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「第二話『八谷とマイ』」(2007/08/12 (日) 08:13:27) の最新版変更点
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「ねぇ八谷。どうして私のサラは勝てないのかな」
学校の昼休み。
幼馴染の七瀬が僕に話しかけてきた。
「どうしてって・・・・それを僕に聞いてどうなるのさ」
僕も七瀬と同じく、神姫をやっている。でもあまり勝てない。
それに比べれば、七瀬の神姫であるサラは随分強いと思うんだけどな。
「むしろ僕が聞きたいくらいだよ。七瀬はどうしたら砂漠だけとは言え、そんなに勝てるのさ」
「それはサラに聞いてよ・・・・じゃなくて。装備の相性が良すぎるの。砂漠意外じゃ勝てないくらい、砂漠ステージに特化しちゃってるんだから」
*クラブハンド・フォートブラッグ
*
第二話
*
『八谷とマイ』
「そんな話を今朝したんだけどね。それについてどう思うかな? マイ?」
「べつにどーもー? 思ったのはーハチやんいつになったら告白するのかなー? ってくらいだよーん」
・・・・軽く流された。
地味にひどい。
「あのね。これはキミのためでもあるんだよマイ。マイは勝ちたくないの?」
「勝ちたいとは思うけど・・・体動かすだけであたしは楽しいのだ。だからそれほどでもないよー?」
駄目だ。本人にやる気が無い。
僕は仕方なく、机の上でゴロゴロしている猫型のマイを放置してパソコンを起動する。
今日の七瀬はいつに無くへこんでたな・・・多分土日で負けまくったんだろう。
とりあえず攻略サイトでも巡って・・・七瀬が喜びそうな情報や戦略を・・・・・。
「んふふ・・・またそうやってナナやんの為に頑張っちゃうんだな。あたしはハチやんのそこが好きだなん」
「う、うるさいな。別にいいじゃん。僕がなに調べたって」
「あ~あ。嫉妬しちゃうな~ナナやんに。ハチやんはナナやん一筋だもんな~」
マイはニヤニヤ笑いながら机の上を、右へ左へゴロゴロ転がる。結構鬱陶しかった。
この猫。冷蔵庫にでも閉じ込めておこうか?
「あのねマイ。僕は友達のために調べてるんだ。れ・・・恋愛感情とかそういうのは・・・・」
「ハチやんハチやん。そのムービー開いてよ」
全然聞いてないし。
動物は自分の中で他者を格付けするという。
もしかして僕はその格付けの中でマイよりも下なのだろうか。せめて同格ぐらいであって欲しいと願うばかりだ。
「ハ~チ~や~ん~!」
「はいはい開けばいいんでしょ。・・・あれ? この名前って・・・・」
僕が開いたムービーはこの間の大会の準決勝のムービーだった。
見るなら決勝だと思うんだけど・・・戦っている片方のマスターの名前が・・・・。
「七瀬 都・・・みや姉じゃないか」
幼い頃にお世話になった人だった。
っていうか神姫やってたんだあの人。
「ん? ナナやんじゃないね。誰だろこの人」
「七瀬のお姉さんだよ。・・・・確かセンターの傍で本屋さんをやってるって言ってたけど・・・」
そのムービーに記録された闘いは激しかった。
みや姉のストラーフが両手に構えた拳銃を撃てば、相手のアーンヴァルがまるで天罰とばかりに空からビームを浴びせかける。それを避けて地面を翔けるストラーフ。そしてとうとうアーンヴァルが背負ったバックパックに着弾し、天使は地に墜ちた。
「あれって、かなり古いロボットアニメのバックパックだよね?」
「うん、I.W.S.P.とノワールストライカーだねん。・・・・天使型のI.W.S.P.は飛行型で、遠距離もいけるけど・・・ノワールストライカーも飛べるけど、どっちかってと近距離型なのだ。それでここまで戦えるのはスゴいよ」
地に墜ちた天使は、使い物にならなくなった自らの羽を切り離す。そして白い二本のブレードを構えた。
対する悪魔も、両手の拳銃を捨て、バックパックから幅広のブレードを取り出す。
・・・・その後は、もう肉眼で追えなくなった。
悪魔が振るうブレードは赤色の軌跡を残し、天使のブレードは白い軌跡を残す。
そしてその光の乱舞は唐突に終わりを告げた。
二人は互いに背を向けて、一撃を放った姿勢のまま硬直している。そして、暫くたつとゆっくりと、悪魔は地面に倒れていった。
「・・・・すご」
僕は思わずそう呟いた。
天使型の攻撃速度もさることながら、地上にいながら、拳銃だけで天使を撃ち落した悪魔型の手腕に驚いていたからだ。
「うん、スゴイね。これが今朝、ハチやんがナナやんにされた質問の答えだよ」
と、いきなりマイが意味深なことを言い出した。
何いってんだこの猫。
「サラやんが勝てないのは単にバックパックの問題だよん。フォートブラッグのバックパックが悪いわけじゃないんだけどね。アレだけへんなもん着けてると重いのだ。おまけに尻尾の部分は地上じゃ引きずるしかないし、足のパーツもただのブーツだしね。あれじゃストラーフのレッグパーツじゃないとちょっちキツイのだ」
おお。
頭がよくないといわれている猫型が、何か頭よさそうなことを言っている。
頭が良くなったのか、少し試してみよう。
「マイ。『いい国作ろう』は?」
「・・・・・・日本の内閣?」
良くなってなかった。
いやそれはそれで正解なんだけど。
「・・・・信じてないね。その顔は」
「いや、言ってることが正しいのは判った」
つまり、サラちゃんが勝てない理由は、バックパックを含む武装のセッティングにあるわけだ。
・・・・って。
「それって基本中の基本じゃないか。七瀬がそれに気づいてないはず無いんだけど・・・」
僕よりも早く神姫を始めた七瀬だ。
流石にそんな簡単なことが判らないとは思えない。
「それは多分知ってるよ。だからナナやんが聞いたのは、『今の武装で、砂漠ステージ以外で勝つ方法』なんじゃない?」
「あるの? そんな方法」
疑問に思った僕はマイに質問した。
「しらなーい。あたしはただ思ったことを口にしただけなのだ」
そういうときゃらきゃらと笑いながら、マイは机の隅まで転がっていってしまった。そのまま机から落っこちてクッションに着地した。
どうも話す気がうせたのか。クッションの上でまたゴロゴロし始めた。
「・・・・はぁ・・・結局、全てはサラちゃん次第か。・・・そういや、何であのバックパックに拘ってんだろ」
何か深い事情があるのだろうか。
例えば・・・昔は誰か、他の神姫のバックパックでその神姫が事故か何かで壊れちゃって・・・・その時の遺品だったりとか?
いや他にも何か・・・・・。
「映画みて、似たような装備をしたいからアレにしたって聞いたことがあるんだけど」
「単に好みの問題かよ!!」
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「ねぇ八谷。どうして私のサラは勝てないのかな」
学校の昼休み。
幼馴染の七瀬が僕に話しかけてきた。
「どうしてって・・・・それを僕に聞いてどうなるのさ」
僕も七瀬と同じく、神姫をやっている。でもあまり勝てない。
それに比べれば、七瀬の神姫であるサラは随分強いと思うんだけどな。
「むしろ僕が聞きたいくらいだよ。七瀬はどうしたら砂漠だけとは言え、そんなに勝てるのさ」
「それはサラに聞いてよ・・・・じゃなくて。装備の相性が良すぎるの。砂漠意外じゃ勝てないくらい、砂漠ステージに特化しちゃってるんだから」
*クラブハンド・フォートブラッグ
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第二話
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『八谷とマイ』
「そんな話を今朝したんだけどね。それについてどう思うかな? マイ?」
「べつにどーもー? 思ったのはーハチやんいつになったら告白するのかなー? ってくらいだよーん」
・・・・軽く流された。
地味にひどい。
「あのね。これはキミのためでもあるんだよマイ。マイは勝ちたくないの?」
「勝ちたいとは思うけど・・・体動かすだけであたしは楽しいのだ。だからそれほどでもないよー?」
駄目だ。本人にやる気が無い。
僕は仕方なく、机の上でゴロゴロしている猫型のマイを放置してパソコンを起動する。
今日の七瀬はいつに無くへこんでたな・・・多分土日で負けまくったんだろう。
とりあえず攻略サイトでも巡って・・・七瀬が喜びそうな情報や戦略を・・・・・。
「んふふ・・・またそうやってナナやんの為に頑張っちゃうんだな。あたしはハチやんのそこが好きだなん」
「う、うるさいな。別にいいじゃん。僕がなに調べたって」
「あ~あ。嫉妬しちゃうな~ナナやんに。ハチやんはナナやん一筋だもんな~」
マイはニヤニヤ笑いながら机の上を、右へ左へゴロゴロ転がる。結構鬱陶しかった。
この猫。冷蔵庫にでも閉じ込めておこうか?
「あのねマイ。僕は友達のために調べてるんだ。れ・・・恋愛感情とかそういうのは・・・・」
「ハチやんハチやん。そのムービー開いてよ」
全然聞いてないし。
動物は自分の中で他者を格付けするという。
もしかして僕はその格付けの中でマイよりも下なのだろうか。せめて同格ぐらいであって欲しいと願うばかりだ。
「ハ~チ~や~ん~!」
「はいはい開けばいいんでしょ。・・・あれ? この名前って・・・・」
僕が開いたムービーはこの間の大会の準決勝のムービーだった。
見るなら決勝だと思うんだけど・・・戦っている片方のマスターの名前が・・・・。
「七瀬 都・・・みや姉じゃないか」
幼い頃にお世話になった人だった。
っていうか神姫やってたんだあの人。
「ん? ナナやんじゃないね。誰だろこの人」
「七瀬のお姉さんだよ。・・・・確かセンターの傍で本屋さんをやってるって言ってたけど・・・」
そのムービーに記録された闘いは激しかった。
みや姉のストラーフが両手に構えた拳銃を撃てば、相手のアーンヴァルがまるで天罰とばかりに空からビームを浴びせかける。それを避けて地面を翔けるストラーフ。そしてとうとうアーンヴァルが背負ったバックパックに着弾し、天使は地に墜ちた。
「あれって、かなり古いロボットアニメのバックパックだよね?」
「うん、I.W.S.P.とノワールストライカーだねん。・・・・天使型のI.W.S.P.は飛行型で、遠距離もいけるけど・・・ノワールストライカーも飛べるけど、どっちかってと近距離型なのだ。それでここまで戦えるのはスゴいよ」
地に墜ちた天使は、使い物にならなくなった自らの羽を切り離す。そして白い二本のブレードを構えた。
対する悪魔も、両手の拳銃を捨て、バックパックから幅広のブレードを取り出す。
・・・・その後は、もう肉眼で追えなくなった。
悪魔が振るうブレードは赤色の軌跡を残し、天使のブレードは白い軌跡を残す。
そしてその光の乱舞は唐突に終わりを告げた。
二人は互いに背を向けて、一撃を放った姿勢のまま硬直している。そして、暫くたつとゆっくりと、悪魔は地面に倒れていった。
「・・・・すご」
僕は思わずそう呟いた。
天使型の攻撃速度もさることながら、地上にいながら、拳銃だけで天使を撃ち落した悪魔型の手腕に驚いていたからだ。
「うん、スゴイね。これが今朝、ハチやんがナナやんにされた質問の答えだよ」
と、いきなりマイが意味深なことを言い出した。
何いってんだこの猫。
「サラやんが勝てないのは単にバックパックの問題だよん。フォートブラッグのバックパックが悪いわけじゃないんだけどね。アレだけへんなもん着けてると重いのだ。おまけに尻尾の部分は地上じゃ引きずるしかないし、足のパーツもただのブーツだしね。あれじゃストラーフのレッグパーツじゃないとちょっちキツイのだ」
おお。
頭がよくないといわれている猫型が、何か頭よさそうなことを言っている。
頭が良くなったのか、少し試してみよう。
「マイ。『いい国作ろう』は?」
「・・・・・・日本の内閣?」
良くなってなかった。
いやそれはそれで正解なんだけど。
「・・・・信じてないね。その顔は」
「いや、言ってることが正しいのは判った」
つまり、サラちゃんが勝てない理由は、バックパックを含む武装のセッティングにあるわけだ。
・・・・って。
「それって基本中の基本じゃないか。七瀬がそれに気づいてないはず無いんだけど・・・」
僕よりも早く神姫を始めた七瀬だ。
流石にそんな簡単なことが判らないとは思えない。
「それは多分知ってるよ。だからナナやんが聞いたのは、『今の武装で、砂漠ステージ以外で勝つ方法』なんじゃない?」
「あるの? そんな方法」
疑問に思った僕はマイに質問した。
「しらなーい。あたしはただ思ったことを口にしただけなのだ」
そういうときゃらきゃらと笑いながら、マイは机の隅まで転がっていってしまった。そのまま机から落っこちてクッションに着地した。
どうも話す気がうせたのか。クッションの上でまたゴロゴロし始めた。
「・・・・はぁ・・・結局、全てはサラちゃん次第か。・・・そういや、何であのバックパックに拘ってんだろ」
何か深い事情があるのだろうか。
例えば・・・昔は誰か、他の神姫のバックパックでその神姫が事故か何かで壊れちゃって・・・・その時の遺品だったりとか?
いや他にも何か・・・・・。
「映画みて、似たような装備をしたいからアレにしたって聞いたことがあるんだけど」
「単に好みの問題かよ!!」
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