「「良く晴れた日」」(2006/10/26 (木) 16:56:29) の最新版変更点
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*そのさん「良く晴れた日」
とある日曜日。
その日は見事な秋晴れだった。僕は昨日約束した通り、ティキに外に散歩に行こうと告げた。
当然散歩だけではなく、来るデビュー戦に向けてパーツのテストを行うという目的も兼ねている。
ティキはマオチャオで、なのに僕はこの娘に鉄耳装とキャットテイル以外のマオチャオ用の武装を装備させてない。
しかも無理やり自作の情報集積装置とそれに伴い改装した鉄耳装を有線で繋いでしまったものだから、うまく機能するか不安だったんだ。
もちろんそんなのはただの杞憂で、さっさとテストを終えた僕らはダラダラと散歩&日向ぼっこに興じている。
「お外に出たのは初めてなのですよぉ♪」
楽しそうに浮かびながらティキは言った。アーンヴァル用のリアウイングを背中につけているので宙を飛んでいても不思議じゃない。
「あれ? そうなんだ」
「そうですよぉ♪ 旦那さんはマスタたちにティキのことナイショにしてたので、ずっとあの部屋から出た事無いのですよぉ☆」
……判りにくいので説明すると、彼女の言う『旦那さん』とは元オーナーの僕の亡父で、『マスタ』と言うのが現オーナーの僕の事。
「うにーー……お日様の光って、すごく気持ちイイですぅ……」
うっとりとしてそう言うティキ。
周りを見回せば、多くないとは言え神姫と一緒にこの公園に来ている人間も少なくはない。つまりは当たり前にオーナーと外で日を浴びる神姫がいるって事。
ティキはそんな当たり前を今まで経験してこなかったんだ。
そう考えると少し悲しくなった。
「マスタ、どうしたですかぁ?」
気が付くとティキが目の前で心配そうに僕の事を見ている。
「……いや、なんでもない。それじゃ、せっかく初めての外出なんだからめーいっぱい遊ばないとねっ」
「ハイですぅ♪」
それから二人でこれでもかと言うほど遊びまわった。僕はまるで幼少の頃に戻ったかのようにはしゃぎ回った。
初めて見る外界。データとして、知識として知っているだけなのと違い、リアルなそれら刺激に対し、ティキは戸惑いながらも楽しんでいるみたいだ。
犬にじゃれ付かれそうになって笑いながら逃げ回るティキ。
じっと見ていた昆虫の、突然の行動に驚くティキ。
幼い子供が彼女に手を振るのに、照れ笑いを浮かべながらも手を振り返すティキ。
そんな一つ一つが僕にとっても嬉しい。
ひとしきり遊んで、へとへとになる頃には日がずいぶんと傾いていた。
「それじゃぁ帰ろっか」
僕は頭の上で休んでいるはずのティキに言う。が、ティキから返事は無い。代わりに聞こえてくるのは、
「すぅー…… すぅー……」
と言う寝息だけだった。
僕は頭の上でうつ伏せに寝ているティキを起こさないよう、ゆっくりと立ち上がると、慎重に家路に着く。
途中、少し目が覚めたティキは、小さく何かを僕に言うと再び眠りについてしまった。よくは聞き取れなかったが、まぁ、起こしてまで聞き返す事も無いし。
そのままの格好で帰宅した僕らを見て、母は一言こういった。
「なんだか昔のMMOの頭部アクセサリみたいね」
……結局母も侮れない。
「マスタと一緒に遊べて、ティキはとっても幸せなのですぅ……」
[[終える>僕とティキ]] / [[つづく!>「初陣」]]
*そのさん「良く晴れた日」
とある日曜日。
その日は見事な秋晴れだった。僕は昨日約束した通り、ティキに外に散歩に行こうと告げた。
当然散歩だけではなく、来るデビュー戦に向けてパーツのテストを行うという目的も兼ねている。
ティキはマオチャオで、なのに僕はこの娘に鉄耳装とキャットテイル以外のマオチャオ用の武装を装備させてない。
しかも無理やり自作の情報集積装置とそれに伴い改装した鉄耳装を有線で繋いでしまったものだから、うまく機能するか不安だったんだ。
もちろんそんなのはただの杞憂で、さっさとテストを終えた僕らはダラダラと散歩&日向ぼっこに興じている。
「お外に出たのは初めてなのですよぉ♪」
楽しそうに浮かびながらティキは言った。アーンヴァル用のリアウイングを背中につけているので宙を飛んでいても不思議じゃない。
「あれ? そうなんだ」
「そうですよぉ♪ 旦那さんはマスタたちにティキのことナイショにしてたので、ずっとあの部屋から出た事無いのですよぉ☆」
……判りにくいので説明すると、彼女の言う『旦那さん』とは元オーナーの僕の亡父で、『マスタ』と言うのが現オーナーの僕の事。
「うにーー……お日様の光って、すごく気持ちイイですぅ……」
うっとりとしてそう言うティキ。
周りを見回せば、多くないとは言え神姫と一緒にこの公園に来ている人間も少なくはない。つまりは当たり前にオーナーと外で日を浴びる神姫がいるって事。
ティキはそんな当たり前を今まで経験してこなかったんだ。
そう考えると少し悲しくなった。
「マスタ、どうしたですかぁ?」
気が付くとティキが目の前で心配そうに僕の事を見ている。
「……いや、なんでもない。それじゃ、せっかく初めての外出なんだからめーいっぱい遊ばないとねっ」
「ハイですぅ♪」
それから二人でこれでもかと言うほど遊びまわった。僕はまるで幼少の頃に戻ったかのようにはしゃぎ回った。
初めて見る外界。データとして、知識として知っているだけなのと違い、リアルなそれら刺激に対し、ティキは戸惑いながらも楽しんでいるみたいだ。
犬にじゃれ付かれそうになって笑いながら逃げ回るティキ。
じっと見ていた昆虫の、突然の行動に驚くティキ。
幼い子供が彼女に手を振るのに、照れ笑いを浮かべながらも手を振り返すティキ。
そんな一つ一つが僕にとっても嬉しい。
ひとしきり遊んで、へとへとになる頃には日がずいぶんと傾いていた。
「それじゃぁ帰ろっか」
僕は頭の上で休んでいるはずのティキに言う。が、ティキから返事は無い。代わりに聞こえてくるのは、
「すぅー…… すぅー……」
と言う寝息だけだった。
僕は頭の上でうつ伏せに寝ているティキを起こさないよう、ゆっくりと立ち上がると、慎重に家路に着く。
途中、少し目が覚めたティキは、小さく何かを僕に言うと再び眠りについてしまった。よくは聞き取れなかったが、まぁ、起こしてまで聞き返す事も無いし。
そのままの格好で帰宅した僕らを見て、母は一言こういった。
「なんだか昔のMMOの頭部アクセサリみたいね」
……結局母も侮れない。
「マスタと一緒に遊べて、ティキはとっても幸せなのですぅ……」
[[終える>僕とティキ]] / [[つづく!>「初陣」]]
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