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ねここの飼い方、そのに - (2006/10/22 (日) 00:21:28) のソース
「うにゃ!?」 バッタリとその場に倒れこむ、ねここ。 『試合終了。Winner,十兵衛』 無慈悲に流れるジャッジAIの合成音アナウンス 『い、以上がこの試合の内容だぁぁぁ!!なんて正確無比な射撃!タイプストラーフとは思えない落ち着いた攻撃法だぁぁぁ!』 「え……」 私は呆然としてスクリーンを眺めるしかなかった。全身真っ白になって崩れそうだったかも…… ねここの飼い方、そのに 「ねここ頑張って優勝する~☆」 「よぉし、応援いっぱいしちゃうよ♪優勝したらねここの好きなご飯作ってあげるー」 「わぁい♪じゃあじゃぁみさにゃんお手製の杏仁豆腐がいいの☆」 などと今日は2人とも妙なハイテンションになってます、その理由はねここの公式戦デビューの日だから。 この前センターに行って買い物をした時、新人戦のチラシを貰いそれをみたねここは、 「バトルしてみたーい!いっぱいフィールドかけまわるのっ」 と何時になくハイテンションになってて、見てるこっちまで影響される始末。 その日以来、毎日どんな装備にしようかあれやこれやと悩んだのだけれど、 まずはねここの素質を見ようということでほぼノーマルのまま出場することに。 きっと過剰装備させてもこの前のミーティ○の時みたいに使いこなせないのがオチだろうし、ね …家の修理代高かったよぅ、ぐすん ねここは反射神経はいいと思うのだけれど、集中力があるようでないのでそこが心配よね。 開始直後なんか空回りしそうだし。 やっぱり自主性に任せきらないで、少しは手伝ってあげた方がいいかしら。 まぁでもなんとかなるよね、多分~ と思いながらも受付にて各種参加登録を済ませてく。 ねここはまず一番下のサードリーグに登録されるらしい。 さぁて、精一杯ねここの晴れ姿を応援してあげますか! 2 そして現在魂の抜け掛けた、真っ白な彫刻状態のワタシ ねここが飛びかかろうと身を縮めるよりも早く、レーザーの閃光がデッドポイントを貫いていた。 開始わずか2秒。 しかも相手は開始地点から一歩も移動せずに、超遠距離からの一撃で。 相手はLC3レーザーライフルを装備したストラーフ。片目には一見可愛い眼帯に見える 特殊カメラ(だと思う)を装着してるから、それで狙撃が出来たのだろうと思う、けど。 やがて片目を眼帯で覆ったストラーフは、LC3レーザーライフルを下ろして射撃態勢を解いた。 マスターの方に向き直り、小さく頷いている。……不覚にも、ちょっと可愛い。 スクリーンの方ではスロー映像が先ほどから何度も流れていて、それを見ても一瞬、まさに瞬殺だった。 鮮やかすぎというのだろうか、サードリーグとはいえここまでレベルが高いとは予想外も激しくて。 「……あ、ねここはっ!?」 はっと我に返り、慌ててアクセスポッド、ねここの元へと駆けてゆく。 急いでポッドを開けてもらうと、そこには隅にしょんぼりと座り込んだねここがいて 「大丈夫なのねここ!?」 「……みさにゃん、ねここ負けちゃった……」 「よかったぁ、何処にも怪我とかしてないみたいね?」 「うん…ねっとわーく対戦だからへいきなの。でもねここ……」 それだけ聞くと、周りの目なんか気にせず私はねここを思いっきりぎゅぅっ、と抱きしめて。 「さ、おうち帰ろ?」 「…うん」 そのまま私は胸の中にねここを抱いて、帰路に着いたのでした。 3 「あれ、ねここドコなの~? 杏仁豆腐作ってあげたよ~?」 帰宅するまで一言も喋らずにずっと泣いていたねここ。 なので少しでも元気を出して貰おうと思い、台所で杏仁豆腐を作っていたのだけれども、 いざ出来上がるとねここの姿が見当らなくなってしまっていた。 やっぱりあそこ、かな。 「ぐす…ひっく…うぅ…」 「こんばんわ、こねこさん。やっぱりここにいたんだね」 「あぅ…みさにゃん」 やっぱりねここは私のベッドの下で一人泣いていた、こんな時はもっと甘えてくれてもいいのにな。 「今日は何で泣いてるのかな。試合怖かったの?」 ふるふると首を横に振るねここ、ぐしぐしとまだちょっと泣きながらも答えようとしてくれて。 私は出来るだけ優しく、でもしっかりと 「じゃあ、なんで?」 「…いの」 「…悔しいの、負けたことが… みさにゃんと約束したのに… 優勝するって… 勝ってほめてもらおうって でもねここ負けちゃった… 約束破っちゃったの みさにゃんとの大事な約束…っ こんなのじゃみさにゃんに嫌われちゃうの! 凄いとこみせてあげたかったの!! なにもできなかったねここが嫌なのぉ!!!」 そう言うとねここはベッドの下から飛び出し大泣きになりながら、しゃがみ込んだ私の顔へしがみついてくる。 悔しいの、約束したのに、と何度も嗚咽しながら繰り返して 4 「じゃあ、勝とうよ」 「……ふぇ」 ねここはキョトンとした顔になって 「また戦って、今度は勝って、見返してあげるんだよ。ねここはこれだけ強くなったんだぞっ、って」 「でも…」 「2人で一緒に頑張ろう、ね?」 「…いいの?」 「私はねここのマスターなんだよ。 それ以前に泣いてるねここなんて、放っておけるわけないじゃない大切なねここなんだから。 それにどんな事になっても、私はねここを嫌いになんかならないから、 安心していいんだよ、ねここ」 私はねここを柔らかに抱きしめ、あやすようにゆっくりと優しく、でも力強く 「ねここ、あの人に、勝ちたい?」 「うんっ!ねここ……あの人に勝ちたいっ!」 「じゃあ、勝ちに行こ、頑張ろっ」 ねここはまだ目に涙を残しながらも、精一杯の笑顔で 力強く 「うんっ!!!」 そのあとは、2人で一緒に杏仁豆腐を食べました。 ねここには私が、ちっちゃなねここ専用スプーンで食べさせてあげると、ねここはにぱっと微笑むと 「とぉってもおいしいの~ でもちょっとしょっぱいかな、てへへ」 と、ちょっと恥ずかしそうに笑ったねここの顔は、何時もより輝いて見えて。 一緒に、強くなっていこうね、ねここ。 [[続く>ねここの飼い方、そのさん]] [[トップへ戻る>ねここの飼い方]]