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妄想神姫:第二十四章 - (2007/04/14 (土) 23:11:52) のソース
**翼を持つ、姉妹達の絆を確かめて ---- 春の夜……と言ってもこのご時世、結構気温は熱い物だ。私・槇野晶も、 店を畳んでからすぐに白衣を脱ぎ捨てて、三姉妹と軽めの食事を摂った。 この姿は、少々見せられぬな。上着のジャケットを脱いで……見るなよ? 流石にあられもない格好とまでは行かぬが、大胆気味の姿で夜を過ごす。 だが無為に過ごす事は彼女らも耐えられぬらしく……すぐにやってきた。 「マイスター、マイスター!“特訓”のお手伝い、今いいですの?」 「む?いつもは自分らでこなして……ああ、あれか?“SSS”か」 「は、はいっ。流石にこればっかりは、オペレータがいないと……」 「……うん、今日はボクらの誰もHVIFの当番日じゃないからね」 このところ、HVIFはご無沙汰である。以前クララのそれ……梓のみ 二日以上連続使用してしまったので、帳尻合わせの為にそうしている。 定期メンテナンスにも丁度良かったので、今はフェレンツェめの元だ。 なので、例え必要があっても今週いっぱいは“殻の躯”のみで過ごす。 本来はそれが自然なのだが、こう言う時は慣れてしまうと少し困るな。 「分かった。私が訓練用ポッドのオペレートをしようではないか!」 「ありがとうございますの~♪で、今日は……コンビネーションを」 「コンビネーションだと?もしかして、3on3に出たいのかお前達」 「出たい……パワーレベリングじゃないけど、実質そうなるんだよ」 「ロッテちゃんと、差が開いちゃいましたからね。頑張らないと!」 そう。以前出た大会にて好成績を収めたロッテの軽量級ランキングは、 着実に勝ち星を増やすアルマとクララよりも、頭一つ抜きんでている。 故に彼女らが目を付けたのが、最近導入された3on3のバトルなのだ。 勝利ポイントが均等になる様に配分されるこのレギュレーションなら、 続ける事でロッテに他二人が追いつく事も容易となるだろうな。有無。 「というわけでだ、エントリーしてくれ。“SSS”の投下は?」 「えっと……まずは“Heiliges Kleid”でのチームプレイから!」 「むぅ、分かった。いつでも指示が有れば投下する、頑張れよ?」 「はいですの♪それじゃ、まずネイキッドを三体お願いしますの」 事前に準備していた所為も有って、決定から訓練開始までは早かった。 故に今回は、共通武装・改良バージョンのβテストも兼ねる事にした。 ヴァーチャル空間が展開され、そこの中央に私の“妹達”が降り立つ。 次いで、三方に散る形で万能型のネイキッドタイプが三体配置される。 「……先手は、ボクからだね。舞台設定は……市街地かな。上等だよッ」 「おねがいしますねっ。ロッテちゃんは、高所確保から狙撃の準備を!」 「はいですのッ!アルマお姉ちゃんも、飛び出せる様に準備して下さい」 まずは十二時の方向にいる者に狙いを定め、クララが駆けだして行く。 身体能力は若干劣る彼女だが、走行補助装置の御陰でスピードはある。 一気に距離を詰めつつ、グレネードダガー“シラヌイ”を引き抜きッ! 「そこを動いちゃダメだよ……ふっ!」 『ギッ!?ギィィッ!!』 それを、ネイキッドの足下へと投げつける。解放された電気が奔り、 敵が怯むその一瞬。それを狙って、クララが取り出すは“ヘル”だ! 鋼鉄のワイヤーにはアンカーの他に今回追加された、中継用リング。 それらを用いて束ねた超極薄の刃がネイキッドの脚を捕らえ、斬る! 『ギァァッ!?』 「……コレ位じゃ倒れないのはわかってるもん、だから」 「今度は、わたしの出番ですの……閃光弾をどうぞっ!!」 『ギウウゥー!?』 蹌踉めいたネイキッドが敵を捜そうとするが、それは叶わなかった。 ロッテが“フェンリル”の追加アダプターに装填・射出した閃光弾。 それが過たずネイキッドの顔面を捕らえ、その目前で炸裂したのだ。 狼狽えたネイキッドのAIに多大な隙が生じる……更に、もう一撃! 「今度は、こっちで……!今の内にッ!」 『ギァ、アアッ!?』 「──────わかりました!早速、試してみますっ!」 今度はバスターライフル“ムラクモ”による狙撃で、敵の脚を止める。 関節や頭部に当たった弾丸が、着実にネイキッドの戦闘能力を奪う中、 アルマが一気に距離を詰めて、“ヨルムンガルド”へと右手を掛けた。 いや、厳密にはすぐ手が届く姿勢を取りながら走行し……左拳を引く! 「隙有りッ!“マサムネ”ッ!!」 『ギガァーッ!!?』 そのまま回転遠心力を得た拳を、ネイキッドの腹に打ち込むアルマ。 ネイキッドが斜め後方へと飛ばされていくが、致命傷には至らない。 それを見たアルマは、今度こそ“ヨルムンガルド”の一本を握った! 「“シェル・ブレイク”ッ!!」 『Ja(了解)』 それは改良版“ヨルムンガルド”……の鞘を起動させるキーワード。 一回りスリムとなった鞘の下部に搭載された、弾薬機構が炸裂する。 同時に隙間からは蒸気が迸り、アルマに引き抜かれた一振りは……! 「白熱の刃……受けて下さいっ!!」 『ギャァァァァーッ!?!!』 「えいっ、せやっ、はぁぁっ!!」 『ギ──────!!!!』 強化セラミックの刃が変色するまでに灼けていた。これが破壊力を 産み出す、電磁加熱機構である!案の定ネイキッドは、一刀両断。 それでも飽きたらず、アルマは他の刃も引き抜いて合体させ連撃。 見事ネイキッドは粉微塵となり、ポリゴンへと還元されていった。 ……これ以上は秘密だ。“SSS”については次の機会に語ろう! 「流石、我が“妹”達。頑張るな……私も、色々と参考にせねば」 「αフォーメーションはこんな感じですの♪次はβ行きますの?」 「はい、じゃあクララちゃんは後に詰めて下さい……やぁぁっ!」 「……もっともっと、強くなるんだよ。ボクらも、戦乙女として」 ──────止まらない、止まれない。どこまでも往こうね。 ---- [[次に進む>妄想神姫:第二十五章(前編)]]/[[メインメニューへ戻る>妄想神姫]]