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「No1 エプロンろぉぉどぉ」(2007/07/23 (月) 02:19:16) の最新版変更点
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「エプロンろぉぉどぉ」
カチャカチャ……
「はい、これ持ってー」
「はい」
ガチャン……
日曜の朝に相応しくない音がしている。
俺はリビングのソファーに座り、音のする方向をぼーっと見つめていた。
元々この家には、俺ともう一人が居るだけなので、その点からも、キッチンから聞こえてくる音は相応しくない。
「しょうちゃん、楽しみだね」
不意に俺の横から声がかかる。声を発したのは、この家のもう一人の住人。
声をしたほうに顔を向ける。俺の座っている場所の隣り、しかもソファーの表面近く。
そこには、15cmの人形が座っていた。
武装神姫悪魔型ストラーフ、名前はシルク、俺のパートナーだ。
シルクと出会ってかなり経ち、お互いに掛け替えの無い存在になりつつあった。
まぁ…出会ったころのとこは、別の機会に話すとして……
「ああ、そうだな」
朝から何度同じ言葉をかけられたことか……
ずっとニコニコしているシルク。
以前のイベントで、お菓子作りコンテストというに参加したシルクが、なぜか知らんが優勝したんだ。
副賞が神姫用キッチンセットという大層な物で、キッチンで使う電気、ガス、水を接続する為に、メーカーの人が来て設置作業している。
つまり、それが音の正体。
しばらくすると、設置が終わったらしく、作業をしていた人がリビングにやって来た。
「作業終わりましたー」
「あ、ありがとうございます」
立ち上がり、頭を下げる。
「取り扱いの説明をしますのでこちらへ」
「はい」
さっきからうずうずしていたシルクが肩に飛び乗り、一緒にキッチンへ行った。
実際に使うシルクは、キッチンの前で神姫から説明を真剣な顔で聞いていた。
俺はというと、取り扱い説明書を渡され、神姫に使わせる際の注意点を教わった。
ようするに、実際に水や火を使うので、使用前後の確認を怠らないように、ということだ。
それから、俺は書類にサインをして、作業していた人と神姫を送り出した。
しるくはさっきから、キッチンのまわりをうろうろしている。
嬉しくてしかたないのだろう。
ふと、さっきの説明の時に貰った物を思い出した。
「シルク、これ」
ポケットから取り出したものを、テーブルの上に置く。
「なぁにー」
キッチンからテーブルまで駆け寄り、そのまま跳び上がってきた。
「あ!」
置かれたものが何か分った様で、目を輝かせる。
「ねぇねぇ、これ、どうしたの?」
「参加賞だそうだ」
「そっかー」
シルクは俺が置いたもの、エプロンドレスのメイド服をぎゅっと抱きしめた。
神姫は人間の1/10ほどのサイズだ、衣類も当然1/10になる。
普通の……人間用の裁縫道具、縫い方などで作ると、今度は10倍となって帰ってくる。
つまり、普段着るシャツの生地や糸が10倍になり、縫い目も10倍になったものを想像して欲しい。
しかし、このメイド服にはそのような感じはしない。
何気ない神姫用の服にも凄まじい技術が詰め込まれているのを実感した。
最近では、このような服を個人で作ってる人も居ると聞く。
大企業の工場なら専用の機械もあるだろうが、個人となると手作業に頼るしか無い訳で、まさに『匠』の領域だ。
「ねぇねぇ、しょうちゃん!」
「んぁ?」
ぼんやりと、そんなことを考えていると、シルクに呼ばれた。
「こほん……」
軽く咳払いをするシルク。
「…えっと……」
なにやら少し考えるような仕草をして、姿勢を正した。
「一週間だ。一週間後に本物のクッキーを食わせてやろう」
ビシッとポーズを決めて、低めの声をつくり、そんなことを言って来た。
「…………??」
「もう! しょうちゃん、反応薄いよー!」
リアクションが気に入らなかったのだろう、シルクがぷりぷり怒ってる。
「てかさ、なんだそれ」
「えー? おいしいものを食べさせてあげるときのキメ台詞だよー」
「それで俺は、一週間もおあずけを喰らうわけか?」
「えっと、一週間っていうのも、お決まりの台詞みたいで、しょうちゃんには直ぐに食べさせて、あ・げ・る」
微妙に納得出来ん部分もあるが、シルクがやる気になっていることは分った。
しかし、その為には最大の問題を解決しないといけない訳で……
「んじゃ、行ってくるか」
そう言って俺は立ち上げる。
「どこいくの?」
「うちにはクッキーの材料という、高級なものは揃ってないからな」
「え? それじゃぁー」
「おう! 買ってきてやるよ」
「しょうちゃん……」
ぽっと顔を赤くしてはにかむシルク。
「おとなしく待ってるんだぞ」
そう言ってシルクの頭を撫でてやる。
「うん……シルクがおいしくて、口から光出しながら巨大化するような、クッキー作るからネッ」
「……人間の範疇を越えるようなことは、なるべくしたくないなぁ……」
それから俺は、シルクに必要なものをメモしてもらって、買い物に出かけたわけだが……
買って来た荷物は、かなりの大荷物になってしまった。
「チョコチップやアーモンド、ココアパウダーまで……いったいどんなのが出来ることやら……」
そんなことを呟きながら玄関をくぐる。
「買ってきたぞー」
「おかえりなさぁぁぁい」
シルクがトテトテと走ってくる音が聞こえる。
「全部買ってきたけど、こんなに………………」
靴をぬぎ、シルクの方を見た俺は、その場で固まった。
とりあえずげんじょうをはあくしてみよう……
目の前にシルクが居る……うん、シルク本人に間違いない。
エプロンを着けているな……うん、さっきのメイド服のエプロンだ。
しかし、エプロンの下にあるはずのメイド服の本体がない。
さらに、シルクのエプロンからのぞく、肩やら腰やらがおかしくありませんか?
もう一度良く見てみよう……うん、間違いなく肌色だ。
肌色? つまり、ノーマルのボディスーツを脱いでいる?
脱いだうえにエプロン……はだかにエプロン……はだかエプロン……
けつろんでました………どうみても、はだかエプロンです。ありがとうございました。
「!! !! !!」
「えっと……なんて格好してんだ、女の子だろう、今すぐやめなさい……?」
俺が声が出せずに、手足を振って怒っているのをシルクが通訳してくれましたよ……
「え~~? 可愛くない?」
そういって、エプロンの裾を持って軽く持ち上げる。ああ、もう少しであそこが……じゃなくて!
「!! !! !!」
「えっと……だいたい、そんなはしたない格好、どこで覚えたんだ…?」
手を胸の前で組んでもじもじするシルク。くはぁ~、キますよ! これはキますよ!
「ネットのお友達が……男の人が喜ぶって」
マスターは日中、仕事やら学校やらで出かけるわけで、神姫を連れて歩く人以外は、留守番をさせることになる。
クレイドルでスリープモードにして休んでもいいが、大抵の神姫は活動している。そうなると、神姫のやることは限られてくる。
それで、マスターからパソコンの使用許可ので出ている神姫がネットを彷徨うようになり、そのうち集まるようになる。
集まった神姫達でチャットルームが出来上がっていく。女三人なんとやらで、例にもれず、井戸端会議場となるわけだ。
そういった場所にシルクも参加しているので、そこの友達のことだろう。
「どう? 可愛いでしょ?」
シルクが恥ずかしながらも、くるりと一周した。
ああ、エプロンの隙間から、ピンクのぽっちが……可愛いお尻が……
「くは」
そこで俺の意識は途切れた。
「……ちゃん……しょうちゃん…」
「ん? ああ」
シルクに起こされた俺は、ここが玄関であることに気がついた。
「あ、そういえば」
シルクのほうをみると、あいかわらず裸エプロンだが、目に涙をためていた。
「ごめんなさい……」
そういうと、大粒の涙が零れ落ちる。
「ごめんなさい……シルク…シルクね……」
ぽろぽろと零れる涙をみて、シルクをぎゅっと抱きしめた。
「怒ったりしてわるかった、俺のためにしてくれたんだよな? ありがとう」
「しょうちゃん」
シルクも俺も少し落ち着いてからキッチンに行き、シルクにクッキーを作ってもらって、一緒に食べた。
口から光は出なかったが、美味しかった。
そして、シルクがかなりがんばってお菓子を作るときの格好が、裸エプロンになったのは秘密だ。
[[戻る>>アールとエルと]]
「エプロンろぉぉどぉ」
カチャカチャ……
「はい、これ持ってー」
「はい」
ガチャン……
日曜の朝に相応しくない音がしている。
俺はリビングのソファーに座り、音のする方向をぼーっと見つめていた。
元々この家には、俺ともう一人が居るだけなので、その点からも、キッチンから聞こえてくる音は相応しくない。
「しょうちゃん、楽しみだね」
不意に俺の横から声がかかる。声を発したのは、この家のもう一人の住人。
声をしたほうに顔を向ける。俺の座っている場所の隣り、しかもソファーの表面近く。
そこには、15cmの人形が座っていた。
武装神姫悪魔型ストラーフ、名前はシルク、俺のパートナーだ。
シルクと出会ってかなり経ち、お互いに掛け替えの無い存在になりつつあった。
まぁ…出会ったころのとこは、別の機会に話すとして……
「ああ、そうだな」
朝から何度同じ言葉をかけられたことか……
ずっとニコニコしているシルク。
以前のイベントで、お菓子作りコンテストというに参加したシルクが、なぜか知らんが優勝したんだ。
副賞が神姫用キッチンセットという大層な物で、キッチンで使う電気、ガス、水を接続する為に、メーカーの人が来て設置作業している。
つまり、それが音の正体。
しばらくすると、設置が終わったらしく、作業をしていた人がリビングにやって来た。
「作業終わりましたー」
「あ、ありがとうございます」
立ち上がり、頭を下げる。
「取り扱いの説明をしますのでこちらへ」
「はい」
さっきからうずうずしていたシルクが肩に飛び乗り、一緒にキッチンへ行った。
実際に使うシルクは、キッチンの前で神姫から説明を真剣な顔で聞いていた。
俺はというと、取り扱い説明書を渡され、神姫に使わせる際の注意点を教わった。
ようするに、実際に水や火を使うので、使用前後の確認を怠らないように、ということだ。
それから、俺は書類にサインをして、作業していた人と神姫を送り出した。
シルクはさっきから、キッチンのまわりをうろうろしている。
嬉しくてしかたないのだろう。
ふと、さっきの説明の時に貰った物を思い出した。
「シルク、これ」
ポケットから取り出したものを、テーブルの上に置く。
「なぁにー」
キッチンからテーブルまで駆け寄り、そのまま跳び上がってきた。
「あ!」
置かれたものが何か分った様で、目を輝かせる。
「ねぇねぇ、これ、どうしたの?」
「参加賞だそうだ」
「そっかー」
シルクは俺が置いたもの、エプロンドレスのメイド服をぎゅっと抱きしめた。
神姫は人間の1/10ほどのサイズだ、衣類も当然1/10になる。
普通の……人間用の裁縫道具、縫い方などで作ると、今度は10倍となって帰ってくる。
つまり、普段着るシャツの生地や糸が10倍になり、縫い目も10倍になったものを想像して欲しい。
しかし、このメイド服にはそのような感じはしない。
何気ない神姫用の服にも凄まじい技術が詰め込まれているのを実感した。
最近では、このような服を個人で作ってる人も居ると聞く。
大企業の工場なら専用の機械もあるだろうが、個人となると手作業に頼るしか無い訳で、まさに『匠』の領域だ。
「ねぇねぇ、しょうちゃん!」
「んぁ?」
ぼんやりと、そんなことを考えていると、シルクに呼ばれた。
「こほん……」
軽く咳払いをするシルク。
「…えっと……」
なにやら少し考えるような仕草をして、姿勢を正した。
「一週間だ。一週間後に本物のクッキーを食わせてやろう」
ビシッとポーズを決めて、低めの声をつくり、そんなことを言って来た。
「…………??」
「もう! しょうちゃん、反応薄いよー!」
リアクションが気に入らなかったのだろう、シルクがぷりぷり怒ってる。
「てかさ、なんだそれ」
「えー? おいしいものを食べさせてあげるときのキメ台詞だよー」
「それで俺は、一週間もおあずけを喰らうわけか?」
「えっと、一週間っていうのも、お決まりの台詞みたいで、しょうちゃんには直ぐに食べさせて、あ・げ・る」
微妙に納得出来ん部分もあるが、シルクがやる気になっていることは分った。
しかし、その為には最大の問題を解決しないといけない訳で……
「んじゃ、行ってくるか」
そう言って俺は立ち上げる。
「どこいくの?」
「うちにはクッキーの材料という、高級なものは揃ってないからな」
「え? それじゃぁー」
「おう! 買ってきてやるよ」
「しょうちゃん……」
ぽっと顔を赤くしてはにかむシルク。
「おとなしく待ってるんだぞ」
そう言ってシルクの頭を撫でてやる。
「うん……シルクがおいしくて、口から光出しながら巨大化するような、クッキー作るからネッ」
「……人間の範疇を越えるようなことは、なるべくしたくないなぁ……」
それから俺は、シルクに必要なものをメモしてもらって、買い物に出かけたわけだが……
買って来た荷物は、かなりの大荷物になってしまった。
「チョコチップやアーモンド、ココアパウダーまで……いったいどんなのが出来ることやら……」
そんなことを呟きながら玄関をくぐる。
「買ってきたぞー」
「おかえりなさぁぁぁい」
シルクがトテトテと走ってくる音が聞こえる。
「全部買ってきたけど、こんなに………………」
靴をぬぎ、シルクの方を見た俺は、その場で固まった。
とりあえずげんじょうをはあくしてみよう……
目の前にシルクが居る……うん、シルク本人に間違いない。
エプロンを着けているな……うん、さっきのメイド服のエプロンだ。
しかし、エプロンの下にあるはずのメイド服の本体がない。
さらに、シルクのエプロンからのぞく、肩やら腰やらがおかしくありませんか?
もう一度良く見てみよう……うん、間違いなく肌色だ。
肌色? つまり、ノーマルのボディスーツを脱いでいる?
脱いだうえにエプロン……はだかにエプロン……はだかエプロン……
けつろんでました………どうみても、はだかエプロンです。ありがとうございました。
「!! !! !!」
「えっと……なんて格好してんだ、女の子だろう、今すぐやめなさい……?」
俺が声が出せずに、手足を振って怒っているのをシルクが通訳してくれましたよ……
「え~~? 可愛くない?」
そういって、エプロンの裾を持って軽く持ち上げる。ああ、もう少しであそこが……じゃなくて!
「!! !! !!」
「えっと……だいたい、そんなはしたない格好、どこで覚えたんだ…?」
手を胸の前で組んでもじもじするシルク。くはぁ~、キますよ! これはキますよ!
「ネットのお友達が……男の人が喜ぶって」
マスターは日中、仕事やら学校やらで出かけるわけで、神姫を連れて歩く人以外は、留守番をさせることになる。
クレイドルでスリープモードにして休んでもいいが、大抵の神姫は活動している。そうなると、神姫のやることは限られてくる。
それで、マスターからパソコンの使用許可ので出ている神姫がネットを彷徨うようになり、そのうち集まるようになる。
集まった神姫達でチャットルームが出来上がっていく。女三人なんとやらで、例にもれず、井戸端会議場となるわけだ。
そういった場所にシルクも参加しているので、そこの友達のことだろう。
「どう? 可愛いでしょ?」
シルクが恥ずかしながらも、くるりと一周した。
ああ、エプロンの隙間から、ピンクのぽっちが……可愛いお尻が……
「くは」
そこで俺の意識は途切れた。
「……ちゃん……しょうちゃん…」
「ん? ああ」
シルクに起こされた俺は、ここが玄関であることに気がついた。
「あ、そういえば」
シルクのほうをみると、あいかわらず裸エプロンだが、目に涙をためていた。
「ごめんなさい……」
そういうと、大粒の涙が零れ落ちる。
「ごめんなさい……シルク…シルクね……」
ぽろぽろと零れる涙をみて、シルクをぎゅっと抱きしめた。
「怒ったりしてわるかった、俺のためにしてくれたんだよな? ありがとう」
「しょうちゃん」
シルクも俺も少し落ち着いてからキッチンに行き、シルクにクッキーを作ってもらって、一緒に食べた。
口から光は出なかったが、美味しかった。
そして、シルクがかなりがんばってお菓子を作るときの格好が、裸エプロンになったのは秘密だ。
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