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「それは盛大な」「祭」 - (2007/03/18 (日) 05:58:33) のソース
[[真・凪さん家の十兵衛さん]] [[凪さん家の弁慶ちゃん]] **「それは盛大な」「祭] 「鳳凰杯…」 何時の間にか貼られていた「ソレ」に僕達は釘付けになっていた。 「ええ、貼らせてくれって」 エプロンのポケットに手を突っ込んでカウンターに寄りかかりながら京都さんは言った。 「出店…しようかな…」 「へ?」 出店?貼られていた「ソレ」ことポスターを見る。へぇ、お店出せるんだ。 「どれどれ~?」 と美琴先輩は鞄からPCを取り出し、一気に鳳凰杯のHPにたどり着く。 え~っと…はぁ、結構色々なお店が出るんだ。 「…エルゴもあるな…」 「これ、ちっちゃい物研ですよね?」 皆でモニターを覗き込む。弁慶達も興味津々。 「ALChemistさんも出るのね…」 いつの間にか京都さんも覗いていた。 「で、京都さんはどうするの??」 「う~ん…出ようかしら」 「本当!?じゃあ私達だって!」 「でも~人手が足りないかも…」 「手伝いますよ?僕」 「私も手伝います」 「任せなさいって!」 「俺も手伝いますよ」 「む、必要なら私も」 「あらあら、皆有難う。じゃあ頼んじゃおっかな?」 「おっと京都さん?俺と十兵衛も忘れないで下さい?」 「私もね」 と、カウンター奥から兄さんと玖乃さんが出てきた。 「あなたたちは出ないの?鳳凰杯」 「まぁ、十兵衛の調子が良くないので」 ・ ・ ・ ソレは嘘だ。十兵衛の調子自体は普通。しかし度重なる試合外戦闘により、試合用に設けたリミッターが外れやすくなっている。リミッターが外れ、神姫狩りの神姫となった十兵衛に一般の神姫など敵うはずも無い。音もなくただ両断されるか貫かれるか…。 とにかく、その危険性が取り除かれるまで十兵衛は戦う事をやめる事にした。これは十兵衛の意思だ。ただし、何かを守るためになら躊躇いなく引き金を引き、抜刀する用意はできている。 ・ ・ ・ 「よし、じゃあ喫茶店「LEN」鳳凰杯に出陣ね!」 『おう!』 ・ ・ ・ 数日後 ・ ・ ・ 「なるほど、それはいい」 「創君も来れたらって思ったんだけどなぁ」 「ははは、すいません」 「いいのよ」 目の前に巨大な扉。ここは神姫狩り部隊の車庫…ここに京都が来るのは久々である。 「開けますよ」 ガゴンと重い鉄の扉が起動し、暗い空間に日差しを当てる。そこから浮き上がるのは白く輝くボディに黒や灰色のスプリッター塗装が施された人型機動兵器…なはずはなく。 「久しぶりね、轟号」 轟号…それは京都が神姫狩りの現役時代に愛用していた大型移動指揮車だ。今は京都が所有者となり、内部も「LEN」仕様に改装されている。しかし使う機会がなかったせいか、正直宝の持ち腐れになっていた。 「整備は完全ですのでご安心を」 「ええ」 「あ、あと…」 「?」 「これは小耳に挟んでもらいたいのですが…」 「なに?」 「噂の域を出ませんからなんともいえませんが…鳳凰杯にテロ攻撃を仕掛けるといった予告があったそうです」 「…あちらの対策は?」 「さぁ…噂ですから」 「…そう、確かに挟んだわ」 「お願いします。お気をつけて」 「ええ、行くわよレン」 「うむ」 「確か迎えに?」 「ええ、臨時のアルバイトさんをお迎えにね」 「はは、驚くでしょうね」 「そう?よっと」 京都が運転席に着く。この姿を見るのは何年ぶりか…あの時は自分もまだまだヒヨッコだった…。と創は思った。 戦いのために使っていた物が今度は人々に笑顔を与えるために使われる。 願わくばこの先何も無いことを…。 「前方確認、燃料満タン。GPS、ナビ各種機器オールグリーン」 「ふ…そこは変わらないのですね」 「まぁ、癖ね。じゃ、行ってくるわ」 「はい」 「轟号、目的地へ発進」 巨体がうなりを上げ、動き出す。 「商売繁盛!期待していますよ!!」 「ありがと!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ… 遠ざかる轟号。 「何も無ければ良いんですが…」 裏でうごめく闇に彼らが関係するのか無関係か…このときはまだ誰も知らない