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「愛と情熱のタッグバトル 中編」(2007/10/06 (土) 19:01:56) の最新版変更点
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*愛と情熱のタッグバトル 中編
そして4日後、賢市たちは建設中のサテライトスタジアムの駐車場にやってきた。
「お待ちしてました、それでは会場にご案内しましょう」
和多と数人のスタッフに連れられ、賢市たちはスタジアムの中に入って行った。建設中とはいえ、内装は殆ど完成しているような雰囲気だった。
「驚きましたか?このスタジアムはまだ建設中ですが、内装の一部はすでに完成しているんですよ」
和多たちの後を追って、賢市達は階段を下りていった。どうやら会場は地下にあるようだ。
「ここです、これがロボットバトル用の会場、バトルアリーナです」
和多が会場の説明をし、周辺をまわっていった。
(なるほど、さすが最新式の施設と言われているだけはある。今までなかったシステムが目白押しだ…)
「まだ設置が完了していないステージもありますが、数ヶ月すればすべてのステージが稼動します。今回使用するステージはこちらになります」
和多は奥にあるステージを指差した。そこには荒野を模したステージがホログラムごしに映し出されていた。
「…これはすごいステージだな」
「ここで使用するステージの地形はプログラムする事で自由にレイアウトが可能となっています。たとえばこのステージでは岩や木などを移動させることが可能になっています」
和多はコントロールシートに座り、ヤクトをカプセルの中に入れた。そしてステージを起動させた。
「じゃあヤクト、この岩を持ち上げてくれないか」
「了解!」
ステージに現れたヤクトは近くにある岩を軽々と持ち上げて見せた。
「このようにステージ上にあるものも持てるようになっています。でもそれだけではありません。ヤクト、ためしに飛んで見せてくれ」
「分かった、それじゃ、行くぜ」
バックパックのスラスターを開いたヤクトは空高く飛んで行った。
「どうですか、結構高く飛べるようになっているでしょう。このシステムは基本的にヴァーチャルシステムを使用していますので、どこまでも高く飛ぶことが可能です。もちろんフィールド自体無制限に広がっていますから、神姫などの行動範囲も広げる事が出来るようになっています」
「なるほどね、ここのステージの説明は大まか分かった。で、今回はこのシステムを使用してタッグバトルをするつもりなんだろう?それなら早いところ準備をしようか」
「そう思いまして、すでに用意してあります。スタッフの皆さん、設定お願いします」
和多のひと声で共についてきた数名のスタッフが準備に入った。彼はヤクトをカプセルから出すと、カウベルと共に改めて賢市に会わせた。
「こちらの神姫たちには初紹介でしたね、それでは紹介します」
和多の両肩に乗った二人は凛花と來華に挨拶をした。
「やあ、おいらはヤクト。寅型の神姫だ。よろしく」
「わ、わたしはカウベル、丑型神姫です。あ、あなた方とお会いして光栄です」
ヤクトとカウベルは自己紹介をし、頭を下げた。
「私は凛花。ジルダリアタイプの神姫です」
「あたしは來華。種タイプ神姫、よろしく!」
凛花と來華も挨拶をした。
「この子達はあなた方と違ってそれほど実戦経験はありませんが、いざとなったら本気を出すタイプですから気を抜かないでくださいね」
「こちらこそいくらテストでも手加減はしないのでそのつもりで」
賢市と和多は握手を交わして闘う事を誓うのだった。
「ステージの準備、完了しました」
コントロールパネルにいるスタッフの一人が賢市たちに声をかける。バトルステージの準備が整ったのだ。
「それでは両サイドに設置してあるカプセルにパートナーを入れてください。二つありますからそれぞれ一人ずつ入ってください」
賢市は和多の言葉に従い、凛花と來華をヴァーチャルカプセルに入れてあげた。
「こちらも準備が終わりましたので、始めたいと思います。それではカウント、お願いします」
「分かりました。それでは、3、2、1、バトルスタート!!」
スタッフの掛け声と同時に、ホログラムスフィアにバトルステージが映し出された。
「ここは…宇宙船の中か?」
「いいえ、コロニーの中です。その証拠に緑が残っているでしょう?」
和多の一言で賢市は納得した。確かに僅かだが所々に草や木がある。
「だが、バトルステージと言うからには普通のコロニーじゃないんだろ?」
「その通りです。このコロニーは廃コロニーとなっています。つまりそこには生き物は存在しない、死のコロニーというわけです」
そういうことか…。さすが有名会社の社員だけはあるな。賢市は心の中でつぶやいた。
「さあ、バトル開始と行きますか。和多さんの神姫たちはどこだ…?」
賢市は凛花と來華の位置を確認し、相手を探すよう指示をした。
「いいか、こっちからは相手の姿は見えない。お前達はセンサーをフル稼働して相手の居場所を探すんだ。いいな」
「わかりましたご主人。來華、センサーを使って相手を探しましょう」
「了解!」
二人は相手を探すためコロニー内を移動し始めた。
一方、ヤクトとカウベルは別の出入り口近くで会議をしていた。
「あの~、作戦はこれでいいのでしょうか~」
「ああ、この作戦なら相手も驚くに違いないさ。バトルは先手を取ったほうが優位になるからな」
ヤクトは自身たっぷりに自分の剣を磨いていた。よほど自信があるのだろう。
「でも心配です~、本当にこれで上手くいくのでしょうか~」
「お前は心配性だな~。大丈夫だよ、先手必勝がおいら達の勝利の鍵なんだからな」
バックパックの組み立てをしながらヤクトはカウベルをなだめた。
「それじゃ、さっさと移動して相手の鼻を明かしてやろうぜ」
剣を腰につけ、バックパックを背負ったヤクトは飛びながら移動を始めた。
「え~、まだ調整が終わってません~」
オロオロしながら早く仕度を済ませようとするカウベル。しかしヤクトはさっさと外へ出ていこうとする。
「ほら、早くしないと置いてくぞ!」
「あ~っ、待ってくださ~い」
仕度を終えたカウベルは半泣きでヤクトの後を追っていった。
「どう?相手の位置は分かりましたか?」
通路を移動しながらヤクト達を探す凛花・來華は、いつの間にか出口付近にいた。
「う~ん、どうもセンサーの調子が悪そうなんだよね」
「わたくしのセンサーもずっとこの調子ですわ…。もしかすると外は嵐が吹き荒れているのではないのでしょうか」
外はいくらコロニー内とはいえ砂漠が多い地形である。嵐が起きていても不思議はない。二人は通路内で嵐が収まるのを待つことにした。
「このまま動けないのって辛いよね。別の出口から出たほうがいいんじゃないの?」
「いいえ、相手も同じ条件のはず。うかつに動かないほうが身のためですわ。もう少し待ちましょう」
数分後、嵐が弱まり、次第にコロニー内の景色が見えてきた。
「やっと晴れてきた…」
しかし嵐が過ぎたコロニー内を見て、二人は愕然とした。
「あっ、あんなところに!」
なんと砂漠の中でヤクトとカウベルが立っていたのだ。
「どうしてこんな所に?!」
「いくら神姫でも嵐に耐えられるわけありませんのに!」
疑問に思っている凛花たちにヤクトが答えた。
「実はこれを使ったんだよ!」
そして砂に埋もれていた布状のものをバッと広げた。
「驚いたか、これぞハザードシート!こいつはあらゆる環境からおいら達を守ってくれるアイテムなのさ」
「これに身を包んでわたしたちはあなた方を待っていました~。これで先手を取りましたよ~」
唖然となった凛花と來華は一瞬「やられた」、と思ってしまった。
「まさかこんな装備を持ってたなんて…」
「來華、そんな事言っている暇はなくってよ!ほら、早く避けて!」
その直後、カウベルのキャノン砲が火を噴き、二人がいる出入り口を直撃した。
「やりました!」
しかし破壊されたのは出入り口だけで、二人の姿はなかった。
「しまった、あいつら避けやがったな!」
「ど、どこへ逃げたんでしょう」
ヤクト達が右往左往しているうちに、突然上空からビームの雨が降ってきた。
「そうか、あいつら上に逃げたんだ。素早いやつらだな」
ヤクトはバックパックのスラスターを噴射して空中へと飛んだ。
「お前はそこで支援してくれよ」
「もう、わたしだけ置き去りにするんだから~」
その場に残された事に不満を持つカウベルは、仕方なくキャノンを上空に向け発射準備をした。
「さっきのは危なかったよね、いきなり撃ってくるんだから」
反撃を終えた凛花と來華は、上空でさっきの事について話していた。
「私が気付いたから良かったものの、もう少し遅かったらただでは済まされなかったでしょうね。それにしてもあの二人、結構コンビネーションが良さそうですわね」
「関心してる暇なんかないよ、ほら、あそこ見てよ!」
來華が指差したその先には、ものすごい勢いで向かってくるヤクトがいた。
「うわ、怖い顔でこっちに向かってくるよ」
「ここは避けながら攻撃を仕掛けましょう。どうやら相手は直線的な飛び方をしているようですし」
「分かった、二手に分かれて攻撃だね」
凛花と來華は左右に分かれてヤクトの進撃をかわした。
「素早い奴らだな。だったらこれでも食らえ!」
ヤクトのバックパックからマイクロミサイルが発射され、二人目がけて襲い掛かった。
「み、ミサイル!?それもこんなに…」
「こんなの避けられない私たちではないでしょう?」
「あ、そうだね」
凛花達は無数のミサイルを避けていき、そのままヤクトの近くまで近づいていった。
「このままミサイルを相手にぶつけてあげましょう」
「凛花姉、それってやりすぎなんじゃ…」
「いいの、むやみに撃ってくる人にはいい薬ですわ」
惨いことするなあ…、と、來華は心の中で思った。凛花姉は結構残酷なところがあるからなあ…。
「ほら來華、もうすぐターゲットよ。合図したら真横に避けるのよ」
「はいはい、じゃ、いきますか」
二人はそのままヤクト目がけて突進していった。
「いまですわ!」
「よし!」
合図と共に二人はヤクトの真横へ抜けていく。そしてミサイルはヤクト目がけて降り注いだ。
「あだだだだっ!こんなのってありかよ?!」
ミサイルの直撃を受けたヤクトは、そのまま落下していった。その様子を見ていた來華は少し心配になった。
「こんな高度から落ちたらひとたまりもないんじゃないの?」
しかし凛花はそんな來華に心配なさそうな顔で話した。
「大丈夫、ここはバーチャル空間、やられても物理的ダメージはないはずよ」
あくまでも冷静な判断をする凛花。そんな態度をとる凛花を見て來華は、どうしてそんなに冷静になれるんだろう、と思っていた。
*後編へつづく
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