「第十五話『見てるだけ』」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「第十五話『見てるだけ』」(2007/09/11 (火) 06:27:31) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
・・・・・・まぁ、なんと言うかその当日。
私は駅前で八谷が来るのを待っていた。
今日の格好は・・・うん、気合を入れすぎたつもりは無いけど・・・・無いんだけど・・・・あぁもういいや。
「・・・にしても、遅いわね」
もう待ち合わせの時間から十分過ぎている。
古典的なパターンとは真逆だ。
・・・今日はサラもいないし。っていうか誘おうとしたけど断られた。
何でもベトナム帰還兵の話と特攻野朗を見るとか何とか・・・何十年前の映画だったかしら。少なくとも私は生まれてないわね。
「・・・・・・はぁ。なんだろう。いつも一緒に遊んでるのになぁ・・・」
八谷と会う前からなぜか気分は沈んでいた。どうしてだろう。
「な、七瀬、お、遅れて、ごめん!」
突然の声に体が震えた。
一瞬で顔が赤くなったのが判る。体温も上がった。
なるべくそれを悟られないように、八谷の方を振り向く。
「あーいいわよ別に・・・・・・ってどうしたのその顔」
振り向いた先にあった八谷の顔は・・・・なんだろう、三本の傷がついていた。
そうね・・・ウルヴァリンに引っ掻かれたらああなるかしら。
「や、出掛けにマイにやられた。一緒に行かないかって誘ったら・・・こう、ザリッと」
そういって苦笑する八谷。
・・・・・・・なんかもう、色々考えてるのがバカらしくなってきた。
「全く・・・ほら、行くわよ!」
*クラブハンド・フォートブラッグ
*第十五話
*
『見てるだけ』
「・・・・・・・・・・・・・・・うむ、ツンデレ炸裂だな」
絶えず人が出入りする駅前に、どっからどうみても100%不審者にしか見えない二人がいた。真っ黒なコートにサングラス、しかもご丁寧に帽子まで被っている。
片方はどうやら女のようだが、もう片方がどう見ても堅気には見えない。丁寧にそり上げた頭にこれまたサングラス。そしてなにより筋骨隆々に身長二メートルという化物っぷりである。
「ねぇみーちゃん。あたしまだここに呼ばれた理由をきいてないんだけどぉ・・・」
と、男のほうが女に話しかけた。
・・・口調が女言葉なのはなぜだろうか。
「ふふん。今回の私達の任務は我が妹の尾行だ。こんな状況でお約束の事をしないほど、私は愚かではないぞ」
「・・・今更ながら、不安になりませんかマイ」
「・・・ちょびっと・・・いや、かなり・・・・っていうか狭い・・・」
女の胸ポケットには・・・四体の神姫がすし詰め状態で入っていた。
右側にサラとマイが、そして左側には・・・・
「マスター。これって結構やバイのでは・・・・」
「・・・・zzzzz」
ハウとノワールが入っていた。
「気にするな。私も若い頃はよくやったもんだ」
そう、笑いながら女 ――――――七瀬都は答えた。
----
駅で電車に乗り空いた席に座る。
私達二人は窓から流れゆく景色を何となく眺めていた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
お互いに、言葉は無い。
・・・うぅむ。色々考えるのがバカらしいって言ったけど、何も考えないようには出来ないらしいわ。
いつの間にか、横目で何度も八谷の顔を見てる私がいる。
かく言う八谷は右手でほっぺたを押さえてちょっと困った顔をしていた。やっぱり少し痛むんだろう・・・・って言うか血が出てる。傷が開いたみたいだ。
私はそれを横目で見ながら、ハンドバッグの中を探す。
・・・・何か無かったかしら。絆創膏とか・・・・あ。
「・・・・・ほら」
「・・・え?」
八谷の前にハンカチを突きつける。
「・・・・顔、血が出てる」
「え、・・・あ、ありがと。・・・・っていいの?」
「いいわよ。別に汚れるわけじゃないし・・・」
「でも血がついちゃうよ?」
「八谷のなら汚くないわよ」
私がそう返した瞬間、八谷は真っ赤になって俯いてしまった。
え、何でそこでそんな反応するの?
「・・・・うん。ありがとう」
俯いた顔から、小さな声が聞こえた後私達は無言のまま、目的の駅につくまでの時間を過ごした。
----
会話内容から察するに・・・・どうも二人ともいい雰囲気とはいえないようですね。
わたしとしては不安でしょうがないのですが・・・なんなのでしょう。何か違う不安と言うか・・・まぁそれはともかく。
今私達はハルナたちがいる車両の一番端にいます。多分視界には入ってるでしょうが・・・この距離ですし、ばれてないようですね。ちなみに、コレだけ離れてなぜさっきの会話が聞こえたかというと・・・・
「・・・・あのねぇ。なんでアンタは指向性集音マイクなんて持ってるのよ」
「ふふん。いい女には秘密があるのだよ」
なぜかはしりませんが、ハルナの姉が盗聴器のようなものを持っていたからです。
・・・・本当、何ででしょうね。
「ハウさんハウさん。お宅のマスターは確か本屋さんでは?」
「・・・・マスターは、その、なんと言うか・・・・スパイとか探偵グッズが大好きなんだ・・・この間もオイルライター型デジカメとか買ってきてたし・・・確かその前はバックル型ナイフとか・・・・」
「中々に物騒な趣味ですね・・・買って何するんですかそれは」
「・・・別に何も。ただ眺めて楽しんでるだけだよ。使うと犯罪になるようなものもあるし・・・なにより気恥ずかしいんじゃないかな。結構いい年だし」
・・・・もしかして今回の尾行。日ごろ買い集めたその手のグッズを使ってみたくて計画したのでは。そして一人では恥ずかしいからこのオカマの人を誘ったとか・・・。
・・・ありえそうです。っていうかこのオカマの人とハルナの姉はどういう関係何でしょう。それも謎です。
「おーおー血が出てるのだなん。結構深く抉っちゃったからにゃー無理ないにゃー」
「・・・そもそもお前、なんでハチヤを引っ掻いたんだ?」
わたしの隣にいたマイが言うと、ハルナの姉・・・ミヤコが反応した。
「んーだってハチやん情けなかったのだ。今日だってついてきて欲しいってあんまりにもしつこいから・・・・・こう、ズシャっと」
・・・災難ですね、ハチヤ。でも今日ばかりは二人っきりにしてしまわないといけないので。
「・・・・というかですね。ミヤコ、こちらの方は一体どなたなのですか?」
でっかいオカマの人を指差してわたしは言った。
さっきからいるだけなのに存在感だけは抜群にあるんですよねこの人。
「あらぁ紹介してなかったかしら? アタシはねぇ吉岡昴(よしおか すばる)って言うのよぉ! 神姫センター医務室で働いてる室長なのよぉ」
「・・・まぁ見ての通りな筋肉にオカマな両生体だ。通称オカマッチョ」
「オ、オカマッチョは無いんじゃない?」
ミヤコの説明でオカマの人・・・スバルは苦笑した。
まぁこの人のパーソナリティは判りましたし、良しとしましょう。
「あぁそうだ。ストライクイーグルもコイツの手作りだぞ」
「え!? あのバイクを作ったんですか!?」
はっきり言ってこれは意外でした。
っていうかその無骨な外観からは・・・その・・・想像もつかないというか・・・。
「アタシは神姫を愛してるのよぅ! だからそのためにはバイクの一台や二台くらい自作しちゃうわっ!! というわけでぇ、モニター宜しくね? サラちゃん☆」
「え、あ、はい。畏まりました」
ウィンクされちゃいました・・・・。実は凄い人だったんですねこの人。
・・・ついでに言うと、あのバイクには何度か乗ってみましたが・・・とてもじゃないですけど今のわたしには扱いきれそうにありませんでした。なのでまだ仮免(ハルナ曰く)です。
ステージを走り回れるのはいつになるでしょうか・・・あの機動性は重宝しそうですのに。
「サラやんの運転は怖いのだ・・・ぶっちゃけハウやんの方が運転技術で言うなら上なのだなん。ショ○カー戦闘員と仮○ライダーくらい違うのだ」
「ほう? 2036年生まれなのに古いことを知ってるじゃないか。お姉さんは感心したぞ」
そういってミヤコはマイの頭を人差し指で撫でて・・・って
「あの、二人とも降りましたよ。急がないと!」
気がつくとハチヤとハルナの姿が無い。探すと今まさに降りたところだった。
「む、ならば行くぞ全特派員! 七瀬電波新聞部の調査能力を見せ付けるときだ!!」
「・・・アナタ、それ・・・アタシ達はぎりぎりだけどさ。この時代にわかる人いるの?」
[[戻る>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1210.html]]
・・・・・・まぁ、なんと言うかその当日。
私は駅前で八谷が来るのを待っていた。
今日の格好は・・・うん、気合を入れすぎたつもりは無いけど・・・・無いんだけど・・・・あぁもういいや。
「・・・にしても、遅いわね」
もう待ち合わせの時間から十分過ぎている。
古典的なパターンとは真逆だ。
・・・今日はサラもいないし。っていうか誘おうとしたけど断られた。
何でもベトナム帰還兵の話と特攻野朗を見るとか何とか・・・何十年前の映画だったかしら。少なくとも私は生まれてないわね。
「・・・・・・はぁ。なんだろう。いつも一緒に遊んでるのになぁ・・・」
八谷と会う前からなぜか気分は沈んでいた。どうしてだろう。
「な、七瀬、お、遅れて、ごめん!」
突然の声に体が震えた。
一瞬で顔が赤くなったのが判る。体温も上がった。
なるべくそれを悟られないように、八谷の方を振り向く。
「あーいいわよ別に・・・・・・ってどうしたのその顔」
振り向いた先にあった八谷の顔は・・・・なんだろう、三本の傷がついていた。
そうね・・・ウルヴァリンに引っ掻かれたらああなるかしら。
「や、出掛けにマイにやられた。一緒に行かないかって誘ったら・・・こう、ザリッと」
そういって苦笑する八谷。
・・・・・・・なんかもう、色々考えてるのがバカらしくなってきた。
「全く・・・ほら、行くわよ!」
*クラブハンド・フォートブラッグ
*第十五話
*
『見てるだけ』
「・・・・・・・・・・・・・・・うむ、ツンデレ炸裂だな」
絶えず人が出入りする駅前に、どっからどうみても100%不審者にしか見えない二人がいた。真っ黒なコートにサングラス、しかもご丁寧に帽子まで被っている。
片方はどうやら女のようだが、もう片方がどう見ても堅気には見えない。丁寧にそり上げた頭にこれまたサングラス。そしてなにより筋骨隆々に身長二メートルという化物っぷりである。
「ねぇみーちゃん。あたしまだここに呼ばれた理由をきいてないんだけどぉ・・・」
と、男のほうが女に話しかけた。
・・・口調が女言葉なのはなぜだろうか。
「ふふん。今回の私達の任務は我が妹の尾行だ。こんな状況でお約束の事をしないほど、私は愚かではないぞ」
「・・・今更ながら、不安になりませんかマイ」
「・・・ちょびっと・・・いや、かなり・・・・っていうか狭い・・・」
女の胸ポケットには・・・四体の神姫がすし詰め状態で入っていた。
右側にサラとマイが、そして左側には・・・・
「マスター。これって結構やバイのでは・・・・」
「・・・・zzzzz」
ハウとノワールが入っていた。
「気にするな。私も若い頃はよくやったもんだ」
そう、笑いながら女 ――――――七瀬都は答えた。
----
駅で電車に乗り空いた席に座る。
私達二人は窓から流れゆく景色を何となく眺めていた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
お互いに、言葉は無い。
・・・うぅむ。色々考えるのがバカらしいって言ったけど、何も考えないようには出来ないらしいわ。
いつの間にか、横目で何度も八谷の顔を見てる私がいる。
かく言う八谷は右手でほっぺたを押さえてちょっと困った顔をしていた。やっぱり少し痛むんだろう・・・・って言うか血が出てる。傷が開いたみたいだ。
私はそれを横目で見ながら、ハンドバッグの中を探す。
・・・・何か無かったかしら。絆創膏とか・・・・あ。
「・・・・・ほら」
「・・・え?」
八谷の前にハンカチを突きつける。
「・・・・顔、血が出てる」
「え、・・・あ、ありがと。・・・・っていいの?」
「いいわよ。別に汚れるわけじゃないし・・・」
「でも血がついちゃうよ?」
「八谷のなら汚くないわよ」
私がそう返した瞬間、八谷は真っ赤になって俯いてしまった。
え、何でそこでそんな反応するの?
「・・・・うん。ありがとう」
俯いた顔から、小さな声が聞こえた後私達は無言のまま、目的の駅につくまでの時間を過ごした。
----
会話内容から察するに・・・・どうも二人ともいい雰囲気とはいえないようですね。
わたしとしては不安でしょうがないのですが・・・なんなのでしょう。何か違う不安と言うか・・・まぁそれはともかく。
今私達はハルナたちがいる車両の一番端にいます。多分視界には入ってるでしょうが・・・この距離ですし、ばれてないようですね。ちなみに、コレだけ離れてなぜさっきの会話が聞こえたかというと・・・・
「・・・・あのねぇ。なんでアンタは指向性集音マイクなんて持ってるのよ」
「ふふん。いい女には秘密があるのだよ」
なぜかはしりませんが、ハルナの姉が盗聴器のようなものを持っていたからです。
・・・・本当、何ででしょうね。
「ハウさんハウさん。お宅のマスターは確か本屋さんでは?」
「・・・・マスターは、その、なんと言うか・・・・スパイとか探偵グッズが大好きなんだ・・・この間もオイルライター型デジカメとか買ってきてたし・・・確かその前はバックル型ナイフとか・・・・」
「中々に物騒な趣味ですね・・・買って何するんですかそれは」
「・・・別に何も。ただ眺めて楽しんでるだけだよ。使うと犯罪になるようなものもあるし・・・なにより気恥ずかしいんじゃないかな。結構いい年だし」
・・・・もしかして今回の尾行。日ごろ買い集めたその手のグッズを使ってみたくて計画したのでは。そして一人では恥ずかしいからこのオカマの人を誘ったとか・・・。
・・・ありえそうです。っていうかこのオカマの人とハルナの姉はどういう関係何でしょう。それも謎です。
「おーおー血が出てるのだなん。結構深く抉っちゃったからにゃー無理ないにゃー」
「・・・そもそもお前、なんでハチヤを引っ掻いたんだ?」
わたしの隣にいたマイが言うと、ハルナの姉・・・ミヤコが反応した。
「んーだってハチやん情けなかったのだ。今日だってついてきて欲しいってあんまりにもしつこいから・・・・・こう、ズシャっと」
・・・災難ですね、ハチヤ。でも今日ばかりは二人っきりにしてしまわないといけないので。
「・・・・というかですね。ミヤコ、こちらの方は一体どなたなのですか?」
でっかいオカマの人を指差してわたしは言った。
さっきからいるだけなのに存在感だけは抜群にあるんですよねこの人。
「あらぁ紹介してなかったかしら? アタシはねぇ吉岡昴(よしおか すばる)って言うのよぉ! 神姫センター医務室で働いてる室長なのよぉ」
「・・・まぁ見ての通りな筋肉にオカマな両生体だ。通称オカマッチョ」
「オ、オカマッチョは無いんじゃない?」
ミヤコの説明でオカマの人・・・スバルは苦笑した。
まぁこの人のパーソナリティは判りましたし、良しとしましょう。
「あぁそうだ。ストライクイーグルもコイツの手作りだぞ」
「え!? あのバイクを作ったんですか!?」
はっきり言ってこれは意外でした。
っていうかその無骨な外観からは・・・その・・・想像もつかないというか・・・。
「アタシは神姫を愛してるのよぅ! だからそのためにはバイクの一台や二台くらい自作しちゃうわっ!! というわけでぇ、モニター宜しくね? サラちゃん☆」
「え、あ、はい。畏まりました」
ウィンクされちゃいました・・・・。実は凄い人だったんですねこの人。
・・・ついでに言うと、あのバイクには何度か乗ってみましたが・・・とてもじゃないですけど今のわたしには扱いきれそうにありませんでした。なのでまだ仮免(ハルナ曰く)です。
ステージを走り回れるのはいつになるでしょうか・・・あの機動性は重宝しそうですのに。
「サラやんの運転は怖いのだ・・・ぶっちゃけハウやんの方が運転技術で言うなら上なのだなん。ショ○カー戦闘員と仮○ライダーくらい違うのだ」
「ほう? 2036年生まれなのに古いことを知ってるじゃないか。お姉さんは感心したぞ」
そういってミヤコはマイの頭を人差し指で撫でて・・・って
「あの、二人とも降りましたよ。急がないと!」
気がつくとハチヤとハルナの姿が無い。探すと今まさに降りたところだった。
「む、ならば行くぞ全特派員! 七瀬電波新聞部の調査能力を見せ付けるときだ!!」
「・・・アナタ、それ・・・アタシ達はぎりぎりだけどさ。この時代にわかる人いるの?」
[[戻る>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1210.html]][[進む>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1253.html]]
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: