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「第壱章第四節:奴が来た!?>」(2007/07/13 (金) 00:49:18) の最新版変更点
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{奴が来た!?}
午前7時、晴天。
天薙龍悪とアンジェラス達は安らかに寝ている。
それもとても気持ち良さそうに。
まるで天国みたいな環境だ。
だが、この天国はすぐに終わりがおとずれた。
天薙家の門の前に仁王立ちして両手を腰にあてながら見る一人の人間によって。
「ウフフフ」
薄紫色のアホ毛一本ありのロングヘアー。
スレンダーな体形に童顔な容姿。
服は一般的に何処にでもある高校の制服。
ミニスカートが強くない風にフワッと揺れる。
「先輩、今行くわ」
天薙家の敷地に入りスカートのポケットから鍵を出す。
カチャカチャ、と音を出しながらドアのロックを解除しドアを開ける。
家に侵入すると礼儀正しく靴を脱ぎ並べ、すぐさま二階に上がり目的の龍悪が居る場所に向かう。
龍悪の部屋に入ると四つん這いになり、ベットで寝ている龍悪の顔近くまで接近する。
「可愛い寝顔。キスしちゃいたいくらい」
と、言いつつ自分の唇を龍悪の唇に密着させようとした。
その時だ。
布団で隠れていた龍悪の右腕が布団から勢いよく出てきて、不法侵入した者の顔を鷲掴みした。
「ハワワワ!?」
龍悪に顔を鷲掴みされた者は、両腕を上下に振りながら慌てる。
ムクリ、と上半身だけ起こした龍悪の顔はそうとうな不機嫌さをかもだしながら言った。
「…おはやう…婪」
「お、おはよ、う、…先輩」
ギリギリ、と鷲掴みした顔を龍男は力をちょっとずつ強くする。
その度に婪は『ハワワワ!?』と言い慌てる。
「俺に、なにしようとした?」
「あたしからの目覚めのキスをしようと思って…」
俺は右腕の肘を曲げ婪をこっちに近づかせ、最大まで曲げた瞬間に腕を伸ばし押すようにした。
伸ばしきった所で婪の顔を離し婪は押された衝撃によって机までフッ飛んだ。
「キャン!?」
かわいらしい声を上げ机に背中を打ち付ける婪。
なにが『キャン』だ。
気持ち悪い声を出しやがって。
「ご主人様~、今の揺れは地震ですか~?」
机の上にアンジェラスが片目を擦りながら眠そうに立っていた。
その後ろにはクリナーレ、ルーナ、パルカも起きていた。
多分、婪が机に当たった衝撃で起きたのだろう。
俺は布団から出て婪に近づき膝を曲げ尻餅ついてる婪の視点に合わせる。
「ウゥ~、痛いですよ~先輩~」
「うるせぇ。俺にキスしようとした罰だ」
「そんなぁ、あたしはこんなにも先輩の事を愛してるのにー」
ピキッと俺のこめかみ辺りにある血管が浮き、婪の胸倉を右手で掴みお互いの額がぶつかるギリギリまで引き寄せた。
「キャー!先輩、近いですよ~。でも、あたしはいっこうに構いませんけど…♪」
「テメェ、いい加減にしろ」
「あたしは先輩に対する愛には、いい加減じゃありませんよ」
「この野郎…俺はお前の事なんか愛してねぇぞ」
「いつかあたしに振り向いてくれます」
「それは絶対にねぇー!」
今度は左手の親指を婪の右頬につけ、残りの四本の指を左頬につける。
その瞬間にすくさま俺は左手に力を入れ婪の頬を両方から押す。
「イタイ、イタイ!」
「あたり前だろ。力を入れてるだから」
そんな時だった。
アンジェラスが俺の頭に下りて来て言う。
「ご主人様。女の子に暴力は良くないと思います!」
「はぁあ!?」
俺は頭に居るアンジェラスを掴むために胸倉と婪の頬から手を離し、その手でアンジェラスを優しく掴む。
「あのなぁ、こいつは女じゃなくて男だぞ」
「えぇーーーー!?!?」
アンジェラスは目を見開き驚愕した。
まぁ無理もない。
婪の奴は見た目は何処からどう見ても美少女に見える。
声も凄く女の子らしい声だ。
だが、こんなナリしてるけど立派な男だ。
ちゃんと股の部分に男性性器もついている。
婪の奴が外に出れば、たいていの男がナンパしてくる。
男が男をナンパして愉しいか?
「まぁいいや、アンジェラス達は朝飯を作ってきてくれ。アンジェラスとパルカは調理、クリナーレとルーナは補助しろよ」
「「「「はーい」」」」
アンジェラス達は俺の身体を伝って一階降りって行った。
部屋に残ったのは俺と婪だけ。
俺は婪から離れ服を着ようと箪笥に向かう。
「先輩、あの子達は?」
「ん?あぁ~アンジェラス達の事か。まぁ気にすんな。にしてもお前、よく俺の家に入れたな」
「これよ」
婪が俺に見せびらかすかのように右手に持った鍵を見せる。
その鍵の形を見た瞬間、俺は納得した。
だって、俺の家の鍵とそっくりなのだから。
そりゃあ入って来れるよなぁ。
「お袋に渡されたのか?」
「うん。先輩の事をよろしくね、と言われたから」
「あのババァ…」
俺は髪の毛を掻きながら苦い顔をした。
十六夜 婪(いざよい りん)。
こいつは俺の後輩にして幼馴染である。
二つ年が離れてるので今のこいつは高校三年生。
言ってみれば普通の高校生なのだが…。
「先輩~あたしの事…いつになったら抱いてくれるのぉ~♪」
「身体をクネクネ動かすな!気色悪い!!」
さっきも言ったとうりに、こいつは男だ。
男性なのに女子の制服を着ている。
なんでも、あまりにもルックスが良いので校長が許したとか?
どんな学校だよ、俺の高校の母校は。
「お前も一階に来い。話はそれからだ」
「あたしと先輩の愛語り合いですか?」
「あ・い・つ・ら・の・事だ!」
…。
……。
………。
カチャカチャ、と食器の音を出しながら運ぶ武装神姫達。
朝食の準備をしているのだ。
今まで俺が一人で飯を作ってきたがアンジェラスとパルカが料理を覚えてから俺は作らなくなった。
そんな俺は婪と向かい合いのテーブルを挟んだ状態椅子に座っている。
婪は俺の顔を見てニコニコと笑ってやがる。なんだ、俺の顔が面白いか?
「先輩。先輩っていつから武装神姫をやり始めたんですか?」
「ん?あぁ~壱ヶ月前ぐらいからやってるかな。よく覚えてねぇー」
「ふ~ん、先輩の事だから朱美さんから『武装神姫のバイトやらない』とか言われたクチでしょ」
ウグッ…微妙に合ってる、つか、何で解るだよ。
婪の奴は昔から結構勘とか鋭いのだ。
まるで俺の事は何でも知ってるような感じがして気持ち悪い。
「あたしも武装神姫やってますよ。今度先輩と戦ってみたいなぁ~」
「へぇ~婪もやってるんだ。意外だぁ」
「意外とはなんですかー!意外とは~!!」
プク~と顔を膨らませる婪。
う~ん、やっぱこいつは可愛い。
だが、こいつは男だ。
騙されはしないぞ。
「アニキー、朝食の準備ができたよ」
「おぉ。そんじゃあ喰うか。いただきます」
俺は右手に箸を持ち、茶碗に入った米粒を喰う。
アンジェラス達も『いただきます』と言って、俺が作った神姫用の茶碗、コップ、箸、スプーンを使うって朝食を食べる。
最初は人形の身体なのに、人間の食料が食べる機能に驚いたが今は全然違和感を感じない。
婪の奴は丁寧に手を合わせてお辞儀して『いただきます』と言った。
律義な奴ー。
ていうか。
「何で、テメェが俺の食卓で朝食してるんだよ」
「え?だって、あたしの分も置かれてからご馳走になろうと思って」
「はぁあ?おい、アンジェラスにパルカ。こいつの分はいらねぇだぞ」
「そんな事はいけませよ、ご主人様。私達には大切なお客様なのですから」
「お客様!?この野郎が!?!?勘弁してくれよ、ただでさえ金が無いのに婪のせいで更に食費がかさむじゃねえか」
うなだれる用に肩をガクッと落とす。
「まあまあ先輩、そんなに気を落とさないで」
「落とすに決まってるだろーが!このオカマ野郎!!」
吠える俺。
そんな俺を見て怯えるパルカ。
ヤッベ。
今日の朝食を作ったのアンジェラスとパルカだ。
婪の分まで作ってしまった事に責任感を感じてしまったのだろう
「いや、パルカが悪いじゃないよ。悪いのは婪の野郎だから。だからそう怯えないでくれ」
「ウウゥ…分かりました、お兄ちゃん」
だあぁー、疲れる。
朝食ぐらいでこんなに疲れたのは久しぶりだ。
俺が初めて料理した頃ぐらいの疲れ加減だ。
「婪、今日の所は勘弁してやる。だが明日からは自分の家で飯を喰えよ」
「はぁ~い」
ニコヤカな顔をしながら飯を食べる婪。
全くしょうがない奴だ。
「にしても、美味しいね。先輩の神姫が作る料理は」
「ありがとうございます、婪様」
アンジェラスがお辞儀した。
そんなアンジェラスに婪はズズイっと顔を寄せて。
「ねね、今度あたしの神姫に料理教えてあげてくれない?」
「え!?私が、ですか!」
驚くアンジェラス。
それもそうだ。
料理を初めてからそんなに月日が経っていないのに、今度は教える立場になってしまったのだから。
「私は別に構いませんが…ご主人様の許可が下りりれば良いのですが」
「先輩の許可ね。分かったわ、任せて」
婪は椅子から立ち上がり俺の方に来た。
何するつもりだ?
「ねぇ~先輩。今度でいいですから、あたしの神姫に料理を教えてくれませんか?」
色気を使ってきやがった。
残念だがテメェの色気には昔からやられてるから、もう慣れてるんだよ。
効かないぜ。
「許可くれるたら~あたしが先輩にいい事しちゃいますよ~。チュッ」
「ダァーッ!?」
俺は勢いよく立ち上がった。
頬っぺに婪がキスしたのだ。
気持ち悪いったらありゃしれない。
これが女の子だったらどんなに嬉しかった事だったか。
「もう先輩ったら~。テレッちゃって、可愛いんだから~」
「可愛いとか言うな!もう帰れ!!テメェがいるとろくな事が起きねぇー!!!」
「まぁまぁ、ダーリン落ち着いてください」
いつの間にかルーナがコップ辺りにいた。
飯を食うには早すぎる。
「あの婪様、どうかあたしにその色気の術を教えてください!」
「んぅ、ポニーテールの天使型だね、お名前は?」
「ルーナといいます」
「ルーナちゃんね。良いわよ、あたしの今まで先輩に使って色気のテクニックを教えてあげる」
「ありがとうございます、婪様!」
おいおい。
何いっちゃってくれてやがるんだ、この二人は。
ルーナの奴が婪の色気のテクニックを身につけたら、俺の脳の中身が毎日理性と欲望の闘いになっちまう。
勘弁してくれ。
ここは何とか話題を変えないといけない。
このままだと俺の身体が危ない。
「おい婪。そろそろ学校に行かなねぇーとマズイじゃねぇの。俺の車で学校まで送っててやるから」
「えっ先輩とカーセックスですか!?やったー!」
「ご主人様!?」
「アニキ!?」
「ダーリン!?」
「お兄ちゃん!?」
婪の一言によって神姫達は俺を凝視した。
…マジで勘弁してくれ。
もうイヤだ。
「チゲーよ!誰がテメェのケツの穴に俺を入れないといけないんだ!!アンジェラス達も本気にするな!!!」
「下品な言い方は女の子に嫌われますよ、先輩」
「ウッサイ、黙れ!ほら、飯はもう喰ったろ!!行くぞ!!!」
「アァン、そんなに引っ張らないで」
婪の左腕を俺の右手で引っ張りながら玄関に向かう。
早くこの色魔をこの家から追い出さないとアンジェラス達に悪い影響を及ぼす。
勿論、エッチ方面で。
「そんじゃ、ちょっくら行ってくるから留守番頼むぜ」
「バイバイ。また今度来るねぇ~。次来る時はあたしの神姫も連れてくるから~」
バタンッとドアを閉め婪を車に乗せ俺は学校に向かった。
その後、家に帰った後はもう疲れすぎて大学に行く気を失っていたので俺はベットに突っ伏しながら寝た。
婪、こいつは最悪な小悪魔だと、再び実感した一日だった。
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