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**蒼天にて、星を描きし者(後編)
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対戦相手である所の神姫・狛恵さんは、邪魔になる砲を全てパージして、
大剣と四脚を活かした高速突撃を仕掛けてきましたの。わたしは宙に飛び
そこから降下の勢いを利用して、決闘に応じるべく斬りかかりますのッ!
左手で展開した“マビノギオン・ガード”の斥力場が、瞬時に撓みます。
「はぁぁっ!!……ぬう、うっ!バリア如きにぃぃっっ!!」
「くうっ……この圧力、ただの砲撃型神姫じゃないですの!?」
「当然!サードから抜け出す為、砲撃も剣技も学んだのですッ!」
「ぐ、っ……!こ、これはちょっぴりキツいですの……」
楕円状のシールドと“マビノギオン・ガード”の斥力場の二重防壁、更に
アルファルに備わった『一定レベルまでの衝撃を減殺する』特性によって
狛恵さんの斬撃を、一合……二合、三合まで受け止めましたの。ですけど
このままではジリ貧。いずれ止めの一撃で防備を貫かれてしまいますの!
何故ならこの装備の、攻防両面の弱点は『一瞬の絶大な打撃力』ですの。
そして、狛恵さんの剣は徐々にその重さと的確さを増していますの……!
「きゃう、ううっ……!?このままじゃ……!!」
「さぁ、やっぱり砲撃と飛ぶ事しか能のない、普通の天使型ですかッ!」
「……甘く見ないでほしいですの、わたしは、わたしはっ!!」
──────その時、私の“心”に火が付いて……声が聞こえましたの。
『ロッテお姉ちゃん、訓練を思い出してほしいんだよ……』
『ロッテちゃん、負けないで……!』
『ロッテ!!』
「──────わたしはッ!!」
「これで止めで……ぐ、ぁッ……!?」
皆の声を受けて、そしてわたしの矜持により繰り出した無我夢中の一撃。
それは……訓練時、ネイキッドに深手を負わせたあの時の様な……突き!
魔剣の蒼い刃が、狛恵さんの腹部装甲を深々と貫通していましたの……。
そこから、わたしが合い言葉を叫ぶには、コンマ数秒もかかりませんッ!
「戦乙女を越える、大いなる者ですの!“砕け”、ライナストッ!!」
「ぐ、ぐぁぁぁぁああああぁぁー!?で、電撃が……ぁッ……!?」
斬撃の間に溜め込んだ電撃が、全て狛恵さんに注ぎ込まれます。ですが
相手も流石はセカンド狙いの猛者、スタン効果は十分得られましたけど
止めを刺すには至りませんの……なら、わたしも全力を尽しますのッ!
そうと決めたわたしはライナストから狛恵さんを引き抜いて振り解き、
そのままライナストを一旦鞘に収めましたの……次の行動の為にッ!!
「皆の誇りを傷つけた、その罪は裁かせてもらいますのっ!」
「ぐぅっ……こちらにだって、神姫の矜持があります……!!」
「なら、次で決着を付けますの!──────“アクセプト!”」
『Yes,sir(ロック解除。“アクセプト・フィギュア”承認します)』
「おおっ……!?」
わたしの高らかな宣言を受けて、躯を覆っていた白い翼と戦乙女の鎧は、
隠されたもう一つの姿を見せます……それは、巨大な剣。神姫の躯には、
凡そ身に余るだろう……15cm位の大きな剣ですの。これこそ……ッ!
「ブルームキャリバー“カラドボルグ”、これが貴女を穿つ剣ですの!」
「穿つ?!……その大きすぎる剣を、貴女の細腕で振り回すとでも?!」
「それも出来なくはないですけど……ここは、わたしの見せ場ですのッ」
『Yes,sir(プラグ受け入れ準備、完了です)』
わたしが“カラドボルグ”を“右の腰”にセットすると同時に、剣の柄が
スライドし、一つの差し込み口を形成しましたの。それは雷の“魔剣”、
ライナストを差し込む為のジョイントですの!わたしは“左手”で抜いた
ライナストを“カラドボルグ”にセットして、柄を元の位置に戻します。
「く、一体何を……」
「“疾く来たれ”、ライナスト!……勝負は、一撃ですの!」
『Yes,sir(電磁加圧、開始します)』
「何をするか知りませんが、その前にッ!!」
40sm程離れた所で行動するわたしに、狛恵さんが向かってきます。
ですけど、このスピードなら……“充電”完了までに間に合いますの。
それは、三姉妹の模擬戦で使った“ライジング・ボルト”の完成形ッ!
無意識下で充電完了のテンカウントを刻みつつも、わたしは構えます。
全ては一発の為に……アーチェリーの様に、標的を狙い定める為にッ!
「動かないつもりですか……ならそのまま、叩き斬るまでッ!」
「……もっと早く止めを刺さなかった、貴女の負けですの!」
『Yes,sir(電磁加圧完了、プラグ排出します)』
「なッ!?」
その宣言と同時に充電は完了……そう、ライナスト自身が放出する電力を
ライナストに充電させる為の装置が、この“カラドボルグ”ですのッ!!
他の使い方もありますけど、現在はそれどころじゃないですのッ。紫電を
纏った剣を“左手”で構え、駆けてくる騎士に向けると……稲妻が解放、
そのエネルギーは、神姫の躯よりも巨大な“弓矢”を形取りましたのッ!
わたしは“右手”を、雷の矢に添えて……伸ばす様に引き絞りますッ!!
「穿て、神の雷炎!夜闇を焼き尽くす、暁の明光となれ!」
「お、おおおッ!?こ、これは……稲妻の矢ぁっ!?」
「射抜けライナスト!“プロミネンス・ボルト”ッ!!!」
「ぎ、ぐあぁぁぁぁぁぁぁああああああッ!!?!」
『ノックアウト!勝者、ロッテ!!』
そして手を離した瞬間“明星の矢”は、狛恵さんの胸を射抜きましたの。
わたしは見届けて、ジャッジが下ってから倒れ伏す彼女に駆け寄ります。
戦い終われば、ただ相手が心配ですの。憎くて戦う訳じゃないですしね♪
空を見れば、星々がヴァーチャルフィールドを覆い尽くしていましたの。
「すみません、今日はわたしが先に行かせてもらいますの……」
「なんのなんの……アタシも再修行して、すぐに追いつきます」
「楽しみにしていますの、狛恵さん……皆、待っていますの♪」
「ロッテさんを侮ったアタシの弱さ、必ず克服してみせます!」
──────後は、二人の姉妹に道を譲りますの♪
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