「「Like A Angel」」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
「Like A Angel」 - (2007/05/08 (火) 19:20:07) のソース
「破山剣ッ!!」 振り下ろされる大刀をすんでの所でかわす 視えるのだ・・・私には ただ、いかに『ゴールドアイ』で先読みが出来るとしても、反射神経が追い付くかどうかはまた別の話 距離を保ってすら、また、重装甲を纏っているか否かの差があってすら 『仁竜』の剣技は凄まじかった (何時迄もかわしきれるものではないとは判っていたけど・・・これはもう一回が限度ね) 『ゴールドアイ』は三度の使用が限界だ 三回しか未来が見えない・・・という訳ではないが、少なくとも三回は相手の攻撃を絶対に回避出来る この境界はかなり曖昧だ 一日三度の事もあれば、一試合に三度の事もあり、どちらにせよそれ以上は使用出来ない その不安定さから、普段はなるべく使わない様にしているのだ 振り下ろした筈が、途中で軌道が直角に折れ曲がり、横薙ぎに振り回される大刀・・・重量から考えたらあり得ない動きだ ・・・だが、其処迄は観えていた!! 一足、踏み込むと同時に、マガジンが空になる迄ぶっぱなす 受けも回避も間に合わないタイミングで放たれた超音速弾は、9割が仁竜の左目に集弾していた 「凄い、姉さま!あの『仁竜』を瞬殺なんて!!」 「貴女のぶんも頑張らないとね、姉として」 「・・・・・・ごめんなさい、約束したのに・・・」 「わ・・・っ判った判った、機会はまだあるから、泣かないで・・・ほら、何かもう第二回戦始まるから!しっかり応援しててね」 「うん!頑張って、姉さま!!」 奇しくも この時に勝ち残った二組の組み合わせはどこか類似していた 即ち、 ズィータVSニビル ウインダムVS華墨 地上戦主体の二人の中位ランカー(華墨はぎりぎりだろうが)と、空中戦主体の戦闘機上位ランカーの闘いが始まろうとしていた * 「Like A Angel」 『ウインダム』との戦闘がいざ始まってみると、その異様な「やりにくさ」に華墨は閉口せざるを得なかった (届かん!!) 単純に上空からレールガンによる砲撃を続けるだけで、華墨にとっては反撃の機会さえない天敵足り得た 武士はその事実を延々気にかけていた訳だが、ほんの一週間程度のトレーニングでどうにか成る程、アーンヴァルの空戦能力と照準能力、そして『ウインダム』自身の強さはめっきではなかった むしろ、既に四撃、精密無比な砲撃を回避している華墨の方が大したものと言って良かっただろう 既に装甲は何箇所か剥離してはいたが・・・ (やはり・・・こういうタイプとまともにやりあう事は不可能だ・・・) 構築の優位というか、兎に角ウインダムは典型的な「最高の(最良の)装備構築を使いこなす」装備が強いと言い換えても良いタイプであった ある意味における武装神姫のあるべき姿と言えるだろう 恐らく彼女自身には、戦術面に影響を与える「ゆらぎ」は極少ない それに半ば頼り切って闘う華墨や、もっと理屈から遠いヌルとは、また違うタイプだった それが空中戦でさえなく、例えば相手が『タスラム』であれば華墨も此処までの苦戦は強いられなかっただろう 仮に負けるとしても、少なくとも一矢、手痛い反撃は出来るだろうからだ (やるしかない・・・!!) 「マスター!サイドボードの転送を!!遂にあれを使う時だ!」 『応よ!!跳躍の最頂点で送る!!』 「行くぞ・・・ウインダム!」 かつてトレーニングマシンでそうやったように、華墨は傾斜したビルに向かって走る *「う、おおおおおぉぉぉぉォ!!」 駆け上がり、跳躍レールガンの弾が右腰を貫く 光に包まれ、装備が再構築される そして &ref(http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/n/nuenonakuyoru/20070503/20070503125153.jpg)VS&ref(http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/n/nuenonakuyoru/20070503/20070503125332.jpg) (・・・しっかし、貸してくれた『エルギール』にゃ悪いが、何とも似合わないっつーか、はっきり言って格好悪い姿だな・・・) 腰周りの装甲をパージして、代わりに装備されたジルダリアのフローラルリングは、華墨用の塗装すらされておらず、デザイン的にも色的にも、なんとも珍妙でミスマッチであった だが、強力な推力を誇るフレキシブルスラスターファンが生み出す瞬間最高速度は、一瞬だけ、華墨にアーンヴァルを越える翼を与えた どちらかと言うと既にそれは飛行と言うより「飛翔」 航空機と言うよりはミサイルの様相だったが、奇襲ならそれで充分だった 右腕に転送されたSTR6が、ろくな照準も無しに乱射される 予測回避の困難な弾丸の雨がウインダムの装備をかすめる 「飛行能力10%低下・・・戦闘続行に問題なし」 こんな状況でもセルフダメージレポートによる「格好付け」を忘れない根性は賞賛に値するだろう 変則マニューバ同士のドッグファイトが始まる 速度にムラがあるが、トップスピ-ドではウインダムをも越えるフローラルリングの特性無くば、華墨はその動きを追随する事さえ適わなかっただろう 実際の所、この種の空中戦巧者との闘いは後々迄華墨の大きな財産となる訳だが、ウインダムにとっては新装備後の自らの弱点を研究する最初の契機になったのも事実だった STR6とのバランス調整も兼ねて装備された長刀が唸る その軌道は銃弾或いは空中交差時のレーザー剣とは全く異なる 華墨は空中で剣闘をやろうとしていた (!?) 判断が遅れる アーンヴァルの反射神経をもってすれば見切れない事も無いその剣速はしかし、見切れてしまうが故に視線を容易に華墨に読ませてしまっていた 実際には慣れない長刀を片手で振り回さざるを得なかった事から、剣先がブレただけだったのだが、その僅かな挙動の乱れさえも追ってしまうウインダムの性質に、華墨は気付いた (装甲に自信が無いからどんな攻撃でも注意深く観察してしまうのか?ならばっ!!) ウインダムの銃撃、肩で受けると同時に長刀が唸る・・・光剣を展開し、一気に間合いの内側に飛び込むウインダム その顔面に、何故かSTR6の銃身が横殴りにぶつかる 『ウインダム!?』 「詰みだ・・・ッ」 ウインダムの首に、華墨の右腕が巻きつく 光剣を手首から奪い、そのままウインダムの背中から突き入れる 当然、その真正面にあった自分自身の右肩も貫いてしまっている訳だが 重量を感じさせる響きと共に、長刀が地面に突き刺さる (・・・抱き心地・・・良いな) 華墨は白化してゆくウインダムを抱いたまま落下していった [[剣は紅い花の誇り]] [[前へ>「Southern Cross」]] [[次へ>「CREATURE」]]