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「妄想神姫:第四十六章(前編)」(2007/10/12 (金) 15:25:41) の最新版変更点
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**雷帝の御剣、神殺しの槍(前編)
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松本小旅行も中盤である二日目となったこの日、私・槇野晶と従姉である
碓氷灯は、松本駅前よりほど近い繁華街ど真ん中の大規模神姫センターに
二人で入った。自身は無論、灯の服装も私がファッション専門店ビルにて
見立てたのだぞ?灯は異様に恥ずかしがっていたが、度胸を付ける為だ。
『さあ着るのだ灯ッ!神姫達が華やかなのに貴様は野暮ったいのか!?』
『ギャァー!?だ、だからってサングラスや首輪まで取らないでもッ!』
『昨日のパイプオルガンコンサート、あの衣装も良かったがまだ温い!』
『そ、そんな事言われたってこんな街でまでなんて~!?あ~れ~……』
というわけで、パステル系の華やかな服を着せてやった上で、不格好な
サングラスと首輪は取り上げた。有無、可憐。女子はこうでなくては!
私も、フリルの整ったワンピースを買いこんで着る。一張羅はホールで
使ってしまったのでな……地方都市での急場凌ぎであるが、仕方ない。
無論神姫達も、皆で用意した思い思いの衣に躯を包む。灯の“妹”達は
“W.I.N.G.S.”を持たぬので後で脱がねばならないが、そこはそれだ。
「ともあれ、貴様からの用件はこのバトルにより果たされる訳だ。灯」
「うぇ?なんでし……ギャァーッ!?ギブギブ、手合わせですな!?」
「分かっているなら惚けるでないわッ!……ともあれ“3on3”か?」
「痛……も、もちろんっ。そ、その。私とて負けては……はぎゅ!?」
「……人の視線など気にするな……己の心を気にしろ、信じるんだ!」
「あー!?ちょ、ちょっと何やってるのよ晶さん抱きついちゃって!」
灯のバッグに入っているミラ達のブーイングが聞こえた。私は、笑う。
奴め、周囲の視線を不要に気にして足がガクガクと震えていたのでな?
「いいか皆、灯が落ち着かない時はこうしてお前達が抱きしめろ!」
「え?……い、いいの晶さん?姉様に、もっと抱きついちゃって?」
「無論だ、マスターと神姫の信頼関係はそうして作る物だと思うぞ」
「じ、じゃあ姉様!この戦いに勝ったら、私達を抱きしめて下さい」
……若干不吉な約束にも聞こえるティニアの告白に、灯の顔が染まった。
だが、その効果は覿面。若干誇張した挑発だが、灯と神姫達の“将来”に
良き物であれば、私も人目を憚らず抱きしめてやった甲斐がある……む?
「マイスター……わたし達の言いたい事も、分かっていますの~?」
「う゛……いいだろう、お前達が勝ったら“いろいろ”してやるッ」
「わ……い、いろいろですよクララちゃん!旅先とはいえ人前で!」
「勢いって怖いんだよ、マイスター……でも、それならボクらもっ」
──────その代償は、決して安くなかったが。カートの上でわいわい
はしゃぐ三人を見て、どうしたものかと胸の高鳴りを抑え付ける。さて、
照れ隠しとばかりに私達二人はフロントへと赴き、そこで3on3の試合を
予約する。地方とはいえ松本の設備はなかなかだな。先程寄ったビルには
MMSショップの資格を取った玩具店もあると言う……油断は、出来ぬぞ。
「よし、普段通り“EL:DoLL”をセットしておく。存分に暴れ回れッ!」
「はいですの~♪アルマお姉ちゃん、クララちゃん……ここが正念場!」
「ええ……普段皆で特訓した事が試されるチャンス。頑張りましょう!」
「うん、気は抜けないんだよ。ほら、アレ……相手も、新武装だもんね」
クララの言葉に視線を移すと、向こう側のベンチではイリン達が武装に
着替えている。その容姿は以前の“黒鳥”とも、大きく変わっていた。
小型ライトセイバーにハンドガン、そして黒翼。ここまでは三人共通。
だが、それ以外の要素は大きく異なっていた。ミラは、蛇腹型の巨大な
籠手で両肩から下を覆う。可変機構内蔵である様だが、果たして……?
『碓氷さんと槇野さん~。フィールドの準備が出来ましたのでどうぞ』
「む、整ったか……よし、往くぞ皆。V2を取り、意地を見せつけろ」
『はいっ!!!』
皆を肩に乗せ歩きつつ、三着の“EL:DoLL”のケースを携えて思案する。
イリンはバランスのいいアーマーを全身に装備している。コートの様な、
肩部装甲が特徴的だった……そして腰の巨大拳銃と、見えなかった両腕。
分かりやすいのはティニアの姿だ……展開機構を仕込んだ大型スカート。
排気口やブーツの衝撃吸収ダンパーも見られるそれは、走行性能の為か。
……何にせよ、気を抜けば一瞬で絡め取られるな。席に着き、注視する。
『夜虹の戦姫vs黒翼の戦姫、セカンド3on3・第2戦闘、開始します!』
「よし、蹴散らしてこいお前達ッ!灯に真髄を見せてやるのだッ!!」
『はいっ!!!』
「が、頑張ってくださいですぞ!……信じてるからっ!!」
『任せて、姉様ッ!!!』
そして戦いは始まった。舞台は……待て。なんだこれは、体育館かッ!?
学校のそれではない大規模な物とは言え、このセッティングは来る……。
い、いや。呆然としていてもいかんな。六人の戦いはもう始まったのだ!
「さ、行くわよッ!進化した私達を、見せてあげる!」
「それはこっちの科白です!……モリアン、来てくださいッ!」
『No problem(敵襲に気を付けて下さい)』
『“W.I.N.G.S.”……Execution!』
「ふぅん、それが……あんまり代わり映えしないのね」
「そう馬鹿にした物でもないですよ、さぁ行きま……えッ!?」
アルマとミラの方では、今まさに戦いが始まった所だった。アルマは、
早速と衣装を“レーラズ”に変換し、“アルファル”をその身に纏う。
その姿は、茜色の戦乙女。以前よりも先に進んだ、アルマの姿だ。だが
ミラはそれを目にして不敵に微笑み……文字通り、“手”を伸ばした!
「きゃうっ!?こ、これは……腕が蛇腹部分で伸びてビットに……!?」
「私達は変わったんだよ?私はね……“ヘヴィハンド”ミラッ!」
「う、ぐぐ……ッ!?痛いッ……!」
──────想う力が、神姫をここまで強くするのかな。
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