「「回顧録・一」」(2006/12/28 (木) 01:30:07) の最新版変更点
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*そのに「回顧録・一」
僕がのティキを所有する事になってから、日はまだ浅い。
今僕と共にある武装神姫――ティキは、元々亡父の物。言わば形見だ。
つまり僕は自分の神姫と付き合っていく上で、ティキを一から育てると言うメリットを放棄させられたワケだ。
そして手探りで半ば完成されたティキというパーソナリティーを理解していくと言うデメリットだけを負わされた事になる。
それを少しでも克服したいと(愚かにも)思った僕は、夜中にただ一人で無き親父の書斎へと向かう。 ……冷静に考えれば、こんな考え方だから僕は振られたのだろうか?
ちなみに、本来神姫はただ一人を『オーナー』と認識したら機能『停止』、観念的に言ってしまえば『死亡』するまで変更することが不可能なのだ。が、ティキの様な『オーナー』死亡の場合に限り、別オーナーへの再登録が認められる。
それまでの神姫のパーソナルをそのまま引き継ぐ為には、わざわざ必要書類をそろえて、郵送し、更にメーカーと再契約しなければならないけど。
それはさて置き。
親父はマメな人物でもあったから、もしかしたらPCに痕跡ぐらいは残ってるだろうとそう思ったのだ。
果たしてそこには『日記』と記されたフォルダが残されていた。
……痕跡どころじゃねーよ。そのものだよ。
ともあれ、僕はそのファイルを開く。
○月○日
この日俺はついに武装神姫に手を出してしまった。
こんな事家族に言ったらもしかしたら妻は離婚を言い出すかもしれない。
息子に言ったなら、俺は軽蔑され、冷たい視線を受ける事になるだろう。
でも、お義父さんの神姫を見ていたら、どうしようもなく、たまらなく羨ましくなったのだ。それはもう仕方が無い事なのだ。
俺は食事、団欒の後、なるべく自然に書斎へ戻ると、逸る心を抑えられずすぐさま神姫のパッケージに手をつけた。
MMS TYPE CAT『猫爪』。
俺は焦りながらも慎重に、とにかく家族に気付かれない様、細心の注意を払って開けてゆく。
そこには夢にまで見た神姫が、眠るようにいた。
俺は早速神姫を起動させる。
何かしら説明の様な事をきった後、彼女はおもむろに俺に言った。
「愛称と、オーナー呼称を登録してほしいですよぉ♪」
……この子は何で歌うように喋るのか? お義父さんの所の娘達は普通に話していたのに???
「どうしたのですかぁ?」
にっこりと笑って俺を見る。と言うよりそんなものを登録するという事実をすっかり忘れていた。
「……あーすまん。チョット待ってくれ。考える。」
「ハイですぅ♪」
目の前の神姫はそういうとその場でぺたりと座った。
あーかわいいなぁ。……いや、そうじゃない、考えよう。
どうせなら変わったのが良いな。でも愛称は変すぎても可哀想だ。と、俺が頭を捻っている間も彼女は俺をジッと見つめている。……愛らしいなあ。
はた、とそこで思いつく。
「オーナー呼称の方、先でも良いかな? 『旦那さん』と呼んでくれ」
「『旦那さん』ですねぇ♪ ……登録したですよぉ♪」
そういうと彼女は「旦那さん、旦那さんですぅ☆」と何度も言って机の上をピョンピョンと跳ね回った。
そんな彼女を見ていると微笑ましくなる。……正直に言えば、ニヤニヤしている自分を自覚する。
そんな彼女の様子を目で追いながら、俺は愛称を考えていた。
「ダメ大人じゃねーかよ!!」
僕はただただ、PCの前で突っ伏した。なんだか日記も妙に読まれる事を意識した書き方だし。
でも、それと同時に戦慄した事が一つ。
……確実に僕にもこの親父の血が流れていると実感した事。
[[終える>僕とティキ]] / [[つづく!>「良く晴れた日」]]
*そのに「回顧録・一」
僕がのティキを所有する事になってから、日はまだ浅い。
今僕と共にある武装神姫――ティキは、元々亡父の物。言わば形見だ。
つまり僕は自分の神姫と付き合っていく上で、ティキを一から育てると言うメリットを放棄させられたワケだ。
そして手探りで半ば完成されたティキというパーソナリティーを理解していくと言うデメリットだけを負わされた事になる。
それを少しでも克服したいと(愚かにも)思った僕は、夜中にただ一人で無き親父の書斎へと向かう。 ……冷静に考えれば、こんな考え方だから僕は振られたのだろうか?
ちなみに、本来神姫はただ一人を『オーナー』と認識したら機能『停止』、観念的に言ってしまえば『死亡』するまで変更することが不可能なのだ。が、ティキの様な『オーナー』死亡の場合に限り、別オーナーへの再登録が認められる。
それまでの神姫のパーソナルをそのまま引き継ぐ為には、わざわざ必要書類をそろえて、郵送し、更にメーカーと再契約しなければならないけど。
それはさて置き。
親父はマメな人物でもあったから、もしかしたらPCに痕跡ぐらいは残ってるだろうとそう思ったのだ。
果たしてそこには『日記』と記されたフォルダが残されていた。
……痕跡どころじゃねーよ。そのものだよ。
ともあれ、僕はそのファイルを開く。
○月○日
この日俺はついに武装神姫に手を出してしまった。
こんな事家族に言ったらもしかしたら妻は離婚を言い出すかもしれない。
息子に言ったなら、俺は軽蔑され、冷たい視線を受ける事になるだろう。
でも、お義父さんの神姫を見ていたら、どうしようもなく、たまらなく羨ましくなったのだ。それはもう仕方が無い事なのだ。
俺は食事、団欒の後、なるべく自然に書斎へ戻ると、逸る心を抑えられずすぐさま神姫のパッケージに手をつけた。
MMS TYPE CAT『猫爪』。
俺は焦りながらも慎重に、とにかく家族に気付かれない様、細心の注意を払って開けてゆく。
そこには夢にまで見た神姫が、眠るようにいた。
俺は早速神姫を起動させる。
何かしら説明の様な事をきった後、彼女はおもむろに俺に言った。
「愛称と、オーナー呼称を登録してほしいですよぉ♪」
……この子は何で歌うように喋るのか? お義父さんの所の娘達は普通に話していたのに???
「どうしたのですかぁ?」
にっこりと笑って俺を見る。と言うよりそんなものを登録するという事実をすっかり忘れていた。
「……あーすまん。チョット待ってくれ。考える。」
「ハイですぅ♪」
目の前の神姫はそういうとその場でぺたりと座った。
あーかわいいなぁ。……いや、そうじゃない、考えよう。
どうせなら変わったのが良いな。でも愛称は変すぎても可哀想だ。と、俺が頭を捻っている間も彼女は俺をジッと見つめている。……愛らしいなあ。
はた、とそこで思いつく。
「オーナー呼称の方、先でも良いかな? 『旦那さん』と呼んでくれ」
「『旦那さん』ですねぇ♪ ……登録したですよぉ♪」
そういうと彼女は「旦那さん、旦那さんですぅ☆」と何度も言って机の上をピョンピョンと跳ね回った。
そんな彼女を見ていると微笑ましくなる。……正直に言えば、ニヤニヤしている自分を自覚する。
そんな彼女の様子を目で追いながら、俺は愛称を考えていた。
「ダメ大人じゃねーかよ!!」
僕はただただ、PCの前で突っ伏した。なんだか日記も妙に読まれる事を意識した書き方だし。
でも、それと同時に戦慄した事が一つ。
……確実に僕にもこの親父の血が流れていると実感した事。
[[終える>僕とティキ]] / [[つづく!>「良く晴れた日」]]
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