてとっとと準備するのだ! あと砂避けゴーグルに真っ赤なマントもよこすのだ!! 一個でも欠けたら勝ってやらないんだからな!!」
全く、ハチやんはあちしがいないと何にも出来ないんだからなん。
ここはネコとして一肌脱ぐべきなのだ!
「マイ・・・ありがとう」
「うるせぇとっとと準備するのだ! あと他にはだなん・・・・・・・・・・・・!」
素直じゃないのはナナやんだけじゃないのかもなん?
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