「繋章1 縁」(2007/09/12 (水) 21:30:21) の最新版変更点
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*繋章1 縁
何の変哲もない郊外、何の変哲もないマンション、何の変哲もないとある部屋の前。佇むのは、何の変哲も“ある”男。
「・・・じー。」
「・・いや奥さん、俺刑事ですから。ホラ手帳」
「・・・いやそれならいいんですけれどね。それにしても刑事には見えないわねぇ」
「余計なお世話!」
・・・気を取り直して。男はインターホンを鳴らす。・・・無反応。
「ま、そりゃそうか。本人はうち(警察)で預かっているんだからな」
挿入、開錠。
預かった鍵で扉を開く。奥に広がるのは、一人暮らしにありがちな乱雑。我が物顔で男は踏み込む。
・・武装神姫の空パッケージ。
・・・PCに保存されたMMS改造コード。
・・・・プリントアウトされた市内地図。
・・・・・明らかに部屋に不釣合いな高級貴金属。
「・・・本人が自首した通りだな」
その全てが、武装神姫による犯罪行為、そして連日世間を賑わせた窃盗犯を指し示す証拠品。“もし世間に露呈すれば確実に武装神姫の“心”を疑われる代物”。男は、刑事は証拠品を丁寧に整理し、立ち上がる。
「・・・さてと、後はこれを・・・」
「・・・どうやって処分するかだよな」
夕陽が射し込む。その男―松代鋏はその眩しさに背を向けて、呟いた。
「それにしても、ファナティックのアネさんも適当だよな。俺にこの事件回ってこなかったらどうするつもりだったんだよ」
全ては茶番。全ては喜劇。刑事にあるまじき刑事、松代鋏は既に職務より“友人の依頼”を優先して動いていた。アニー・“ザ・ファナティック”の『神姫が犯罪に悪用された痕跡を全て消せ』と言う依頼を。
「神姫関連の物は普通に処分で・・・この辺のデータは細工して単独の窃盗犯に見せかけ・・・。盗品は・・・まあ適当に横領しておくか(笑) 後は本人に口裏合わせるよう脅しとけば十分だよな」
調理法を口ずさみながら、鋏は手際よく作業をこなす。あっさりと出来上がる、“何処にでも居る軽犯罪者”の部屋。
「・・・にしても、いい女達に罪を着せるなんて、俺には考えられないね」
最後に処分する物を詰めたダンボール一つを持って、部屋を立ち去る。
「そんな縁があるなら、さっさと口説けばいいんだよ」
ただ一つ、真剣に放った、その言葉だけ、残して。
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「それでセンセ! おれはいつからカンナのガッコにいけるんだ? なあなあ?」
「いや、あたしの話聞きなさいよ・・・。大体、学校なんかに何しに行くって言うのよ?」
「カンナとあそぶ!」
「学校は勉強する所よ」
「じゃあカンナがよろこぶことおしえてもらう!」
「そういう場所でもないわよ普通・・・」
「いくんだ!いくんだ!!いくんだ♪ うおーん♪」
「・・・あーもう! そんなに言うならあたしが家庭教師やってあげるわよ! あなたには教えなきゃなんないこと山ほどありそうだしねぇ」
「がう? かていきょうしってえらいのか?」
「賃金高い分三倍は偉いわよ。あたしなら十倍ね。一般教養から設ける株取引、おばーちゃんの知恵袋に恋の駆け引きまで手とり足とり腰とり教えてあげるわ!」
「うわーい! センセありがとー♪ カンナといっしょー♪」
「絶対判ってないわね・・・。全く、人の気も知らずにいい笑顔向けてくれちゃって・・・可愛さ余って憎さ百倍って言葉今程かみ締めた事ないわ」
「かみしめるって、ソレうまいのか?」
「不味いわよ、すごく。もう・・まだ“昨日の後処理”が終わってないって言うのに・・・。こんな事してる間に、ボロ出なきゃいいけど」
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*繋章1 縁
何の変哲もない郊外、何の変哲もないマンション、何の変哲もないとある部屋の前。佇むのは、何の変哲も“ある”男。
「・・・じー。」
「・・いや奥さん、俺刑事ですから。ホラ手帳」
「・・・いやそれならいいんですけれどね。それにしても刑事には見えないわねぇ」
「余計なお世話!」
・・・気を取り直して。男はインターホンを鳴らす。・・・無反応。
「ま、そりゃそうか。本人は今日自首してきたんだから」
挿入、開錠。
預かった鍵で扉を開く。奥に広がるのは、一人暮らしにありがちな乱雑。我が物顔で男は踏み込む。
・・武装神姫の空パッケージ。箱は3つ。
・・・PCに保存されたMMS改造コード。
・・・・プリントアウトされた市内地図。
・・・・・犯行予定と見られるメモ。日付は昨日。場所は“豊島家”。
・・・・・・明らかに、部屋に不釣合いな高級貴金属。
「・・・聞いていた通りだな。」
その全てが、武装神姫による犯罪行為、そして連日世間を賑わせた窃盗犯を指し示す証拠品。“もし世間に露呈すれば確実に武装神姫の“心”を疑われる代物”。男は、刑事は証拠品を丁寧に整理し、立ち上がる。
「・・・さてと、後はこれを・・・」
「・・・どうやって処分するかだよな」
夕陽が射し込む。その男―松代鋏はその眩しさに背を向けて、呟いた。
「それにしても、ファナティックのアネさんも適当だよな。もし俺にこの事件回ってこなかったらどうするつもりだったんだよ」
全ては茶番。全ては喜劇。刑事にあるまじき刑事、松代鋏は既に職務より“友人の依頼”を優先して動いていた。アニー・“ザ・ファナティック”の『神姫が犯罪に悪用された痕跡を全て消せ』と言う依頼を。
「神姫関連の物は普通に処分で・・・この辺のデータは細工して単独の窃盗犯に見せかけ・・・。盗品は・・・まあ適当に横領しておくか(笑) 後は本人脅して口裏合わせるようにしておけば十分かな?いや一応根回ししておくか・・・」
調理法を口ずさみながら、鋏は手際よく作業をこなす。あっさりと出来上がる、“何処にでも居る軽犯罪者”の部屋。
「・・・にしても、女を改造して言う事聞かすなんて、俺には考えられないね。そんな手間あるんだったらさっさと口説けばいいんだよ」
最後に処分する物を詰めたダンボール一つを持って、部屋を立ち去る。
「・・・いい女との縁は、大切にしろよな」
ただ一つ、真剣に放った、その言葉だけ、残して。
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