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「妄想神姫:第四十八章(前半)」(2007/10/24 (水) 14:25:54) の最新版変更点
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**遙かに見据えし巨神の宴(前半)
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息抜きとしては十全たる小旅行も一段落して暫く。私・槇野晶は神姫達の
アルマ・クララとロッテのHVIF・葵を引き連れて外出する事とした。
……こう書くと遊び歩いてばかりの様に見えるが、店は毎週営業中だぞ!
依って今日は折角の定休日まで裂いて、わざわざ外出している事になる。
というのもだ、試験運用中の“重量級クラス”に関する依頼が増えてな?
「何時までも私達自身が実践せぬ訳には、行かなくなったという事だな」
「それに……多少ですけど実力も付いてきましたしね。自信ないですが」
「大丈夫ですの!でもだからこそ、重量級の壁にも参戦したいですの♪」
「というわけで今、ボクらは試作部品を持ってエルゴへ移動中なんだよ」
「クララ、何処を見て会話している?……まぁ、実際その通りなのだが」
そんな会話をしながら、最早見知った商店街へと入る。偶にしか来ぬが
この一種独特な活気は秋葉原にはない、実に心地いいものだ。そして、
以前私達を救った“恩人”に会うのも、気恥ずかしいが楽しみなのだ。
そして見つけた“ホビーショップ・エルゴ”へと、葵と共に入店する。
「というわけでだ、来てやったぞ日暮。これは先日の礼だ、受け取れ」
「やぁ晶ちゃ……っと、いけないいけない。礼なんか別にいいのにさ」
「……良い判断だ。ともあれ、助けられっぱなしでは私の性に合わん」
「話は聞きました。災難でしたね晶さん、葵さんも安心したでしょう」
「はいですの。暴漢に襲われた時は本当晶お姉ちゃんが心配でしたの」
すかさず私は菓子折を突き出し機先を制する。こうでもせんと……な?
そして不安げな顔で語るロッテ、もとい葵。彼女らにとっても、アレは
十分恐怖だったのだろう。故に私も、敢えて深く思い出す事はしない。
嫌な空気を吹き飛ばす為に、私はアルマとクララをテーブルに降ろす。
「で、日暮よ。随分と前に“ドラムフレーム”の改良案をもらったな」
「ああ、そう言えば重量級の為に試作機開発を……クラスの現況は?」
そう、あの時……後に恐るべき約定を取り交わした凪千空と出会った日。
途中こそ彼らとの話で大きく時間を喰った物の、アドバイスはしっかりと
受け取っていた。それを受けた私なりの“解”を、今日持ってきた訳だ。
ちなみに……以前取り交わされた千空との契約は、未だ完了していない。
早い所どうにかして、心落ちつきたい物だが……千空め、焦らしおって!
「……ん?晶ちゃーん?顔真っ赤だけどどうし、っとと落ちついてッ!」
「わ、分かっている!人が惚けている隙に“ちゃん”付けするなッ!?」
「悪い悪い、で現況はどうなんだい?こっちは割と門外漢なんだけどさ」
「有無。未だ私達の様に完全自作の装備で臨む神姫は多くないな、だが」
「その分、群雄割拠の上位にいる様なのは自作が多い……って所かな?」
その通り。いきなり試験的に導入された為、稼動して半年以上経っている
今もまだまだノウハウは少なく、手探りでバトルに挑むオーナーが多い。
大量生産されてダブついた“バイザー”のパーツや、それをMMS対応に
仕様変更したパーツを改造して身につける神姫がまず目に付く。その次は
公式合体の“真鬼王”に代表される様な、純正神姫用武装の大量投入だ。
こちらは重量級ランクでも“軽量派”に代表される神姫に多い傾向だな。
「……という訳でだ、折角挑むならば遙か高みを狙わねば意味はない」
「そこで、“アルファル”で培った腕を元にして再挑戦しましたの♪」
「あの時のドラムフレームを利用した、サポートマシンだったっけ?」
「はい。あれで電力を、機体の隅々に送る技術が編み出されたんです」
「それを利用して、フレーム自体に動力機構を埋め込んでみたんだよ」
「へぇ……“ムーバブルフレーム”かな?ちょっと、見せてくれる?」
ここで私は、漸く持ってきた荷を解く。それは、一見すると鉄骨の塊。
フル武装の神姫を包み込んでもなお余りある、RCカーサイズの物体。
これが、私が重量級へと“妹”達を送り出すにあたって産み出した物!
……厳密には、その材料となるフレームの動作試験モデルなのだがな。
「ジェネレータは……三つ前後?これなら、熱暴走の危険性は少ないか」
「嗚呼、オーバーヒートでもしたら大事だからな。そもそも如何に……」
「如何に効率よく電力を使って、パワフルに稼動するかが鍵!ですの♪」
「あー……人の科白を取るな、葵!こほんッ、ともあれ狙いはその通り」
「でも良い考えじゃないかい?他のジェネレータを、武装に回せるしさ」
日暮のその言葉を待っていた。此奴はやはり、頼りになる同志であるな。
そして彼は注意深く、試作モデルの骨組みを観察してから不意に言った。
私達は改めて驚く事になる。慧眼と衒学ぶりは実践で磨かれた物か……!
「……晶、これってさ。可変機構も前以上の大掛かりな物が積めない?」
「如何にも!“アルファル”で、ドラムフレームの限界が見えたのでな」
「変形方式と稼動速度は兎も角、信頼性と頑健さでは一歩譲ってたもん」
「その点骨太なフレーム自体が変形する“これ”は、頑丈さも有ります」
「で……ここまでの評価を踏まえて、日暮さんには相談事がありますの」
──────それは、戦う命を産み出す大事な相談なんだよ。
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