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「さあ反撃の狼煙を上げろ・2――回顧録・三――」 - (2006/12/20 (水) 23:03:36) のソース
*そのじゅうご・ふたつめ「さあ反撃の狼煙を上げろ・2――回顧録・三――」 あの日、ティキが泣き疲れて眠ってしまった後、僕はまた親父の日記に目を通していた。 不甲斐ない話だけど、人生経験とかそういう観点じゃ僕はあまりにも未熟で。 でもだからこそ先人の、少なくても自分の親からは何かを学びたいと、本気で思った。 もしかしたら、これだけ前向きな姿勢で親父の手記を見たのは、初めてかもしれない。 □月⇔日 新しく生まれ変わった、と言うと大げさだが、大幅なメンテが終わったティキのステータスを検討していくと、バトルでどのようなスタンスを取れば最適かが見えてくる。 一気に相手の懐に飛び込んだ上でのインファイト。 反応速度が著しく上がったティキには、それが最適であろう。 元来マオチャオは近接戦闘用に特化しているはずなので、そういう意味では順当な進化ともいえる。 しかしそうなると、必要になってくるのは相手に接敵する手段だ。 近接戦闘に特化するのであれば、距離を取ろうとする相手に如何に近づくかが課題となる。 ここで選択できるのは大きく二つ。 一つは超々高速による接敵。 一気に距離を縮める事を目的とした戦法。 しかしこの方法の弱点は、挙動が直線的になってしまう事。 急制動には向いていない。 もう一つはアクロバティックな動きで徐々に相手との距離をつめていく戦法。 回避、フェイントを初期段階から織り込む事が出来る。 とは言え、こちらは距離がつめにくいという点で、本来の目的が達成しにくい。 しかし、現状の、在り物のパーツを使用するのであれば、この二つのうちどちらかを選択するより他にない。 俺がティキに一番合うと考えているのは、後者に更に最高速を求めた挙動だったりする。 最高速度が前者より悪くても構わない。 だが後者で算出される最高速度では足りない。 しばし悩む。 悩んだ挙句、出した結論は、お義父さんに泣きつく事だったりする。 あの人はその職業柄、方々にコネクションを持つ。 それを踏まえたうえで、お義父さんに相談する事にしよう。 時間を作り、二、三日中に訪ねる事に決定。 しかし家族には知られるわけにはいかないので、一人で訪ねなければ。 □月∴日 今日はお義父さんの所に行って来た。 お義父さんは俺の話に喰い付いてきてくれて、話はトントン拍子に決まって行った。 お義父さんのアイデアもあり、ティキに準備するオリジナル装備は飛行ユニットに決定。 その名もM・D・U。俺が幼い頃に放送していた某V2Gを参考にさせていただいた。 俺としては、どうせ同じようなユニットならDGとかGΔAとかが良かったのだが、お義父さんが「これじゃなきゃ協力してやらん!」と言い張ったのでやむなくこれに決定。 相変わらず妙なところで頑固で子供だよなあ。 ま、そのおかげで仲良くさせてもらっているのだけど。 ともあれ漸く目処が立った。 しかし必要、必須なパーツは簡単に手に入るものではなく、更にそれを制御する為の特殊な演算装置も必要だろうと言われた。 仕方がないので今日のところは『武装強化案』のアイデアをつめることにしよう。 □月√日 取りあえず『武装強化案』の草案がまとまった。 頼んでいたパーツはまだ届いていないようなので、パーツが届き次第作業に入ろう。 今から楽しみだ。 と、ここまで読んで、僕は自分の頬に涙が流れていた事を自覚する。 『今から楽しみだ』 その言葉を残した親父は、その言葉を永遠に実行することが出来なかったんだ。 だったら、少しでも親父に報いる為に、僕がそれを実行しよう。 渡りに船、なんて事はこの際どうでもいい。ただ親父のためにもこの計画を実行に移そう。 僕はそう決心し、親父が残したであろう『武装強化案』を探し始めた。 程なくして見つかった(同じフォルダの中にあった)ソレは僕を軽く絶望させた。 ……親父が残したこの強化案は僕には荷が重過ぎる。正直こんなものを実現させるだけの技術力を、僕は持ち合わせていない。 かと言って、それで諦めては親父に対してあまりにも申し訳ない。 親父を、弔う事が出来ない。 親父同様、ジイ様に頼るのが一番確実だろうか? どちらにしろ、パーツがウチにない以上はジイ様を訪ねるしかないわけだけど。 [[終える>せつなの武装神姫~僕とティキ~]] / [[もどる>「さあ反撃の狼煙を上げろ・1――いまはおやすみ――」]] / [[つづく!>「さあ反撃の狼煙を上げろ・3――ジジィと神姫――」]]