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「妄想神姫:第四十五章(前半)」(2007/09/30 (日) 11:55:38) の最新版変更点
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**山と森の台、響く神の音(前半)
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結論から言えば、相変わらずであり同一ではなかった。従姉・碓氷灯だ。
人目を気にするが故の“奇行”は全く治っていないが、そもそもからして
奴は一人でハンバーガー屋に入る様な性格ではない。待ち合わせでもだ。
その細かい変化に、私・槇野晶も少々驚いている。色々と聞いてみるか。
「で、だ。引っ込み思案の田舎娘な貴様が、どういう風の吹き回しだ?」
「い、田舎などと馬鹿にせんでほしいですぞ?!……で、ええぇーと?」
「貴様は用がなければ、決して表に出んだろう?学業等、最低限以外は」
「あー……これでありますか?はは、私も偶にはハン……ギャアー!?」
「貴様正直に吐かぬとためにならんぞっ!さぁ何があった、さぁさぁ!」
躊躇無く私は、灯のコメカミに拳を当ててグリグリと捻る。梅干しだ!
だが、そんな私の横暴を止めたのは六人・十二本の神姫の腕だった……
六人だと?妙な事に気付き、私はすぐ下を見る。三人は我が“妹”達。
もう三人は“灯の妹達”……黒の堕天使を模した三姉妹の神姫だった。
「ちょーっと、晶さん!ミラ達の姉様に酷い事すると怒るわよっ!?!」
「姉様、大丈夫?……もー、相変わらず横暴なんだから姉様の従妹は!」
「む、ミラにイリンとティニアだったか……ほう、これはなかなか可憐」
「な、何よ何よッ!?褒めたって私達は姉様一筋なんだから……もうっ」
「あー……晶ちゃんは神姫の服飾やってるですしなぁ。どうですかな?」
その服装は……黒色基調の華美系と言えばいいか。だが、細かい装飾の
配色は勿論の事、服の微細なデザインやアイペイントまで違っていた。
殆ど没個性気味に統一されていた東京での邂逅とは違って、誰が見ても
その違いがよく分かる。服はピンクとマリンブルーに、モスグリーン。
瞳は紅・蒼・翠。初めから順番にミラ、イリンにティニアである様だ。
「ふむ……成程。彼女らが更に貴様を変えていった、という所か?」
「そうよ!姉様にもっと色々見せて、外に行こうって言ったのよ!」
「そうしてたら、灯さんが徐々に応じてくれた……って事ですの?」
「うん。私達の個性が欲しいって願いも、こうして叶えてくれたし」
三人が、スカートの裾を摘んでたくし上げ優雅にターンをしてみせる。
以前は違いを見つけるのに手間取った仕草も、今は容易に区別が付く。
そして私は気付くのだ。彼女らのネクタイを止めている“階級章”に!
「……同一であり、しかし個性もある。綺麗になったと思うんだよ」
「ふふーん、普段の服だけじゃないんだから!あっと驚くわよっ?」
「え?えーと……あ、ひょっとして武装ですか!?新しい武装ッ!」
「そ、そう言う事ですな。ただ負けるだけというのは、嫌ですしッ」
「その執念が、貴様らを中信地域のセカンドへと押し上げた……か」
灯とその“妹”達は、ハッキリと肯いてみせる。それに応えてか、私の
“妹”達もペンダントになったセカンドの“階級章”を掲げてみせる。
鎧袖一触、一触即発!少々ピリピリした空気がテーブルの上に流れる。
が、灯がそれを押し止める……断言しよう、奴は変わった。神姫でな!
「え、えと。それは明日!今日は晶ちゃん達を、楽しませるのですなっ」
「……ほう、貴様が場を仕切れるまでになるか。強ち嘘でも無さそうだ」
「明日は目に物見せてやるわよ、ロッテちゃん達!と、今日の予定っ!」
「そう言えば……今日はこの後、蕎麦フェスティバルと音文だったっけ」
「それは来月だしッ!それに音文はえーと……確かパイプオルガンよ!」
「……すまない、尚更分からんぞ。灯、順を追って説明してくれんか?」
落ちついて話を聞けば、なんて事はない。蕎麦を食い、郊外の公衆浴場で
入浴ついでに着替え、夜はパイプオルガンのあるホールでコンサートだ。
言われてみれば、旅をした私やロッテ達は勿論の事、灯やその“妹”達も
着替えや神姫用の洗浄剤を持っている。もてなす準備は万端という事か。
「というわけで、ハンバーガーの次は松本城で蕎麦を食べるのですな!」
「……だったらそもそも軽食など要らぬだろうが、何を考えているッ!」
「ギャァー!?ちょ、ブレイクブレイク!えうえうっ……ヘルプー!?」
「そうは言っても……わたし達、ハンバーガーとか食べちゃいましたの」
「……ボクはまだ入るし、アルマお姉ちゃんは全然足りなそうだけどね」
ひとしきり灯をいびってやった後、私は三姉妹の口を拭いてやる。灯の
神姫達は……当然だが……摂食行動が出来ぬので、冷却水を呑んだ口を
灯が拭いてやった。クララ達“私の”三姉妹は慣れた物で、肩に乗って
じゃれてくるが、ミラ達“灯の”三姉妹は、普段と勝手が違う様だな。
「んっ……はむ。ね、姉様皆見てる……んむ……っ!」
「だ、大丈夫ですな。すぐ終わるから我慢して……ね」
「そうは言っても姉様、優しいんだもん……ねーっ?」
「ねー♪……って貴様、変な目で見ているなッ!!?」
「こら私の科白を掠め取るんじゃない、ティニアッ!」
──────変わっていく姫達に、注目かな?
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