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ワルキューレの騎行ー或いは凶兆の凶鳥 - (2007/04/23 (月) 21:40:21) のソース
「……これが“閃牙”。こっちが“舞剣”で……これが、“魔奏”」 「ふむ……だが、その名を大っぴらに出す訳には行かぬのだろう?」 「あったり前でしょ!アンタん家のハウリンなら乗っ取れるわよ!」 「そうか?では此方で、当座の名を考えておこうか。エルギールよ」 晶ちゃんが僕の風評と魔剣の脅威を恐れない事を、結局僕は利用していた 「勝手になさいよ。必要ならあたしがテキトーに考えてもいいけど」 「いや、そこまで世話になる訳にもな……これ以降は私達の責務だ」 「……じゃ、晶ちゃん。毎度有り難う……何時か、何処かに行こう」 「そうだな、神浦琥珀にエルギールよ。今度、アキバを案内しよう」 *「ワルキューレの騎行──あるいは凶兆の凶鳥」 それが適わないかも知れない事を知って尚、彼女の力強さには嫉妬すら感じる 見送られつつ、僕はテレビ電話のモニタの電源を落とした 同封した第四の魔剣・・・「ギガンティックの爪」 最早晶を通して、これを誰かに解析してもらう他無かった 残念ながら、僕は今この町を離れる事が出来ない そして、あいつらの息か監視の眼が掛かっている可能性が無い知り合いで、あの爪を託して大丈夫な人物もまた居ない 僕にはこれしか出来ない 「ギガンティックの爪」は神姫用の武器ではない 本来ギガンティックと呼ばれた「なにか」の、文字通り爪であったものを武器状に加工しただけのものだ それも偶然に、である 僕に出来る限り調べ、その結果武器状に加工されたに過ぎない 結果は・・・そのダガー大の湾曲した爪は、少なくとも単純な金属ではなかった プラスチックと人肌をハイブリッドした様な手触り、動物の甲殻の様な硬質感を供える黒い爪 だが、これはほぼ間違い無く、皆川彰人の野望と深い関わりがある 恐らく、「バニシングファイブ」とも・・・ 調べてもらう他無かった ただ、決断が遅れたのだ あんな事があった直後だ らしくない 「琥珀・・・どうしたの?」 「なんでも無いよエルギール・・・華墨を呼んできてくれるかな」 「判ったわ」 歩き出すエルギール 僕は物思いに沈む 手は打った 関係無い人達を巻き込む可能性を作って 僕は 最悪の凶鳥だった [[剣は紅い花の誇り]]